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Sun ONE Calendar Server 6.0 管理者ガイド

第 2 章
Calendar Server ユーザーとカレンダーの管理

この章では、Calendar Server のコマンド行ユーティリティを使用して、ユーザーカレンダーとリソースカレンダーの両方を含むカレンダーとユーザーをプロビジョニングおよび管理する方法について説明します。

この章で説明する内容は次のとおりです。

Calendar Server のユーザーとカレンダーのプロビジョニングおよび管理には、次のコマンド行ユーティリティを使用します。

コマンド行ユーティリティを実行するには、Calendar Server が稼動しているシステムの管理権限を持つユーザーとしてログインする必要があります。詳細については、第 11 章「Calendar Server のコマンド行ユーティリティ」を参照してください。


Calendar Server の新規ユーザーのプロビジョニング

ここでは、Calendar Server の新規ユーザーのプロビジョニングについて次の情報を提供します。

ディレクトリサーバー要件

Calendar Server を使用するには、カレンダーユーザーをディレクトリサーバーに格納しておくことが必要です。そうしておくと、Calendar Server はディレクトリサーバーを使用して、ユーザーの認証およびユーザー設定の格納と検索を実行します。

Calendar Server のデフォルトのインストールは、Sun ONE Directory Server などの LDAP ディレクトリサーバーに定義されたユーザーをサポートします。ユーザーがすでに LDAP ディレクトリに格納されている場合は、単にディレクトリサーバーを Sun ONE Directory Server にアップグレードするだけで、ユーザーが Calendar Server にアクセスする上で必要となるスキーマ拡張をサポートできます。

Sun ONE Directory Server のインストールと設定については、次の Web サイトで入手できるマニュアルを参照してください。

http://docs.sun.com/coll/S1_DirectoryServer_52

ディレクトリスキーマを手動で変更し、ユーザーが Calendar Server データにアクセスできるようにすることもできます。詳細については、『Sun ONE Calendar Server 6.0 インストールガイド (Solaris 版)』を参照してください。

Calendar Server ユーザーに必要な LDAP mail 属性

Calendar Server 6.0 (以降) では、ユーザーカレンダーとリソースカレンダー (たとえば、会議室やノートパソコン、OHP などの機器のためのカレンダー) の両方でユーザーが LDAP mail 属性を持つ必要があります。また、実際には電子メールを使用しない場合でも、各リソースカレンダーに電子メールアドレスが必要です。

LDAP mail 属性は、次のように追加します。

既存の 5.x インストール : cs5migrate 移行ユーティリティを実行する前に、ユーザーカレンダーとリソースカレンダーの両方のユーザーに mail 属性を追加します。mail 属性を追加するには、Calendar Server の csattribute ユーティリティ、または Directory Server の ldapmodify などのユーティリティを使用します。

6.0 の新規インストール : Calendar Server の csattribute または Directory Server の ldapmodify などのユーティリティを使用して、ユーザーカレンダーとリソースカレンダーの両方の既存ユーザーに LDAP mail 属性をプロビジョニングします。

新しいカレンダーを作成する場合や、インストール後の新規ユーザーについては、必要な -m email オプションを使用して、次の Calendar Server ユーティリティを実行して電子メールアドレスを指定します。

cs5migrate 移行ユーティリティについては、『Sun ONE Calendar Server 6.0 インストールガイド (Solaris 版)』を参照してください。

ldapmodify ユーティリティについては、次の Web サイトで入手できる『Sun ONE Directory Server Resource Kit Tools Reference』を参照してください。

http://docs.sun.com/coll/S1_DirectoryServer_52

 

例 : リソースカレンダーへの LDAP mail 属性の追加

次の例では「Room100」という会議室の LDAP mail 属性を sesta.com サーバーに追加します。この例では、Sun ONE Messaging Server を使用しています。別の電子メールサーバーを利用している場合は、同様のプロセスについてその製品のマニュアルを参照してください。

  1. csattribute 属性を使用して LDAP サーバーに mail 属性を追加します。
  2. # ./csattribute -a mail=Room100@sesta.com add Room100

  3. -v (verbose、詳細出力) オプションを指定して csattribute list コマンドを実行し、属性が設定されたことを確認します。
  4. # ./csattribute -v list Room100

    ...

