GNOME 2.2 システム管理 (Linux 版)

GConf リポジトリ

GConf リポジトリ内の各設定は、キーと値のペアで構成されます。GConf 設定キーは、アプリケーション設定に対応するリポジトリ内の要素です。たとえば、/apps/gnome-session/options/show_splash_screen 設定キーは、セッション設定ツールの 「ログイン時にスプラッシュ画面を表示する」 オプションに対応します。 GNOME デスクトップのユーザーインターフェイスには、GConf リポジトリ内のすべての設定キーが含まれるわけではありません。たとえば、Panel 設定ツールには /apps/panel/global/tooltips_enabled キーに対応するオプションは含まれていません。

リポジトリは、単純な階層のファイルシステムとして構成されています。リポジトリには、次のものが含まれます。

通常、設定キーは、文字列、整数、または文字列と整数のリストなどの単純な値を持ちます。リポジトリ内の設定キーの形式は、リポジトリの読み取りに使用されるバックエンドモジュールに依存します。以下は、リポジトリの読み取りに XML (Extensible Markup Language) が使用される場合の /desktop/gnome/interface/font_name 設定キーの例です。

<entry name="font_name" mtime="1038323555" muser="user123" type="string">
<stringvalue>Sans 10</stringvalue></entry>

注 –

このマニュアルでは、設定キーを示すときに、キーの名前とそのパスを示します。たとえば、/desktop/gnome/interface サブディレクトリ内の font_name 設定キーは、/desktop/gnome/interface/font_name と示されます。


GConf 構成ソース

GConf リポジトリは、「構成ソース」と呼ばれる一連の保存場所を含んでいます。構成ソースは、「GConf パスファイル」に記述されます。GConf パスファイルの場所は、/etc/gconf/gconf-version-number/path です。各ユーザーは、パスファイルを持っています。パスファイル内の各行は、次の情報を指定します。

デフォルトでは、GConf パスファイルの内容は以下のようになります。

xml:readonly:/etc/gconf/gconf.xml.mandatory
include "$(HOME)/.gconf.path"
xml:readwrite:$(HOME)/.gconf
xml:readonly:/etc/gconf/gconf.xml.defaults

GConf が設定値を検索する場合、GConf は、パスファイル内で指定された順に構成ソースを読みます。以下の表は、パスファイル内の構成ソースです。

構成ソース 

説明 

必須 

この構成ソースのアクセス権は、読み取り専用に設定されます。ユーザーは、このソースの値を上書きすることができません。したがって、そのソースの設定は必須です 

ユーザー 

この構成ソースは、ユーザーのホームディレクトリ内の .gconf ディレクトリに格納されます。ユーザーが環境を設定すると、新しい設定情報がこの場所に追加されます

ユーザ構成ソースは、構成エディタで変更できます。

デフォルト 

この構成ソースには、デフォルトの設定が含まれています 

パスファイル内の構成ソースの順序では、必須の設定がユーザーの設定よりも優先されます。また、デフォルト設定よりもユーザーの設定が優先されます。つまり、GConf は、次の優先順位で設定を適用します。

  1. 必須の設定

  2. ユーザー指定の設定

  3. デフォルトの設定

ユーザーは、GConf パスファイル内の include 指示を使って、別の構成ソースを使用できます。別の構成ソースを使用するには、ユーザーは、構成ソースの場所を指定する必要があります。ユーザーは、構成ソースの場所をホームディレクトリ内の .gconf.path というファイルに指定します。

GConf スキーマ

GConf スキーマ」は、「GConf スキーマキー」と「GConf スキーマオブジェクト」の総称です。以下の表は、スキーマキー、スキーマオブジェクト、およびこれらの項目と設定キーとの関連性について説明しています。

項目 

説明 

設定キー 

アプリケーション設定に対応する GConf リポジトリ内の要素

スキーマキー 

設定キー用のスキーマオブジェクトを格納するキー 

スキーマオブジェクト 

以下のような設定キー用の情報を含む構成ソース内の要素 

  • 設定キーを使用するアプリケーションの名前

  • 設定キーに必要な値の型 (たとえば、整数、int、bool など)

  • 設定キーのデフォルト値

  • 設定キーについての簡単な記述

以下の表は、設定キー、スキーマキー、およびスキーマオブジェクトの例を示しています。

項目 

例 

設定キー 

/desktop/gnome/interface/font_name

スキーマキー 

/schemas/desktop/gnome/interface/font_name

スキーマオブジェクト 

<schema>
  <applyto>/desktop/gnome/interface/font_name</applyto>
  <key>/schemas/desktop/gnome/interface/font_name</key>
  <owner>gnome</owner>
  <type>string</type>
  <default>Sans 10</default>
  <locale name="C">
    <short>Default font</short>
      <long>Name of the default font used by gtk+.</long>
  </locale>
</schema>

設定キーにスキーマキーを関連付けることができます。たとえば、/desktop/gnome/interface/font_name キーは次のスキーマキーを含んでいます。

<entry name="font_name" mtime="1034873859" 
schema="/schemas/desktop/gnome/interface/font_name"/>

設定キーにスキーマキーを関連付けると、設定は、そのスキーマキーのスキーマオブジェクト内で指定されている推奨値を使用します。推奨値は、スキーマオブジェクトの <default> 要素に含まれています。デフォルトでは、デフォルト構成ソース内のすべての設定キーが、スキーマキーと関連付けられます。

通常、スキーマはデフォルト構成ソースに格納されます。

GConf スキーマ定義ファイル

スキーマは、「スキーマ定義ファイル」から生成されます。スキーマ定義ファイルは、特定のアプリケーションにおけるすべてのキーの特性を定義します。スキーマ定義ファイルには、.schemas 拡張子が付きます。

スキーマ定義ファイルは、/etc/gconf/schemas ディレクトリに含まれています。スキーマ定義ファイルを使用して、新しい構成ソースを作成できます。

いくつかのスキーマ定義ファイルは、GNOME デスクトップのユーザーインターフェイスの一部と緊密に対応しています。たとえば、system_http_proxy.schemas は、Internet 設定ツールに対応しています。ほかのスキーマ定義ファイルは、GNOME デスクトップのユーザーインターフェイスにはない設定キーを含んでいます。たとえば、/apps/panel/global/tooltips_enabled キーはユーザインターフェイスにはありません。

GNOME デスクトップのユーザーインターフェイスのいくつかは、複数のスキーマ定義ファイルの設定キーを表す設定を含んでいます。たとえば、Shortcuts 設定ツールは、panel-global-config.schemas および metacity.schemas ファイルのキーを表す設定を含んでいます。