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Sun Java System Portal Server 6 2005Q1 管理ガイド 

第 1 章
Sun Java System Portal Server の管理の概要

Sun JavaTM System Portal Server 6 2005Q1 製品は、企業がさまざまなソースからコンテンツを引き出し、特定のユーザーまたはユーザーグループ用にコンテンツをパーソナライズし、これらの複数のソースのコンテンツを Web ブラウザなど特定ユーザーのデバイスに合わせて単一の出力形式に集約することができる一連の統合ソフトウェア製品です。

この章では、製品セットのアーキテクチャ、ポータルのエンドユーザーインタフェース、Portal Server ソフトウェアによって実装されるサービスの概要と設定方法、製品の管理に使用するツールについて簡単に説明します。この章で説明する内容は次のとおりです。


アーキテクチャの概要

Portal Server は Sun JavaTM System アーキテクチャの一部です。Sun Java System アーキテクチャ内で Portal Server はコンテンツの配置、接続、集約、表示、通信、パーソナライズ、通知、および配信を行うテクノロジーを提供します。Sun Java System 内のコンテンツは、Web サービスにより提供されます。Portal Server 自体は Web サービスを提供しません。Portal Server はユーザーインタフェースを Web サービスに関連付けるための、また Web サービスをユーザーにとって便利なものにするメカニズムです。

Portal Server 製品のアーキテクチャは、統合可能なさまざまなソフトウェア製品で構成されます。これにより、Portal Server は内部コンポーネントだけでなく、サポートされている外部製品が提供する機能やサービスも活用できます。Portal Server 自体には、デスクトップ、NetMail、リライタ、検索などの内部コンポーネントがあります。サポートされている外部製品には、Sun JavaTM System Web Server、SunTM Java System Directory Server、および Sun JavaTM System Access Manager (旧 SunTM ONE Identity Server) があります。Portal Server は、Web アプリケーションコンテナ、ユーザー、サービス、ポリシー管理、認証とシングルサインオン、管理コンソール、ディレクトリスキーマとデータストレージ、プロトコルのサポートを Portal Server 製品自体に実装するのではなく、これらの外部製品で実装します。たとえば、Portal Server 製品はデフォルトの Web コンテナとして Sun Java System Web Server を使用します。


Portal Server は、次の Web コンテナをサポートします。Sun Java System Web Server、Sun JavaTM System Application Server、IBM Websphere Application Server、さらに、BEA Weblogic Application Server も使用可能です。


Sun Java System Portal Server 2005Q1 は、次のコンポーネント製品を使用します。

また、その他の Portal Server アドオンソフトウェアもインストールできます (Sun JavaTM System Portal Server、Secure Remote Access など)。Portal Server のアーキテクチャについては、『Sun Java System Portal Server 6 2005Q1 配備ガイド』を参照してください。


ポータルアクセスの概要

通常、ユーザーは Web ブラウザを通じて、ポータルのホームページの URL を要求し、Sun Java System Access Manager 認証サービスを通じて認証することで、ポータルコンテンツにアクセスします。いったん認証されると、ユーザーに Portal Server デスクトップが表示されます。

図 1-1 は、Portal Server のデスクトップの例を示しています。

図 1-1 Portal Server デスクトップの例

この図はデスクトップの画面例です。この例には 3 つのタブが表示されています。「My Font Page」タブのチャネルが表示されています。

デスクトップは、ポータルコンテンツとのプライマリユーザーインタフェースです。デスクトップサービスは、サーブレット、プロバイダ API、さまざまなチャネル、その他の各種サポート API、およびユーティリティを通じて実装されます。デスクトップは、プロバイダと呼ばれるプログラム上のエンティティを使用してコンテンツを生成します。コンテンツの 1 単位をチャネルと呼びます。複数のチャネルのコンテンツをコンテナチャネルに集約し、デスクトップ上でテーブルまたはタブなどのさまざまな形式に編集できます。ユーザーがポータルにアクセスすると、デスクトップはユーザーのコンテンツ生成に使用されたコンテンツプロバイダとチャネルデータを格納したディスプレイプロファイルを参照します。ディスプレイプロファイルは、デスクトップでユーザーに表示される全体的なレイアウト、表示、あるいは組織を実際には定義しないので、誤解のないように注意してください。基本的に、ディスプレイプロファイルはチャネルのプロパティ値を提供するだけです。実際には、デスクトップは Sun Java System Directory Server のさまざまなレベルまたはノード (最上位、組織、ロール、およびユーザーレベル) に LDAP 属性として格納された複数のディスプレイプロファイルを使用して、ユーザーに表示するコンテンツを決定します。各レベルのディスプレイプロファイルのプロパティ定義、およびプロパティ値の LDAP ノードへのアップロードには、XML ドキュメントが使用されます。実行時に、各レベルで定義されたディスプレイプロファイルのプロパティをマージして、ユーザーのディスプレイプロファイルが作成されます。ディスプレイプロファイルドキュメントは各レベルで定義できますが、各レベルにディスプレイプロファイルドキュメントを指定する必要はありません。

