この章では、Java Desktop System のパフォーマンスを改善する方法について説明します。
この章では、Java Desktop System のパフォーマンスを改善するために変更できるいくつかの設定について説明します。ユーザー設定について値を設定するには、gconftool-2 コマンドを使用します。この章のコマンド例では、ユーザー設定ソースの値を変更する方法を示します。
--direct および --config-source オプションを使用して、設定の必須値またはデフォルト値をセットできます。また、スクリプト内で gconftool-2 コマンドを使用して、多数の設定値をセットすることもできます。gconftool-2 コマンドと、このコマンドに使用できるオプションについては、第 1 章「GConf の使用方法」を参照してください。
この節では、Java Desktop System の CPU 使用率を減らすための設定について説明します。
一部のコントロールテーマオプションは、CPU リソースが限られたシステムでは動作が遅くなる恐れがあります。CPU 使用率を減らすには、以下のいずれかのコントロールオプションを使用します。
デフォルト値
Mist
Simple
ThinIce
コントロールテーマオプションを変更するには、以下のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type string --set /desktop/gnome/interface/gtk_theme option-name
Simple を使用する場合は、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type string --set /desktop/gnome/interface/gtk_theme Simple
または、テーマ
設定ツールで適当なオプションを選択します。
一部のウィンドウフレームテーマオプションは、ウィンドウフレームを描くのにイメージファイルを読み込みます。ほかのオプションは、より簡単な方法でウィンドウフレームを描きます。
Crux ウィンドウフレームオプションは画像ファイルをロードするので、CPU リソースが限られたシステムでは動作が遅くなる恐れがあります。CPU 使用率を減らすには、以下のいずれかのウィンドウフレームオプションを使用します。
Atlanta
Esco
Mist
Simple
以下のウィンドウフレームオプションも、Crux よりは CPU リソースの使用率が少なくなります。
AgingGorilla
Bright
Metabox
Metabox は、HighContrastInverse などの反転制御オプションとは正しく動作しません。反転制御オプションを使用する場合は、Atlanta を使ってください。
ウィンドウフレームテーマのオプションを変更するには、以下のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type string --set /apps/metacity/general/theme option-name
Atlanta を使用する場合は、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type string --set /apps/metacity/general/theme Atlanta
または、テーマ
設定ツールで適当なオプションを選択します。
Metacity テーマビューア
を使用して、ウィンドウフレームオプションのパフォーマンスを測定したり、オプションをプレビューできます。Metacity テーマビューア
を起動するには、次のコマンドを使用します。
# metacity-theme-viewer option-name
たとえば、Atlanta のパフォーマンスを測定し、Atlanta をプレビューするには、次のコマンドを実行します。
# metacity-theme-viewer Atlanta
メニュー上のいくつかの項目は、その項目の横にアイコンが表示されます。この機能をオフにするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /desktop/gnome/interface/menus_have_icons false
または、Menus & Toolbars
設定ツールで「メニューにアイコンを表示」オプションの選択を解除します。
デフォルトでは、デスクトップ環境にログインすると、スプラッシュ画面が表示されます。ログインしている間は、スプラッシュ画面にアイコンが表示されています。スプラッシュ画面をオフにすると、ログインしている間の CPU 使用率を減らせます。
スプラッシュ画面をオフにするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /apps/gnome-session/options/show_splash_screen false
または、セッション
設定ツールで「ログイン時にスプラッシュ画面を表示する」オプションの選択を解除します。
パネルを表示または非表示にするときに、動画形式でパネルを表示または非表示にすることができます。パネルアニメーションをオフにするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /apps/panel/global/enable_animations false
または、パネル
設定ツールで「引出しとパネルのアニメーション」オプションの選択を解除します。
Nautilus
ファイルマネージャの一部の機能を変更して、パフォーマンスを改善できます。
ファイルマネージャには、パフォーマンスに関連する設定があります。各パフォーマンス設定は、3 つの値のうち 1 つを持ちます。以下の表は、3 つの値を説明しています。
