第5章 |
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この章では、SMS ソフトウェアを実行する Sun Fire high-end serverのシステムコントローラ (SC) から DR 操作を実行する手順について説明します。
注意 - ボードまたはコンポーネントに対して DR 操作を実行する前に、DR 操作を実行する前にの説明に従って、対象となるボードまたはコンポーネントの状態および条件を判定します。 |
注 - DR 操作中に SMS DR コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、対象のボードを使用するには、ドメインを再起動する必要があります。 |
SMS DR コマンド rcfgadm(1M) は、ドメインで実行される cfgadm(1M) コマンドとよく似ており、同じオプションを指定できます。ただし、通常、rcfgadm(1M) のほうには、-d domain_id パラメタを追加指定する必要があります。この章では、別の コマンドを中心に説明します。rcfgadm(1M) の詳細は、rcfgadm(1M)を参照してください。
DR 操作を実行する前に、SMS コマンド showdevices(1M) を実行してデバイス情報を表示します。この操作は、特にデバイスを削除する場合に重要です。
デバイス情報を表示する |
showdevices(1M) は、ドメイン内の全デバイスのデバイス情報を表示し、以下のような出力を生成します。
ドメイン |
board |
board mem MB |
perm mem MB |
base addr |
domain mem MB |
target board |
deleted MB |
remaining MB |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A |
SB1 |
2048 |
933 |
0x600000 |
4096 |
|||
A |
SB2 |
2048 |
0 |
0x200000 |
4096 |
詳細は、showdevices(1M) を参照してください。このコマンドで使用できるオプションと引数の一覧、およびデバイス固有情報の表示方法については、showdevices(1M) のマニュアルページを参照してください。
特定ドメインへのボードの追加、ドメイン間でのボードの移動、ドメインからのボードの削除を行うときは、まず showboards(1M) コマンドを使って、ドメイン ID、このドメインで使用できるボード、およびドメインのステータスを確認します
ドメイン ID は、すべての DR コマンドで使用できます。ボードリストを使って、特定のボードの割り当て先ドメインを判別できます。さらに、そのドメインのステータスから、ドメインへのボードの追加、ドメイン間でのボードの移動、またはドメインからのボードの削除が可能かどうかを確認できます。コンポーネントが使用可能なコンポーネントのリスト (ACL) に記載されているかどうかを調べるには、showplatform(1M) コマンドを使用します。
showplatform(1M) コマンドを使用するには、適切な特権が必要です。このコマンドを使用できるユーザーグループの一覧など、このコマンドの詳細は、showplatform(1M)を参照してください。
プラットフォーム情報を表示する |
showplatform(1M) コマンドは、以下の例のように、ドメイン ID、使用可能なコンポーネントのリスト、およびドメインのステータスを表示します。
システムボードを削除または移動する前に、ボードを照会して、ボードとボードの割り当て先ドメインの状態を確認する必要があります。showboards(1M) コマンドを使用できるユーザーグループなど、showboards(1M) コマンドの詳細は、showboards(1M)と、showboards(1M) のマニュアルページを参照してください。
Sun Fire high-end serverの SC では、ボードの状態は、unavailable、available、assigned、active のいずれかになります。
注 - SC で確認できるボードの状態は、ドメインで確認できるボードの状態とは異なります。ドメインで確認できるボードの状態については、DR の概念を参照してください。 |
削除または移動対象のボードを含むドメインの ID が確認できたら (または特定のボードがすでにあるドメインに割り当てられていることがわかったら)、showboards(1M) コマンドを使ってボードの状態を確認します。ボードは、削除も移動もできない状態にある場合があります。
注 - showboards(1M) コマンドの出力結果は、ユーザーが持っている特権によって異なります。たとえば、プラットフォーム管理者はサーバー内のすべてのボードに関する情報を取得できます。これに対して、ドメイン管理者とドメイン構成者は、自分がアクセス権を持っているドメインに割り当てられた使用可能なボードに関する情報しか取得できません。詳細は、showboards(1M)と、showboards(1M) のマニュアルページを参照してください。 |
