Trusted Solaris AP 2.2 リリースには、Trusted Solaris SSP にインストールする必要のある 1 つのパッケージと、Trusted Solaris ソフトウェアを実行する Sun Enterprise 10000 ドメインにインストールする必要のある一連のコアパッケージが含まれます。
Trusted Solaris AP パッケージをインストールするには、ドメインで約 2.7 メガバイト、SSP で約 37 キロバイトのディスク容量が必要です。ファイルシステム別の AP ソフトウェアのサイズを次の表に示します。
表 5-1 必要なディスク容量 (ファイルシステム別)
ファイルシステム |
サイズ |
---|---|
SSP: |
|
/opt |
31 キロバイト |
ホスト: |
|
/usr |
317 キロバイト |
/ |
1.3 メガバイト |
/etc |
13 キロバイト |
/kernel |
1528 キロバイト |
/sbin |
1481 キロバイト |
|
|
Trusted Solaris AP ソフトウェアは Trusted Solaris 7 システムにインストールする必要があります。
メイン SSP に root 役割になれるユーザーとしてログインし、root 役割になります。
root 役割のラベル admin_low で、デバイス割り当てマネージャを使用して CD-ROM ドライブを割り当てます。ただし、CD-ROM をマウントしないでください。
ボリュームマネージャは Trusted Solaris 環境では使用不可になっているので、これを使用してはなりません。
フロントパネルでスタイル・マネージャの上にある三角形をクリックし、「ツール (Tools)」サブパネルを表示します。「デバイスの割り当て (Device Allocation)」をクリックします。
CD-ROM デバイスをダブルクリックして、「割り当てられたデバイス (Allocated Devices)」リストに移動します。
「デバイスの割り当て (Device Allocation)」ウィンドウの「Insert disk into」メッセージに表示される CD-ROM ドライブのデバイス名を記録しておきます。
たとえば、次のメッセージが表示される場合は、デバイス名 /dev/dsk/c0t2d0s0 を記録します。
Insert disk into /dev/dsk/c0t2d0s0. Make sure disk is labeled ADMIN_LOW [ADMIN_LOW]. Press RETURN when cdrom_0 is ready, or ^C to cancel.次へ進みます。
CD-ROM ドライブに Trusted Solaris Supplemental Software CD を挿入し、Return キーを押します。
「Do you want CD-ROM_0 mounted: (y/n)?」という質問に対して n と応答します。
この手順は『Trusted Solaris のインストールと構成』マニュアルに記載された手順と違います。上記の手順に従ってください。CD-ROM をマウントしてはなりません。
root 役割のラベル admin_low で、/cdrom/root が存在することを確認します。存在しない場合は、次のようにしてこのエントリを作成します。
ssp# mkdir -p /cdrom/root |
すべての許容された特権と強制された特権付きで CD-ROM をマウントします。
ssp# mount -F hsfs -o ro -S "allowed=all;forced=all" ¥ cdrom_device /cdrom/root |
たとえば、CD-ROM デバイス名が /dev/dsk/c0t2d0s0 の場合、次のように入力します。
ssp# mount -F hsfs -o ro -S "allowed=all;forced=all" ¥ /dev/dsk/c0t2d0s0¥ /cdrom/root |
df(1M) コマンドを使用して、マウントが成功したことを確認します。
ssp# df -k grep | cdrom /dev/dsk/c0t2d0s0 544100 544100 0 100% /cdrom/root |
share(1M) コマンドを発行して、/cdrom/root を共有します。
ssp# share -F nfs -o ro,anon=0 /cdrom/root |
showmount(1M) コマンドを使用して、/cdrom/root ファイルシステムが共有されていることを確認します。
ssp# showmount -e export list for bermuda: /cdrom/root (everyone) |
SSP (および、該当する場合は予備の SSP) に Trusted Solaris AP パッケージをインストールします。
ドメインに対し Trusted Solaris AP をインストールします。
CD-ROM をマウント解除し、取り出します。
# cd / # umount /cdrom |
SSP で root 役割になります。ラベル admin_low で /cdrom/root の共有を解除し、マウントを解除します。
ssp# cd / ssp# unshare /cdrom/root ssp# umount /cdrom/root |
root 役割のラベル admin_low
で、デバイス割り当てマネージャを使用して CD-ROM ドライブの割り当てを解除し、Trusted Solaris Supplemental Software CD を取り出します。
ボリュームマネージャは Trusted Solaris 環境では使用不可になっているので、これを使用してはなりません。
Trusted Solaris AP を構成します。
この手順の例は 「Trusted Solaris AP を構成するには」を参照してください。『Sun Enterprise サーバー Alternate Pathing ユーザーマニュアル』も参照してください。
次の手順はすべてドメイン上で root 役割のラベル admin_low で行います。
