Sun N1 System Manager 1.0 インストールおよび構成ガイド

第 3 章 管理サーバーでの Linux のインストールと設定

この章では、後で Sun N1 System Manager ソフトウェアをインストールし、実行するために必要な特別な Linux のインストール手順を示します。

次の内容について説明します。

Sun N1 System Manager サーバーへの Linux のインストール

この節では、N1 System Manager 管理サーバーでの Linux のインストールと設定の手順を示します。インストールと設定を行うには、管理サーバーにモニター、キーボード、およびマウスを接続する必要があります。N1 System Manager システムソフトウェアをインストールするには、管理サーバーに Linux がインストールされている必要があります。Linux は、手動でインストールして機能を 1 つずつ選択するか、インストールする機能を指定したキックスタートファイルを使ってインストールできます。

Linux は、パーティションやデータがない空のハードドライブにインストールする必要があります。ハードドライブにデータがある場合は、Linux のインストール中にドライブのパーティションと、パーティション内のデータを削除できます。N1 System Manager を使用するには、次に示す手順で Linux をインストールすることで、適切なディスクパーティションを割り当て、N1 System Manager に必要な Linux の特定の機能をインストールする必要があります。

次の表に、管理サーバーのパーティション情報を示します (36G バイトのハードドライブの場合)。

表 3–1 管理サーバーのパーティション

パーティション 

M バイト 

/boot 

102 

32962 

swap 

1992 

ハードドライブが 36G バイトより大きい場合:


注 –

36G バイトのドライブには、最大 3 つの OS ディストリビューションを保存できます。4 つ以上の OS ディストリビューションのプロビジョニングを行う場合は、管理サーバーをさらに大きなハードドライブにアップグレードしてください。


Procedureキックスタートファイルを使って RedHat Linux をインストールする

この手順では、NFS または HTTP でアクセス可能なキックスタートファイルを使って Linux の CD-ROM からインストールすることを想定しています。

手順
  1. NFS または HTTP を使って管理サーバーにアクセス可能なマシンにログインします。

  2. Linux のキックスタート設定ファイルを作成します。

    次の設定データをコピーしてファイルにペーストします。ファイルの名前は「n1gc-ks.cfg」などとします。


    install
    lang en_US.UTF-8
    langsupport --default en_US.UTF-8 en_US.UTF-8
    keyboard us
    mouse genericwheelps/2 --device psaux
    skipx
    network --device eth0 --bootproto static --ip ip --netmask
      255.255.255.0 --gateway  --nameserver nameserver --hostname hostname
    network --device eth1 --bootproto static --ip ip --netmask
      255.255.255.0 --gateway  --nameserver nameserver --hostname hostname
    network --device eth2 --bootproto static --ip ip --netmask
      255.255.255.0 --gateway  --nameserver nameserver --hostname hostname
    firewall --disabled
    authconfig --enableshadow --enablemd5
    bootloader --location=mbr
    # The following is the partition information you requested
    # Note that any partitions you deleted are not expressed
    # here so unless you clear all partitions first, this is
    # not guaranteed to work
    clearpart --all --drives=hda
    part /boot --fstype ext3 --size=102 --ondisk=sda
    part / --fstype ext3 --size=1024 --grow --ondisk=sda
    part swap --size=1992 --grow --maxsize=1024 --ondisk=sda
    
    %packages --resolvedeps
    @ office
    @ engineering-and-scientific
    @ editors
    @ system-tools
    @ base-x
    @ web-server
    @ development-tools
    @ printing
    @ text-internet
    @ legacy-network-server
    @ gnome-desktop
    @ admin-tools
    @ server-cfg
    @ ftp-server
    @ network-server
    @ graphical-internet
    @compat-arch-support
    grub
    kernel
    kernel-smp
    
    %post
  3. 環境に応じてキックスタートインストールファイルを修正します。

    • 動的 IP アドレスを使う場合は、次の構文を使って、キックスタートファイル内の network 文を置換します。

      network --device ethx --bootproto dhcp

      ここで ethx はポート、たとえば eth0 です。

    • 静的 IP アドレスを使う場合は、network 文を次のように変更します。

      • ip を Ethernet ポートの IP アドレスに置き換えます。

      • nameserver を社内ネームサーバーの IP アドレスに置き換えます。複数のネームサーバーを使う場合は、各ネームサーバーの IP アドレスをコンマで区切ります。次に例を示します。--nameserver 110.112.113.11,110.112.113.22.