指定したクライアントタイプ (HTML または MAPI) に基づいて、特定のプロパティ値を保存、取得できるように、Sun Java System Portal Server ソフトウェアには次のプロパティ情報が含まれます。


サービス設定の概要

Portal Server は Sun JavaTM Enterprise System アプリケーションであるため、そのサービスは Access Manager サービス管理システム (SMS) を使用して、定義および管理されます。サーバーに固有ではないサービス関連のデータは、SMS DTD (サービス管理システム文書型定義) に準拠した XML (Extensible Markup Language) ファイルを使用して定義されます。サーバー固有のデータは、個々のサーバーのローカルプロパティファイルに保存できます。各Portal Serverサービス (デスクトップ、Netmail、リライタ、検索) には、サービスに固有のデータを指定、変更するための独自の XML ファイルとプロパティファイルがあります。

Access Manager サービス

アーキテクチャの概要」で説明したように、Portal Server は Portal Server 自体には含まれていない Sun Java System アーキテクチャのサポート製品を使用して、多くの機能およびサービスを実装します。特に、以前のバージョンの Portal Server が多くの管理機能を内部的に実装していた場合、Access Manager との統合により、Portal Server は Access Manager 製品の次の管理ツールおよびサービスを、効果的に活用することができます。

Access Manager サービスの管理についての詳細は、第 6 章「認証、ユーザー、およびサービスの管理」を参照してください。

Portal Server サービス

標準の Access Manager サービス以外に、Portal Server は Access Manager 管理コンソールを使用して、内部サービス (デスクトップ、NetMail、リライタ、検索) を管理します。

デスクトップ

前の節で説明したように、デスクトップは Portal Server のプライマリエンドユーザーインタフェースを提供します。デスクトップは、プロバイダアプリケーションプログラミングインタフェース (PAPI) を使用して拡張可能な、コンテンツ集約のためのメカニズムを提供します。デスクトップには、コンテナ階層と、特定のチャネルを構築するための基本構築ブロックとを有効にするさまざまなプロバイダが表示されます。コンテンツプロバイダとチャネルデータを保存する場合、デスクトップは Access Manager サービスのトップで、ディスプレイプロファイルデータ保管の仕組みを実行します。ディスプレイプロファイルとその他のデスクトップサービスのデータは、管理コンソールで編集できます。デスクトップとディスプレイプロファイルの管理の詳細については、第 8 章「ポータルデスクトップサービスの管理」および第 10 章「ディスプレイプロファイルの管理」を参照してください。

リライタ

リライタは、HTML、JavaScriptTM、および WML などの各種 Web 言語形式、および HTTP ロケーションヘッダー (リダイレクト) 形式の、URL 参照を書き換えるための Java クラスライブラリを提供します。書き換え方法と書き換えるデータを定義するルールを保存するために、リライタは Access Manager サービスを定義します。リライタルールは、管理コンソールで編集できます。リライタの管理については、第 12 章「リライタサービスの管理」を参照してください。

検索エンジン

検索エンジンサービスは、デスクトップに基本および詳細検索チャネルとブラウザチャネルを提供します。検索エンジンサービスは、イントラネットで利用できるドキュメントのリソース記述を作成するためにロボットを使用し、これらのリソース記述をインデックス付きデータベースに格納します。リソース記述 (RD) は、他のサーバーまたはバックアップ SOIF (Summary Object Interchange Format) ファイルからインポートすることもできます。検索エンジンには、リソース記述を送信したり、データベースを検索したりするための Java および C の API が含まれています。検索エンジンデータベースは、他のコンテンツプロバイダのための共有コンテンツキャッシュのように、その他の任意のコンテンツを格納する場合にも使用できます。検索エンジンサービスのデータは、管理コンソールで編集できます。検索の管理については、第 13 章「検索エンジンサービスの管理」を参照してください。

