6


Sun Fire ハイエンドシステムの動的再構成ソフトウェア

Sun Fire ハイエンドシステムで動作する動的再構成 (DR) ソフトウェアを使用すると、Solaris OS が動作するライブドメインのハードウェア構成を変更できます。

DR 操作は、SC または個々のドメインから実行できます。

DR 操作は、SC から addboard(1M)、moveboard(1M)、deleteboard(1M)、および rcfgadm(1M) SMS コマンドを使用して実行できます。

DR ソフトウェアを使用すると、システムを停止せずにシステムボードをホットプラグすることもできます。これは、障害の発生したシステムボードの資源をドメインから解除することで、システムボードをシステムから切り離しできるようにする目的で使用されます。修理済みボードまたは交換用ボードは、Solaris OS の動作中にドメインに取り付けることができます。

DR ソフトウェアは、ボードが装着されると、その資源を構成してドメインに組み込みます。DR 機能を使用してシステムボードを追加または削除した場合、そのボードは常に既存の構成状態のままになります。

システムボードには次のものがあります。


システムボードスロットと論理ドメイン

Sun Fire ハイエンドシステムのドメイン構成は、SC に常駐するプラットフォーム構成データベース (PCD) 内のドメイン構成によって決定されます。PCD は、システムボードスロットを複数のドメインに論理的に分割する方法を規定します。したがって、構成には空のスロットと生成したスロットを含めることができます。

物理ドメインは論理ドメインによって決まります。論理ドメインとは、ドメインに属する一連のスロットをいいます。物理ドメインとは、物理的に相互接続された一連のボードをいいます。スロットは、物理ドメインの一部にならなくても論理ドメインのメンバーになれます。

特定のドメインで使用可能なスロットの数は、システムコントローラ上で維持される使用可能構成要素リストによって指定されます。スロットをドメインに割り当てるか、またはドメインにすでにスロットが存在しなければ、cfgadm(1M) コマンドでその状態を変更することはできません。

ドメインに割り当てられたスロットはそのドメインには見えますが、ほかのドメインからは使用できず、また見えません。逆に言えば、ほかのドメインにスロットを接続して割り当てるには、そのスロットをドメインから割り当て解除し、切り離しておく必要があります。

ドメインが起動したあと、システムボードと空のスロットを論理ドメインに割り当てるか、または割り当てを解除できます。ただし、オペレーティングシステムから要求があるまでは、これらのスロットを物理ドメインの一部にはできません。

どのドメインにも割り当てられないシステムボードスロットは、すべてのドメインで使用できます。プラットフォーム管理者はこれらのボードをドメインに割り当てることができます。ただし、使用可能構成要素を SC に設定して、適切な特権を持つユーザーが使用可能なボードをドメインに割り当てられるようにすることもできます。


DR 管理モデル

使用可能構成要素リストは、ユーザーの名前とグループ識別子に基づいて実行できる管理作業を決定します。たとえば、プラットフォーム管理者は、ドメインでのボードの割り当てと割り当て解除のほか、ボードの追加、削除、または移動を行えます。ただし、ドメイン管理者やドメイン設定者は、ドメインでのボードの割り当てまたは割り当て解除を行うことはできません。


SC 状態モデル

Sun Fire ハイエンドシステムの SC では、ボードは unavailableavailableassigned、または active の 4 つの状態のいずれかです。showboards(1M) コマンドを使用すると、特定のボードの状態を表示できます。指定されたドメインの適切な特権が必要です。ドメイン管理者は、unavailable (使用不可) の状態のボードを表示できません。システムのすべてのボードを表示できるのは、プラットフォーム管理者だけです。

SC 上のボードの状態を示す名前とその説明を次に示します。SC 上にあるボードの状態は、ドメインにあるボードの状態とは異なります。

unavailable

ボードはドメインに対して使用不可 (unavailable) です。つまり、指定されたドメインの使用可能構成要素リストにこのボードは追加されていないか、または現在別のドメインに割り当てられています。使用可能構成要素リストにないボードは、ドメインには見えません。unavailable な状態のボードは、指定されたドメインの一部とはみなされません。

available

ボードはドメインに追加することが可能な (available) 状態にあります。つまり、ボードはドメインの使用可能構成要素リストにあります。ボードは任意の数のドメインに使用できます。available 状態のボードは、論理ドメインの一部とみなされます。

assigned

ボードはドメインに割り当て済み (assigned) です。つまり、ボードはそのドメインの使用可能構成要素リストにあり、かつ、ほかのドメインには使用不可の状態です。assigned 状態のボードは、物理ドメインの一部とみなされます。

active

ボードは接続されているか、または接続され、Solaris OS で構成されてオペレーティングシステムで使用可能な状態にあります。active 状態のボードは、物理ドメインの一部とみなされます。


入出力ボードの DR

入出力デバイスのあるシステムボードを追加または削除するときは、注意が必要です。入出力デバイスのあるボードを取り外すには、まずその全デバイスを閉じて、その全ファイルシステムをマウント解除する必要があります。

入出力デバイスのあるボードをドメインから一時的に削除して、入出力デバイスのある別のボードを追加する前に、追加し直す場合、再構成は不要であり実行する必要はありません。この場合、ボードデバイスへのデバイスパスはそのままです。ただし、最初のボードを戻す前に、入出力デバイスのある別のボードを追加する場合は、最初のボード上のデバイスへのパスが変更されるため、再構成が必要です。


自動 DR

自動 DR を使用すると、ユーザーの介入なしに、アプリケーションが自動的に DR 操作を実行できます。この機能は、Reconfiguration Coordination Manager (RCM) とシステムイベント機能 sysevent を含む拡張 DR フレームワークによって実現されています。RCM は、アプリケーションに固有のロード可能モジュールがコールバックを登録できるようにします。これらのコールバックは、DR 操作前の準備タスク、DR 操作中のエラー回復、および DR 操作後のクリーンアップなどの操作を実行します。

システムイベントフレームワークでは、アプリケーションはあらかじめシステムイベントを登録しておくことで、これらについて通知を受け取ることができます。自動 DR フレームワークは RCM およびシステムイベント機能を使って、アプリケーションが、資源の構成を解除する前に自動的にそれらを解放したり、新しい資源がドメインに構成されたりしたときに自動的にそれらの資源を獲得できるようにします。

自動 DR フレームワークは、cfgadm(1M) コマンドを使用してドメインからローカルで使用することも、SC から使用することもできます。ドメインでローカルに開始された自動 DR 操作はローカル自動 DR と呼ばれ、SC から開始された自動 DR 操作はグローバル自動 DR と呼ばれます。グローバル自動 DR 操作には、あるドメインから別のドメインへのシステムボードの移動、ホットプラグで取り付けられたボードのドメインへの構成、およびドメインからのシステムボードの削除が含まれます。


詳細について

Dynamic Reconfiguration ソフトウェアの詳細が記載されたマニュアルについては、動的再構成 (DR) ソフトウェアに関する情報を参照してください。