Sun Java System Web Server 7.0 管理ガイド

WebDAV の一般的な用語

この節では、WebDAV を扱う際に目にする一般的な用語について、簡単に説明します。

URI: URI (Uniform Resource Identifier) はファイル識別子の 1 つであり、省略形の URL を使用することで追加のセキュリティー層を提供します。URL の最初の部分が URL マッピングで置換されるため、ファイルの完全な物理パス名がユーザーからわからないようになります。

ソース URI: ソース URI という用語は、リソースのソースへのアクセスが可能な URI を意味します。ソース URI の概念を理解するために、次のような例を考えます。

JSP ページ foo.jsp が URI /docs/date.jsp に格納されています。このページには HTML マークアップと Java コードが含まれていますが、この Java コードは実行時に、クライアントのブラウザ上に現在日付を出力します。サーバーは、foo.jsp の GET 要求をクライアントから受信すると、そのページを送信する前に Java コードを実行します。クライアントが受信するのは、サーバー上に存在している状態の foo.jsp ではなく、動的に生成された、現在日付が表示されたページです。

たとえば、/publish/docs というソース URI を作成し、それを foo.jsp を含む /docs ディレクトリにマップした場合、/publish/docs/foo.jsp に対する要求は、/docs/foo.jsp JSP ページのソースコードに対する要求になります。この場合、サーバーは Java コードを実行せずにページを送信します。クライアントは、ディスク上に格納された状態のままの、未処理のページを受信します。

したがって、ソース URI に対する要求は、リソースのソースに対する要求になります。

コレクション: WebDAV コレクションとは、WebDAV 操作に対応したリソースまたは一連のリソースのことです。コレクションには一連の URI が含まれますが、これらはメンバー URI と呼ばれ、WebDAV に対応した各メンバーリソースを識別します。

メンバー URI: コレクション内の一連の URI のメンバーになっている URI。

内部メンバー URI: コレクションの URI の直接の相対パスになっているようなメンバー URI。たとえば、URL http://info.sun.com/resources/info のリソースが WebDAV に対応しており、URL http://info.sun.com/resources/ のリソースも WebDAV に対応している場合、URL http://info.sun.com/resources/ のリソースはコレクションであり、http://info.sun.com/resources/info を内部メンバーとして含みます。

プロパティー: リソースについての記述情報を含む名前と値のペア。プロパティーは、リソースの検索や管理を効率的に行うために使用されます。たとえば、「creationdate」プロパティーを使えば、すべてのリソースのインデックス作成をリソースの作成日付に基づいて行えますし、「author」プロパティーを使えば、それを作成者名に基づいて行えます。

ライブプロパティー:サーバーによって管理されるプロパティー。たとえば、getcontentlength ライブプロパティーはその値として、GET 要求によって返されるエンティティーの長さを持ちますが、この値はサーバーによって自動計算されます。ライブプロパティーには次のものがあります。

デッドプロパティー:サーバーによって管理されないプロパティー。デッドプロパティーの場合、サーバーはその値を記録するだけです。その整合性を維持する責任はクライアントにあります。

Sun Java System Web Server がサポートするライブプロパティーは、次のとおりです。


注 –

Sun Java System Web Server がサポートするライブプロパティー executable を使えば、クライアントがリソースに関連付けられたファイルアクセス権を変更できます。

executable ライブプロパティーに対する PROPPATCH 要求の例を、次に示します。

PROPPATCH /test/index.html HTTP/1.1

Host: sun

Content-type: text/xml

Content-length: XXXX

<?xml version="1.0"?>

<A:propertyupdate xmlns:A="DAV:" xmlns:B="http://apache.org/dav/props/">

<A:set>

<A:prop>

<B:executable>T</B:executable>

</A:prop>

</A:set>

</A:propertyupdate>


ロック: リソースをロックする機能は、あるユーザーが編集しているリソースを別のユーザーが変更しないことを保証する機構を提供します。ロックを使えば上書きの衝突を回避でき、「失われた更新」の問題を解決できます。

Sun Java System Web Server がサポートするロックは 2 種類あります。共有と排他です。

新しい HTTP ヘッダー: WebDAV は HTTP/1.1 プロトコルを拡張することで機能します。クライアントが WebDAV リソースに対する要求を伝えるための HTTP ヘッダーが、新たに定義されています。それらのヘッダーを次に示します。

新しい HTTP メソッド: WebDAV では、WebDAV 対応サーバーに要求の処理方法を指示する新しい HTTP メソッドが、いくつか導入されました。GETPUTDELETE などの既存の HTTP メソッドに加えてそれらのメソッドを使用することで、WebDAV トランザクションが実行されます。新しい HTTP メソッドの簡単な説明を、次に示します。