Solstice Backup 5.1 には、次のような新機能と向上点が組み込まれています。
セーブセットのステージング機能の改善 - 以前のリリースでは、セーブセットのステージングは、nsrstage コマンドを実行して手動で起動していました。Solstice Backup 5.1 では、定義されたポリシーに基づいて自動ステージングを構成できます。この機能には、「Staging」という名前の新しい Backup リソースを介してアクセスします。自動ステージング機能は、ファイルデバイスだけで動作します。ファイルデバイスを「Staging」リソースで選択できるようにするには、あらかじめそのファイルデバイスを定義しておかなければなりません。
ストレージノードのサポート機能の改善 - ストレージノードのバックアップのために、 「Administrator」リスト内に root@storagenodehost を保持する必要がなくなりました。このエントリは、jb_config プログラムを実行する場合はリスト内に入れる必要がありますが、プログラムの実行が完了したらすぐ削除できます。
Backup は、ストレージデバイスが接続されている他のシステムがネットワーク上にあれば、それを Backup サーバーのストレージノードとして機能するように指定できます。ユーザーは、優先順位に従ってストレージノードを指定し、「Clients」リソースの「Storage Nodes」属性にホスト名を入力することによって、クライアントからのバックアップデータがそのストレージノードに送られるように、指示することができます。クライアントに対応する最初のストレージノードが使用できなければ、リスト内の次のストレージノードに、バックアップデータを受け取れるかどうか問い合わせます。
ストレージノードのサポートを使用する場合は、追加したいストレージノードごとにイネーブラを購入する必要があります。ストレージノード上へのバックアップにオートチェンジャを使用する場合は、Backup で使用するオートチェンジャごとに、オートチェンジャのイネーブラコードを購入する必要があります。購入したイネーブラコードは、Backup ソフトウェアのインストール場所に関係なく、すべて Backup サーバーに入力します。次に、ストレージノードとして指定する各システムに、クライアントソフトウェア、ストレージノードソフトウェア、Backup デバイスドライバをインストールします。
バックアップデバイスがオートチェンジャに搭載されている場合は、まず Backup サーバー上で管理プログラム (nwadmin または nsradmin) を使用して、手動で root@storagenode-hostname を Backup サーバーの「Administrator」リストに追加します。次にストレージノードシステム上で jb_config プログラムを実行して、リモートのオートチェンジャを Backup で使用するために構成します。
バックアップ動作中は、ストレージノードのソフトウェアが、各クライアントから受け取ったバックアップデータを、マウントされたバックアップメディアに送る Backup メディアデーモンを起動します。また、ストレージノードのソフトウェアは、エントリを Backup サーバー上のメディアデータベースに送るデーモンも起動します。各クライアントにあるローカルの save プログラムは、クライアントインデックス内のエントリに記載する情報をリレーして、Backup サーバーに送り返します。Backup サーバーは、クライアントのセーブセットデータが送られた先のバックアップメディアのセットを記録して、将来の復旧に備えます。
ストレージノードとリモートデバイスのサポートを構成する方法については、『Solstice Backup 5.1 管理者ガイド』の 第 3 章、第 4 章、第 5 章を参照し、ストレージノードの機能については、同マニュアルの付録 A を参照してください。
ストレージノードのセーブマウントでのタイムアウト - 新リリースには、ストレージノード上でのセーブマウント要求にタイムアウト機能が取り入れられています。これにより、タイムアウト期間内に適切なボリュームがマウントされない場合は、save コマンドが他のストレージノードにリダイレクトされます。
毎日の「Forced Incremental」(強制差分) バックアップの回数変更 - 「Groups」リソースの「Force Incremental」という新しい属性を使用して、24 時間内にフルバックアップを複数回実行できます。「Force Incremental」の設定を表示し、変更するには、「Details」メニュー (nwadmin) の「View」オプションを使用するか、「Options」->「 Display Options」->「Hidden」を使用します。
「Force Incremental」属性のデフォルトの設定は「Yes」です。これは、バックアップグループが 1 日に複数回実行されても、差分バックアップは 1 回だけ実行されることを意味します。フルバックアップを 1 日に複数回実行したい場合は、この属性を「No」に設定します。
64 ビットファイルシステムのサポート - 新リリースには、Solaris 2.6 のクライアントが使用する 64 ビットのファイルシステムのサポートが取り入れられています。2G バイトを超える大容量ファイルでも、アーカイブ、バックアップ、ブラウズ、または復旧を行うことができます。クライアント側に 64 ビットファイルを扱う能力がない場合は、2G バイトを超えるファイルはブラウズはできますが、復旧はできません。
