このコマンドは、「バッチチェックイン」コマンドです。バッチファイルに記載されているすべてのコンポーネントをチェックインします。
表 3–38 cdb.rsrc.cib コマンドの引数と結果
引数/結果 |
構文 |
説明 |
|
---|---|---|---|
batchfile |
[R] |
文字列 |
チェックインするコンポーネントのリストが記載されたバッチファイルの名前 |
haltonerror |
[O] |
ブール型 |
true の場合、最初のエラーでバッチ実行が停止する。デフォルトは true |
pwdrelative |
[O] |
ブール型 |
true の場合、ユーザーディレクトリからの相対パスが使用される。それ以外の場合は、バッチファイルの格納場所からの相対パスが使用される。デフォルトは false |
result |
文字列 |
操作の完了を知らせるメッセージ |
rsrc.cib は、チェックインするコンポーネントが 1 行に 1 つずつ記載されたバッチファイルを操作します。バッチファイルを利用すると、大量のコンポーネントを 1 回のコマンド実行でチェックインできます。
バッチファイル内の各行は、単一のコンポーネントとしてチェックインされる、ローカルマシン上の単一のコンポーネントに対応しています。各行は、いくつかのフィールドをパイプ (|) で区切った形式になっています。一部のフィールドはオプションで、省略可能です。オプションフィールドを省略する場合も、rsrc.cib が各フィールドを正しく識別できるように、次のフィールドとの間にパイプ (|) を挿入する必要があります。
バッチファイルにはコメントを挿入できます。先頭にシャープ (#) が付いている行がコメント行になります。
以下の表では、バッチファイルの行の構文について説明します。
表 3–39 バッチファイル内の行の構文
内容 |
オプション/必須 |
---|---|
ローカルマシン上のコンポーネントの格納場所 |
必須 |
チェックイン時にコンポーネントに割り当てられる名前 |
必須 |
コンポーネントタイプ |
必須 |
コンポーネントが表すプラットフォーム。「NM: <platform_name>」の書式で、HostSetID と表現される (<platform_name> は表 3–40 に記載されているプラットフォーム名) |
オプション |
コンポーネントの説明 |
オプション |
このファイルが構成ファイルであるかどうかを示すブール値 |
オプション (デフォルトは false) |
チェックインに「2.0」のようなメジャーバージョン番号を割り当てるかどうかを示すブール値 |
オプション (デフォルトは false) |
一番最近のバージョンのコンポーネントを非表示にするかどうかを決めるブール値 |
オプション (デフォルトは true) |
アクセス権情報の格納時に所有者情報を含めるかどうかを示すブール値 |
オプション (デフォルトは true) |
アクセス権情報の格納時にグループ情報を含めるかどうかを示すブール値 |
オプション (デフォルトは true) |
既存のファイルを全部置き換えて新しいバージョンを作成するのではなく、チェックインするファイルを既存のファイルに追加して新しいバージョンを作成するかどうかを示すブール値 |
オプション (デフォルトは true) |
このコンポーネントをホストからチェックインする場合、そのホストのホスト ID |
オプション |
冗長チェックを適用するかどうかを示すブール値 |
オプション (デフォルトは true) |
使用するピッカーの名前 (オプション。デフォルトは null で、デフォルトピッカーを使用する) | |
文字列書式で表されたハッシュテーブル。そのタイプのエクスポータでサポートされる追加オプションが含まれている。extraOpts 引数では、以下のブール値は指定できない。
これらの変数を指定するには、同等のバッチファイル書式オプションを使用します。 |
以下の表に、バッチファイルの各行の 4 番目のフィールドで、コンポーネントのプラットフォームを指定するために使用できる名前を一覧表示します。
表 3–40 プラットフォームの名前
プラットフォーム名 |
説明 |
---|---|
any |
N1 Grid Service Provisioning System ソフトウェアでサポートされる任意のプラットフォーム |
AIX - any version |
IBM AIX 5.1 または IBM AIX 5.2 |
AIX 5.1 |
IBM AIX 5.1 |
AIX 5.2 |
IBM AIX 5.2 |
Solaris - any version |
SolarisTM 6、Solaris 7、または Solaris 8 リリース |
Solaris 7 |
Solaris 7 リリース |
Solaris 8 |
Solaris 8 リリース |
Solaris 9 |
Solaris 9 リリース |
Solaris 10 |
Solaris 10 リリース |
Windows 2000 Server |
Microsoft Windows 2000 Server |
Red Hat Linux |
