Solaris Container Manager 1.1 インストールと管理

コンテナおよびプロジェクトの変更

コンテナ、あるいは有効か無効なプロジェクトは、2 つのプロパティシートで変更できます。各プロパティシートの違いを次の表に示します。

表 4–1 プロパティシートの詳細

プロパティシート 

用途 

タブ 

コンテナ  

説明、プロジェクトの種類、プロジェクトの識別子 (ユーザー、グループ)、一致式の変更 

コンテナ表示でコンテナを選択後の「プロパティ」タブ 

プロジェクトインスタンス (有効または無効なプロジェクト) 

リソースプールの関連付け、CPU 予約数、メモリーキャップの変更 

ホスト表示またはコンテナ表示の「プロパティ」タブ 

プロジェクトインスタンスには、それぞれ関連付けられているコンテナがあります。コンテナに対する変更は、その定義を使用するすべてのプロジェクトインスタンスに適用されます。たとえば、コンテナでプロジェクトの種類を変更すると、同じコンテナを使用するすべてのプロジェクトインスタンスのプロジェクトの種類が変更されます。したがって、両方のプロパティシートを使用してすべての変更を行うことができます。

各プロジェクトインスタンスには、固有のリソースプールの関連付けまたはリソース予約だけを変更するためのプロパティシートもあります。このプロパティシートを使用するときは、一度に 1 プロジェクトずつ変更できます。たとえば、現在の最小 CPU 予約数または現在のメモリーキャップを増加できます。変更内容は、値を保存すると有効になります。無効なプロジェクトのリソース境界への変更は、プロジェクトを有効にするまで有効になりません。

sales01 プロジェクトインスタンスのプロパティシートの例を次に示します。

図 4–1 例: リソース予約とリソースプールを変更するプロパティシート

プロジェクトのプロパティシートの画面

複数のホストで有効な複数のプロジェクトのリソースを変更するには、リソース変更ジョブ機能を使用します。詳細は、「リソース変更ジョブによるプロジェクトの変更」を参照してください。

コンテナ表示から、コンテナを変更できる別のプロパティシートを使用できます。一度に 1 コンテナ ずつを変更できます。リソース変更ジョブ機能を使用して複数のコンテナを変更することはできません。

sales01 プロジェクトインスタンスのプロパティシートの例を次に示します。

図 4–2 例: コンテナを変更するプロパティシート

コンテナを変更するプロパティシートの画面

デフォルトプロジェクトのプロパティは変更できません。したがって、デフォルトプロジェクトを選択した場合は、どちらのプロパティシートも使用できません。


注 –

コンテナまたは無効なプロジェクトのプロパティだけを変更できます。プロパティを変更するには、その前にプロジェクトが関連付けられているすべてのホストで有効なプロジェクトを無効にする必要があります。変更内容を保存したら、プロジェクトを有効にできます。


Procedureプロパティシートを使用してコンテナを変更する

手順
  1. Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。

  2. コンテナ表示を選択します。

  3. コンテナを選択します。

    • コンテナが有効なプロジェクトに使用されていない場合は、ナビゲーションウィンドウで「コンテナ」グループを選択します。右側の区画に「コンテナとグループ」表が表示されます。表でプロジェクトを選択します。

    • コンテナが有効なプロジェクトに使用されている場合は、ナビゲーションウィンドウでコンテナを選択します。必要な場合は、別のコンテナグループをクリックして、個々のコンテナのリストを展開します。「このコンテナに関連付けられたホスト」表が表示され、プロジェクトインスタンスを無効にできます。


      注 –

      プロパティを変更するには、このコンテナを使用するすべてのプロジェクトインスタンスを無効にする必要があります。インスタンスの状態が「有効」の場合は、「このコンテナに関連付けられたホスト」表ですべてのホストを選択し、「無効にする」ボタンを使用してから操作を続けます。


  4. 右側の区画で「プロパティ」タブを選択します。

    選択したコンテナのプロパティシートが表示されます。次のフィールドを変更できます。

    • 説明 – コンテナの説明を入力します。

    • プロジェクトの種類 – ユーザー、グループ、またはアプリケーションを指定します。

    • UNIX ユーザー名 – 現在の UNIX ユーザー名を変更します。

    • 追加のユーザー – 既存のユーザー名を変更するか、有効な UNIX ユーザー名を追加します。複数の名前を入力する場合は、コンマで区切ります。

    • 追加のグループ – 既存のグループ名を変更するか、有効な UNIX グループ名を追加します。複数の名前を入力する場合は、コンマで区切ります。


    注 –

    「保存」ボタンを使用できず、テキストフィールドがグレー表示される場合は、コンテナが 1 つまたは複数のコンテナインスタンスで使用されています。「このコンテナに関連付けられたホスト」表に表示されているすべてのホストの状態が「無効」であることを確認します。状態が「有効」のホストがある場合は、無効にする必要があります。


