この節では (SSA ディスクアレイ用の) pln ポートを使用するコマンドの例を用いています。 Sun StorEdge? A5000 または T3 ディスクアレイ/トレーを使用している場合は、pln ポートと示されている部分に sf ポートまたは fp ポート (Solaris 8 環境だけ) を指定します。 T3 に対して sf ポートを使用する例もいくつか示します。 サンがサポートするデバイスの一覧については『Solaris 8 10/00 Sun ハードウェアマニュアル (補足)』を参照してください。
パスグループの代替パスを構成する 2 つ のポートを決定します。
apinst(1M) コマンドを以下のように実行し、すべてのポート ( pln:0 および pln:1 など) およびそれらのディスクデバイスノード (/dev/dsk/c1t0d0 など) を表示します。
# apinst pln:0 /dev/dsk/c1t0d0 /dev/dsk/c1t1d0 /dev/dsk/c1t2d0 /dev/dsk/c1t3d0 /dev/dsk/c1t4d0 /dev/dsk/c1t5d0 pln:1 /dev/dsk/c2t0d0 /dev/dsk/c2t1d0 /dev/dsk/c2t2d0 /dev/dsk/c2t3d0 /dev/dsk/c2t4d0 /dev/dsk/c2t5d0 |
2 つのポートが同じディスクアレイに接続される機会を知るには、システムのハードウェア構成を理解している必要があります。
この例では、SSA が 6 つのディスクと 2 つの SSA ポートを持っていると想定しています。 1 つの SSA ポートは pln ポート c1 に接続され、他方の SSA ポートは pln ポート c2 に接続されます。
-c、-p、-a オプションを指定した apdisk(1M) コマンドを実行し、未確定のディスクパスグループを作成します。
# apdisk -c -p pln:0 -a pln:1 |
説明:
-p には主パスを指定します。 -a には代替パスを指定します。 -c にはこの情報の作成を指示します。
apdisk(1M) コマンドは、メタディスク名を生成します。 また、AP データベース内に、6 つのディスクに対する 2 つの代替パスを維持するのに必要な全情報を作成します。
結果を確認します。
# apconfig -S -u c1 pln:0 P A c2 pln:1 メタディスク名: mc1t5d0 U mc1t4d0 U mc1t3d0 U mc1t2d0 U mc1t1d0 U mc1t0d0 U |
apconfig -S -u コマンドは、未確定のメタディスクを一覧表示します。
説明:
-S が指定されると、記憶装置デバイスだけを一覧表示します。つまり、ネットワークエントリではなく、ディスクエントリを表示します。 -u が指定されると、未確定のデバイスだけを一覧表示します。
メタディスク名の隣に U が表示されているときは、そのメタディスクエントリは未確定です。
pln:0 の隣に P が表示されているときは、その pln:0 は主パスです。A が表示されているときは、その pln:0 は有効な代替パスです。
有効な代替パスは変更することができますが、主パスは常に不変です。 主パスで重要なことは、最初は有効な代替パスであること、メタディスク名が付けられたときに使用されること、およびメタディスクの識別に使用されることです。 この例では、主パス名の c1t0d0 が、メタディスク名 mc1t0d0 の一部になります。
前のステップで得られた結果に問題がなければ、-C オプションを指定した apdb (1M) コマンドを実行し、未確定のデータベースエントリを確定します。
# apdb -C |
-S オプションを指定した apconfig(1M) コマンドを実行し、データベースにある確定済みの記憶装置エントリを表示します。
# apconfig -S c1 pln:0 P A c2 pln:1 メタディスク名: mc1t5d0 mc1t4d0 mc1t3d0 mc1t2d0 mc1t1d0 mc1t0d0 |
T3 ディスクでは、両方のパスが利用可能な場合、そのパスグループに対するパス最適化がデフォルトで設定されます。 上記のコマンドによって、次の結果が出力されます。
# apconfig -S c1 sf:0 P A c2 sf:1 A メタディスク名: mc1t5d0 mc1t4d0 mc1t3d0 mc1t2d0 mc1t1d0 mc1t0d0 |
パーティションを物理パス名でマウントしている場合は、いったんマウント解除し、メタディスクパス名でマウントし直します。