      • hostname を管理サーバーの名前に置き換えます。

      必要な場合は、ETH ポートで静的 IP アドレスと動的 IP アドレスを組み合わせて使用することができます。

    ETH0 は、管理サーバーを社内ネットワークに接続し、管理サーバーからの外部アクセスを可能にします。ETH0 は 1G ビットの NIC インタフェースである必要があります。

    ETH1 は、管理サーバーをプロビジョニングネットワークに接続し、ETH0 と同じブロードキャストドメイン内にある必要があります。IP アドレスは ETH0 と同じサブネット内にある必要があり、また 1,000 台のプロビジョニング可能なサーバーをサポートするように設定できます。ETH1 は 1G ビットの NIC インタフェースである必要があります。

    ETH2 は、管理サーバーをすべてのプロビジョニング可能なサーバーのサービスプロセッサインタフェースの SP0 ポートに接続します。ネットマスクとゲートウェイの値は、管理ネットワークへのアクセスを許可する値である必要があります。


    注 –

    管理サーバーに別個の ETH2 ギガビット NIC カードを設置していない場合は、ETH0 と ETH2 の両方の機能に ETH0 を使用できます。ETH0 は、プロビジョニング可能なサーバーのサービスプロセッサインタフェースへ、またサービスプロセッサインタフェースからアクセスできるように設定する必要があります。


  4. キックスタートファイルをサーバー上の NFS または HTTP のディレクトリに保存します。

  5. RedHat Linux インストール CD-ROM の 1 枚目を N1 System Manager 管理サーバーの DVD ドライブに挿入し、システムを再起動します。

    システムが再起動し、boot: プロンプトが表示されます。

  6. 適切なコマンドを入力してキックスタート設定ファイルを指定します。

    次のように、boot: プロンプトでキックスタート設定ファイルを指定します。

    boot: linux ks=path/kickstart file name

    たとえば、ローカルの NFS または HTTP サーバーの名前が fileserver で、キックスタートファイルが n1gc-ks.cfg で、キックスタートファイルを、NFS ファイル階層のルートディレクトリまたは Web サイトのルートディレクトリに保存したとします。

    • キックスタートファイルと NFS を使って起動するには、boot: プロンプトで次のコマンドを入力します。


      boot: linux ks=nfs:fileserver:/n1gc-ks.cfg
      
    • キックスタートファイルと HTTP を使って起動するには、boot: プロンプトで次のコマンドを入力します。


      boot: linux ks=http://fileserver/n1gc-ks.cfg
      

    Linux のインストールが開始し、キックスタート設定ファイルを読み取るネットワークインタフェースを選択する画面が表示されます。

  7. インストールするネットワークデバイスを選択します。

    Linux のインストール方法を選択する画面が表示されます。メディアのタイプを選択します。

    インストールプロセスによってシステムが検索されます。検索が終了したら、キックスタート設定ファイルによってインストールが制御されます。メッセージに従って Linux インストール CD-ROM を挿入します。

    Linux のインストールが終了したら、「Congratulations」(インストール完了) 画面が表示されます。

  8. 「Exit」をクリックします。

    システムが再起動し、「Welcome」画面が表示されます。

    基本設定を行う必要があることを通知するメッセージが表示されます。「Next」をクリックし、メッセージに従ってシステムを設定します。

    設定を終了したら、「Login」画面が表示されます。

  9. root でログインします。

次の手順

「Sun N1 System Manager をインストールするための管理サーバーの準備」に従って、Sun N1 System Manager システムに必要な追加 RPM をインストールします。

ProcedureRedHat Linux を手動でインストールする

手順
  1. RedHat Linux インストール CD-ROM の 1 枚目を N1 System Manager 管理サーバーの DVD ドライブに挿入し、システムを再起動します。

    boot: プロンプトで、テキストまたはグラフィカルユーザーインタフェースを使ったインストールを開始します。

    • グラフィカルインタフェースを使ってインストールするには、Return キーを押します。

    • テキストインタフェースを使ってインストールするには、「text」と入力します。

    メッセージに従って環境を設定します。言語、キーボード、マウスのタイプを設定する画面が表示されます。必要な情報を指定します。

  2. パーティション情報の設定では、「Automatically Partition」を選択します。

    Linux のパーティションをすべて削除するか、パーティションをすべて削除するか、パーティションをすべて残すかを選択する画面が表示されます。「Remove all partitions」を選択します。パーティションの値が表示されます。

    表示された値を、表 3–1 の値と比較します。

    • パーティションの値が一致する場合は、「Next」を選択します。

    • パーティションの値が一致しない場合は、表 3–1 に従って値を更新します。

  3. ブートローダーの設定では、「GRUB」を選択します。

  4. Ethernet ポートの設定では、IP アドレス、ネットマスク、ゲートウェイの値を次のように割り当てます。

    1. ETH0 は、社内ネットワークに接続し、管理サーバーからの外部アクセスを可能にするように設定します。

    2. ETH1 は、プロビジョニングネットワークに接続するように設定します。

      ETH1 は、ETH0 と同じブロードキャストドメイン内にある必要があります。IP アドレスは ETH0 と同じサブネット内にある必要があり、また最大 1,000 台のプロビジョニング可能なサーバーをサポートするように設定できます。