showboards(1M) コマンドでは、割り当て済みの使用可能なすべてのシステムボードと、ドメイン内のすべての入出力ボードを表示できます。ボード情報の表示方法については、showboards(1M) のマニュアルページを参照してください。
ドメインにボードを追加すると、ボードの状態は何回か変化します。ボードがまだ割り当てられていない場合は、まずドメインに割り当てられます。次に、ドメインに接続され、Solaris OS に組み込まれます。接続されたボードは、物理ドメインの一部とみなされ、OS で使用可能です。
ドメインにボードを追加するには、適切な特権が必要です。addboard(1M) コマンドを使用するために必要な特権など、このコマンドの詳細は、addboard(1M)と、addboard(1M) のマニュアルページを参照してください。
ドメインにボードを追加する |
以下の例では、ドメイン A にシステムボード 2 (SB2) を追加します。この処理の再試行は、必要に応じて、10 分 (600 秒) ごとに 2 回まで行われます。
注 - DR 操作中に addboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインログに記録されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、対象のボードを使用するには、ドメインを再起動する必要があります。 |
ドメインからボードを削除すると、そのボードは、現在割り当てられていて、場合によっては有効 (active) 状態にあるドメインから削除されます。ボードを削除するには、そのボードが割り当て済み (assigned) か有効 (active) でなければなりません。
必ずボード上のコンポーネントの使用状態を確認した上で、ドメインから削除してください。ボードに永続メモリーが搭載されている場合は、ボードを削除する前に、メモリーを同じドメイン内の別のボードに移動しておきます。同様に、使用中のデバイスがある場合は、そのデバイスがシステムで使用されなくなるまで待ってから、ボードを削除する必要があります。
ドメイン管理者は、ボードの構成を解除して切り離すことができますが、ドメインの ACL に記載されていないボードの割り当てを解除することはできません。deleteboard(1M) コマンドを使用するために必要な特権など、このコマンドの詳細は、deleteboard(1M)と、deleteboard(1M) のマニュアルページを参照してください。
ドメインからボードを削除する |
以下は、deleteboard(1M) コマンドを使って現在のドメインからシステムボード 2 (SB2) を削除する例です。この処理の再試行は、必要に応じて、15 分 (900 秒) ごとに 2 回まで行われます。
注 - DR 操作中に deleteboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインログに記録されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、対象のボードを使用するには、ドメインを再起動する必要があります。 |
ボードを別のドメインに移動する処理は、いくつかの段階を経て行われます。まず、ボードが現在割り当てられており、アクティブになっている可能性があるドメインから、ボードを切り離します。このとき、ボードの状態は assigned または active である必要があります。次に、ボードを対象のドメインに割り当てます。その後、ボードを対象のドメインに接続し、Solaris OS に組み込みます。これで、ボードが使用可能な状態になります。
必ずボード上のメモリーとデバイスの使用状態を確認した上で、ボードを移動してください。ボードに永続メモリーが搭載されている場合は、ボードを別のドメインに移動する前に、メモリーを同じドメイン内の別のボードに移動しておく必要があります。同様に、使用中のデバイスがある場合は、そのデバイスがシステムで使用されなくなるまで待ってから、ボードを移動する必要があります。
moveboard(1M) コマンドを使用するために必要な特権など、このコマンドの詳細は、moveboard(1M)と、moveboard(1M) のマニュアルページを参照してください。
ボードを移動する |
以下は、moveboard(1M) コマンドを使って、現在オンドメインからドメイン A へシステムボード 2 (SB2) を移動する例です。この処理の再試行は、必要に応じて、15 分 (900 秒) ごとに 2 回まで行われます。
注 - DR 操作中に moveboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインログに記録されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、対象のボードを使用するには、ドメインを再起動する必要があります。 |
この節では、ドメイン内のアクティブなシステムボードを交換する方法について説明します。
アクティブなシステムボードを交換する |
以下の例では、現在のドメインからシステムボード 2 (SB2) を削除します。