NetMail

NetMail サービスは、電子メールクライアントの NetMail (Java) および NetMail Lite を実装しています。これらのクライアントは、標準の IMAP および SMTP サーバー環境で動作します。NetMail サービスのデータは、管理コンソールで編集できます。NetMail の管理については、第 11 章「NetMail サービスの管理」を参照してください。

WSRP

WSRP (Web Server Remote Portlets) を使用すると、リモートアプリケーションおよびコンテンツのポータルへの統合が簡単にできます。WSRP プロデューサと WSRP コンシューマは、管理コンソールを通じて管理できます。WSRP の管理については、第 9 章「Web Services for Remote Portlets (WSRP) サービスの管理」を参照してください。

SSO アダプタ

シングルサインオン (SSO) アダプタサービスを使用することで、エンドユーザーは Portal Server プロバイダやその他の Web アプリケーションなどのアプリケーションを使用し、1 回のサインオンだけで各種リソースサーバーに認証アクセスすることができます。アドレス帳、メール、およびカレンダサーバーにおける SSO の使用については、付録 A 「SSO アダプタテンプレートと設定」を参照してください。

登録

登録サービスを利用することで、ユーザーは多くの情報を網羅する興味対象のプロファイルを作成できます。詳細については、第 16 章「登録サービスの管理」を参照してください。

Portal Server サービスのための設定の仕組み

Portal Server はさまざまな設定の仕組みを使用して、サービスを定義、保存、管理します。ここでは 5 つの表で、Portal Server の各内部サービスで使用される設定の仕組みを説明します。

表 1-1 は、デスクトップサービスの設定の仕組みを示しています。この表には、「設定の仕組み」と「説明」という 2 つの列があります。「設定の仕組み」はメカニズムを、「説明」はメカニズムの目的を示します。

表 1-1 Portal Server デスクトップ設定の仕組み

設定の仕組み

説明

デスクトップサービスの定義

デスクトップサービスの Access Manager の設定属性を定義します。詳しい XML 参照情報については、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Service Guide』を参照。

デスクトップディスプレイプロファイル XML DTD

プロバイダとチャネルオブジェクト、およびそれらのプロパティを定義することで、デスクトップの表示設定を定義します。詳しい XML 参照情報については、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Service Guide』を参照。

デスクトップ管理コンソールモジュール

Portal Server サービスを Access Manager フレームワークで管理するための手段を提供します。デスクトップサービスの設定属性の管理については、第 8 章「ポータルデスクトップサービスの管理」を参照。ディスプレイプロファイルの管理については、第 10 章「ディスプレイプロファイルの管理」を参照。

デスクトップ CLI

製品管理のための dpadmin および par コマンドユーティリティを提供します。コマンド行ユーティリティの管理についての詳細は、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Reference Guide』を参照。

デスクトップ設定プロパティファイル

デスクトップサービスのサーバー固有パラメータを定義します。検索設定プロパティについての詳細は、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Reference Guide』を参照。

表 1-2 は、検索サービスの設定の仕組みを示しています。この表には、「設定の仕組み」と「説明」という 2 つの列があります。「設定の仕組み」はメカニズムを、「説明」はメカニズムの目的を示します。

表 1-2 Portal Server 検索設定の仕組み

設定の仕組み

説明

検索サービス定義

検索サービスのための Access Manager の設定属性を定義します。スキーマ参照についての詳細は、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Reference Guide』を参照。

検索管理コンソールモジュール

Portal Server 検索サービスのデータを Access Manager フレームワークで管理するための手段を提供します。詳細については、第 13 章「検索エンジンサービスの管理」を参照してください。

検索 CLI

製品管理のための rdmgrsendrdm、および StartRobot コマンドユーティリティを提供します。コマンド行ユーティリティの管理についての詳細は、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Reference Guide』を参照。

検索設定プロパティファイル

検索サービスのサーバー固有パラメータを定義します。検索設定プロパティについての詳細は、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Reference Guide』を参照。

