Trusted Solaris 開発ガイド

管理アプリケーションとユーザーアプリケーション

管理アプリケーションは、管理用の機密ラベル ADMIN_HIGH または ADMIN_LOW で動作します。ADMIN_HIGH では、管理アプリケーションは、任意アクセス権のあるすべてのオブジェクトに対し下位読み取りができます。また、ADMIN_LOW では、任意アクセス権のあるすべてのオブジェクトに対し、上位書き込みができます。管理者は、通常、下位読み取り操作を実行する場合は、アプリケーションを ADMIN_HIGH で起動し、上位書き込み操作を実行する場合は、同じアプリケーションを ADMIN_LOW で起動します。これらの場合、アプリケーションに任意アクセス権があるかぎり、特権は必要ありません。

ラベルを ADMIN_HIGHADMIN_LOW に初期化する方法は、第 6 章「ラベルのコード例」「バイナリラベルの初期化と型のチェック」を参照してください。

ユーザーは、通常、アプリケーションを一定の機密ラベルで起動し、同じ機密ラベルのオブジェクトにアクセスします。別の機密ラベルでデータを保持する場合は、通常、ワークスペースの機密ラベルを変更して、この新しい機密ラベルでアプリケーションを起動します。この場合、アプリケーションに任意アクセス権があれば、特権は必要ありません。

ユーザーアプリケーションが、アプリケーションが動作している機密ラベルとは異なる機密ラベルのオブジェクトにアクセスするように設計されている場合で、必須アクセスが拒否された場合は、そのアプリケーションには特権が必要な場合があります。

必須アクセス制御の適用の回避またはプロセスやオブジェクトの機密ラベルの変更を行う特権を使用する上でのガイドラインは、第 5 章「ラベル」「ラベルのガイドライン」を参照してください。