Sun N1 System Manager 1.1 サイト計画の手引き

第 2 章 Sun N1 System Manager システムとネットワークの準備

この章では、Sun N1 System Manager のハードウェアとソフトウェアの要件、構成例、および N1 System Manager のコンポーネントを準備する手順を示します。

この章に示す作業は、管理サーバーの準備 (第 3 章「管理サーバーでの OS のインストールと設定」および『Sun N1 System Manager 1.1 インストールおよび構成ガイド』の第 1 章「Sun N1 System Manager ソフトウェアのインストールと設定」を参照) と並行して行うことができます。


注 –

このあとの各節に従ってすべてのプロビジョニング可能なサーバーの設定が完了するまで、検出を実行したり、N1 System Manager システムを使用したりしないでください。


次の内容について説明します。

Sun N1 System Manager のハードウェアと OS の要件

この節の情報を使用して、N1 System Manager システムを実装するために割り当てる、または入手する必要があるオペレーティングシステム、ハードウェア、およびストレージのリソースを確認できます。

この節の内容は次のとおりです。

管理サーバーの要件

N1 System Manager 管理サーバーのハードウェアとオペレーティングソフトウェアの最小限の要件を次の表に示します。管理対象のプロビジョニング可能なサーバーの数に基づく管理サーバーのサイズ設定については、表 2–3 を参照してください。


注意 – 注意 –

管理サーバーは N1 System Manager ソフトウェア専用にします。管理サーバーにほかのアプリケーションをインストールしないでください。


表 2–1 管理サーバーのハードウェアとオペレーティングシステムの要件

タイプ 

オペレーティングシステム 

ディスク容量 

RAM 

SPARC

 

NetraTM 240、440

Solaris 10 

72G バイト以上 

4G バイト以上 

 

Sun FireTM V210、V240、V440

Solaris 10 

x86

 

Sun Fire X4100 および X4200 

Solaris x86 Version 10 HW1 

Red Hat Enterprise Linux 3.0 AS Update 5、32 ビットおよび 64 ビット 

72G バイト以上 

4G バイト以上 

 

Sun Fire V20z および V40z 

Solaris x86 Version 10 

Red Hat Enterprise Linux 3.0 AS Update 2 〜 5、32 ビットおよび 64 ビット 

プロビジョニングを行う OS ディストリビューションごとに 3.0G バイト以上を割り当てる必要があります。


注 –

管理を容易にするには、10/100 NIC を ETH2 として N1 System Manager 管理サーバーにインストールし、管理ネットワークのスイッチを経由してプロビジョニング可能なサーバーの管理インタフェースに接続します。このマニュアル内の図や構成例では、追加の 10/100/1000 NIC が 管理サーバーに設置されていると想定しています。


プロビジョニング可能なサーバーの要件

N1 System Manager のプロビジョニング可能なサーバーのハードウェアとオペレーティングソフトウェアの要件を次の表に示します。

表 2–2 プロビジョニング可能なサーバーのハードウェアとオペレーティングシステムの要件

サーバーの種類 

プロビジョニング可能な OS 

必要なディスク容量 

RAM 

SPARC

 

Sun Netra 240 および 440 

Solaris 10 

Solaris 9 7/05 

12G バイト以上 

512M バイト以上、1G バイトを推奨 

 

Sun Fire V210、V240、V440 

Solaris 10 

Solaris 9 7/05 

12G バイト以上 

512M バイト以上、1G バイトを推奨 

x86

 

Sun Fire X4100 および X4200 

Solaris 10 HW1 

Red Hat Enterprise Linux AS 4.0 Update 1 (64 ビットのみ) 

Red Hat Enterprise Linux ES 4.0 Update 1 (64 ビットのみ) 

Red Hat Enterprise Linux AS 3.0 Update 5 (32 ビットおよび 64 ビット) 

Red Hat Enterprise Linux ES 3.0 Update 5 (32 ビットおよび 64 ビット) 

SUSE Linux Enterprise Server 9 SP1 (64 ビットのみ) 

12G バイト以上 

512M バイト以上、1G バイトを推奨 

 

Sun Fire V20z および V40z 

Solaris x86 Version 10 

Solaris x86 Version 9 Update 7 

Red Hat Enterprise Linux AS 4.0 (32 ビットおよび 64 ビット) 

Red Hat Enterprise Linux ES 4.0 (32 ビットおよび 64 ビット) 