3 〜 5 個の AP データベースを作成します。
ssp# apdb -c raw_disk_slice -f |
AP メタディスクを作成します。
ドメインのハードウェア構成を理解して、同じディスクアレイに接続されているポートのペアを確認した上でこの作業を行う必要があります。次の例では pln ポートを使用しています。ドメインの構成によって、これとは違うポートを使用する場合があります。
すべてのポートと、それぞれのディスクデバイスノードを表示します。
# apinst pln0 /dev/dsk/c1t0d0 /dev/dsk/c1t1d0 /dev/dsk/c1t2d0 /dev/dsk/c1t3d0 /dev/dsk/c1t4d0 /dev/dsk/c1t5d0 pln1 /dev/dsk/c2t0d0 /dev/dsk/c2t1d0 /dev/dsk/c2t2d0 /dev/dsk/c2t3d0 /dev/dsk/c2t4d0 /dev/dsk/c2t5d0
未確定のディスクパスグループを作成します。
ssp# apdisk -c -p pln0 -a pln1 ssp# apconfig -S -u |
ここで、
-c はパスグループを作成します。
-p は一次パスを指定します。
-a は代替パスを指定します。
上の例のように apconfig コマンドを使用して結果を確認できます。
データベースエントリを確定します。
# apdb -C |
このコマンドの結果は apconfig -S を使用して確認できます。
ssp# drvconfig -i ap_dmd ssp# ls -l /devices/pseudo/ap_dmd* ... |
drvconfig(1M) コマンドの結果を確認するには、上の例のように /devices/pseudo/ap_dmd* の内容を一覧表示します。
devices ディレクトリ /devices/pseudo から /dev/ap/dsk および /dev/ap/rdsk 内の特殊なメタディスクファイルへのシンボリックリンクを作成します。
ssp# apconfig -R ssp# ls -l /dev/ap/dsk ... |
上に示したように、/dev/ap/dsk の内容を一覧表示してシンボリックリンクを表示することにより apconfig コマンドの結果を確認できます。
起動ディスクを AP の制御下に置く場合は、apboot を使用して新しい AP 起動デバイスを定義します。
# apboot metadisk_name |
apboot コマンドは、/etc/vfstab ファイルと /etc/system ファイルを変更します。metadisk_name は mcxtxdx の形式で指定する必要があります。
物理デバイスノード (つまり、/dev/dsk または /dev/rdsk で始まるパス) を使用する参照を、対応するメタディスクデバイスノード (つまり、/dev/ap/dsk または /dev/ap/rdsk で始まるパス) を使用するように変更します。
パーティションが物理パスにマウントされている場合は、マウントを解除し、メタディスクパスにマウントし直してください。
/etc/vfstab を検査して、AP メタデバイスに変更する必要のある物理デバイスを調べます。必要なら、/etc/vfstab を編集して変更を行います。
/etc/vfstab の編集は、上級システム管理者だけが行うようにしてください。/etc/vfstab でファイルシステムを正しく構成していないと、次にドメインを有効にするときデータが消失する可能性があります。
AP メタネットワークを作成します (一次ネットワーク以外のネットワーク)。
次に示す手順は、代替パスを希望するすべてのネットワーク (一次ネットワークを除く) に適用する必要があります。
ssp# apnet -c -p network_interface -a network_interface ssp# apconfig -N -u ... |
上に示したように、apconfig を使用して apnet コマンドの結果を確認できます。
データベース内のネットワークパスグループエントリを確定します。
# apdb -C |
apconfig コマンドに -N オプションを付けて実行することにより、apdb コマンドの結果を確認できます。
ネットワークパスグループの両方のメンバーを直接使用している箇所をすべて削除します。
物理インタフェースが現在接続されており、そのインタフェースがメタネットワークを構成するためのコマンドを実行するとき使用するインタフェースではない場合、ifconfig(1M) コマンドを使用してその物理インタフェースの接続を解除できます。
ドメインを再起動するとき構成されるメタネットワーク用の /etc/hostname.mnetwork_interface_name ファイルを作成します。
一次ネットワークの AP メタネットワークを作成します。
/etc/nodename および /etc/hostname.interface_name ファイルの内容を表示して、インタフェース名が同じであることを確認します。
ssp# apnet -c -p network_interface -a network_interface |
この例で、-c は新しい一次ネットワークパスグループを作成し、-p は一次ネットワークパスを指定し、-a は代替パスを指定します。
データベース内のネットワークパスグループエントリを確定します。
ssp# apdb -C ssp# apconfig -N |
上に示したように、apconfig を使用して apdb コマンドの結果を確認できます。
ドメインを再起動するときネットワークを構成するため、新しい /etc/hostname.minterface_name ファイルを作成します。
たとえば、/etc/hostname.minterface_name に hmb を入れる場合があります。
メタネットワークインタフェースに対応する構成ファイルを削除します。
ssp# rm -f /etc/hostname.primary_interface_name ¥ /etc/hostname.alternate_interface_name |
ドメインを再起動します。