この章では、Sun N1 Service Provisioning System 5.2 をインストールして使用する上でのシステム要件を示します。この章の内容は、次のとおりです。
Sun N1 Service Provisioning System 5.2 のマスターサーバー、リモートエージェント、ローカルディストリビュータ、および CLI Client は、次のオペレーティングシステムを実行しているサーバーにインストールできます。
表 2–1 Sun N1 Service Provisioning System 5.2 でサポートされているオペレーティングシステム
プロビジョニングシステムをインストールおよび実行するには、これ以降の節の説明どおりにシステムを構成する必要があります。
マスターサーバーを実行している Solaris システムでは、次の /etc/system 設定が必要です。
Solaris 9 または Solaris 10 OS を使用している場合は、shmsys:shminfo_shmmin と shmsys:shminfo_shmseg の値を変更できません。Solaris 10 OS を使用している場合は、shmsys:shminfo_shmmax、shmsys:shminfo_shmmni、semsys:seminfo_semmns、および semsys:seminfo_semvmx の値を変更できません。
これらの設定のデフォルト値のまま使用できます。
/etc/system 設定を変更する手順は、『Solaris カーネルのチューンアップ・リファレンスマニュアル』を参照してください。
Solaris 10 環境では、インストール環境の所有者であるユーザーに応じて、/etc/system 設定の代わりに資源制御が行われます。次の表は、最小値を示しています。
表 2–3 Solaris 10 の資源制御設定
変数 |
最小値 |
---|---|
project.max-shm-memory |
512 |
project.max-sem-ids |
32 |
process.max-sem-nsems |
17 |
プロジェクト ID を確認します。
$ id -p |
project.max-shm-memory、 project.max-sem-ids、および process.max-sem-nsems の現在の値が、プロジェクト ID 値 1 に対する値であることを確認します。
# prctl -P -n project.max-shm-memory -i project 1 # prctl -P -n project.max-sem-ids -i project 1 # prctl -P -n process.max-sem-nsems -i process $$ |
資源制御を設定します。
現在の値が必要な最小設定を満たしていない場合は、prctl コマンドまたは projmod コマンドを使用します。prctl コマンドで行った変更は、システムを再起動すると無効になります。再起動後も変更を維持するには、projmod コマンドを使用する必要があります。
prctl コマンドを使用する場合
# prctl -n project.max-shm-memory -v 536870912 -r -i project 1 # prctl -n project.max-sem-ids -v 32 -r -i project 1 # prctl -n process.max-sem-nsems -v 17 -r -i process $$ |
projmod コマンドを使用する場合
# projmod -a -K "project.max-shm-memory=(priv,512mb,deny)" default # projmod -a -K "project.max-sem-ids=(priv,32,deny)" default # projmod -a -K "process.max-sem-nsems=(priv,17,deny)" default |
bc コマンドは、Sun N1 Service Provisioning System をインストールするときにユーザーのパスにある必要があります。bc コマンドが存在しないと、インストールが終了し、bc のインストールを要求するメッセージが表示されます。bc-1.06-5.rpm パッケージまたはこれ以降のバージョンのパッケージをインストールしてください。
SUSE Linux 8 サーバー上の NFS マウントしたディレクトリに Sun N1 Service Provisioning System をインストールし、接続のセキュリティーを確保するために SSH または SSL を使用する場合は、nolocks で NFS クライアントを構成するか NFS サーバーを構成してロックを許可してください。NFS クライアントまたは NFS サーバーのどちらも正しく設定されていない場合は、Sun N1 Service Provisioning System アプリケーションは起動しません。
Linux マスターサーバーのインストールプログラムは、次のシステムパラメータをチェックし、最小値が満たされていない場合はエラーを表示して終了します。
表 2–4 Linux のマスターサーバーシステムの設定 (32 ビット、64 ビット)
システムのパラメータ |
最小値 |
/proc/sys/kernel/shmall の shmall |
536870912 (512M バイト) |
/proc/sys/kernel/shmmax の shmmax |
536870912 (512M バイト) |
また、Linux の 64 ビットプラットフォームでは、/proc/sys/kernel/sem ファイルでセマフォ設定を次の値に変更する必要があります。
4000 512000 512 4096 |
この数値は、次の 4 つの値と同じです。
SEMMSL – セマフォセット中のセマフォ数
SEMMNS – システム中のセマフォ数
SEMOPM – semop 呼び出しごとの操作数
SEMMNI – セマフォ識別子の数
次に、サポートされる各オペレーティングシステムに必要なパッチを示します。
表 2–5 サポートされるオペレーティングシステムに必要なパッチ
OS のバージョン |
必要なパッチ |
---|---|
Solaris 7 |
106980-16 106541-16 107544-03 106950-13 106327-08 106300-09 |
Solaris 8、SPARC ベースサーバー |
111310-01 109147-28 111308-04 112438-03 108434-15 108435-15 111111-04 112396-02 110386-03 111023-03 111317-05 113648-03 115827-01 116602-01 108987-13 108528-29 108989-02 108993-33 109326-14 110615-10 |
Solaris 9、SPARC ベースサーバー |
114356-06 |
Solaris 9、x86 ベースサーバー |
114357–06 |
Solaris 10、SPARC ベースサーバー |
なし |
Solaris 10、x86 ベースサーバー |
なし |
IBM AIX 5.1 |