    cn=Room 100,ou=conferenceRooms,dc=sesta,dc=com has mail: Room100@sesta.com

例 : リソース電子メール用の bitbucket チャネルの設定

次の例は、リソースカレンダー用に生成される電子メールのために、Sun ONE Messaging Server または Sendmail の同等製品の bitbucket チャネルを設定します。この例では、sesta.com サーバー上の「Room100」というリソースを使用します。bitbucket チャネル (または同等機能) を設定しない場合、リソースカレンダーに送信される電子メールメッセージを定期的に削除する必要があります。

Sun ONE Messaging Server を利用している場合は、次の手順を実行します。

  1. imta.cnf ファイルに bitbucket チャネルが定義されていることを確認します。
  2. メッセージの送信先を bitbucket チャネルに設定するには、csresource ユーティリティを使用してリソースの電子メールアドレスを作成します。
  3. # ./csattribute -a mail=Room100@bitbucket.sesta.com add Room100

Sendmail を利用している場合は、次の手順を実行します。

  1. 適切なホストの /etc/aliases ファイルに次のようなエントリを追加します。
  2. # Resource/Conference room aliases
    Room100: /dev/null

  3. csresource ユーティリティを使用して、リソースの電子メールアドレスを LDAP ディレクトリに追加します。
  4. # ./csattribute -a mail=Room100@sesta.com add Room100

 


これらの変更を有効にするには、エイリアスのテーブルまたは設定の再構築が必要となる場合があります。Sun ONE Messaging Server (または使用するその他の電子メール製品) のマニュアル、およびメールサービスの変更に関するサイト固有のドキュメントおよび手順を参照してください。Sun ONE Messaging Server のマニュアルは、次の Web サイトで入手できます。

http://docs.sun.com/coll/S1_MsgServer_60


電子メールのエイリアス (mailalternateaddress 属性)

カレンダーユーザー用電子メールのエイリアスを設定するときは、LDAP の mailalternateaddress 属性を使用します。LDAP mail 属性は主要メールアドレスを提供し、LDAP mailalternateaddress 属性は電子メールのエイリアスに使用されます。どちらの属性も、メールアドレスをユーザーのカレンダー ID (calid) にマッピングします。

ここでは、John Smith という名前のユーザーの mailalternateaddress 属性に対し、以下の値を追加することを例にあげて説明します。

次の Calendar Server ユーティリティコマンドを使用します。

# ./csuser -g John -s Smith -y password -l en -m john.smith@sesta.com -c johnsmith create johnsmith
# ./csattribute -a mailalternateaddress=johns@sesta.com add johnsmith
# ./csattribute -a mailalternateaddress=jsmith@sesta.com add johnsmith

 

カレンダー識別子 (calid)

Calendar Server データベース内の各カレンダーは、一意のカレンダー識別子 (ID) または calid によって識別されます。calid の形式は次のとおりです。

userid[@domain][:calendar-name]

ここで、

userid はユーザー ID です。

domain はユーザーのドメイン名で、省略可能です。デフォルト値は、service.defaultdomain パラメータによって指定される値です。

calendar-name はカレンダー名で、省略可能です。

カレンダー ID の大文字と小文字は区別されます。たとえば、JSMITHjsmith は別の ID として認識されます。(この区別の方法は、メールアドレスの場合とは異なる。メールアドレスは大文字と小文字が区別されない。たとえば、jsmith@sesta.comJSMITH@SESTA.COM では、同じアドレスを指す。)

カレンダー ID に空白文字を含めることはできません。使用できる文字は次の文字に限定されています。

カレンダー ID の例には、jsmithjsmith@calendar.sesta.com:new-caljsmith:private_calendar などがあります。

ユーザー ID は calid の一部であるため、ユーザー ID に空白文字を含める (たとえば j smith) ことはできません。空白文字が含まれるユーザー ID を持つユーザーは Calendar Server にログインすることはできますが、空白文字によってログイン後に問題が生じる可能性があります。

CLD (Calendar Lookup Database) プラグイン

複数のバックエンドサーバーにカレンダーデータベースを配布している場合、Calendar Server はプラグインを使用してカレンダーが実際に格納されているサーバーを特定します。Calendar Server は、DWP (データベースワイヤプロトコル) を使用してバックエンドサーバー上のカレンダーデータにアクセスします。DWP は csdwpd サービスとして実行される内部プロトコルで、カレンダーデータベースのネットワーク機能を提供します。

