Sun Java System Web Server 7.0 Update 3 管理ガイド

セッションレプリケーション

セッションレプリケーションとは、あるセッション内に格納されたデータを異なるインスタンス間でレプリケートするために使用される機構のことです。ただし、レプリケート対象インスタンスは、同じクラスタの一部になっている必要があります。クラスタ環境でセッションレプリケーションが有効になると、セッションデータの全体がレプリケート対象インスタンスにコピーされます。ただし、セッションレプリケーションの処理では、セッション内の直列化可能でない属性やインスタンスに固有のあらゆるデータはコピーされません。

セッションレプリケーションと負荷分散を組み合わせると、Web アプリケーションのフェイルオーバー機能を効率的に実現できます。

セッションレプリケーションとフェイルオーバーの動作

この節では、セッションレプリケーションの動作について詳しく説明します。

Web Server は Web 要求の終了時に、サーバー構成ファイル server.xml 内に格納されたセッションレプリケーション構成に基づいてセッションデータをコピーする必要があるかどうかを判定します。

ここで、4 つのインスタンスが 1 つのクラスタを形成しており、管理サーバー上でセッションレプリケーションが有効になっている、というユースケースを考えます。

4 つのインスタンス (A、B、C、および D) が 4 つのノード上で稼働している Web Server クラスタにおけるセッションレプリケーションの手順は、次のとおりです。

Web Server クラスタ環境におけるフェイルオーバーの手順は、次のとおりです。

Web Server 7.0 のセッションレプリケーションでサポートされていない機能は、次のとおりです。

セッションレプリケーションの有効化

クラスタのセッションレプリケーションの有効化は、管理コンソール、CLI のいずれかを使って行えます。セッションレプリケーションを有効化する前に、ブラウザの Cookie が有効になっていることを確認してください。

server.xml ファイルには、セッションレプリケーションに関する情報が含まれています。セッションレプリケーションが有効化されたサンプル server.xml ファイルを、次に示します。

<cluster>
		<local-host>hostA</local-host>
			<instance>
         <host>hostB</host>
      </instance>
      <instance>
          <host>hostC</host>
      </instance>
       <instance>
          <host>hostD</host>
      </instance>
      <instance>
           <host>hostA</host>
    <session-replication/>
</cluster>
			

次の各要素のデフォルト値を使用する場合、それらの要素のエントリは server.xml 構成ファイル内に含まれません。

Port number (デフォルトは 1099)

Protocol (デフォルトは jrmp)

Encrypted (デフォルトは false)

Getattribute Triggers Replication (デフォルトは true)

Replica Discovery MaxHops (デフォルトは –1)

Startup Discovery Timeout (デフォルトは 0。システムのタイミング取得は Java API に依存。Unix ベースでないオペレーティングシステムでは正確ではない可能性がある)

Cookie Name (デフォルトは CLUSTERSESSIONLOCATOR )

これらのセッションレプリケーションプロパティーの詳細については、『Sun Java System Web Server 7.0 Update 3 Administrator’s Configuration File Reference 』を参照してください。

セッションレプリケーションのための Web アプリケーションの構成

サーバーがセッションをレプリケートできるようにするには、Web アプリケーションでもセッションレプリケーションを有効にする必要があります。

  1. Web アプリケーションのセッションレプリケーションを有効にするには、<web-application>/WEB-INF ディレクトリに格納された sun-web.xml 構成ファイルを変更します。

    sun-web.xml で次の変更を行う必要があります。

    要素 <session-manager/><session-manager persistence-type="replicated"> に変更します。

    セッションレプリケーションが有効化されたサンプル sun-web.xml ファイルを、次に示します。

    <sun-web-app>
    		<session-config>
         <session-manager persistence-type="replicated">
         </session-manager>
      </session-config>
    </sun-web-app>
  2. sun-web.xml ファイルを変更したあと、Web アプリケーションをビルドし直すかアプリケーションの JAR ファイルを作成し直すことで、Web アプリケーションアーカイブ (WAR ファイル) を作成します。

  3. すべてのインスタンスを再起動することで、その Web アプリケーションがすべてのインスタンスで利用可能になるようにします。

  4. Web アプリケーションには、クラスタ内のすべてのインスタンスからアクセスできます。Web アプリケーションにアクセスするには、ブラウザで次のように入力します。

    http://webserver-name/webapplication-name/


    注 –

    すべてのノードからアクセス可能なディレクトリが、配備用のアプリケーションを格納するための最良の方法です。ただし、このディレクトリには、管理サーバーからアクセスできる必要はありません。Web アプリケーションのサイズが 1M バイトを超える場合には、ディレクトリベースの配備を行うことをお勧めします。

    検索コレクションを作成する場合、すべてのノードからアクセス可能な共通ディレクトリ内に検索コレクションが存在していることを確認してください。