Sun Java System Web Server 7.0 管理ガイド

SNMP サブエージェントの設定

SNMP は、ネットワークアクティビティーに関するデータをやり取りするために使用されるプロトコルです。SNMP では、管理対象デバイスとネットワーク管理ステーション (NMS) との間でデータが転送されます。管理対象デバイスは、SNMP が実行されている任意のデバイスです。つまり、ネットワーク上のホスト、ルーター、Web サーバー、その他のサーバーなどです。NMS は、そのネットワークをリモート管理する場合に使用するマシンです。NMS ソフトウェアは通常、収集されたデータを表示するグラフを提供したり、そのデータを使ってサーバーがある特定の許容範囲内で稼働しているか確認したりします。

NMS は通常、1 つ以上のネットワーク管理アプリケーションがインストールされた強力なワークステーションです。Sun Management Center のようなネットワーク管理アプリケーションでは、Web サーバーなどの管理対象デバイスに関する情報がグラフィカルに表示されます。たとえば、社内のどのサーバーが稼動またはダウンしているかを表示したり、受け取ったエラーメッセージの数と種類を表示したりできます。SNMP と Sun Java System Web Server を組み合わせて使用する場合、サブエージェントマスターエージェント の 2 種類のエージェントを使って、NMS とサーバーとの間でこの情報が転送されます。

サブエージェントはサーバーに関する情報を収集し、その情報をサーバーのマスターエージェントに渡します。

SNMP サブエージェントを起動するには、次のタスクを実行します。

  1. ノード」タブをクリックします

  2. ノードのリストから、選択可能なノードをクリックします。

  3. SNMP サブエージェント」タブをクリックします

  4. SNMP サブエージェントを起動」ボタンをクリックしてサブエージェントを起動します。


注 –

SNMP サブエージェントを起動する前に、マスターエージェントが稼働中であることを確認してください。サブエージェントが起動されるのは、マスターエージェントが稼働中の場合だけです。


SNMP サブエージェントを停止するには、次のタスクを実行します。

  1. ノード」タブをクリックします

  2. ノードのリストから、選択可能なノードをクリックします。

  3. SNMP サブエージェント」タブをクリックします

  4. SNMP サブエージェントを停止」ボタンをクリックしてサブエージェントを停止します。

一般に、SNMP を使用するには、1 つのマスターエージェントと少なくとも 1 つのサブエージェントをシステム上にインストールし、それらを実行する必要があります。サブエージェントを有効にするには、まずマスターエージェントをインストールしておく必要があります。

SNMP の設定手順は、システムによって異なります。次の表では、従うべき手順の概要を、さまざまな状況ごとに示します。実際の手順については、この章のあとのほうで詳しく説明します。

設定を開始する前に、次の 2 つの点を確認する必要があります。

この情報を確認する方法については、使用しているシステムのマニュアルを参照してください。


注 –

管理サーバーの SNMP の設定を変更したあと、新しいサーバーをインストールしたあと、または既存のサーバーを削除したあとは、次の手順を実行する必要があります。


表 13–4 一般的な指針

サーバーが満たしている条件

実行する手順

  • ネイティブエージェントが現在実行されていない

  1. マスターエージェントを起動します。

  2. システムにインストールされている各サーバーのサブエージェントを有効にします。

  • ネイティブエージェントが現在実行されている

  • SMUX をサポートしていない

  • ネイティブエージェントの使用を継続する必要がない

  1. 管理サーバーのマスターエージェントをインストールする場合は、ネイティブエージェントを停止します。

  2. マスターエージェントを起動します。

  3. システムにインストールされている各サーバーのサブエージェントを有効にします。

  • ネイティブエージェントが現在実行されている

  • SMUX をサポートしていない

  • ネイティブエージェントの使用を継続する必要がある

  1. プロキシ SNMP エージェントをインストールします。

  2. マスターエージェントを起動します。

  3. プロキシ SNMP エージェントを起動します。

  4. マスターエージェントのポート番号以外のポート番号を使用して、ネイティブエージェントを再起動します。

  5. システムにインストールされている各サーバーのサブエージェントを有効にします。

  • ネイティブエージェントが現在実行されている

  • SMUX をサポートしている

  1. SNMP ネイティブエージェントを再設定します。

  2. システムにインストールされている各サーバーのサブエージェントを有効にします。

CLI を使用した SNMP の構成

ProcedureSolaris で SNMP を有効にする

  1. SNMP パラメータを構成します。

    構成の SNMP パラメータを設定します。


    wadm> set-snmp-prop --user=admin --host=funland --port=1893 
    --config=test enabled=true master-host=masterhost-name organization=organization-name 
    location=location-name contact=contact-name description=description-name
  2. 構成を配備します。


    wadm> deploy-config --user=admin --password-file=admin.pwd 
    --host=serverhost --port=8989 config1
  3. サーバーインスタンスを起動します。


