Sun Java System Web Server 7.0 パフォーマンスのチューニング、サイジング、およびスケーリング

マルチプロセスモード

複数のプロセスと各プロセス内の複数のスレッドを使って要求を処理するように、サーバーを構成することができます。この柔軟性により、スレッドを使用するサイトで最適なパフォーマンスを実現できるだけでなく、スレッド化された環境内で実行する準備が整っていない旧バージョンのアプリケーションを実行するサイトで、下位互換性を維持することができます。Windows 上のアプリケーションは一般に、すでにマルチスレッドを活用しているため、この機能は UNIX および Linux プラットフォームに適用されます。

マルチプロセスの利点は、スレッドを認識しないかスレッドに対して安全でない旧バージョンのアプリケーションを、Sun Java System Web Server 内でより効果的に実行できるという点です。ただし、Sun Java System 拡張はどれもシングルプロセスのスレッド化環境をサポートするように構築されているため、それらの拡張がマルチプロセスモードでは動作しない可能性があります。サーバーがマルチプロセスモードになっていると検索プラグインの起動が失敗し、セッションレプリケーションが有効になっていると、マルチプロセスモードでのサーバーの起動が失敗します。

マルチプロセスモードの場合、サーバーは起動時に、複数のサーバープロセスを生成します。各プロセスには、受信要求を受け取るためのスレッドが、構成に応じて 1 つ以上含まれます。各プロセスは完全に独立しているため、グローバル変数、キャッシュ、およびその他のリソースの独自のコピーを持ちます。複数のプロセスを使用する場合、多くのリソースがシステムに必要です。また、共有状態を必要とするアプリケーションのインストールを試みる場合、そのアプリケーションは複数のプロセス間でその状態の同期を取る必要があります。NSAPI には、プロセス間の同期を実装するためのヘルパー機能は用意されていません。

MaxProcs 値として 1 より大きい値を指定すると、サーバーは、複数のサーバープロセス間で接続を分散する処理をオペレーティングシステムに依頼します (MaxProcs 指令については「MaxProcs (UNIX/Linux)」を参照)。ただし、最近のオペレーティングシステムの多くは、同時接続数が少ない場合は特に、接続を均等に分散しません。

Sun Java System Web Server はサーバープロセス間での均等な負荷分散を保証できないため、スレッドに対して安全でない旧バージョンのアプリケーションに対応するために「最大スレッド数」を 1 に、MaxProcs を 1 より大きい値にそれぞれ設定すると、パフォーマンスの問題が発生する可能性があります。旧バージョンのアプリケーションにバックエンドデータベースが含まれている場合など、旧バージョンのアプリケーションが要求に応答するまでに長い時間がかかる場合には特に、この問題が顕著になります。このシナリオではおそらく、「最大スレッド数」にデフォルト値を使用し、旧バージョンのアプリケーションへのアクセスをスレッドプールを使って直列化するのが適切です。スレッドプールの作成方法の詳細については、『Sun Java System Web Server 7.0 Administrator’s Configuration File Reference』「thread-pool-init」を参照してください。

サーバー内で NSAPI を 1 つも実行しない場合には、次のデフォルト設定を使用するべきです。1 つのプロセスと多数のスレッド。スレッド化された環境内でのスケーラビリティーを持たないアプリケーションを実行する場合には、少数のプロセスと多数のスレッド、具体的には 4 個または 8 個のプロセスと、1 プロセスあたり 128 個または 512 個のスレッドなどを使用するべきです。

MaxProcs (UNIX/Linux)


注 –

MaxProcs は非推奨であり、下位互換性を維持するためだけに含まれています。


UNIX/Linux サーバーをマルチプロセスモードに設定するには、この指令を使用します。このモードを使えば、マルチプロセッサマシン上でのスケーラビリティーが向上する可能性があります。これを 1 より小さい値に設定すると、その値は無視され、デフォルト値の 1 が使用されます。

MaxProcs の値を設定するには、magnus.conf 内の MaxProcs パラメータを編集します。


注 –

サーバーを MaxProcs モードで実行すると、起動メッセージが重複して表示されます。