オペレーティングシステム (OS) プロビジョニングプラグインを使用すると、以前にアンインストールされたシステムに Solaris、Linux、および Windows オペレーティングシステムをプロビジョニングできます。プラグインは、異機種システム混在プラットフォームでの OS プロビジョニングを自動化して構成するソリューションを提供します。またプラグインには、インストールの履歴とバージョンを追跡する機能もあります。
この章では、次の項目について説明します。
OS プロビジョニングプラグインソリューションは、「ベアメタル」ハードウェアにオペレーティングシステムをプロビジョニングするコストと複雑さを軽減します。このソリューションは、ハードウェアの再配置を必要とせず、オペレーティングシステムのインストールに関する、手作業のエラーが発生しやすい処理を自動化します。プラグインソリューションは 1 つのシャーシまたはシステムのレベルでのプロビジョニングを自動化するだけでなく、データセンターのプロビジョニングも自動化します。このソリューションにより、システム管理者と一般ユーザーにとっては、配備の柔軟性が高くなります。このソリューションを使用すると、市販のソフトウェアを使用する日常的なシステム管理作業を自動化できます。配備するハードウェア、オペレーティングシステム、または基本テクノロジに関係なく、プロビジョニングプロセスは同じようなプロセスになります。
OS プロビジョニングプラグインソリューションは N1 Service Provisioning System (N1 SPS) 製品に基づいています。N1 SPS 製品は、一連のコマンド行ツールとグラフィカルユーザーインタフェースを提供しています。プロビジョニングソフトウェアツールにより、ネットワーク上に分散しているベアメタルハードウェアのオペレーティングシステムのプロビジョニングがより容易に行えるようになります。このアプローチを使用することで、オペレーティングシステムのプロビジョニング作業を、ネットワーク上で使用可能なそのほかのソフトウェアサービスと全く同じようなサービスと見なすことができます。OS プロビジョニング機能は、Web ブラウザまたはコマンド行から起動できます。
システム管理者は、必要なオペレーティングシステムを、サーバーに接続することなく自動的にサーバーにプロビジョニングできます。ほとんどの環境において、OS プロビジョニングプラグインソリューションでは、ターゲットシステムのプロンプト (OBP など) でコマンドを入力したり、電源スイッチのオン/オフを行なったりする必要はありません。この自動化された手作業の不要なインストールは、何百台というマシンにインストールしようとする管理者にとって、非常に便利です。そのため、ホストから要求を開始するのではなく、集中管理された位置からホストにオペレーティングシステムを展開できます。
OS プロビジョニングプラグインソリューションは優れたインフラストラクチャーソフトウェアプロビジョニングソリューションを提供するだけでなく、インストール履歴の追跡、アーカイブ、バージョン管理などの幅広いプロビジョニングの問題にも対処します。このソリューションは、イメージのライフサイクル管理とサーバーのライフサイクル管理の両方に対処します。このソリューションは、さまざまなオペレーティングシステムのインストールメカニズムの複雑さを抽象化することによって、共通のオペレーションフローを提供します。
OS プロビジョニングプラグインは、N1 SPS のブラウザインタフェースとコマンド行インタフェースを通じて、次の機能を提供します。
カスタマイズされた OS プロファイルの情報の作成、管理、および登録
プロビジョニング可能なホストの情報の作成、管理、および登録
プロビジョニング可能なホストへのオペレーティングシステムのプロビジョニング
ブートおよびインストールサーバーの情報の作成、管理、および登録
OS プロビジョニングサーバーの情報の作成、管理、および登録
オペレーティングシステム (OS) プロビジョニングは、特定のオペレーティングシステムを複数のホストにインストールする作業です。このプロセスは、次のような複数のハイレベルな手順から構成されています。
OS プロビジョニングをサポートするようにハードウェアを構成する。推奨される適切な構成と要件の詳細については、「サポートされるシステム」および第 3 章「OS プロビジョニングの配備環境」で説明されています。
「OS プロビジョニングプラグインのインストール」で説明されているように、OS プロビジョニングプラグインをインストールする。
