Sun Enterprise サーバー Alternate Pathing 2.3.1 ユーザーマニュアル

Alternate Pathing の目的

Alternate Pathing (AP) は、入出力コントローラ (システムボードに常駐し、Sun Enterprise サーバーがディスクやネットワークなどの入出力デバイスと通信できるようにするためのハードウェアコンポーネント) の高可用性をサポートします。 AP を使用することによって、各入出力デバイスがそれぞれ 2 つの入出力コントローラに接続されます。

図 1-1 代替パスが設定された入出力デバイス

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入出力コントローラは、「代替パス」と呼ばれる、入出力デバイスへの 2 つの異なる電気的な経路の一部です。 AP によって、Sun Enterprise サーバーでの代替パスの設定と使用ができるようになります。

ディスクコントローラでは、正常な運用中にパスの障害が検出されると、この切り替えが「自動的に」行われます。 ネットワークコントローラでは、ユーザーがパスを手動で (1 つの AP コマンドを使用して) 切り替える必要があります。

AP には 2 つの目的があります。 第 1 の目的は、入出力コントローラ障害時の処理の継続です。 AP を使用すると、入出力コントローラの 1 つに障害が発生しても代替コントローラに切り替えることができます。 Sun StorEdgeTM T3 ディスク上のディスクメタデバイスには、2 つの実行可能な物理入出力デバイスが存在し、パス最適化はディスクパスグループに対して適用されます。 パス最適化とは、特定のデバイスに対する入出力トラフィックの効率的な分散のことです。 物理入出力デバイスパスの 1 つが利用不可能になった場合は、原因がデバイス故障かユーザー操作かにかかわらず、パス最適化は無効となります。

図 1-2 入出力コントローラ障害発生後のパスの切り替え

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注 -

T3 の自動切り替え機能では、パスを 1 つだけしか利用できないので、パス最適化アルゴリズムが無効となっています。


AP の 2 番目の目的は、Dynamic Reconfiguration (DR: 動的再構成) をサポートすることです。 DR は、オペレーティングシステムを稼働させたまま、オペレーティングシステム (Solaris) にシステムボードを論理的に接続したり、切り離したりするための機能です。

たとえば、DR を使用すると次の一連の操作が実行できます。まず、オペレーティングシステムからボードを論理的に切り離します (DR Detach) 。その後、ボードを物理的に取り外して保守を行ってから、ボードを装着し直します。最後に、オペレーティングシステムにボードを再度論理的に接続することができます (DR Attach) 。 これらの操作はすべて、オペレーティングシステムを停止させたり、ユーザーアプリケーションを終了させたりしないで実行できます。

ある入出力デバイスに接続されているボードを切り離すとき、その入出力デバイスに代替パスが設定されている場合は、最初に AP を使用して入出力フローを別のボードのコントローラに変更する必要があります。

T3 ディスクパスグループでは、この操作によってパス最適化が無効となり、有効でないパスに対する DR 切り離し操作が行えるようになります。 その後、DR を使用してシステムボードを切り離せます。 このとき、入出力フローは中断されません。

Sun Enterprise 10000 では、(ディスクデバイスとネットワークデバイスの両方の) DR 操作の際、切り替えが「自動的に」行われ、もう 1 つのボードにある障害のない代替コントローラがこれを受け継ぎます。 しかし、手動で切り替えるときは、DR 切り離し操作よりも前にパス最適化を無効にする必要があります。

ほかのすべてのサーバーでは、この切り替えを手動で行う必要があります。

以下に AP と DR の関係を示します。

図 1-3 DR Detach 操作のためのパスの切り替え

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