以下の例では、ドメイン A にシステムボード 3 (SB3) を追加します。この処理の再試行は、必要に応じて、15 分 (900 秒) ごとに 2 回まで行われます。
この節では、SMS DR コマンドと関連オプションについて説明します。SMS DR コマンドについては、『System Management Services (SMS) リファレンスマニュアル』を参照してください。
addboard(1M) コマンドは、ボードをドメインに接続します。詳細は、ボードの追加と、addboard(1M) のマニュアルページを参照してください。
表 5-7 に、addboard(1M) コマンドを使用するために必要な特権を一覧します。platform operator グループ、platform service グループ、superuser グループのユーザーは、このコマンドを実行できません。
以下の例では、ドメイン A にシステムボード 2 (SB2) を接続します。この処理の再試行は、必要に応じて、10 分 (600 秒) ごとに 2 回まで行われます。
注 - DR 操作中に addboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインログに記録されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、対象のボードを使用するには、ドメインを再起動する必要があります。 |
deleteboard(1M) コマンドは、特定のボードを特定のドメインから切り離します。詳細は、ボードの削除と、deleteboard(1M) のマニュアルページを参照してください。
表 5-9 に、deleteboard(1M) コマンドを使用するために必要な特権を一覧します。platform operator グループ、platform service グループ、superuser グループのユーザーは、このコマンドを実行できません。
以下は、deleteboard(1M) コマンドを使って現在のドメインからシステムボード 2 (SB2) を切り離す例です。この処理の再試行は、必要に応じて、15 分 (900 秒) ごとに 2 回まで行われます。
注 - DR 操作中に deleteboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインログに記録されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、対象のボードを使用するには、ドメインを再起動する必要があります。 |
moveboard(1M) コマンドは、ドメインからボードを切り離し、このボードを別のドメインに接続します。詳細は、ボードの移動と、moveboard(1M) のマニュアルページを参照してください。
表 5-11 に、moveboard(1M) コマンドを使用するために必要な特権を一覧します。platform operator グループ、platform service グループ、superuser グループのユーザーは、このコマンドを実行できません。
以下は、moveboard(1M) コマンドを使って、システムボード 5 (SB5) を現在のドメインからドメイン B に移動する例です。この処理の再試行は、必要に応じて、15 分 (900 秒) ごとに 2 回まで行われます。
注 - DR 操作中に moveboard(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインログに記録されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、対象のボードを使用するには、ドメインを再起動する必要があります。 |
rcfgadm(1M) コマンドは、SC から DR 操作を実行するコマンドです。このコマンドでは、接続点 (デバイスツリー内のデバイスノード) に対して、リモートで構成管理操作を行うことができます。rcfgadm(1M) コマンドの詳細と使用例については、マニュアルページを参照してください。
表 5-12 に、rcfgadm(1M) コマンドのオプションとオペランドを一覧します。
次に移行するボードの構成状態を指定します。connect、disconnect、configure、またはunconfigure を実行できます。 |
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指定のヘルプメッセージを出力します。ap_id または ap_type を指定すると、接続点に関するハードウェア固有のヘルプが表示されます。 |
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表 5-13 に、rcfgadm(1M) コマンドを使用するために必要な特権を一覧します。platform operator グループ、platform service グループ、superuser グループのユーザーは、このコマンドを実行できません。
