Trusted Solaris の監査管理

監査レコード用の容量の計画

ネットワークに接続されていないワークステーションの監査レコードを保存するには、監査レコード専用のローカルパーティションを少なくとも 2 つ設定し、1 つを主パーティション、1 つをバックアップ用パーティションとして、保守スケジュールを組む必要があります。

一方、複数のワークステーションによるネットワークで監査レコードを保存するには、監査レコード専用のローカルパーティション (バックアップパーティション) と、複数の監査サーバーによるネットワーク、さらに監査管理サーバー 1 台を設定する必要があります。各監査サーバーにはリモートホストの監査レコードを保存するためのパーティション (主パーティション) がおかれています。監査サーバーからは、監査トレール全体を監視することができます。監査トレールとは、ネットワーク上の各ワークステーションで作成される監査ファイルのことです。また、監査ファイルとは、ワークステーションで生成される監査レコードを保持するためのファイルのことです。

ネットワークに接続されていないワークステーションの容量の計画

ネットワークに接続されていないワークステーションでは、監査レコードを保持するディスクパーティションのサイズを決定します。効率化のためには、監査レコードを別々のディスクに配置するのがいちばんです。また、安全のためには、そのディスクに 2 つの監査パーティションを設定して、1 つを主な記憶領域とし、もう 1 つを最初のパーティションがいっぱいになった場合のバックアップ記憶領域とするとよいでしょう。ファイルシステムのセキュリティ属性を設定して、監査トレールがのぞき見されないように、監査ディレクトリで制御します。

  1. 監査レコードをバックアップするまでの監査量を推定します。

    セキュリティ上の必要性と監査トレールの保存に使用できるディスク容量とのバランスを検討します。

    ワークステーション 1 台あたりのディスク容量は約 200M バイトですが、必要なディスク容量は監査の処理量によって変わり、この値を大幅に上回ることもあります。監査トレールの保存に使用するディスク所要量を削減したい場合は、「監査のコストの管理」「監査の効率」を参照してください。

  2. 監査ファイルシステムがディスク残量の減少を警告するタイミングを決定します。

    audit_control ファイルで、監査パーティションの minfree しきい値を規定します。これはディスクの残量の割合であり、この値に達すると、audit_warn エイリアスによって、監査管理者に、ディスク残量が少なくなったことを知らせる電子メールが送られます。デフォルトでは、ディスク残量が 20% になると警告が送信されます。minfree しきい値は変更可能です。

ネットワークでのディスク容量の計画

ネットワークに接続されたシステムには、ユーザーのワークステーションの監査ファイルを保存する監査サーバー、中央で監査結果の分析とバックアップを行う監査管理サーバーが必要です。また、各ワークステーションにローカル監査パーティションを用意する必要があります。ディレクトリとマウント先にファイルシステムのセキュリティ属性を設定し、監査トレールがのぞき見されないようにします。のワークシートを使って監査計画の内容を記録してください。別の方法で監査ネットワークの設定を記録してもかまいません。

  1. サイトで必要な監査量を決定します。

    セキュリティ上の必要性と監査トレールの保存に使用できるディスク容量とのバランスを検討します。

    分散システム上のワークステーション 1 台あたりのディスク容量は約 200M バイトですが、サイトで必要なディスク容量は監査の処理量によって変わり、この値を大幅に上回ることもあります。監査専用ローカルディスクとリモートディスクを両方とも準備できる場合には、各ディスクをそれぞれ 2 つの監査パーティションに分けてもよいでしょう。サイトのセキュリティを保守しながら監査トレールの保存に使用するディスク容量を削減したい場合は、「監査のコストの管理」「監査の効率」を参照してください。

  2. 監査ファイルシステムがディスク残量の減少を警告するタイミングを決定します。

    audit_control ファイルで監査パーティションの minfree しきい値を規定します。minfree しきい値はディスクの残量の割合であり、この値に達すると、audit_warn エイリアスによって監査管理者に、ディスク残量が少なくなったことを知らせる電子メールが送られます。デフォルトでは、ディスク残量が 20% になると、警告が送信されます。minfree しきい値は変更可能です。

  3. 監査サーバーとなるワークステーションを決定します。

    システム管理者とセキュリティ管理者が共同で監査サーバー用ワークステーションのインストールを行なってから、監査クライアント用ワークステーションのインストールを行います。

  4. ワークステーションごとにローカル監査パーティションの計画を立てます。

    ローカルパーティションは、監査サーバーのパーティションがいっぱいになった場合やネットワークを利用できない場合のバックアップパーティションです。

  5. クライアントが使用する監査サーバーと監査ファイルシステムを決定します。

    監査ネットワークのレイアウトを決定します。次の図は、リモートホストの監査レコードを格納するために使用できるファイルシステム /etc/security/audit/egret[.n]/files を持った、監査サーバー egret を示します。

    図 2-1 監査サーバー egret の監査ファイルシステム

    Graphic

  6. 命名規則に従って監査ファイルシステムに名前を付けます。

    図からわかるように、ワークステーションの監査ファイルシステムには、次のような命名規則があります。

    /etc/security/audit/workstationname/files
    /etc/security/audit/workstationname.1/files
    /etc/security/audit/workstationname.2/files
    /etc/security/audit/workstationname.3/files ...

    命名規則については、「監査ファイルの保存場所」を参照してください。