    $ ./https-test/bin/startserv
  4. マスターエージェント (magt) を root として実行します。


    注 –

    magt を実行するには、ネイティブの snmpd を停止する必要があります。



    $ cd /etc/init.d/
    		   $ init.dmi stop; init.snmpdx stop; init.sma stop

    ファイル https-admserv/config/logs/pid.masteragt が存在する場合はそれを削除します。


    $ rm ./https-admserv/config/logs/pid.masteragt
        	   wadm>  start-snmp-master-agent --snmp-port 161 hostname
  5. サブエージェントを起動します。

    ファイル https-admserv/config/logs/pid.httpagt が存在する場合はそれを削除します。


    $ rm ./https-admserv/config/logs/pid.httpagt

    httpagt がすでに稼働中の場合はそれを終了させます


    wadm> start-snmp-subagent hostname

ProcedureLinux で SNMP を有効にする

  1. SNMP パラメータを構成します。

    構成の SNMP パラメータを設定します。


    wadm> set-snmp-prop --user=admin --host=funland --port=1893 --config=test 
    enabled=true master-host=masterhost-name organization=organization-name 
    location=location-name contact=contact-name description=description-name
  2. 構成を配備します。


    wadm deploy-config --user=admin --password-file=admin.pwd 
    --host=serverhost --port=8989 config1
  3. サーバーインスタンスを起動します。


    $ ./https-test/bin/startserv
  4. ネイティブのマスターエージェント (snmpd) を root として実行します。

    snmpd と直接通信できるようにするには、/etc/snmp/snmpd.conf に次の行を追加し、snmpd を再起動します。

    smuxpeer 1.3.6.1.4.1.42.2.190.1

    view systemview included .1.3.6.1.4.1.42.2.190.1


    # cd /etc/init.d/
          # ./snmpd stop
          # ./snmpd start
  5. サブエージェントを起動します。

    ファイル https-admserv/config/logs/pid.httpagt が存在する場合はそれを削除します。


    $ rm ./https-admserv/config/logs/pid.httpagt

    httpagt がすでに稼働中の場合はそれを終了させます


    wadm> start-snmp-subagent hostname

ProcedureWindows で SNMP を有効にする

  1. SNMP パラメータを構成します。

    構成の SNMP パラメータを設定します。


    wadm> set-snmp-prop --user=admin --host=funland --port=1893 --config=test 
    enabled=true master-host=masterhost-name organization=organization-name 
    location=location-name contact=contact-name description=description-name
  2. システムパス環境変数に install-root/ lib ディレクトリを追加します。

  3. マシンを再起動します。

  4. Windows のサービスオプションを使って Web Server インスタンスを起動します。

  5. SNMP サービスを起動します。

Procedureピアベースのマスターエージェント (magt) を構成する

次の手順に従えば、Solaris 10 および Linux 上の OS ネイティブマスターエージェントと統合されるようにピアベースのマスターエージェントを構成することができます。


注 –

Solaris 10 の OS ネイティブマスターエージェントは、snmpd です。デフォルトでは、これは SNMP のデフォルト UDP ポート 161 上で実行されます。これは、/etc/sma/snmp/snmpd.conf ファイルを使って構成可能です。これは、ほかのマスターエージェントやサブエージェントに要求/応答を転送するためのプロキシ指令を提供します。詳細については、snmpd.conf のマニュアルページを参照してください。

Solaris 8 および 9 の場合、OS ネイティブマスターエージェント snmpd との明確な統合は存在しません。Linux の場合、httpagt を snmpd に直接統合することができます。そうした場合、magt を実行する必要はありません。Windows の場合、Sun Java System Web Server の snmp ライブラリが Windows の SNMP サービスと直接通信します。


  1. 上の注で説明したように、SNMP ポート (11161) を指定してマスターエージェントを起動します。

  2. Solaris 10 の /etc/sma/snmp/snmpd.conf に次の行を追加します。


    proxy -v 1 -c public myserver:11161 .1.3.6.1.4.1.42.2.190.1
  3. snmpd を再起動します。


    # cd /etc/init.d
    # init.dmi stop; init.snmpdx stop; init.sma stop
    # init.dmi start; init.snmpdx start; init.sma start
  4. SNMP データを取得するには、snmpwalk をポート上で使用します。


    $ snmpwalk -c public -v 1 <host-name>:<port> 1.3.6.1.4.1.42.2.190.1