注 - DR 操作中に rcfgadm(1M) コマンドの実行が失敗すると、対象のボードは元の状態に戻りません。dxs または dca のエラーメッセージが、ドメインログに記録されます。エラーが回復可能であれば、失敗したコマンドを再試行できます。エラーが回復不能な場合、対象のボードを使用するには、ドメインを再起動する必要があります。 |
scdrhelp(1M) シェルスクリプトは、Sun Fire high-end serverの動的再構成エラーヘルプシステムを起動します。このヘルプシステムは、JavaHelp hsviewer スクリプトを使用します。
ドメイン管理者とドメイン構成者を除くすべてのユーザー特権のグループは、このコマンドを使用できます。
詳細は、エラーメッセージヘルプシステムと、scdrhelp(1M) のマニュアルページを参照してください。
showboards(1M) コマンドは、ドメイン内のシステムボードの割り当て情報とステータスを表示し、ボードが COD (Capacity On Demand) ボードであるかどうかを示します。詳細は、ボード情報の表示と、showboards(1M) のマニュアルページを参照してください。
showboards(1M) は DR 固有のコマンドではありませんが、DR コマンドと組み合わせて使用することをお勧めします。以下の表 5-14 に、showboards(1M) のコマンドオプションを示します。
冗長モードで実行します。このモードでは、ドメイン構成ユニット (DCU) など、すべてのコンポーネントが表示されます。なお、DCU には、CPU、PCI、SC などがあります。 |
このコマンドは、すべてのユーザー特権のグループで使用できます。ただし、ドメイン管理者とドメイン構成者は、特権を持っているドメインでのみボードを表示できます。
showdevices(1M) コマンドは、システムボード上の構成済み物理デバイスと、これらのデバイスで使用できるリソースを表示します。showdevices(1M) コマンドは DR 固有のコマンドではありませんが、DR コマンドと組み合わせて使用することをお勧めします。詳細は、デバイス情報の表示と、showdevices(1M) のマニュアルページを参照してください。
使用情報は、システムリソースをアクティブに管理しているアプリケーションおよびサブシステムによって提供されます。システムボードの DR 操作がどのような影響を及ぼすかは、管理対象のリソースをオフラインで照会することによって確認できます
追加対象のボードの ID。ボード ID はボードの位置に対応しています。たとえば SB2 はスロット 2 のシステムボードです。複数のボード ID を使用できます。 |
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ドメインのデバイス情報を表示できるのは、ドメイン管理者とドメイン構成者だけです。ただし、ドメイン管理者とドメイン構成者が特権を持っているドメインのデバイス情報しか表示できません。
showplatform(1M) コマンドは、ACL、各ドメインのドメイン状態、COD (Capacity On Demand) 情報を表示します。showplatform(1M) コマンドは DR 固有のコマンドではありませんが、DR コマンドと組み合わせて使用することをお勧めします。詳細は、プラットフォーム情報の表示と、showplatform(1M) のマニュアルページを参照してください。
platform service グループと superuser グループを除くすべてのユーザー特権のグループは、このコマンドを使用できます。ただし、ドメイン管理者とドメイン構成者は、自分が特権を持っているドメインでのみプラットフォーム情報を表示できます。
SMS ソフトウェアには、特定のエラーメッセージの説明とそのエラーからの回復方法を検索できる、エラーメッセージヘルプシステムがあります。
DR エラーメッセージヘルプシステムを起動するには、以下のコマンドを実行します。
標準 JavaHelp システムビューア hsviewer により、DR エラーメッセージヘルプシステムが表示されます。このビューアには、図 5-1 に示すように、ツールバーと 2 つの区画 (内容区画とナビゲーション区画) があります。
DR エラーメッセージは、図 5-1 に示すように、エラーのタイプ別に論理グループに分けられます。これらのグループは、目次の最上位の見出し項目として表示される主要トピックになります。各グループ名の下に、エラーメッセージの番号と簡易テキストが表示されます。
DR エラーメッセージは索引が付いているため、索引に主要トピックが表示されます (図 5-2)。索引トピックは、必要に応じて組み込みトピックになります。組み込みトピックだけが、エラーメッセージへのリンクになっています。
DR エラーメッセージヘルプシステムには、全文検索機能があります。エラーメッセージヘルプファイルに索引を付けることにより、検索データベースが作成されます。
特定のエラーメッセージを検索する前に、エラーメッセージに含まれるテキスト文字列を検索してください。また、数値の使用は避けてください。数値は、置換可能なテキストとして処理されます。以下は、JavaHelp システムのエラーウィンドウの表示例です。
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