Sun Java System Web Server 7.0 管理ガイド

ユースケース

Sun Java System Web Server のサーバーインスタンスは、セキュリティー保護された HTTP リスナー、セキュリティー保護されていない HTTP リスナーのどちらでも、任意の数だけ持つことができます。IP アドレスベースの仮想サーバー、URL ホストベースの仮想サーバーのいずれも作成できます。

どの仮想サーバーも、独自の ACL リスト、独自の mime.types ファイル、および独自の一連の Java Web アプリケーションを持つことができます (ただし、必ずしも持つ必要はない)。

このような設計になっているため、ユーザーは、さまざまなアプリケーション向けに極めて柔軟にサーバーを構成できます。次の例では、Sun Java System Web Server で利用可能な構成のいくつかについて説明します。

デフォルトの構成

Sun Java System Web Server を新規インストールした場合、サーバーインスタンスが 1 つ存在しています。このサーバーインスタンスには HTTP リスナーが 1 つだけ存在しますが、このリスナーは、使用するコンピュータが構成されている任意の IP アドレスを、ポート 80 (またはインストール時に選択されたポート) 上で待機します。

ローカルネットワーク内の何らかの機構により、使用するコンピュータが構成されているアドレスのそれぞれについて、名前とアドレスのマッピングが確立されます。次の例では、コンピュータは 2 つのネットワークインタフェースを持っています。アドレス 127.0.0.1 のループバックインタフェース (ネットワークカードが存在しなくても存在しているインタフェース) と、アドレス 10.0.0.1 の Ethernet インタフェースです。

名前 example.com は DNS 経由で 10.0.0.1 にマップされています。待機ソケットは、そのマシンが構成されている任意のアドレスをポート 80 上で待機するように構成されています (「ANY:80」または「0.0.0.0:80」)。

この構成の場合、次の各場所に接続するとサーバーにアクセスでき、仮想サーバー VS1 のサービスを受けることができます。

従来型の Web サーバー用途では、この構成を使用します。別の仮想サーバーや HTTP リスナーを追加する必要はありません。

サーバーのセキュリティー保護

「サーバーの SSL 設定」を参照してください。

イントラネットホスティング

Sun Java System Web Server のより複雑な構成の 1 つとして、サーバーがイントラネット配備向けにいくつかの仮想サーバーをホスティングする、というものがあります。たとえば、内部用のサイトが 3 つあり、それらのサイト上で従業員は、ほかのユーザーの電話番号の検索、構内の地図の閲覧、および情報サービス部門への要求の状態追跡を行えるものとします。これまで (この例の場合)、これらのサイトは、名前 phone.example.commaps.example.com、および is.example.com にマップされた異なる 3 つのコンピュータ上にホスティングされていました。

ハードウェアと管理のオーバーヘッドを最小限に抑えたければ、この 3 つのサイトすべてを、マシン example.com 上に存在する 1 つの Web サーバーに統合化することができます。この設定の実現方法は 2 つあります。URL ホストベースの仮想サーバーを使用する方法と、個別の HTTP リスナーを使用する方法です。どちらにも固有の利点と欠点があります。

URL ホストベースの仮想サーバーを使用したイントラネットホスティング

URL ホストベースの仮想サーバーは、設定は容易ですが、次の欠点があります。

また、アドレスごとに HTTP リスナーが 1 つずつ用意される、IP アドレスベースの構成を設定することも可能です。

個別の HTTP リスナーを使用したイントラネットホスティング

IP アドレスベースの仮想サーバーに対する利点は、次のとおりです。

欠点は次のとおりです。

どちらの構成の場合にも、3 つの名前について、名前とアドレスのマッピングを設定する必要があります。IP アドレスベースの構成では、それぞれの名前が異なるアドレスにマップされます。ホストマシンがこれらすべてのアドレスへの接続を受信するように、ホストマシンを設定する必要があります。URL ホストベースの構成では、すべての名前を同じアドレスに、具体的にはマシンがもともと持っていたアドレスに、マップできます。

複数の HTTP リスナーを含む構成を使用すると、パフォーマンスがわずかに向上することがあります。なぜなら、受信した要求の対象となるアドレスをサーバーが調べる必要がないからです。ただし、複数の HTTP リスナーを使用する場合には、追加のアクセプタスレッドが必要となるため、メモリーとスケジューリングに関する別のオーバーヘッドも発生します。

大規模ホスティング

大規模ホスティングとは、低トラフィックの仮想サーバーを多数有効にするような構成のことです。たとえば、低トラフィックの個人のホームページを多数ホスティングする ISP は、このカテゴリに該当します。

仮想サーバーは通常、URL ホストベースとなります。たとえば、ある構成では静的コンテンツのみを有効にし、別の構成では静的コンテンツと CGI を有効にする、といったことが可能になります。