たとえば、たえず使用されているために、パーティションをマウント解除できない場合は、保守のためにシステムを停止して、再起動する準備が整うまでパーティションを AP の制御下に置くのを遅らせることができます。 このためには /etc/vfstab ファイルを編集して、システムが再起動したとき、パーティションが AP デバイスの制御下に入るようにします。 起動ディスクを AP の制御下に置く場合は、第 4 章「AP 起動デバイスの使用」で説明するように、apboot(1M) を使用して /etc/vfstab を編集する必要があります。
apconfig -S コマンドは、データベースにある確定済みの 記憶装置エントリを表示します。 上記の例が示すように、この一覧は先に示した一覧と同じです。しかし、メタディスク名に続く U が消えていることから、メタディスクが確定されたことが分かります。
次のコマンドを実行してシンボリックリンクを表示し、結果を確認します。
# ls -l /dev/ap/dsk total 8 lrwxrwxrwx 1 root 40 Jul 27 16:47 mc1t0d0s0 -> ../../../devices/pseudo/ap_dmd@0:128,blk lrwxrwxrwx 1 root 40 Jul 27 16:47 mc1t0d0s1 -> ../../../devices/pseudo/ap_dmd@0:129,blk lrwxrwxrwx 1 root 40 Jul 27 16:47 mc1t0d0s2 -> ../../../devices/pseudo/ap_dmd@0:130,blk |
これで必要なデバイスノード、つまり /dev/ap/dsk および /dev/ap/rdsk の下のノードが使用できる状態になりました。
対応するメタディスクデバイスノード (/dev/ap/dsk または /dev/ap/rdsk で始まるパス) を使用するために、物理デバイスノードを使用するすべての参照 (/dev/dsk または /dev/rdsk で始まるパス) を変更します。
デバイスへの入出力の最中でも、パスの切り替えはできます。 実際に障害が発生する前に、切り替えのプロセスを実験してみて、切り替え操作の理解とシステムの設定を確認することができます。
AP は、パスを切り替えた後、新しいパスでデータが転送できるかどうかは確認しません。 ただし、パスが切り離されている、すなわちオフラインであるかどうかは判定します。 代替パスに切り替える前に、prtvtoc(1M) コマンドなどで入出力操作を実行して、パスの状態を確認することができます。 正しく機能しないパスに切り替えても、AP はエラーや警告メッセージを出力しません。 起動ディスクとして正常に機能しないパスに切り替えた場合は、すぐに元のパスに戻してください。 システムに障害が発生することがあります。
-S オプションを指定した apconfig(1M) コマンドを実行して、現在の構成を表示します。
# apconfig -S c1 pln:0 P A c2 pln:1 メタディスク名: mc1t5d0 mc1t4d0 mc1t3d0 mc1t2d0 mc1t1d0 |
この例では、pln:0 に A が続いているので、これが有効な代替パスであることがわかります。 P が表示されているので、このパスは主パスでもあります。
T3 に対する出力は次のようになります。
# apconfig -S c1 sf:0 P A c2 sf:1 メタディスク名: mc1t5d0 mc1t4d0 mc1t3d0 mc1t2d0 mc1t1d0 |
この例では、sf:0 に A が続いているので、これらが有効な代替パスであることがわかります。 sf:0 に P が続いているので、このパスは主パスでもあります。
T3 ディスクでは、2 つのパスが利用できる場合には、パス最適化がデフォルトで設定されます。 1 つのパスで構成することもできます。いずれの場合も、上記の例において、sf:1 は有効な代替パスとしては表示されません。
-P、-a オプションを指定した apconfig(1M) コマンドを実行して、パスを切り替えます。
# apconfig -P pln:0 -a pln:1 |
T3 のパス最適化が有効になっている場合は、この操作によって T3 のパス最適化が無効となります。
-P は主パスを指定し、その結果として、有効な代替パスを変更する「パスグループを特定」します。 このように、上記の例の -P pln:0 は、pln:0 が主パスであるパスグループを特定します。
-a は有効にする代替パスを指定します。
-S オプションを指定した apconfig(1M) コマンドを実行して、データベース内の確定済みメタディスクを表示します。
# apconfig -S c1 pln:0 P c2 pln:1 A メタディスク名: mc1t5d0 mc1t4d0 mc1t3d0 mc1t2d0 mc1t1d0 |
AP を切り替えた後は、1 つのパスだけが有効となっています。 T3 に対するパス最適化は無効となります。