    3. ETH2 は、すべてのプロビジョニング可能なサーバーのサービスプロセッサインタフェースの SP0 ポートに接続するように設定します。

      ネットマスクとゲートウェイの値は、管理ネットワークへのアクセスを許可する値である必要があります。


      注 –

      管理サーバーに別個の ETH2 ギガビット NIC カードを設置していない場合は、ETH0 と ETH2 の両方の機能に ETH0 を使用できます。ETH0 は、プロビジョニング可能なサーバーのサービスプロセッサインタフェースへ、またサービスプロセッサインタフェースからアクセスできるように設定する必要があります。


  5. ファイアウォールの設定では、「No firewall」を選択します。

    追加言語サポート、タイムゾーン、root パスワードの順で設定する画面が表示されます。必要な情報を指定します。

  6. デフォルトのパッケージをインストールするか、インストールするパッケージをカスタマイズするかの設定では、「Customize」を選択します。

  7. N1 System Manager システムに必要なパッケージを選択します。

    次のパッケージを選択します。

    • Office

    • Engineering and Scientific

    • Editors

    • System Tools

    • X-Windows (base-x)

    • Web Server

    • Development Tools

    • Legacy Software Development

    • Printing

    • Text-based Internet

    • Legacy Network Server

    • Gnome Desktop

    • Administration Tools

    • Server Configuration

    • FTP Server

    • Network Server

    • Graphical-based Internet

    • Compatibility Architecture Support (グラフィカルインストール) または Legacy Software Development (テキストインストール)

    パッケージの選択が終了したら、インストールを継続します。Linux のインストールが終了したら、グラフィック、モニターのタイプ、画面解像度などを設定する画面が表示されてから、システムが再起動されます。その後、起動情報を設定する画面が表示されます。

  8. システムの情報メッセージに従います。

    設定が終了したら、ログイン画面が表示されます。

  9. root でログインします。

次の手順

「Sun N1 System Manager をインストールするための管理サーバーの準備」に従って、N1 System Manager システムに必要な追加 RPM をインストールします。

Sun N1 System Manager をインストールするための管理サーバーの準備

N1 System Manager ソフトウェアをインストールする前に、次の作業を行う必要があります。

ProcedureSun N1 System Manager に必要な RPM を CD-ROM からインストールする

手順
  1. N1 System Manager 管理サーバーに root でログインします。

  2. RedHat Linux インストール CD-ROM の 2 枚目を DVD ドライブに挿入します。

  3. 端末ウィンドウで「mount /dev/cdrom」と入力し、CD-ROM をマウントします。

  4. 端末ウィンドウで次のコマンドを入力し、CD-ROM の 2 枚目から最初の RPM をインストールします。


    rpm -i /mnt/cdrom/RedHat/RPMS/perl-CGI*i386.rpm
    

    RPM のインストール中に「DSA signature:nokey」という警告が表示されます。この警告メッセージが表示されるのは、RPM に DSA セキュリティー署名がないからです。「DSA signature:nokey」という警告はすべて無視してもかまいません。

    コマンドが完了するのを待ちます。

  5. umount /dev/cdrom」と入力して CD-ROM のマウントを解除します。

    CD-ROM を取り出し、RedHat Linux インストール CD-ROM の 3 枚目をドライブに挿入し、CD-ROM をマウントします。

  6. 端末ウィンドウで、次のコマンドを順番に入力して、CD-ROM の 3 枚目から RPM をインストールします。1 つのコマンドが完了してから、次のコマンドを入力します。


    rpm -i /mnt/cdrom/RedHat/RPMS/anaconda-runtime*i386.rpm
    rpm -i /mnt/cdrom/RedHat/RPMS/perl-DBI*i386.rpm
    rpm -i /mnt/cdrom/RedHat/RPMS/perl-DBD*i386.rpm
    rpm -i /mnt/cdrom/RedHat/RPMS/rh-postgresql*i386.rpm
    rpm -i /mnt/cdrom/RedHat/RPMS/rh-postgresql-server*i386.rpm
    

