この章では、リソースの管理に必要なコマンドについて説明します。
rsrc コマンドを使用すると、リソースを管理できます。 cdb.rsrc コマンドには、リソースのバージョンを一覧表示したり、リソースのインストール場所を決めるために、リソースを個別または (バッチファイルにより) まとめてチェックインするツールが含まれています。
リソースをチェックインすると、チェックインジョブが作成されます。 チェックインジョブは、リソースが完全にリポジトリに入力され、バージョン番号が割り当てられるまで続行されるプロセスです。 cdb.cj コマンドを使用すると、チェックインジョブを制御、監視できます。
表 13–1 に、リソースを管理する CLI コマンドの概要を示します。
表 13–1 cdb.rsrc コマンドの概要
コマンド |
説明 |
---|---|
cdb.rsrc.ci |
特定のコンポーネントとそのソースオブジェクトをリポジトリにチェックインする |
cdb.rsrc.cib |
バッチファイル内のすべてのリソースをチェックインする |
cdb.cj.la |
チェックインジョブを一覧表示する |
cdb.cj.lo |
チェックインジョブの状態と詳細を一覧表示する |
cdb.cj.stop |
チェックインジョブを停止する |
cdb.rsrc.co |
指定されたリソースをチェックアウトする |
cdb.rsrc.rci |
リソースを再チェックインする |
cdb.rsrc.showopts |
特定の型でサポートされるチェックインオプションを表示する |
以下の説明の <resource family name> は、その名前でチェックインされるリソースのすべてのバージョンをまとめて指定するリソース名を意味します。 <resource specifier> は、resourceID または resourceID の内容を人間に分かりやすい形で表したコロンで区切られたリソースファミリ名とバージョン番号の組み合わせを指します (たとえば、「bin/blip/blorp:1.1」など)。
特定のコンポーネントとそのソースオブジェクトをチェックインするには、cdb.rsrc.ci コマンドを使用します。 このコマンドは、以下のシナリオで使用する必要があります。
表示可能なコンポーネント (たとえば、 file または Weblogic EJB) をチェックインする必要がある場合
表示不可のコンポーネントをチェックインする場合は、cdb.c.ci コマンドを使用します。 コマンドと引数の説明については、「cdb.c.ci」 を参照してください。
単純コンポーネントのソースオブジェクトをチェックインする必要がある場合
表示可能な複合コンポーネントの参照先コンポーネントをチェックインする必要がある場合
cdb.rsrc.ci コマンドの各呼び出しは、「チェックインジョブ」とみなされ、チェックインジョブを管理する CLI コマンドで管理できます。 たとえば、現在実行中のすべてのチェックインジョブを一覧表示する cdb.cj.la コマンドを実行して、実行中の cdb.rsrc.ci コマンドを判断することができます。 cdb.rsrc.ci によって返された compCheckInID の値を引数として cdb.cj.lo に渡し、特定のチェックインジョブの状態情報を得ることも可能です。
表 13–2 cdb.rsrc.ci コマンドの引数と結果
引数/結果 |
構文 |
説明 |
|
---|---|---|---|
src |
[R] |
文字列 |
チェックインされているローカルファイル/ディレクトリ |
dst |
[R] |
文字列 |
チェックインで使用するコンポーネント名 |
type |
[R] |
文字列 |
コンポーネントのタイプ |
platform |
[O] |
HostSetID |
コンポーネントのプラットフォーム |
desc |
[O] |
文字列 |
コンポーネントの説明 |
major |
[O] |
ブール型 |
バージョンの増加をメジャーにするかマイナーにするか。デフォルトは false |
config |
[O] |
ブール型 |
コンポーネントが構成ファイルかどうか。デフォルトは false |
hidePrev |
[O] |
ブール型 |
最新のコンポーネントを非表示にするかどうか。デフォルトは true |
includeOwners |
[O] |
ブール型 |
所有者情報を含めるかどうか。デフォルトは true |
includeGroups |
[O] |
ブール型 |
グループ情報を含めるかどうか。デフォルトは true |
addTo |
[O] |
ブール型 |
既存のファイルを完全に差し替えるのではなく、チェックイン中のファイルを既存のファイルに追加して、新しいバージョンのコンポーネントを作成するかどうか |
hostID |
[O] |
HostID |
ローカルホストの ID |
redun |
[O] |