  5. 「保存」をクリックして変更内容を保存します。

    プロパティシートは表示されたままです。

Procedureプロパティシートを使用してプロジェクトを変更する

1 つのプロジェクトのリソースプールまたはリソース予約を変更するには、次の手順に従います。複数のプロジェクトに同じ変更を行うには、「リソース変更ジョブによるプロジェクトの変更」を参照してください。

手順
  1. Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。

  2. 次のいずれかの方法でプロジェクトインスタンスを選択します。

    • プロジェクトが関連付けられているホストの名前がわかっている場合は、ホスト表示のナビゲーションウィンドウでホスト名を選択します。次に右側の区画で「プロジェクト」タブを選択し、ホストに関連付けられているすべてのプロジェクトを含む表を表示します。

    • プロジェクトの名前がわかっている場合は、コンテナ表示のナビゲーションウィンドウでその名前を選択します。右側の区画に「このコンテナに関連付けられたホスト」表が表示されます。


    注 –

    プロパティを変更するには、すべてのプロジェクトを無効にする必要があります。状態が「有効」のプロジェクトがある場合は、表の「無効にする」ボタンを使用してから操作を続けます。このボタンは、どちらの表示の表にもあります。


  3. 表でプロジェクトまたはホスト (前の手順によって異なります) の名前を選択します。

    プロジェクトインスタンスのプロパティシートが表示されます。

  4. 変更を行います。


    注 –

    Solaris 10 では、プロジェクトのリソースプールは変更できません。


    • リソースプール定義 – プロジェクトが関連付けられているプールを変更するには、ドロップダウンメニューから選択します。

    • CPU 予約数 (CPU シェア数) – テキストボックスに新しい値を整数で入力します。

    • メモリーキャップ (M バイト) – テキストボックスに新しい値を入力します。

    • 共有メモリー (M バイト) – テキストボックスに新しい値を入力します。

  5. 「保存」をクリックします。

    リソース予約の変更内容が保存されます。

  6. (省略可能) プロジェクトを再度有効にするには、手順 3 で使用した表に戻り、「有効にする」をクリックします。

リソース変更ジョブによるプロジェクトの変更

リソース変更ジョブ機能を使用して、複数のホストに分散されている複数のプロジェクトのリソース制限を変更できます。これらのプロジェクトは、同じコンテナを使用している必要があります。リソース変更ジョブをすぐに実行して変更を同時に実装するか、後で実行するようにスケジュールを設定できます。


注 –

Solaris 10 では、コンテナが大域ゾーンに配備されている場合にのみ、リソース変更ジョブ機能によってリソース割り当てが変更されます。



注 –

CPU 予約数 (CPU シェア数) はすぐに変更されます。メモリーキャップの変更は、スワップに書き込む必要があります。メモリーキャップの変更が大きいと、その調整中にシステムパフォーマンスに影響します。


リソース変更ジョブ表には、次の情報が表示されます。

リソース変更ジョブ名

ジョブ作成時に指定されたジョブ名

ホスト

コンテナが関連付けられているホストの名前

スケジュール

ジョブの実行が予定されている間隔。1 回だけ、毎時、毎日、毎週、毎月のいずれかです。

状態

ジョブの状態。値は、待ち状態、成功、失敗のいずれかです。

次の例では、「Webserver」と「Rollup」という名前のプロジェクトを使用して、リソース変更ジョブ機能を使用して組織全体のシステムリソースを管理する方法を示します。この例では、オンラインストアで Web サイトからの注文を処理します。Webserver プロジェクトは、北米中の Web サーバーで使用されている CPU とメモリーリソースを管理するために作成されました。Rollup プロジェクトは、データベースに必要なリソースを管理するために作成されました。日中と夕方には、ユーザーが Web サイトで注文を行うので、Web サーバーのリソースの需要が高くなります。深夜 0 時を過ぎると、Web サーバーの需要が大幅に下がります。夜の間に、日中の売上に関するレポートを実行するようにデータベースのスケジュールが設定されています。

CPU 8 個、物理メモリーが 6000M バイトのシステムでこの 2 つのコンテナに必要なリソースを管理するには、次の表に示す合計 4 つのリソース変更ジョブを作成できます。