ロボット設定ファイル

検索エンジンロボットの動作を定義します。ロボット設定ファイルには 4 種類あります。詳細については、第 14 章「検索エンジンロボットの管理」および第 15 章「定義済みのロボットアプリケーション関数」を参照。

表 1-3 は、リライタサービスの設定の仕組みを示しています。この表には、「設定の仕組み」と「説明」という 2 つの列があります。「設定の仕組み」はメカニズムを、「説明」はメカニズムの目的を示します。

表 1-3 Portal Server リライタ設定の仕組み

設定の仕組み

説明

リライタサービス定義

リライタサービスのための Access Manager の設定属性を定義します。スキーマ参照についての詳細は、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Reference Guide』を参照。

リライタルール XML DTD

詳しい XML 参照情報については、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Reference Guide』を参照。

リライタ管理コンソールモジュール

Portal Server リライタサービスのデータを Access Manager フレームワークで管理するための手段を提供します。詳細については、第 12 章「リライタサービスの管理」を参照してください。

リライタ CLI

製品管理のための rwadmin コマンドユーティリティを提供します。コマンド行ユーティリティの管理についての詳細は、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Reference Guide』を参照。

表 1-4 は、NetMail サービスの設定の仕組みを示しています。この表には、「設定の仕組み」と「説明」という 2 つの列があります。「設定の仕組み」はメカニズムを、「説明」はメカニズムの目的を示します。

表 1-4 Portal Server NetMail 設定の仕組み

設定の仕組み

説明

NetMail サービス定義

NetMail サービスのための Access Manager の設定属性を定義します。スキーマ参照についての詳細は、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Reference Guide』を参照。

NetMail 管理コンソールモジュール

Portal Server NetMail サービスのデータを Access Manager フレームワークで管理するための手段を提供します。詳細については、第 11 章「NetMail サービスの管理」を参照してください。


管理の概要

ここでは、Access Manager コンソールとコマンド行の両方から行う Portal Server の管理の概要について説明します。

Access Manager コンソールの使用

Portal Server と Access Manager のサービスの管理には、Access Manager が提供する HTML ベースの管理コンソールを使用します。Portal Server は、Access Manager コンソールを拡張し、Portal Server に固有のサービスの管理モジュールを追加します。コンソールを使用して実際に行う作業の詳細については、本書の各章を参照してください。

Access Manager コンソールは、3 つのセクションに分割されています。ロケーションパネル、ナビゲーションパネル、およびデータパネルです。管理者はこの 3 つのパネルを使用して、ディレクトリの切り替え、ユーザーとサービスの設定、およびポリシーの作成を行います。図 1-2 は、管理コンソールを示しています。

図 1-2 Sun Java System Access Manager 管理コンソール

Identity Server 管理コンソール

ロケーションパネル

ロケーションパネルは、コンソールの上部に表示されます。最上部のメニューを使用すると、管理者は次の 4 つの管理画面を切り替えることができます。

「ようこそ」フィールドには、現在コンソールを実行しているユーザー名とそのユーザープロファイルへのリンクが表示されます。

「ヘルプ」リンクは、『Attribute Reference Guide』の付録 C、D、E、F の HTML バージョンを表示するためのブラウザウィンドウを開きます。

「ログアウト」リンクを使用すると、ユーザーは Access Manager コンソールからログアウトできます。

ナビゲーションパネル

ナビゲーションパネルは、コンソールの左側部分です。パネルの上部にディレクトリオブジェクトの区画があり、現在開いているディレクトリオブジェクトの名前とそのプロパティへのリンクが表示されます。「表示」メニューは、選択したディレクトリオブジェクト内のディレクトリをリストします。サブディレクトリの数により、ページングメカニズムが機能します。

データパネル

データパネルは、コンソールの右側部分です。オブジェクト属性とその値は、ここで表示、設定されます。それぞれのグループ、ロール、組織のエントリは、このパネルで選択されます。

コマンドラインユーティリティの使用

Portal Server コマンド行インタフェースは、Access Manager と Portal Server で提供されるユーティリティで構成されます。

Portal Server コマンド行ユーティリティの完全なリストと構文については、『Sun Java System Portal Server 2005Q1 Technical Reference Guide』を参照してください。Access Manager 製品のコマンド行ユーティリティについては、同製品のマニュアルを参照してください。



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