Trusted Solaris 管理の概要

例 : トランザクションのセキュリティ属性

次の 2 つの例では、Sam という名のユーザーが、tar コマンドを実行して、testFile というファイルを保存しようとしています。Sam には、tar コマンドの実行が許可されており、testFile ファイルの読み取りと書き込みに必要なアクセス権も与えられています。例 1 では、Sam は一般ユーザーとしてトランザクションを実行しようとし、失敗しています。例 2 では、Sam はシステムオペレータ (oper) になったため、トランザクションを無事完了しています。

例 1 : 一般ユーザーとしてログインし失敗したトランザクション

次の図を見ると、Sam のユーザーアカウントには、 All 実行プロファイルが割り当てられています。このプロファイルは、特権を何も与えずに、tar コマンドへのアクセスを許可します。

図 2-3 例 1 : 一般ユーザーとしてログインし失敗したトランザクション

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したがって、Sam は tar コマンドを使用できるため、トランザクションは手順 3 から手順 5 まで進みます。ここでサブジェクト (tar プロセス) とオブジェクト (testFile ファイル) のセキュリティ属性がそれぞれ収集され、比較されます。この例では、次のような条件評価が行われます。

例 2 : システムオペレータになったため成功したトランザクション

Sam がシステムオペレータ (oper) になると、次の図に示すようにトランザクションは成功します。

図 2-4 例 2 :システムオペレータになったため成功したトランザクション

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システムオペレータ (oper) には、他のプロファイルとともに Basic Media 実行プロファイルが割り当てられています。この実行プロファイルには、tar コマンドのほか、file_dac_search、file_dac_read、file_mac_read などの特権と、ADMIN_LOW から ADMIN_HIGH までの SL 範囲が指定されています。この例では、tar コマンドが許可されているため、プロセスは手順 3 から 5 まで進みます。このトランザクションは、次のような条件評価に合格しています。