Calendar Server は、ics.conf ファイルの caldb.cld.type パラメータの値に応じてプラグインをロードします。

特定ユーザーのカレンダー機能の有効性の確認

ディレクトリサーバー内の特定のユーザーが Calendar Server データにアクセスできるかどうかを調べるときは、csuser ユーティリティの check コマンドを使用します。

たとえば、JSmith のカレンダー機能が有効であるかどうかを調べるときは、次のように実行します。

csuser check JSmith

ユーザーが LDAP ディレクトリサーバーに存在しないことを check コマンドが検出した場合は、そのユーザーのディレクトリサーバーエントリを作成する必要があります。

新規ユーザーのプロビジョニング

csuser ユーティリティを使用して、LDAP ディレクトリサーバーにエントリを作成し、そのユーザーのカレンダー機能を有効にすることができます。また、ldapsearchldapmodify などの Sun ONE Directory Server ユーティリティを使用することもできます。これらのユーティリティについては、次の Web サイトで入手できる Sun ONE Directory Server のマニュアルを参照してください。

http://docs.sun.com/coll/S1_DirectoryServer_52

LDAP ディレクトリ内にすでにユーザーが存在する場合は、そのユーザーのカレンダーを手動または自動で作成できます。

ユーザーが、カレンダー機能が有効でない別のユーザー (つまり、デフォルトカレンダーを持たないユーザー) に要求を送信すると、Calendar Server はカレンダーが見つからないことを示すエラーを送信元ユーザーに返します。

新しいカレンダーの作成

新しいカレンダーを作成するには、cscal ユーティリティの create コマンドを使用します。ユーザー (ユーザーID) はディレクトリサーバーにすでに存在している必要があります。

サイトが LDAP CLD (Calendar Lookup Database) プラグインを使用している場合は、ユーザーの icsDWPHost LDAP 属性によって示される、ユーザーのカレンダーの存在場所 (または存在することになる場所) と同じバックエンドサーバーに新規カレンダーを作成する必要があります。別のバックエンドサーバーにカレンダーを作成しようとすると、cscal ユーティリティはエラーを返します。LDAP CLD プラグインについては、「LDAP CLD (Calendar Lookup Database) プラグインの設定」を参照してください。

たとえば、JSmith というカレンダー ID (calid) を持つカレンダーを新規作成するには、次のように実行します。

cscal -o JSmith -n JohnSmithCalendar create JSmith

ここで、

JSmith が所有する Hobbies という表示名のカレンダーを作成し、グループスケジュール機能のアクセス制御設定を適用するには、次のように実行します。

cscal -n Hobbies -o JSmith create Personal

ここで、

次の例は、前の例に似たカレンダーを新規作成しますが、カレンダーを sports というカテゴリに関連付け、複数のユーザーからの予約を有効にして RJones というもう一人の所有者を指定します。

cscal -n Hobbies -o JSmith -g sports -k yes -y RJones create Personal

ここで、

次の例は、前の例と似たカレンダーを作成しますが、グループスケジュール機能のアクセス制御設定が適用されます。

cscal -n Hobbies -o JSmith -a "@@o^a^sfr^g" create Personal

ここで、-a "@@o^a^sfr^g" は、このカレンダーのコンポーネントとカレンダーの両方のプロパティに対するグループスケジュール機能のスケジュール権限、空き時間 / 予定ありの設定権限、読み取りアクセス権限を、他の所有者に与えます。


Calendar Server ユーザーの管理

ユーザーのプロビジョニングが完了すると、csuser ユーティリティを使用して次の管理タスクを実行できます。

ユーザー情報の表示

すべてのカレンダーユーザーを表示したり、特定ユーザーのカレンダー属性を確認するときは、csuser ユーティリティの list コマンドを使用します。

たとえば、カレンダー機能が有効なすべてのユーザーを表示するには、次のように実行します。

csuser list

JSmith という単一ユーザーのすべてのカレンダー属性を表示するには、次のように実行します。

csuser -v list JSmith

ユーザーの無効化と有効化

ユーザーが Calendar Server にログインできないようにするには、csuser ユーティリティの disable コマンドを使用します。disable コマンドは、ユーザーがカレンダーデータにアクセスできないようにしますが、ディレクトリサーバーや Calendar Server データベースからユーザーの情報を削除するわけではありません。