    RPM がすべてインストールされたら CD-ROM を取り出します。

次の手順

次の手順に従って、国際対応の Perl モジュールをダウンロードし、インストールします。

Procedure国際対応の Perl モジュールをダウンロードし、インストールする

手順
  1. N1 System Manager 管理サーバーに root でログインします。

  2. Web ブラウザを開き、perl-5.8.3-16.i386.rpm をダウンロードするサイトにアクセスします。

  3. perl-5.8.3–16.i386.rpm ファイルを管理サーバー上のディレクトリにダウンロードします。

  4. 端末ウィンドウで、RPM ファイルの保存先ディレクトリに移動します。

  5. rpm -i perl-5.8.3–16.i386.rpm」と入力して Perl モジュールをインストールします。

    必要な場合は、管理サーバーにインストールされている RPM と、付録 B 「Sun N1 System Manager に必要な Linux の RPM」にある RPM の一覧を比較して、必要な RPM がすべてインストールされていることを確認できます。

次の手順

Procedure簡体字中国語の Perl モジュールをダウンロード、make、およびインストールする

手順
  1. N1 System Manager 管理サーバーに root でログインします。

  2. ロケールが簡体字中国語に設定されていることを確認します。

    端末ウィンドウで、「echo $LANG」と入力してシステムのロケール設定を表示します。次に例を示します。


    # echo $LANG
    zh_CN.gb18030

    言語ロケールが zh_CN.gb18030 でない場合は、「export LANG=zh_CN.gb18030」と入力してロケールを設定します。

  3. Web ブラウザを開き、

    http://search.cpan.org/~autrijus/Encode-HanExtra-0.10 にアクセスします。

    ブラウザに Encode-HanExtra-0.10 のダウンロードのページが表示されます。

  4. 「Download」をクリックし、Encode-HanExtra-0.10.tar.gz ファイルを管理サーバー上のディレクトリに保存します。

  5. 端末ウィンドウで、Encode-HanExtra-0.10.tar.gz ファイルの保存先ディレクトリに移動します。

  6. Encode-HanExtra-0.10.tar.gz の圧縮を解除し、tar ファイルを展開します。

    1. tar ファイルを展開するには、「gunzip Encode-HanExtra-0.10.tar.gz」と入力します。

    2. モジュールを展開するには、「tar -xvf Encode-HanExtra-0.10.tar」と入力します。

  7. Encode-HanExtra-0.10 ディレクトリに移動します。

  8. システムの Encode.pm データベースを簡体字中国語のエンコーディングで更新するには、次のコマンドを順番に入力します。

    1 つのコマンドが完了してから、次のコマンドを入力します。


    # perl Makefile.PL
    # make
    # make test
    # make install
    
次の手順

次の手順に従って、Java 実行環境の RPM をダウンロードし、インストールします。

ProcedureJava 実行環境の RPM をダウンロードし、インストールする

手順
  1. N1 System Manager 管理サーバーに root でログインします。

  2. Web ブラウザを開き、

    http://ftp.aarnet.edu.au/pub/java/sun/JRE-1.4.2_01/linux にアクセスします。

  3. jre-1_4_2_01-linux-i586-rpm.bin RPM を管理サーバー上のディレクトリにダウンロードします。

  4. 端末ウィンドウで、RPM ファイルの保存先ディレクトリに移動します。

  5. コマンド「chmod +x jre-1_4_2_01-linux-i586-rpm.bin」を入力してファイルを実行可能にします。

  6. コマンド「./j2re-1_4_2_01-linux-i586-rpm.bin」を入力してファイルを復元します。

    ユーザーライセンス契約が表示されます。ライセンスに同意し、ファイルの復元を継続します。

  7. コマンド「rpm -ivh j2re-1_4_2_01-linux-i586-rpm」を入力して Java 実行環境をインストールします。

    Java 実行環境は /usr/java/j2re1.4.2_01/bin/java にインストールされます。


    ヒント –

    /usr/java/j2re1.4.2_01/bin をルートパスに追加します。


次の手順

次の手順に従って、システムの /etc/hosts ファイルを更新します。

Procedure/etc/hosts ファイルを更新する

手順
  1. Sun N1 System Manager 管理サーバーに root でログインします。

  2. /etc/hosts ファイルに、ループバックとサーバーのエントリがあることを確認します。

    1. 次のループバックのエントリが /etc/hosts ファイルにあることを確認します。

      127.0.0.1             localhost
    2. サーバーとその IP アドレスのエントリがあることを確認します。次に例を示します。

      11.11.111.11 n1control

      ここで 11.11.111.11 は管理サーバーの IPアドレス、n1control は管理サーバーの名前です。

    3. /etc/hosts を保存して閉じます。

  3. N1 System Manager 管理サーバーを再起動します。

次の手順

第 4 章「プロビジョニング可能なサーバーのサービスプロセッサファームウェアの確認とアップデート」に従って、プロビジョニング可能なサーバーのファームウェアを確認し、必要な場合は更新します。