「OS プロビジョニングサーバーの作成」で説明されているように、OS プロビジョニングサーバーを作成する。
プロビジョニング対象の適切なターゲットホストを定義する。第 8 章「OS プロビジョニング用ターゲットホスト」を参照してください。
ターゲットホストに適切なオペレーティングシステムをプロビジョニングする。第 5 章「Solaris オペレーティングシステムのプロビジョニング」、第 6 章「Linux オペレーティング環境のプロビジョニング」、および第 7 章「Windows オペレーティング環境のプロビジョニング」を参照してください。
OS プロビジョニングプラグインは、IPMI、ALOM、LOM、ILO、SC、および telnet などの異なるプロトコルをサポートするさまざまなターゲットホストに、異種オペレーティングシステムをプロビジョニングするフレームワークを提供します。
次の図に、OS プロビジョニングプラグインに使用される機能コンポーネントを示します。次の図では、N1 SPS マスターサーバーがファイアウォールの外部にあり、そのほかのコンポーネントがファイアウォールの内部にあると仮定しています。OS プロビジョニングサーバーは、サブネット、VLAN などから構成されるネットワークレイヤー 2 接続をユーザーが設定すると仮定しています。すべてのネットワーク情報は OS プロビジョニングサーバーに登録されます。
この図では、OS プロビジョニングコンポーネント間の関係を説明しています (用語は多少省略して使用)。
遠隔クライアント – N1 SPS の遠隔クライアントは、ブラウザインタフェースとコマンド行インタフェースを実行します。遠隔クライアントには、マスターサーバーから独立したシステムを使用できます。
N1G SPS Master – N1 SPS マスターサーバーは、N1 SPS ソフトウェアのメイン処理エンジンです。
N1 OSP Plug-In – OS プロビジョニングプラグインは、マスターサーバーにインストールされます。このプラグインは、さまざまなプロトコルをサポートするさまざまなハードウェアプラットフォーム上にオペレーティングシステムをインストールする機能を提供します。
N1 OSP Server – OS プロビジョニング制御サーバーは、通常、OS プロビジョニングサーバーと呼ばれる、OS プロビジョニングプラグインのメイン処理エンジンです。OS プロビジョニングサーバーは、OS プロビジョニングサービス (N1G OSP Service) を実行し、このサービスが OS プロビジョニングの動作を統合します。OS プロビジョニングサーバーは、適切なネットワーク管理プロトコル (IPMI、ALOM、LOM、ILO、および端末サーバーなど) を使用する制御ネットワークを介してターゲットホストを制御します。制御ネットワーク上のこれらのプロトコルは、電源、ブート、コンソールの各サービスの自動化に使用されます。
OS プロビジョニングサーバーは、幅広いネットワークトポロジ (複数のサブネット、VLAN など) をサポートしています。OS プロビジョニングサーバーには DHCP サーバーが含まれ、関連する IP アドレスおよびそのほかのブート固有の情報をターゲットホストに提供します。
ブートおよびインストールサーバー – OS 固有のブートおよびインストールサーバーをサポートする次の 3 つのサーバーが示されています。
Solaris B + I Server – Solaris ブートおよびインストールサーバーは JumpStartTM Enterprise Toolkit (JET) を使用して、Solaris ディストリビューションメディアとインストールプロファイルのインストールを自動化します。
Linux B + I Server – Linux ブートおよびインストールサーバーは Linux Kickstart テクノロジを使用します。
Windows B + I Server – Windows ブートおよびインストールサーバーは Windows Remote Installation Services (RIS) テクノロジを使用します。
ブートおよびインストールサーバーは、自動化と監視の目的のため、OS 固有のブートおよびインストールサービスを搭載しています。Linux および Windows のブートおよびインストールサーバーの設定は、OS プロビジョニングプラグインの外部で行う必要があります。Linux システムの場合、N1 SPS リモートエージェント (RA) を手動でインストールする必要があります。Solaris システムの場合、OS プロビジョニングプラグインは RA をインストールおよび構成します。