ブール型 |
冗長性チェックを適用するかどうか。デフォルトは true |
exported |
[O] |
ブール型 |
ソースファイルをエクスポートするかどうか。デフォルトは false。 true の場合、以下のパラメタは使用されない。 includeOwners、includeGroups、および addTo |
exportPath |
[O/R] |
String |
(前にエクスポートされた) コンポーネントのソースパス。 exported 引数の設定が true の場合、必須 |
pickerName |
[O] |
String |
使用するコンポーネントピッカーの名前 (デフォルトは、デフォルトピッカーを意味するヌル) |
extraOpts |
[O] |
ハッシュテーブル |
該当タイプの追加オプションの名前と値 |
result |
CompCheckInID |
該当コンポーネントチェックインジョブの ID |
このコマンドは、「チェックインバッチ」コマンドで、 バッチファイル内のすべてのリソースをチェックインします。
表 13–3 cdb.rsrc.cib の引数と結果
引数/結果 |
構文 |
説明 |
|
---|---|---|---|
batchfile |
[R] |
文字列 |
チェックインするリソースの一覧が記載されたバッチファイルの名前 |
haltonerror |
[O] |
ブール型 |
true の場合、最初のエラーでバッチの実行が停止される。デフォルトは true |
pwdrelative |
[O] |
ブール型 |
true の場合、相対パスはユーザーディレクトリを基準とし、false の場合はバッチファイルの場所を基準とする。デフォルトは false |
result |
文字列 |
操作の完了を伝えるメッセージ |
rsrc.cib は、チェックインする各リソースに対して 1 行の記述があるバッチファイル上で実行されます。 バッチファイルを使用すると、多数のリソースを 1 つのコマンドでチェックインできます。
バッチファイル内の各行は、1 つのリソースとしてチェックインされるローカルマシン上の 1 つのリソースに対応します。 各行は、パイプ文字 (|) で区切られる一連のフィールドで構成されます。 一部のフィールドはオプションで、省略可能です。 オプションフィールドを省略し、その後に他のフィールドを記述する場合は、rsrc.cib が各フィールドを正しく識別できるように、省略されたフィールドの後に | を記述してください。
バッチファイルには、コメントを含めることができます。 シャープ文字 (#) で始まる行はすべて、コメントと解釈されます。
表 13–4 では、バッチファイルの行の構文を説明します。
表 13–4 バッチファイルの行の構文
内容 |
オプション/必須 |
---|---|
ローカルマシン上のリソースの場所 |
必須 |
チェックイン時にリソースに割り当てられる名前 |
必須 |
リソースのタイプ |
必須 |
HostSetID として NM:<platform_name> の形で示されるリソースが目的とするプラットフォーム。ここで、<platform_name> は 表 13–5内の名前のいずれか |
任意 |
リソースの説明 |
任意 |
ファイルが構成ファイルかどうかのブール型指定 |
オプション (デフォルトは false) |
チェックインにメジャーバージョン番号 (2.0 など) を割り当てるかどうかのブール型指定 |
任意 (デフォルトは false) |
以前の最新バージョンのリソースを非表示にするかどうかのブール型指定 |
任意 (デフォルトは true) |
アクセス権情報の格納時に所有者情報を含めるかどうかのブール型指定 |
任意 (デフォルトは true) |
アクセス権情報の格納時にグループ情報を含めるかどうかのブール型指定 |
任意 (デフォルトは true) |
既存のファイルを完全に差し替えることによって新しいバージョンを作成するのではなく、既存のファイルにチェックインしているファイルを追加して新しいバージョンを作成するかどうかのブール型指定 |
任意 (デフォルトは true) |
リソースがホストからチェックインされている場合のリソースのチェックイン元のホストのホスト ID |
任意 |
冗長化チェックを適用するかどうかのブール型指定 |
任意 (デフォルトは true) |
ソースファイルがエクスポートされたかどうかのブール型指定 true の場合、以下のパラメタは使用されない。 includeOwners、includeGroups、および addTo |
任意 (デフォルトは false) |
(以前エクスポートされた) リソースのエクスポートパスを特定する文字列。つまりリソースがエクスポート前に持っていたその型固有のパス |
exported 値が true の場合、必須 |
使用するピッカーの名前 (任意。デフォルトはデフォルトのピッカーを表すヌル) | |