Red Hat Enterprise Linux AS 3.0 Update 1 〜 5 (32 ビットおよび 64 ビット) 

Red Hat Enterprise Linux ES 3.0 Update 1 〜 5 (32 ビットおよび 64 ビット) 

SUSE Linux Enterprise Server 9 および SP1 (32 ビットおよび 64 ビット) 

12G バイト以上 

512M バイト以上、1G バイトを推奨 

推奨されるスイッチ構成

VLAN プログラミング可能なスイッチを 1 つ使い、管理ネットワーク、プロビジョニングネットワーク、およびデータネットワークのインフラストラクチャを構築できます。ただし、管理を容易にするには、管理ネットワーク用に VLAN プログラミング可能なスイッチを 1 つ設置し、プロビジョニングネットワークとデータネットワーク用に別の VLAN プログラミング可能なスイッチを設置することをお勧めします。管理ネットワーク、プロビジョニングネットワーク、およびデータネットワークは、それぞれ別個のサブネットと VLAN に割り当てる必要があります。


注 –

管理ネットワークのスイッチは、リンク速度の自動ネゴシエーションを行うように設定する必要があります。リンク速度の自動ネゴシエーションを設定しなかった場合、Sun Fire V20z サーバーと V40z サーバーのファームウェアアップデートに失敗する可能性があります。


管理ネットワークのスイッチとプロビジョニングネットワークとデータネットワークのスイッチは、次の Ethernet 接続をサポートしている必要があります。

Sun N1 System Manager の接続情報

この節では、Sun N1 System Manager の各サーバーの接続の要件を示します。

この節では、次の内容について説明します。

管理サーバーの接続

この項では、Sun N1 System Manager 管理サーバーの論理ポートの図と接続の要件を示します。

表 2–1 に示すように、管理サーバーには、SPARC または x86 のサーバーを使用できます。各サーバーには 10/100/1000 (1G ビット) ネットワークインタフェースポートが 1 つ以上ありますが、管理サーバーにギガビットネットワークインタフェースカードを追加することで、管理が容易になり、また組織内ネットワークとプロビジョニングネットワークを物理的に分離できます。NIC を追加しない場合は、1 つの 1G ビットポートを経由するように組織内ネットワークとプロビジョニングネットワークを構成できます。このマニュアルでは、管理サーバーにギガビット NIC が 3 つあると想定しています。

各サーバーには、1 つまたは 2 つのシステム管理ポートもあります。ポート数はサーバーのアーキテクチャーによって異なります。管理ポートが 1 つのサーバーでは、このポートには Net Mgmt (ネットワーク管理)、ALOM (Advanced Lights Out Manager)、または ILOM (Integrated Lights Out Manager) というラベルが付いています。管理ポートが 2 つのサーバーでは、ラベルは SP0 と SP1 (サービスプロセッサ 1 と 2) です。管理サーバーと組織内ネットワークの接続には、管理ポートが 1 つだけ必要です。このマニュアルでは、管理ポートを MGMT と示します。


注 –

オペレーティングシステムで使用する Ethernet ポートの名前は、システムのアーキテクチャーとオペレーティングシステムによって異なります。たとえば、マシンの最初の Ethernet ポートは、異なるオペレーティングシステムごとに ETH0、HME0、または BGE0 と呼ばれます。このマニュアルでは、アーキテクチャーとオペレーティングシステムに関係なく、マシンの最初の Ethernet ポートを ETH0、次のポートを ETH1 と呼びます。


管理サーバーのポートの論理図を次に示します。この図は、このあとも構成例と本稼働 VLAN の図で使われます。

図: 管理サーバーの論理ポート

管理サーバーは、ポートを次のように使って 3 つの異なるネットワークに接続する必要があります。

プロビジョニング可能なサーバーの接続

この項では、Sun N1 System Manager のプロビジョニング可能なサーバーの論理ポートの図と接続の要件を示します。

「管理サーバーの要件」に示すように、プロビジョニング可能なサーバーには、SPARC または x86 のサーバーを使用できます。各サーバーには、10/100/1000 のネットワークインタフェースポートが 2 つあります。各サーバーには、1 つまたは 2 つのシステム管理ポートもあります。ポート数はシステムのアーキテクチャーによって異なります。管理ポートが 1 つのサーバーでは、このポートは ALOM または ILOM、管理ポートが 2 つのサーバーでは SP0 と SP1 です。このマニュアルでは、管理ポートを MGMT と示します。