OS プロビジョニングプラグインは次のネットワークプロトコルを使用します。
DHCP – DHCP は、スイッチファブリックを介して OS プロビジョニングサーバーとターゲットホストの間で IP アドレスとブートメタデータを割り当てるために使用されます。
ネットワーク管理プロトコル – IPMI、ALOM、LOM、ILO および端末サーバーなどのプロトコルは、OS プロビジョニングサーバーからターゲットホストへの制御ネットワークを介して使用されます。
TFTP、Active Directory、NFS、および FTP プロトコル – ブートおよびインストールサーバーは適切なプロトコルを使用して通信を行い、またターゲットホストに OS をインストールします。
OS プロビジョニングプラグインソリューションは、オペレーティングシステムとハードウェアプラットフォームのマトリックスをサポートしています。このサポートは次のいくつかのカテゴリに分類されます。
システムコンポーネント
OS プロビジョニングコンポーネント
ブートおよびインストールサーバー
ターゲットホストのハードウェアプラットフォーム
ターゲットホストのオペレーティングシステム
次の表に、OS プロビジョニングに使用されるシステムコンポーネントを示します。
表 1–1 OS プロビジョニングシステムコンポーネント
サーバー |
N1 SPS コンポーネント |
OS プロビジョニングコンポーネント |
---|---|---|
マスターサーバー |
N1 SPS マスター、エージェント、および CLI |
OS プロビジョニングプラグイン |
OS プロビジョニングサーバー |
N1 SPS RA および CLI |
OS プロビジョニングサービス |
Solaris JET サーバー |
N1 SPS RA および CLI |
OS プロビジョニングのブートおよびインストールサービス (BIS) |
Linux Kickstart サーバー |
N1 SPS RA |
OS プロビジョニングのブートおよびインストールサービス (BIS) |
Windows RIS サーバー |
なし |
OS プロビジョニングのブートおよびインストールサービス (BIS) |
次の表に、プロビジョニングコンポーネントと、オペレーティングシステムに対するプロビジョニングコンポーネントの関係を示します。
表 1–2 オペレーティングシステムによる OS プロビジョニングコンポーネント
OS プロビジョニングコンポーネント |
ホストのオペレーティングシステム |
---|---|
OS プロビジョニングプラグイン |
Solaris 9、Solaris 10、RedHat AS 3.0、Windows Server 2000 |
OS プロビジョニングサービス |
Solaris 9 (SPARC) |
Solaris ブートおよびインストールサーバー |
Solaris 9、Solaris 10 |
Linux ブートおよびインストールサーバー |
RedHat AS 3.0 |
Windows ブートおよびインストールサーバー |
Windows Server 2003 |
次の表に、各オペレーティングシステムに適用されるプロビジョニングテクノロジを示します。
表 1–3 オペレーティングシステムによる OS プロビジョニングテクノロジ
オペレーティングシステム |
プロビジョニングテクノロジ |
---|---|
Solaris 9 および 10 |
JET を介したカスタム JumpStart |
RedHat Linux AS 3.0 |
Kickstart |
Windows 2003 |
Remote Installation Service (RIS) |
サポートされるターゲットホストは、ホストがサポートするプロトコルにより区別されます。サポートされるプラットフォームと関連付けられるターゲットホストタイプの詳細なリストについては、「ターゲットホストタイプ」を参照してください。
OS プロビジョニングプラグインは、次のオペレーティングシステムをプロビジョニングできます。
Solaris 9 および 10 (SPARC および x86)
RedHat Linux 3.0
Windows 2000 (Service Pack 適用済み)