表 4–2 リソース変更ジョブのスケジュールの例

コンテナ名 

リソース変更ジョブ名 

開始時刻 

間隔 

リソース変更 

Webserver 

webserver-day 

午前 6 時 

日別 

CPU: 6 

メモリー: 2500M バイト 

Rollup 

rollup-day 

午前 6 時 

日別 

CPU: 1 

メモリー: 2000M バイト 

Webserver 

webserver-night 

深夜 0 時 

日別 

CPU: 1 

メモリー: 2000M バイト 

Rollup 

webserver-night 

深夜 0 時 

日別 

CPU: 6 

メモリー: 2500M バイト 

2 つのリソース変更ジョブが毎朝 6 時に実行され、Webserver と Rollup の各プロジェクトのリソースが変更されます。日中は、Web サーバーの需要が高いため、Webserver プロジェクトに CPU と物理メモリーリソースの大半が割り当てられています。毎日、深夜 0 時にほかの 2 つのリソース変更ジョブが実行され、需要の変化に応じてシステムのリソースが再割り当てされます。その日の売上を記録するためにデータベースにリソースが必要になり、Web サーバーの需要は低くなっているので必要なリソースは少なくなります。

この機能は、Sun Management Center のジョブ管理機能に似ていますが、Container Manager の GUI を使用して Container Manager のジョブをすべて管理できます。Sun Management Center のジョブ機能については、『Sun Management Center 3.5 ユーザーガイド』「ジョブ管理の概念」を参照してください。

Procedureリソース変更ジョブを使用してプロジェクトを変更する

手順
  1. Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。

  2. コンテナ表示を選択します。

  3. ナビゲーションウィンドウでプロジェクト名を選択します。

    プロジェクトはホストに関連付けられている必要があります。

  4. 右側の区画で「ジョブ」タブを選択します。

    「リソース変更ジョブ」表が表示されます。

    図 4–3 例: 「リソース変更ジョブ」表

    リソース変更ジョブの画面

  5. 表の中の「新規リソース変更ジョブ」ボタンをクリックします。

    リソース変更ジョブウィザードが表示されます。「概要」パネルが表示されます。

  6. リソース変更ジョブの名前を指定します。説明の入力は省略可能です。

    名前は 32 文字以内で入力します。空白文字、ハイフン (-)、下線 (_)、およびピリオド (.) の各文字は使用できます。空白文字は下線 (_) に変換されます。

    「ホストを選択」パネルが表示されます。選択したコンテナが関連付けられているすべてのホストの名前が「選択可能」リストに表示されます。このウィンドウで 1 つまたは複数のホストを選択し、そのリソース制限を変更できます。

  7. 「選択可能」リストでホストを選択し、「追加」をクリックして「選択」リストに追加します。「すべてを選択」を使用してすべてのホストを追加することもできます。

    ホスト名が「選択」フィールドに移動します。

  8. 新しい最小 CPU 予約数 (CPU シェア数) を指定します。メモリーキャップは省略可能です。

    新しいリソース制限は、前の手順で選択したすべてのホストに適用されます。

  9. リソース変更ジョブの開始日、開始時刻、および間隔を指定します。

    リソース制限の変更内容は、指定した日時に有効になります。

  10. 「概要」パネルで設定を確認します。修正するには、「戻る」ボタンをクリックします。変更を完了したら、「完了」をクリックします。

    ウィザードが終了します。ジョブが「ジョブ」表に追加されます。状態は、ジョブの実行が予定されている日時まで「待ち状態」になります。リソース制限の変更内容は、指定した日時に有効になります。

Procedure待ち状態のリソース変更ジョブを変更する

「ジョブ」表で状態が「待ち状態」のジョブを変更するには、次の手順に従います。

手順
  1. Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。

  2. ナビゲーションウィンドウでコンテナ表示を選択します。

  3. 右側の区画で「ジョブ」タブを選択します。

  4. 「リソース変更ジョブ」表で、名前の横のチェックボックスを選択し、変更するジョブを選択します。

    チェックボックスにチェックマークが表示されます。

  5. リソース変更ジョブを更新ウィザードを起動するには、「リソース変更ジョブを更新」ボタンをクリックします。

    パネルを移動する詳細な手順については、「リソース変更ジョブを使用してプロジェクトを変更する」を参照してください。

  6. 変更を完了したら、「完了」をクリックします。

    ウィザードが終了します。ジョブの変更内容は保存されます。

Procedureリソース変更ジョブのログを表示する

完了した変更ジョブのログを表示するには、次の手順に従います。ジョブで複数のホストが変更された場合は、ホストごとのジョブの状態がログに記録されます。

手順
  1. Container Manager の GUI が開いていない場合は、「Container Manager の GUI を起動する」に従って起動します。

  2. ナビゲーションウィンドウでコンテナ表示を選択します。

  3. 右側の区画で「ジョブ」タブを選択します。

  4. 「リソース変更ジョブ」表で、名前の横のチェックボックスを選択し、ログを表示するジョブを選択します。

    チェックボックスにチェックマークが表示されます。

  5. 「ログを表示」ボタンをクリックします。

    リソース変更ジョブのログファイルが表示されます。