サーバーのアーキテクチャーに基づくプロビジョニング可能なサーバーのポートの論理図を次に示します。この図は、このあとも構成例で使われます。

図: プロビジョニング可能なサーバーの論理ポート

各プロビジョニング可能なサーバーは、次のように 3 つの異なるネットワークに接続する必要があります。

次の節では、N1 System Manager のシステム接続と VLAN 構成を示します。

構成例

この節では、N1 System Manager の機器の設計と接続に役立つ構成例を示します。この節では、次の内容について説明します。


注 –

このあとの各構成例では、組織内ネットワークのアクセスは、管理サーバーへの接続として示しています。組織内ネットワークから N1 System Manager へのアクセスには、管理サーバーではなくスイッチを使うこともできます。


ネットワークごとに別のスイッチを使う構成など、ほかにも構成は可能です。ネットワークは、VLAN とスイッチの任意の組み合わせで実装できます。管理、プロビジョニング、およびデータの各ネットワークには、それぞれ別個の VLAN を割り当てる必要があります。

管理ネットワーク、プロビジョニングネットワーク、データネットワークを別々にした構成

図 2–1 管理ネットワーク、プロビジョニングネットワーク、データネットワークを別々にした構成

図: 管理ネットワーク、プロビジョニングネットワーク、データネットワークを別々にした構成

注:

管理ネットワークとプロビジョニングネットワークを結合し、データネットワークを別にした構成

図 2–2 管理ネットワークとプロビジョニングネットワークを結合し、データネットワークを別にした構成

図: 管理ネットワークとプロビジョニングネットワークを結合し、データネットワークを別にした構成

注:


注意 – 注意 –

静的に割り当てられる管理ネットワークの IP アドレスと、OS プロビジョニング時に使われる、動的に割り当てられる IP アドレスは、同じネットワーク内にあります。N1 System Manager では、IP アドレスは管理されません。プロビジョニング時に使われる IP アドレスが、管理ネットワークの IP アドレスと重複しないように確認する必要があります。


プロビジョニングネットワークとデータネットワークを結合し、管理ネットワークを別にした構成

図 2–3 プロビジョニングネットワークとデータネットワークを結合し、管理ネットワークを別にした構成

図: プロビジョニングネットワークとデータネットワークを結合し、管理ネットワークを別にした構成

注:


注意 – 注意 –

静的に割り当てられる管理 IP アドレスと、OS プロビジョニング時に使われる、動的に割り当てられる IP アドレスは、同じネットワーク内にあります。N1 System Manager では、IP アドレスは管理されません。プロビジョニング時に使われる IP アドレスが、管理ネットワークの IP アドレスと重複しないように確認する必要があります。


プロビジョニングネットワーク、データネットワーク、管理ネットワークを結合した構成

図 2–4 プロビジョニングネットワーク、データネットワーク、管理ネットワークを結合した構成

図: プロビジョニングネットワーク、データネットワーク、管理ネットワークを結合した構成

注:


注意 – 注意 –

静的に割り当てられる管理 IP アドレスと、OS プロビジョニング時およびそのあとに使われる、動的に割り当てられる IP アドレスは、同じネットワーク内にあります。N1 System Manager では、IP アドレスは管理されません。プロビジョニング時およびそのあとに使われる IP アドレスが、管理ネットワークの IP アドレスと重複しないように確認する必要があります。


サイト計画

この節では、管理サーバーとスイッチの要件を決定する手引きを示します。この節では、次の内容について説明します。

管理サーバーに関する注意事項

管理サーバーの要件を検討するときは、主にハードドライブの容量と管理対象のプロビジョニング可能なサーバー数を考慮します。

管理サーバーのサイズ設定の手引きを次の表に示します。

表 2–3 管理サーバーのハードウェアのサイズ設定の手引き

小規模環境:1 〜 256 のプロビジョニング可能なサーバー

 

プロセッサ総数 

1 つ以上のシングルコア AMD Opteron 

1 つ以上の 1x1 Ghz Ultra SPARC IIIi 以上 

 

総メモリ 

4G バイト以上 

 

ファイルシステムの総容量 

73G バイト以上 

 

メディア 

DVD ROM ドライブ 1 つ 

 

要件を満たす Sun Fire モデル 

V20z、V40z、X4100、X4200、V210、V240、V280、および V440 

 

構成例 

Sun Fire V20z シングルプロセッサ (シングルコア) Opteron、4G バイトの RAM、1x73G バイトの HDD、DVD ROM ドライブ 

中規模環境:257 〜 768 のプロビジョニング可能なサーバー

 