クライアントバックアップの前処理と後処理の改善 - 新しい前処理用、後処理用のコマンド savepnpc を使用すると、クライアント上の最初のセーブセットがバックアップを始める前に、いくつかの前処理コマンドを 1 回起動でき、クライアント上の最後のセーブセットがバックアップを完了したあとに、いくつかの後処理コマンドを起動できます。以前のリリースでは、前処理用と後処理用のコマンドは、クライアントに対して指定された各セーブセット上で実行されていました。カスタマイズしたバックアップスクリプトでは、save コマンドではなく savepnpc コマンドを使用します。savepnpc コマンドの構文は、save コマンドの構文と同じです。savepnpc コマンドの詳細は、『Solstice Backup 5.1 管理者ガイド』の付録 B と、該当するマニュアルページを参照してください。
ファイルデバイスの更新 - ファイルデバイスを使用する場合は、そのデバイスを、単なるファイル名としてではなく、(他のデバイスタイプの場合と同じ) ディレクトリパスとして入力する必要があります。パス名 /tmpfs は、Solaris サーバーには使用できません。
Power Edition によるパフォーマンスの改善 - 新リリースでは、Solaris システムに対して即時復旧が追加されています。
クローンストレージノードのアフィニティ - 新リリースには、クローンストレージノードのアフィニティが取り入れられています。このアフィニティとは、ストレージノードにある 1 つのクライアントリソースと、いくつかの使用可能なストレージノードの間のリンクであり、クローンセーブセットをストレージノードのクライアントから受け取るためのものです。オリジナルのセーブセットを持つメディアのデータのクローンが、指定されたクローンストレージノード上のメディアに作成されます。
バックアップポートマッパという用語の変更 - 新リリースでは、バックアップポートマッパという用語は、ストレージ管理ポートマッパに変更されました。
Backup リソースと属性の変更 - 新リリースでは、Backup リソースと属性がいくつか変更されています。NSR デバイスリソースの「Name」属性の値は、2 つの部分に分けられました。最初の部分はホスト名であり、省略できます。リモートデバイスの場合は、ホスト名の先頭に RD= を付けます。ホスト名を省略すると、デバイスはローカルサーバー上にあると想定されます。属性の値の後半の部分はデバイス名であり、最初のホスト名との間はコロンで区切ります。
NSR デバイスリソースに、隠れた属性が 1 つ新しく追加されました。「Recover Only」です。この属性のデフォルトは「No」です。デバイスを定義する場合、または定義を変更する場合は、これを「Yes」に設定します。「Yes」にすると、そのデバイスは復旧用にだけ使用できます。
NSR デバイスリソースに、もう 1 つ属性が追加されています。「Target Sessions」です。この属性のデフォルト値は 4 です。デバイスを Backup サーバー上で構成する場合は、ロードされる基本イネーブラまたはその他のイネーブラに応じて、この値を 1 から 512 までの間で変更できます。この属性は、5.0.1 以前のリリースでは NSR リソースで定義されていた「sessions per device」属性に代わるものです。
NSR Client リソースに、「Storage Nodes」属性が追加されました。このフィールドには、クライアント用のストレージノードを示すリストが表示されます。このリストから、クライアントをバックアップするデータをローカルデバイスに格納するか、特定のストレージノードのリモートデバイスに格納するかを、サーバーに対して指示できます。
「Clone Storage Nodes」属性が追加されました。この属性を使用すると、クローンを作成するストレージノードに対して、そのストレージノードのリモートデバイスに対して指定されたネットワークインタフェースとは異なるネットワークインタフェースを指定できます。
NSR リソースに新しく 2 つの属性が追加されました。1 つは「nsrmmd polling interval」属性であり、リモートの nsrmmd プログラムのポーリングの時間間隔を指定します。もう 1 つは「nsrmmd restart interval」属性であり、次回の nsrmmd 再起動の前に nsrd プログラムが待機する時間間隔を指定します。再起動の間隔は、nsrd が、最初の nsrmmd プログラム実行の終了を検出した時点から起算されます。ローカルの nsrmmd プログラムの場合は、この実行終了はすぐに検出されます。リモートの nsrmmd プログラムの場合は、終了の検出が開始されるのは、通常 nsrmmd がポーリングに対する応答内に見つからなくなった時点、またはポーリングのイベントが応答を受けずにタイムアウトした時点です。
これら 2 つの時間間隔のデフォルト値は、どちらも 2 分です。ポーリング間の間隔は 1 〜 60 分の範囲、再起動の間隔は 0 〜 60 分の範囲で指定できます。再起動の間隔を 0 分にするのは、すぐに再起動したい場合です。これらの属性の値を変更すると、現在実行中の nsrmmd に指定された値がリセットされます。たとえば、ポーリング間隔を 2 分から 10 分に変更すると、現在実行中の nsrmmd のポーリング間隔が、次のポーリングから 10 分に変更されます。同様に、再起動の間隔を 2 分から 0 分に変更すると、次の nsrmmd の実行から、待機せずにすぐ再起動されます。