有効な代替パスは pln:1 に切り替えられています。
切り替え操作は確定する必要がありません。
以下のコマンドを実行して、代替パスを主パスに戻します。
# apconfig -P pln:0 -a pln:0 # apconfig -S c1 pln:0 P A c2 pln:1 メタディスク名: mc1t5d0 mc1t4d0 mc1t3d0 mc1t2d0 mc1t1d0 |
T3 に対するパス最適化は引き続き無効です。 上記のコマンドに対する出力は次のようになります。
# apconfig -P pln:0 -a pln:0 # apconfig -S c1 sf:0 P A c2 sf:1 メタディスク名: mc1t5d0 mc1t4d0 mc1t3d0 mc1t2d0 mc1t1d0 |
最初の apconfig(1M)コマンドによって、有効な代替パスが主コントローラ pln:0 を持つパスグループのパスに切り替えられます。 有効な代替パスは pln:0 になります。
T3 のパス最適化を再有効化するには次のコマンドを入力します。
# apconfig -P sf:0 -a sf:0 -a sf:1 |
起動ディスクが AP の制御下にある場合は、「起動ディスクを AP の制御対象から除外する」の手順に従い、apboot(1M) を使用して、起動ディスクを AP の制御対象から除外します。
起動ディスクからマウントしたファイルシステムをマウント解除する必要はありません。 これは、マウント解除しなくても、apboot(1M) によって物理デバイス上にファイルシステムが配置されるためです。
AP メタディスク上に作成されたファイルシステム (起動ディスクからマウントされた以外のファイルシステム) をすべてマウント解除します。
スクリプトとプログラムに、以下の形式のメタディスク参照が含まれている場合:
/dev/ap/dsk/mc?t?d?s? および/dev/ap/rdsk/mc?t?d?s?
これらの参照は、それぞれ次のような適切な形式の物理デバイス参照に変更する必要があります。
/dev/dsk/c?t?d?s? および /dev/rdsk/c?t?d?s?
一般的に、メタディスクへの参照は、以下に含まれています。
/etc/vfstab
/etc/system
/etc/dumpadm.conf
ディスクを参照するアプリケーションまたはスクリプト
-d オプションで削除するパスグループの主パスを指定した apdisk(1M) を実行します。
# apdisk -d pln:0 |
-S オプションを指定した apconfig(1M) コマンドを実行し、データベース内の確定済みディスクエントリを表示します。
# apconfig -S c1 pln:0 P A c2 pln:1 メタディスク名: mc1t5d0 D mc1t4d0 D mc1t3d0 D mc1t2d0 D mc1t1d0 D mc1t0d0 D |
パスグループがまだ確定されていない場合は、apdisk -d コマンドがパスグループをデータベースから削除します。 ただし、パスグループがすでに確定済みの場合、apdisk -d コマンドはそれを削除済みと記録するだけで、ユーザーがそのエントリをデータベース内で確定するまで実際に削除されません。 上記の例では、pln:0 パスグループは既に確定済みなので、D という文字が付いています。 これは、実際に削除されたことを示します。
apdb(1M) コマンドを実行し、データベースエントリを確定します。 その結果、削除が完了します。
# apdb -C |
-S オプションを指定した apconfig(1M) コマンドを実行して、削除を確認します。
# apconfig -S |
削除を確定する前であれば、取り消しができます。 削除を取り消すには、apdisk -z コマンドで操作対象となるポートを指定します。
以下の形式のスクリプト参照は変更する必要があります。
/dev/ap/dsk/mc?t?d?s? および/dev/ap/rdsk/mc?t?d?s?
それぞれ以下の形式に変更します。
/dev/dsk/c?t?d?s? および /dev/rdsk/c?t?d?s?
一般的に、メタディスクへの参照は、以下に含まれています。
/etc/vfstab
/etc/system
/etc/dumpadm.conf
構成されたメタディスクを参照するアプリケーションまたはスクリプト
この手順では、ディスクパスグループとメタディスクが作成済みで、そのメタディスク参照が構成解除されていることを前提としています。 メタディスクインタフェースを再構成するだけの場合は、この手順を使用します。