プロセッサ総数 

2 つ以上のシングルコア AMD Opteron、または 1 つ以上のデュアルコア AMD Opteron 

2 つ以上の 1x1 Ghz Ultra SPARC IIIi 以上 

 

総メモリ 

8G バイト以上 

 

ファイルシステムの総容量 

146G バイト以上 

 

メディア 

DVD ROM ドライブ 1 つ 

 

要件を満たす Sun Fire モデル 

V20z、V40z、X4100、X4200、V210、V240、V280、および V440 

 

構成例 

Sun Fire V40z デュアルプロセッサ (デュアルコア)、8G バイトの RAM、1x146G バイトの HDD、DVD ROM ドライブ 

大規模環境:769 〜 1,024 のプロビジョニング可能なサーバー

 

プロセッサ総数 

4 つのシングルコア AMD Opteron、または 2 つ以上のデュアルコア AMD Opteron 

4 つの 1x1 Ghz Ultra SPARC IIIi 以上 

 

総メモリ 

16G バイト以上 

 

ファイルシステムの総容量 

300G バイト以上 

 

メディア 

DVD ROM ドライブ 1 つ 

 

要件を満たす Sun Fire モデル 

V20z、V40z、X4100、X4200、V440 

 

構成例 

Sun Fire V40z デュアルプロセッサ (デュアルコア)、16G バイトの RAM、1x300G バイトの HDD、DVD ROM ドライブ 

スイッチに関する注意事項

スイッチの要件は、次の要素で決定します。

タイプごとにスイッチに必要なポート数をわり出し、スイッチのポート数の合計を決定するのに役立つワークシートを次に示します。

表 2–4 スイッチのポートの要件のワークシート

サーバーの種類 

10/100 ポート 

10/100/1000 ポート 

管理サーバー

   
 

10/100 管理ポート: 1 

管理サーバーに 3 枚目の 1G ビット NIC を設置していない場合は、10/100/1000 ポートの列に「1」と記入します。 

3 枚目の 1G ビット NIC を設置した場合は、10/100/1000 の列に「2」と記入します。 

合計: 1 

合計: __________ 

 

プロビジョニング可能なサーバー

   
 
  • 管理ネットワーク、プロビジョニングネットワーク、およびデータネットワークを別々にした場合:

    プロビジョニング可能なサーバー数を合計し、その数を 10/100 の列に記入します。

    プロビジョニング可能なサーバー数を 2 倍にし、その数を 10/100/1000 の列に記入します。

  • データネットワークとプロビジョニングネットワークを結合し、管理ネットワークを別にした場合:

    プロビジョニング可能なサーバー数を合計し、その数を 10/100 と 10/100/1000 の列に記入します。

  • 管理ネットワーク、プロビジョニングネットワーク、およびデータネットワークを結合した場合:

    プロビジョニング可能なサーバー数を合計し、その数を 10/100/1000 の列に記入します。

合計: __________ 

合計: __________ 

       

組織内ネットワーク用の 10/100/100 接続: 

 

合計: 1 

       
 

各列のポート数の合計: 

10/100 ポート: 

10/100/1000 ポート: 

 

合計: _________ 

合計: _________ 

上記の合計数を使って、スイッチの要件を決定してから、サイト計画に従ってサーバーとスイッチを接続します。

プロビジョニング可能なサーバーの設定

N1 System Manager を使ってプロビジョニング可能なサーバーを検出するには、各プロビジョニング可能なサーバーを次のように設定する必要があります。

管理ポートの IP アドレスを割り当てる手順、および管理プロセッサの資格の設定手順については、プロビジョニング可能なサーバーのマニュアルを参照してください。サーバーのマニュアルは、http://sunsolve.sun.com/handbook_pub/Systems/にもあります。

SSH と IPMI のアカウントとパスワードを指定しなかった場合、検出プロセスでは、プロビジョニング可能なサーバーで次の資格が設定されていると想定されます。


注 –

Sun Fire V20z サーバーと V40z サーバーが工場出荷時の設定になっている場合は、資格の自動設定が可能です。


検出用のログインアカウントとパスワードを指定した場合、検出プロセスでは、ユーザー指定の資格を使ってプロビジョニング可能なサーバーが設定されます。資格を 1 つだけ指定した場合、残りの資格は上記のいずれかのデフォルトに設定されます。