この章では、ppptool(1m) を使用して Solstice PPP クライアントをリモートサーバーに接続する方法、および mailtool(1) や Netscape Web ブラウザなどのネットワークアプリケーションを PPP リンクで実行する方法について説明します。
Solstice PPP のグラフィカルユーザーインタフェースを ppptool と呼びます。ppptool を使用すると、pppinit を実行して定義したリモートサーバーに Solstice PPP クライアントを接続することができます。
ppptool を起動するには、コマンド行から起動するか、またはワークスペースメニューにコマンドを追加します。
ppptool をコマンド行から起動するには、以下のように入力します。
prompt% /usr/bin/ppptool |
ppptool を起動すると、 図 3-1 のようにホストマップが表示されます。ホストマップには、初期化スクリプト pppinitを実行して定義した各サーバーを示すアイコンが表示されます。
「ホストマップ (Hosts map)」に表示されているサーバーアイコンのいずれかをマウスの SELECT ボタンでダブルクリックすると、 図 3-2 に示す「接続 (Connection)」ウィンドウが表示されます。
「接続 (Connection)」ウィンドウには、以下の情報が表示されます。
server_name への接続 (Connection to): リモートサーバーの名前です。
電話番号 (Phone number): サーバーに対する発信に使用する電話番号です。pppinit を実行して設定した電話番号ですが、このフィールドの内容を編集して電話番号を変更することもできます。変更後の電話番号は ppptool の終了時に保存されません。
ローカル IP アドレス (Local IP address): ホスト名またはドット表記による Solstice PPP クライアントの IP アドレスです。リモートサーバーによって IP アドレスが決まる場合は、このフィールドには <割り当てなし(unassigned)> と表示されます。接続が確立すると、サーバーから受信した IP アドレスまたはホスト名が表示されます。
リモート IP アドレス (Remote IP address): ホスト名またはドット表記によるリモートサーバーの IP アドレスです。リモートサーバーによって IP アドレスが決まる場合は、このフィールドには <割り当てなし(unassigned)> と表示されます。接続が確立すると、サーバーから受信したリモート IP アドレスまたはリモートホスト名が表示されます。
非活動タイムアウト時間 (Local inactivity timeout): 接続が自動的に切断されるまでの未使用時間です。
サーバーへの接続を開始するには、クライアントの現在の場所を示す接頭辞の後に pppinit で設定した電話番号を付けたものを使用します。所在地が <デフォルト(default)> である場合は、接頭辞はありません。Solstice PPP クライアントをサーバーに接続する手順は、次のとおりです。
マウスの SELECT ボタンでサーバーのアイコンをダブルクリックして、「接続 (Connection)」ウィンドウを表示します。
マウスの SELECT ボタンで「接続する (Connect)」ボタンをクリックして、接続を開始します。
対話型 CHAT スクリプトを使用している場合は、ダイアログボックスが表示されます。リモートサーバーによって表示されるプロンプトで、ユーザー ID やチャレンジパスワードなどを入力します。
ローカルマシンで定義されている非活動タイムアウト時間を経過しても未使用状態のままである接続は、通常自動的に切断されます。Solstice PPP クライアントをサーバーから手動で切断する手順は、次のとおりです。
マウスの SELECT ボタンでサーバーのアイコンをダブルクリックして、「接続 (Connection)」ウィンドウを表示します。
マウスの SELECT ボタンで「切断する (Disconnect)」ボタンをクリックして、接続を切断します。
所在地は、ホストマップに定義されているサーバーの電話番号に追加する接頭辞に使用します。これは、交換局の境界や国際的な境界を越える移動通信に使用する機能です。所在地を変更する手順は次のとおりです。
「現在 (Current):」プルダウンメニューから新しい場所を選択します。
所在地リストには、必要に応じて新しい場所と接頭辞をいつでも追加することができます。新しい場所を 所在地リストに追加する手順は、次のとおりです。
マウスの SELECT ボタンで「変更 (Modify)...」ボタンをクリックし、「所在地 (Location)」ウィンドウを表示します。
マウスの SELECT ボタンで「新しい所在地 (New Location)」ボタンをクリックし、所在地の名前とその接頭辞を入力します。
マウスの SELECT ボタンで「追加 (Add)」ボタンをクリックすると、新しい所在地がリストに追加されます。
必要に応じて、既存の場所の名前と接頭辞をいつでも変更することができます。変更後にその場所から発信したときに、変更内容が適用されます。既存の場所を変更する手順は、次のとおりです。
マウスの SELECT ボタンで「変更 (Modify)...」ボタンをクリックし、「所在地」ウィンドウを表示します。
変更する場所をリストから選択し、その接頭辞を変更します。
マウスの SELECT ボタンで「変更 (Modify)」ボタンをクリックすると、接頭辞が変更されます。
必要に応じて、既存の所在地をいつでも削除することができます。既存の所在地を削除する手順は、次のとおりです。
マウスの SELECT ボタンで 「変更 (Modify)...」ボタンをクリックし、「所在地 (Location)」ウィンドウを表示します。
削除する場所をリストから選択します。
マウスの SELECT ボタンで「削除 (Delete)」ボタンをクリックすると、選択されている場所がリストから削除されます。
Solstice PPP クライアントをリモートサーバーに接続したら、ローカルエリアネットワークを使用する場合と同じように、ネットワークアプリケーションを PPP リンクを通して透過的に実行することができます。
ドメインネームサービス (DNS) などのネームサービスは、ホスト名を IP アドレスに解釈処理します。単純な IP アプリケーションは、クライアント上でネームサービスを使用しなくても PPP リンク上で実行することができます。ただし、サーバーの IP アドレスまたはホスト名が必要です。これは、以下のように ppptool によって「接続 (Connection)」ウィンドウにリモート IP アドレスとして表示されます。
サーバーとの接続が確立していると、rlogin(1)、rsh(1)、telnet(1)、 ftp(1) などの UNIX コマンドを使用してリモートネットワークの資源にアクセスすることができます。
ドメインネームサービス (DNS) は、IP アドレスとホスト名の解釈処理に最もよく利用されるメカニズムです。ネットワークを一覧したりサーバーを越えた場所にアクセスしたりするには、DNS のようなシステムが必要です。また、IP トラフィックを経由することができるようにサーバーを構成し、以下の情報をシステム管理者やインターネットプロバイダから入手する必要があります。
サブネットワークのドメイン名
ネームサーバーの IP アドレス
ネームサーバーとクライアントの接続先サーバーとして、1 台のマシンを使用することも、別のマシンを使用することもできます。
クライアント上で DNS を使用可能にする手順は、次のとおりです。
/etc/nsswitch.conf の hosts エントリを以下のように変更します。
hosts: files dns |
ファイル /etc/resolv.conf を作成し、以下のようにドメイン名とすべてのネームサーバーの IP アドレスを入力します。
domain xyz.Company.COM nameserver 179.xxx.aaa.11 nameserver ... nameserver ... |
必要に応じて、サーバーの IP アドレスとホスト名をファイル /etc/hosts に追加します。
127.0.0.1 localhost 179.xxx.aaa.117 papyrus loghost 179.xxx.aaa.100 server |
これらの変更内容は自動的に適用されるので、マシンをリブートする必要はありません。