そのタイプのエクスポータにサポートされている包含追加オプションからの文字列内の Hastable (cdb.rsrc.showopts を参照) |
以下のテーブルには、コンポーネントのプラットフォームを指定するためにバッチファイル行の 4 番目のフィールドに使用できる名前を示します。
表 13–5 プラットフォームの名前
プラットフォーム名 |
説明 |
---|---|
any |
N1 Service Provisioning System software がサポートするすべてのプラットフォーム |
AIX - any version |
IBM AIX 4.3.3 または IBM AIX 5.1 |
AIX 4.3.3 |
IBM AIX 4.3.3 |
AIX 5.1 |
IBM AIX 5.1 |
Solaris - any version |
SolarisTM 6、Solaris 7、または Solaris 8 リリース |
Solaris 6 |
Solaris 6 リリース |
Solaris 7 |
Solaris 7 リリース |
Solaris 8 |
Solaris 8 リリース |
Windows 2000 Server |
Microsoft Windows 2000 Server |
Red Hat Linux |
Red Hat Linux 7.2、7.3、8.0 Red Hat Advanced Server 2.1 |
home/etc/myfile という名前のローカルファイルを、mypath/mycomponentname というコンポーネントとして、「this is my file」という説明付きの構成ファイルとして指定されていない Solaris 7 プラットフォーム向けのリソース型ファイルとしてチェックインする場合は、バッチファイルに以下の行を入力します。
/home/myfile|mypath/mycomponentname|file|NM:Solaris 7|this is my file |
チェックインされるファイルが構成ファイルの場合は、行の最後にブール型フィールドを追加し、そのフィールドに true を入れます。 例:
/home/myfile|mypath/mycomponentname|file|NM:Solaris 7|this is my file|true |
mycomponent の説明を省略する場合は、この行を以下のように変更します (パイプ区切り文字が隣り合わせに記述されていることに注意してください)。
/home/myfile|mypath/mycomponentname|file|NM:Solaris 7||true
コンポーネントをメジャーバージョン (たとえば、1.7 ではなく 2.0) としてチェックインする場合は、メジャーバージョンチェックインのブール型フィールドに true を追加します。
/home/myfile|mypath/mycomponentname|file|NM:Solaris 7||true |true
チェックインで古いコンポーネントを非表示にしない場合は、上の行は以下のようになります (最後のフィールド内に false が追加されていることに注意してください)。
/home/myfile|mypath/mycomponentname|file|NM:Solaris 7||true |true|false
アクセス情報の格納時に所有者情報やグループ情報を含めるかどうかを指定するオプションのブール型フィールドの場合も、同じような書式と考えてください。
N1 Service Provisioning System software は、バッチファイルの構文解析時にこれらの規則を適用します。
パス名と分かっているフィールドでは、(通常のスラッシュとバックスラッシュのどちらも) スラッシュは常に、ネイティブファイルシステムで使用されている規約を満たすように変換されます。
ファイルのクラスタを視覚的に区切るために、空白行を入力できます。
最初と最後の空白がフィールドから削除されることはありません。
バッチファイルでは、絶対パスと相対パスの両方を使用できます。 デフォルトでは、相対パスはバッチファイルの場所に相対するパスとして解釈されます。この指定は -pwdrelative フラグで無効にできます。無効にされた場合、相対パスは現在の作業用ディレクトリに相対するパスとして解釈されます。
テキストファイル経由のバッチチェックインは、以下の書式の cdb.src.cib コマンド(「cib」は check in batch (チェックインバッチ)) で呼び出されます。
cdb.rsrc.cib -batchfile [batchfile location] [-haltonerror true|false] [-pwdrelative true|false] |