AIX 5.1–5.1.4.0 メンテナンスレベル: APAR IY44478 |
IBM AIX 5.2 |
AIX 5.2–5.2.1.0 メンテナンスレベル: APAR IY44479 |
IBM AIX 5.3 |
AIX 5.3.1.0 メンテナンスレベル: APAR IY58143 |
Red Hat Linux Advanced Server 2.1 (32 ビット) |
なし |
Red Hat Linux Advanced Server 3 (32 ビット、64 ビット) |
なし |
Red Hat Linux Advanced Server 4 (32 ビット、64 ビット) |
なし |
SUSE Linux Enterprise Server 8 (32 ビット) |
なし |
SUSE Linux Enterprise Server 9 (32 ビット) |
なし |
PA-RISC ベースシステム上の HP-UX 11i V1 |
PHNE_23502 PHKL_24253 PHKL_24254 PHKL_24255 PHKL_24256 PHKL_24257 PHKL_24751 PHNE_25084 PHCO_25226 PHKL_25227 PHKL_25367 PHCO_25452 PHKL_25468 PHKL_25614 PHKL_25728 PHKL_25729 PHKL_25840 PHKL_25842 PHKL_25871 PHKL_27091 PHKL_27092 PHKL_28489 PHNE_29887 PHCO_29960 PHSS_30049 |
Windows 2000 Server または Windows 2000 Advanced Server |
Service Pack 3 |
Windows Server 2003 |
なし |
Windows Server 2003 x64 |
なし |
サポートされているオペレーティングシステムにマスターサーバーをインストールするためのハードウェア要件を次の表に示します。
表 2–6 マスターサーバーのハードウェア要件
Solaris |
Red Hat Linux |
Windows |
|
---|---|---|---|
ハードウェア |
x86 ベース |
x86 ベース |
|
CPU |
450 MHz シングルまたはマルチ CPU |
1 GHz シングルまたはマルチ CPU |
1 GHz シングルまたはマルチ CPU |
RAM |
1G バイト以上の RAM |
1G バイト以上の RAM |
1G バイト以上の RAM |
ハードディスクの空き容量 |
2G バイト |
2G バイト |
2G バイト |
サポートされているオペレーティングシステムにローカルディストリビュータ、リモートエージェント、および CLI Client をインストールするためのハードウェア要件を次の表に示します。
表 2–7 ローカルディストリビュータ、リモートエージェント、および CLI Client の ハードウェア要件
次の表に、/var または /var/tmp ディレクトリに必要な最低の容量を示します。
表 2–8 /var または /var/tmp ディレクトリに必要な最低の容量
|
Solaris |
Red Hat Linux |
IBM AIX |
HP UX |
---|---|---|---|---|
マスターサーバー |
500M バイト |
300M バイト |
なし |
なし |
CLI |
350M バイト |
100M バイト |
100M バイト |
300M バイト |
リモートエージェント |
100M バイト |
100M バイト |
100M バイト |
300M バイト |
ローカルディストリビュータ |
100M バイト |
100M バイト |
100M バイト |
300M バイト |
この節では、Sun N1 Service Provisioning System 5.2 をインストールして使用するための一般的なシステム要件を示します。
次に、Sun N1 Service Provisioning System 5.2 ブラウザインタフェースの Web ブラウザ要件を示します。
表 2–9 ブラウザインタフェースの Web ブラウザ要件
プラットフォーム |
ブラウザ |
---|---|
Solaris、Red Hat、SUSE、HP-UX |
Netscape NavigatorTM 7.1、MozillaTM 1.4 |
Windows |
Netscape Navigator 7.1、Mozilla 1.4、Internet Explorer 5.5、Internet Explorer 6.0 |
AIX |
Mozilla 1.4 |
一部の Web プロキシサーバーは、ポップアップウィンドウをブロックするように構成されます。Sun N1 Service Provisioning System 5.2 を正しく動作させるためには、ポップアップウィンドウを表示させる必要があります。ポップアップウィンドウをブロックする Web プロキシサーバーを実行したり、ポップアップウィンドウをブロックするようにブラウザを設定したりしないでください。
正しく動作するように、Sun N1 Service Provisioning System 5.2 は cookie を使用する機能に依存しています。cookie を使用できるようにブラウザを設定してください。
Linux および UNIX システム上で SSH を使用してセキュリティー保護された接続を行う場合は、SSH を使用する各サーバーに SSH プロトコルバージョン 2 をインストールする必要があります。
CLI Client で Jython を使用する場合は、Jython バージョン 2.0 以上をインストールする必要があります。Jython の詳細については、http://www.jython.org を参照してください。
Sun N1 Service Provisioning System 5.2 は、各国語環境でインストールして使用できるように国際化されています。Sun N1 Service Provisioning System 5.2 は、ASCII 以外の文字も受け付けます。ソフトウェアで ASCII 以外の文字をサポートする必要がある場合は、次の要件を満たす必要があります。
すべてのアプリケーションを同じロケールまたは同等のロケールで実行する。リモートエージェント、ローカルディストリビュータ、および CLI Client は、マスターサーバーが稼働しているロケールと互換性があるロケールを実行する必要があります。
Internet Explorer 5.5 または 6.0、あるいは Netscape 7.0 を使用する必要がある
Web ブラウザの Character Interface が UTF-8 (Unicode または Universal Alphabet とも呼ばれる) を使用するように設定する
config.properties ファイルなどの構成ファイルでは、ASCII 以外のすべての文字は、Unicode でコード化する必要があります。構成ファイルは任意のエンコードで作成できます。続いて、JavaTM Development Kit (JDK) パッケージで提供されている native2ascii コマンドを使用してファイルを Unicode で符号化された ASCII 文字に変換します。