Trusted Solaris 管理の概要

第 3 章 管理ツールの概観

この章では、Trusted Solaris 環境で使用するツールの概要を説明します。ここでは特に、ツールの使用方法とツールを使って操作するデータベースについて概説します。

管理ツールを使用する : 概要

Trusted Solaris 環境のグラフィカル管理ツールは、次の図に示すように、フロントパネルとアプリケーションマネージャから起動できます。

図 3-1 管理ツールの起動方法

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ファイルマネージャを使用する

ファイルマネージャのアイコンは、フロントパネルの左側に表示されます。どのユーザーも、ファイルマネージャを使って、自分の所有するファイルやディレクトリを表示したり、操作することができます。基本的なファイルマネージャの操作については、標準 Solaris のマニュアルを参照してください。

特権を持つユーザーは、ファイルとディレクトリのラベルに関する特定の操作を実行できます。詳細については、『Trusted Solaris ユーザーズガイド』の第 5 章、「ファイルとディレクトリの管理」を参照してください。

管理者は、ファイルやディレクトリの特権とラベルを変更できます。これについては、「ファイルマネージャを使用して特権とラベルを変更する」を参照してください。

デバイス割り当てマネージャを使用する

デバイス割り当てマネージャのアイコンには、「トラステッド・デスクトップ (Trusted Desktop)」サブパネル (図 3-1)、あるいはトラステッドパスメニューの「デバイスを割り当てる (Allocate Device)」メニューオプションからアクセスできます。デバイス割り当てマネージャについては、「デバイス割り当てマネージャを使用してデバイスを管理する」を参照してください。

アプリケーションマネージャを使用する

アプリケーションマネージャのアイコンは、フロントパネルの右側に表示されています。Trusted Solaris のアプリケーションマネージャを使用すると、標準 Solaris と同様、アプリケーションをフォルダから起動できます。Trusted Solaris 環境では、主要なグラフィカルツールはアプリケーションマネージャの「Solstice アプリケーション (Solstice_Apps)」フォルダに収められています。「システム管理 (System_Admin)」フォルダには、システムデータベースにリンクする特殊なテキストエディタがあります。

コマンド行ツールを使用する

コマンド行ツールは、システム管理者かセキュリティ管理者であれば、端末エミュレータから直接使用できます。スーパーユーザーの場合は、まず pfsh と入力してスーパーユーザー用のプロファイルシェルに入った後、必要なシェルの種類を入力する必要があります(shcshksh など)。使用できるコマンドは、役割に割り当てられたプロファイルによって異なります。

「Solstice アプリケーション (Solstice_Apps)」フォルダ

アプリケーションマネージャのフォルダには、主要な Trusted Solaris のグラフィカルツールが収められています。次の図は、「Solstice アプリケーション (Solstice_Apps)」フォルダの内容がすべて表示された画面を示しています。なお、これらのツールのサブセットには、セキュリティ上、セキュリティ管理者とシステム管理者しかアクセスできません。

図 3-2 Solstice アプリケーションのフォルダ

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システム管理者が使用する「Solstice アプリケーション (Solstice_Apps)」フォルダのツール

次の図は、システム管理者が使用できる「Solstice アプリケーション (Solstice_Apps)」フォルダのツールを示しています。

図 3-3 システム管理者が使用できる Solstice アプリケーション

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「Solstice アプリケーション (Solstice_Apps)」フォルダにあるアプリケーションのうち、システム管理者が使用できるものは次のとおりです。特に記述のないものは、標準 Solaris のアプリケーションと同じ機能を備えています。

セキュリティ管理者が使用する「Solstice アプリケーション (Solstice_Apps)」フォルダのツール

次の図は、セキュリティ管理者役割のユーザーが使用できる「Solstice アプリケーション (Solstice_Apps)」フォルダのツールを示しています。

図 3-4 セキュリティ管理者が使用できる Solstice アプリケーション

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「Solstice アプリケーション (Solstice_Apps)」フォルダにあるアプリケーションのうち、セキュリティ管理者が使用できるものは次のとおりです。特に記述のないものは、標準 Solaris のアプリケーションと同じ機能を備えています。

「システム管理 (System_Admin)」フォルダ

「システム管理 (System_Admin)」フォルダには、細かいシステム管理作業を実行するための特殊なアクションが格納されています。セキュリティに影響を与えるアクションは、セキュリティ管理者しか実行できません。反対に、セキュリティに関係のないアクションは、システム管理者しか実行できません。

上記のアクションのほとんどが、デフォルトで、特別な vi エディタの adminvi(1M) をシステムデータベースのどれかに適用します。dtpad エディタでも代用できます。これらの特殊なファイルアクションには制約があり、別名でファイルを保存したり、新規ファイルを作成したり、これを使ってシェルに戻ることはできません。このような制約によって、システムが認識しないデータベースのコピーが誤って作成されないようになっています。エディタは、必須アクセス制御とローカルセキュリティポリシーにも準拠しています。

システム管理者が使用する「システム管理 (System_Admin)」フォルダのツール

システム管理者は、「システム管理 (System_Admin)」フォルダ内の次のアクションを実行できます (図 3-5)。

図 3-5 システム管理者用「システム管理 (System_Admin)」フォルダ画面

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セキュリティ管理者が使用する「システム管理 (System_Admin)」フォルダのツール

セキュリティ管理者は、「システム管理 (System_Admin)」フォルダ内の次のアクションを実行できます (図 3-6)。

図 3-6 セキュリティ管理者用「システム管理 (System_Admin)」フォルダ画面

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コマンド行ツール一覧

次の表の一覧は、管理者が使用できる Trusted Solaris 環境特有のコマンド、あるいは Trusted Solaris 環境用に修正されたコマンドです。これらのコマンドの詳細情報については、それぞれのマニュアルページを参照してください。

表 3-1 ユーザーおよび管理者コマンド

adminvi(1M)

getlabel(1)

pfsh(1M)

tar(1)

adornfc(1)

getmldadorn(1)

plabel(1)

testfpriv(1)

allocate(1M)

getsldname(1)

ppriv(1)

tnchkdb(1M)

atohexlabel(1M)

hextoalabel(1M)

pprivtest(1)

tnctl(1M)

chk_encodings(1M)

ipcrm(1)

route(1M)

tnd(1M)

deallocate(1M)

ipcs(1)

rpc.getpeerinfod(1M)

tninfo(1M)

device_clean(1M)

list_devices(1M)

runpd(1M)

tokmapctl(1M)

devpolicy(1M)

mldpwd(1)

setfacl(1)

tokmapd(1M)

dminfo(1M)

mldrealpath(1)

setfattrflag(1)

uname(1)

getfacl(1)

netstat(1M)

setfpriv(1)

writeaudit(1M)

getfattrflag(1)

newsecfs(1M)

setfsattr(1M)

 

getfpriv(1)

pattr(1)

setlabel(1)

 

getfsattr(1M)

pclear(1)

sysh(1M)

 

各コマンドを定義するプロファイルについては、『Trusted Solaris 管理の手順』の付録 B を参照してください。