Red Hat Advanced Server 2.1 |
この例では、ローカルファイル home/etc/myfile を、構成ファイルではなく Solaris 7 プラットフォームのコンポーネントタイプファイルとして、「this is my file」という説明とともに、コンポーネント名 mypath/mycomponentname でチェックインします。この場合、バッチファイルに次のような行を入力します。
/home/myfile|mypath/mycomponentname|file|NM:Solaris 7|this is my file |
チェックインするファイルが構成ファイルである場合は、行末にブール値のフィールドを追加し、true を指定します。次に例を示します。
/home/myfile|mypath/mycomponentname|file|NM:Solaris 7|this is my file|true |
mycomponent の説明を省略する場合は、この行を次のように変更します (パイプ区切りが 2 つ並んでいる点に注目)。
/home/myfile|mypath/mycomponentname|file|NM:Solaris 7||true
コンポーネントをメジャーバージョン (「2.0」のようなバージョン番号。「1.7」などは不可) としてチェックインするには、メジャーバージョンチェックインのブール値のフィールドに true を追加します。
/home/myfile|mypath/mycomponentname|file|NM:Solaris 7||true |true
チェックイン後も古いコンポーネントを非表示にしない場合は、上の行を次のように変更します (最後のフィールドに false が追加されている点に注目)。
/home/myfile|mypath/mycomponentname|file|NM:Solaris 7||true |true|false
アクセス許可情報を格納するとき所有者情報やグループ情報を含めるかどうかを指定するオプションのブール値にも、これと同じ書式上の規則が適用されます。
N1 Grid Service Provisioning System ソフトウェアは、バッチファイルの構文解析時に、次の規則を適用します。
パス名が入るフィールドでは、スラッシュ (通常のスラッシュとバックスラッシュの両方) は常に、ネイティブファイルシステム上で使用されている規則に従って変換されます。
ファイルのクラスタを視覚的に区分するために、空行を使用できます。
フィールドの先頭または末尾の空白文字は削除できません。
バッチファイルでは、絶対パスと相対パスの両方を使用できます。デフォルトでは、相対パスの基準はバッチファイルの格納場所になります。-pwdrelative フラグを使ってこの設定を無効にした場合、相対パスの基準は現在の作業ディレクトリになります。
テキストファイルを使ったバッチチェックイン処理は、cdb.src.cib コマンドで呼び出します (“cib” は「check in batch (バッチチェックイン)」の頭文字)。
cdb.rsrc.cib -batchfile [batchfile location] [-haltonerror true|false] [-pwdrelative true|false] |
cdb.rsrc.cib コマンドは、コンポーネントのチェックインの前に、ファイルの構文チェックを行います。続いて、チェックインする予定のローカルファイルがすべて揃っていることを確認します。このどちらかのプロセスでエラーを検出した場合、cdb.rsrc.cib はエラーを報告し、実行を停止します。このとき、ブール引数 --haltonerror の設定は考慮されません。
コマンド行にオプションの -haltonerror 引数を指定して (デフォルトは false)、エラーが検出されたファイル以降のファイルのチェックインを停止するかどうかを指定することができます。このブール引数は、cdb.rsrc.cib が予備エラーチェック (前の節で説明済み) を実行したあとのエラーにしか適用されません。
コマンド行にオプションの -pwdrelative プロビジョン (デフォルトは false) を指定して、バッチファイル内の相対パスの基準を現在の作業ディレクトリにするか (pwdrelative = true)、バッチファイルの格納場所にするか (pwdrelative = false) を指定することができます。
バッチファイル処理は、トランザクション処理ではありません。したがって、バッチファイル処理に失敗したり、処理が途中で停止したりしても、問題の発生以前に正しくチェックインされたコンポーネントは、チェックインされた状態を保持します。これらのコンポーネントのチェックインが取り消されることはありません。
同時に複数のバッチチェックイン処理を行なった場合、その調停は行われません。2 つのバッチチェックイン処理が、同時に実行を開始する同じコンポーネントセットをターゲットにしている場合、一方のバッチファイルの処理が完了するまでもう一方の処理を抑制することはできません。近似タイミングにより、両方のバッチファイルが交互に処理されます。