この章では、初期化スクリプト pppoinit(1m) を使用して Solstice PPP クライアントを初めて構成する方法について説明します。
pppinit を実行するには、以下の情報が必要です。システム管理者またはインターネットプロバイダからこれらの情報を入手してください。
リモートサーバーへの発信に使用する電話番号
PPP ログイン ID とパスワード
リモートサーバーの構成によっては、システム管理者やインターネットプロバイダから以下の情報も提供されます。
リモートサーバーの識別に使用する名前
クライアントマシンの IP アドレス
CHAT スクリプトまたは CHAT スクリプトのテンプレート
PAP ID とパスワード
CHAP 名と CHAP シークレット
マシン上に Solstice PPP がすでに構成されている場合に pppinit を実行すると、その既存の構成内容がすべて上書きされます。 pppinit は、Solstice PPP を初めて実行する際にクライアントを初期化するために使用してください。
root としてログインするか、またはスーパーユーザーになります。
以下のように入力して、初期化スクリプト pppinit を起動します。
prompt# /usr/bin/pppinit Welcome to the Solstice PPP 3.0 configuration script |
1 度に 10 個までのモデムが表示されます。リストを上下にスクロールするには、+ キーと - キーを使用してください。
Modem configuration ------------------- Select one modem from your database There are 20 modems available: [0] - Null Modem [1] - BocaModem V.34 DataFax [2] - AT&T DataPort Express [3] - AT&T 14400 bps Data-Fax PCMCIA Modem [4] - Cardinal V.34/V.FC 28.8 data/fax [5] - Cardinal MVP288I 28.8 Kbps V.34 Fax Modem [6] - SupraFaxModem 288 [7] - Hayes Accura 144B [8] - Hayes Accura 288V.FC [9] - Practical 14400 V32bis [10] - USRobotics Sporter 14400 Modem type (+/- to scroll the list): |
システムに存在するデバイスのリストが、スクリプトによって表示されます。SPARC ワークステーションや SPARC サーバーのオンボードシリアルインタフェースは、/dev/ttyn という形式のデバイス名になっています。
List of unix devices available: [ ttya ttyb ] Unix device used for this modem [ttya]: ttyb |
リモートサーバーの名前を入力します。
ppptool とローカルの構成ファイルでサーバーを識別するための名前です。システム管理者やインターネットプロバイダから特定のサーバー名が指定されていない場合は、任意の文字列を入力してください。
Name of the remote server: server1 |
Solstice PPP は数字と文字のほか、# や * などの特殊文字も受け付けます。必要に応じて、私設構内交換機の外に発信する際に必要な数字や文字を指定してください。途中で一時停止を入れるには、コンマを使用します。パルス発信を行うには、文字 P を使用します。
Phone number for this server: P0,,123456789 |
リモートサーバーに対して使用する CHAT スクリプトの名前を入力します。
このサーバーに接続するたびに、指定したスクリプトが実行されます。
Filename of the chat script [miles-ppp.scr]: |
リモートサーバーのオペレーティングシステムが Solaris である場合は、 pppinit はクライアントに対する UNIX ログインフェーズを処理する単純な CHAT スクリプトを作成することができます。
PPP ログイン ID とパスワードを入力します。
This script can create a template file, with default parameters for connecting to Unix systems. Do you want to do this now? [y] y Login id sent to miles-ppp: ppp2 Password sent to miles-ppp as ppp2: Password: Re-enter Password: |
システム管理者やインターネットプロバイダから特定の IP アドレスが指定されなかった場合は、Return キーを押してデフォルト値 none を使用してください。接続を開始したとき、サーバーが PPP リンクの IP アドレスを設定します。
IP アドレスは、ドット表記とホスト名のどちらで入力してもかまいません。ホスト名を入力する場合は、ローカルファイル /etc/hosts で IP アドレスと関連付けられているホスト名を入力する必要があります。
Enter your IP address [none]? 129.xxx.xxx.117 Enter the Server IP address: 129.xxx.xxx.101 |
IP ネットマスクを入力します。
システム管理者やインターネットプロバイダから特定の IP ネットマスクが指定されなかった場合は、Return キーを押してデフォルト値を使用してください。
IP netmask for this interface [255.255.255.0]: |
サーバーの PAP ID とパスワードを入力します。
システム管理者やインターネットプロバイダから特定の PAP パラメータが指定されなかった場合は、Return キーを押してデフォルト値 none を使用してください。この機能は、リモートサーバー上では使用できません。
Enter your PAP Id [none]? angel505 Enter the PAP Password: Re-enter Password: |
サーバーの CHAP 名とシークレットを入力します。
システム管理者やインターネットプロバイダから特定の CHAP パラメータが指定されなかった場合は、Return キーを押してデフォルト値 none を使用してください。この機能は、リモートサーバー上では使用できません。
Enter your CHAP Name [none]? papyrus*ok Enter the CHAP Secret: Re-enter Secret: |
未使用状態のままの接続が自動的に切断されるまでの時間を設定します。通常は、デフォルト値のままで充分です。
Inactivity timeout [120]: |
以上で、リモートサーバーと接続するための Solstice PPP の構成が完了しました。さらに別のリモートサーバーを指定するには、手順 5 〜 12 を繰り返します。
Do you want to add an access to another server? [n] y |
構成が完了したら、構成内容をファイルに保存するか、または保存しないままスクリプトを終了するかを選択します。
[1] - Asynchronous client (done). [W] - Exit Without saving [E] - Exit and Save |
ファイルに保存した情報に基づいて、マシンを起動するたびに Solstice PPP が構成され、サーバーに発信するたびにモデムが初期化されます。
Solstice PPP を起動するたびに、前述の手順で作成した構成が呼び出されます。また、マシンをブートするたびに Solstice PPP は自動的に起動されます。
Solstice PPP を手動で起動するには、スーパーユーザーになって以下のように入力します。
prompt# /etc/init.d/ppp start |
Solstice PPP を手動で停止するには、スーパーユーザーになって以下のように入力します。
prompt# /etc/init.d/ppp stop |