cdb.rsrc.cib コマンドは、すべてのリソースのチェックイン前にファイルの構文チェックを行います。 コマンドは次に、チェックインされるすべてのローカルファイルの存在を確認します。 これらのプロセスのどちらかでエラーを検出した場合、cdb.rsrc.cib はエラーを報告し、(以下に説明されている -haltonerror ブール型引数の設定にかかわらず) 実行を停止します。
コマンド行には、1 つのファイルのチェックインでエラーが発生した場合に、その後のファイルのチェックインを停止するかどうかを指定するオプションの -haltonerror 引数 (デフォルトは false) が含まれています。 このブール型引数は、(上記の説明のように) cdb.rsrc.cib が事前のエラーチェックを行った後のエラーに対してのみ適用されます。
コマンド行には、バッチファイルの相対パスを現在の作業用ディレクトリに相対するパスとして解釈するか (pwdrelative = true) またはバッチファイルの場所に相対するパスとして解釈するか (pwdrelative = false) を指定するオプションの -pwdrelative 引数 (デフォルトは false) が含まれています。
バッチファイル処理はトランザクションではありません。 つまり、バッチファイル処理が完了前に失敗し、停止したり、このどちらかが起こった場合も、正常にチェックインされたリソースはチェックインされたままで、チェックインが「解除」されることはありません。
並行するバッチチェックインは、調整されません。 同じリソースのセットを対象とする 2 つの異なるバッチチェックインの実行が同時に開始された場合、1 つが完了するまでもう 1 つのバッチファイルの処理を停止するメカニズムはありません。 両方のバッチファイルは、隣接するタイミングによって交互に処理されます。
このコマンドは、チェックインジョブ (HTML ユーザーインタフェースや rsrc.ci などの CLI チェックインコマンドによってチェックインされているコンポーネント) を一覧表示します。 現在アクティブなすべてのジョブと最近完了した 20 のジョブが一覧表示されます。
表 13–6 cdb.cj.la コマンドの結果
結果 |
構文 |
説明 |
---|---|---|
result |
CompCheckInId[] |
チェックインジョブ ID の一覧 |
このコマンドは、指定されたチェックインジョブの状態と詳細を表示します。 ジョブはその compCheckInID で指定します。 この値は、リソースにチェックインしたときに cdb.rsrc.ci によって返される値です。
表 13–7 cdb.cj.lo コマンドの引数と結果
引数/結果 |
構文 |
説明 |
|
---|---|---|---|
ID |
[R] |
compCheckInID |
チェックインジョブの ID |
result |
compStatus |
指定したチェックインジョブ |
このコマンドではチェックインジョブの ID が必要なので、この引数では ID NM: 指定はサポートされていません。 compCheckInId 構文の詳細については、付録 A を参照してください。
このコマンドは、指定されたチェックインジョブを停止します。
表 13–8 rsrc.cj.stop の引数と結果
引数/結果 |
構文 |
説明 |
|
---|---|---|---|
ID |
[R] |
CompCheckInID |
チェックインジョブの ID |
result |
CompStatus |
指定したチェックインジョブ |
このコマンドではチェックインジョブの ID が必要なので、この引数では ID NM: 指定はサポートされていません。 CheckInJobID 構文の詳細については、付録 A を参照してください。
このコマンドは、指定されたコンポーネントをチェックアウトし、 コピーをリポジトリからローカルマシンに転送します。
表 13–9 cdb.rsrc.co の引数と結果
引数/結果 |
構文 |
説明 |
|
---|---|---|---|
src |
[R] |
String |
転送するコンポーネントの名前 |
v |
[R] |
String |
コンポーネントのバージョン |
dst |
[R] |
String |
コンポーネントが保存される場所 |
result |
String |
操作の完了を伝えるメッセージ |
このコマンドは、コンポーネントを再チェックインします。 チェックインジョブが中断された場合に、このコマンドを使用すると、チェックインコンポーネントのバージョン番号を手動で増やさずに、チェックインを継続できます。
表 13–10 cdb.rsrc.rci コマンドの引数と結果
引数/結果 |
構文 |
説明 |
|
---|---|---|---|
ID |
[R] |
ComponentID |
再チェックインされるコンポーネントの ID |
result |
CompCheckInID |
結果として発生するチェックインジョブの ID |