値 |
説明 |
---|---|
always |
ローカルファイルと、別のファイルシステム上のファイルの両方に対して、動作を実行する |
local_only |
ローカルファイルに対してのみ動作を実行する。パフォーマンス設定を local_only セットすると、CPU 使用率は減少する |
never |
動作を実行しない。パフォーマンス設定を never にセットすると、CPU 使用率とネットワークトラフィックは減少する |
以下の表は、ファイルマネージャのパフォーマンス設定を説明しています。パフォーマンスを最大にするには、設定値を never に設定します。
ファイルマネージャには、サイド区画とツールバーをオフにできる設定が含まれています。サイド区画とツールバーをオフにすると、ファイルマネージャのパフォーマンスが改善します。
サイド区画をオフにするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/start_with_sidebar false
# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/start_with_toolbar false
ロケーションバーもオフに設定できます。Ctrl + L キーボードショートカットを使用して、ロケーションバーを必要に応じて表示できます。
ロケーションバーをオフにするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/start_with_location_bar false
ファイルマネージャには、Nautilus
を使用してデスクトップの背景を管理できる設定が含まれています。デスクトップの背景を無効にすることで、パフォーマンスを改善できます。デスクトップの背景を無効にした場合、次の操作を行えません。
「デスクトップの背景」メニューの使用
ファイルマネージャを使用したデスクトップ背景のパターンまたは色の変更
「ごみ箱」などのデスクトップの背景オブジェクトの使用。デスクトップの背景オブジェクトは、デスクトップの背景に表示されません。
デスクトップの背景を無効にするには、次のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /apps/nautilus/preferences/show_desktop false
Metacity
ウィンドウマネージャは、ウィンドウの移動およびサイズ変更の際にワイヤーフレームとしてウィンドウを描画するための、省リソースモードを備えています。省リソースモードが有効な場合は、ウィンドウを移動したりサイズ変更したりするとき、ウィンドウのアウトラインだけが表示されます。ウィンドウのコンテンツは、移動中やサイズの変更中に更新される必要はありません。ウィンドウのコンテンツは、移動やサイズ変更の完了時に表示されます。また、省リソースモードが有効な場合は、ウィンドウの移動およびサイズ変更時にウィンドウがアニメーション化されません。
省リソースモードを有効にするには、以下のコマンドを実行します。
# gconftool-2 --type bool --set /apps/metacity/general/reduced_resources true
mediaLib
™ ライブラリは、共通のマルチメディア操作を高速化するための関数のコレクションです。ライブラリがシステムにインストールされている場合、Java Desktop System では mediaLib
ライブラリが使用されます。Java Desktop System のパフォーマンス、特にNautilus
は、mediaLib
ライブラリがインストールされていると著しく向上します。Java Desktop System では、バージョン 2.0 以降のmediaLib
が必要です。
mediaLib
ライブラリの入手方法およびインストール方法については、 mediaLib
の Web サイト (http://www.sun.com/processors/vis/mlib.html) を参照してください。
この節では、Java Desktop System で X ウィンドウシステム のネットワークトラフィックを減少させる設定について説明します。
リモートディスプレイプロトコルは、ピクセルブロック内のピクセルがすべて同じ色の場合、そのブロック内のすべてのピクセルを転送しません。
X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックを減らすには、単一色を使用するウィンドウフレームテーマオプションを使用します。つまり、次のいずれかのウィンドウフレームオプションを使用します。
Mist
Simple
テーマオプションの変更方法については、CPU リソースをあまり必要としないウィンドウフレームオプションを使用するを参照してください。
メニュー上のいくつかの項目は、その項目の横にアイコンが表示されます。アイコンが別のファイルシステム上にある場合、この機能が原因で X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックが増大します。また、パネルがリモートホスト上で表示される場合も、X ウィンドウシステムのネットワークトラフィックが増大します。たとえば、Sun Ray サーバがパネルを実行すると、Sun Ray クライアント上にもそのパネルが表示されます。
この機能を無効にする方法については、メニュー上のアイコンをオフにして CPU 使用率を減らすを参照してください。
ウィンドウを表示するアプリケーションがリモートホスト上で実行している場合、省リソースモードを有効化して X Window System のネットワークトラフィックを減らします。
省リソースモードについては、省リソースモードを有効化して CPU 使用率を減らすを参照してください。