たとえば、JSmith による Calendar Server へのアクセスを無効にするには、次のように実行します。

csuser disable JSmith

このコマンドを実行することで、JSmith は Calendar Server にログインしてカレンダーデータにアクセスすることができなくなりますが、JSmith のデータはカレンダーデータベースから削除されません。ただし、JSmith が現在 Calendar Server にログインしている場合は、ログオフするまで JSmith はカレンダーデータへのアクセスを維持できます。

ユーザーによる Calendar Server へのアクセスを有効化し、オプションとしてデフォルトカレンダーなどの設定を割り当てるときは、csuser ユーティリティの enable コマンドを使用します。

たとえば、JSmith によるアクセス (Calendar Server へのログイン) を有効化し、JSmith にデフォルトカレンダーを割り当てるには、次のように実行します。

csuser jsmith enable JSmith

ユーザーの削除

Calendar Server ユーザーを削除するときは、csuser ユーティリティの delete コマンドを使用します。


警告

csuser ユーティリティのdelete コマンドは、ユーザーのすべての Calendar Server 情報を LDAP サーバーから消去します。カレンダーデータベースがバックアップされている場合は、Calendar Server データベースの情報を復元できます。詳細については、第 6 章「Calendar Server データのバックアップと復元」を参照してください。

ただし、LDAP サーバーの情報を復元できるのは、専用の方法でバックアップを作成してある場合だけです。


たとえば、JSmith を Calendar Server から削除するには、次のように実行します。

csuser delete JSmith

ユーザー属性のリセット

指定したユーザーのすべてのカレンダー LDAP 属性をデフォルトの設定に戻すには、csuser ユーティリティの reset コマンドを使用します。

たとえば、JSmith のすべてのカレンダー属性をデフォルトの設定に戻すには、次のように実行します。

csuser reset JSmith


カレンダーユーザーをリセットすると、icsCalendarUser (オブジェクトクラス)、icsSubscribedicsCalendarOwnedicsCalendaricsDWPHost (LDAP CLD が設定されている場合) を含むすべてのカレンダー属性がユーザーの LDAP エントリから消去されます。Calendar Server 管理者がユーザーに代わってカレンダーを作成することはできません。

次の場合にユーザーの LDAP エントリにこれらの属性が復元されます。

  • ユーザーが Calendar Server にログインし直す
  • Calendar Server 管理者がそのユーザーに対して csuser enable コマンドを実行する (この場合も icsDWPHost 属性は復元されない)


ユーザーカレンダーの管理

ユーザーカレンダーの作成が完了すると、cscal ユーティリティを使用して次の管理タスクを実行できます。

カレンダーの表示

すべてのカレンダー、あるユーザーが所有するすべてのカレンダー、または特定のカレンダーのプロパティを表示するときは、cscal ユーティリティの list コマンドを使用します。

たとえば、カレンダーデータベース内のすべてのカレンダーを表示するには、次のように実行します。

cscal list

JSmith が所有するすべてのカレンダーを表示するには、次のように実行します。

cscal -o JSmith list

カレンダー ID が JSmith:meetings のカレンダーのすべてのプロパティを表示するには、次のように実行します。

cscal -v list JSmith:meetings

カレンダーの削除

エンドユーザーは Calendar Express を通じてカレンダーへの登録を解除できますが、エンドユーザーが Calendar Server データベースからカレンダーを削除することはできません。カレンダーの削除は、システムの管理権限を持つ管理者が行う必要があります。

Calendar Server から 1 つまたは複数のカレンダーを削除するには、cscal ユーティリティの delete コマンドを使用します。このユーティリティはカレンダーを削除しますが、ディレクトリサーバーからユーザーを削除することはありません。


警告

delete コマンドはすべてのカレンダー情報をカレンダーデータベースから削除します。実行した処理を取り消すことはできません。カレンダーを削除すると、それを復元できるのはカレンダーデータがバックアップされている場合だけです。詳細については、第 6 章「Calendar Server データのバックアップと復元」を参照してください。


cscal ユーティリティを使用して、1 つのカレンダーまたは複数のカレンダーを削除できます。

たとえば、JSmith:meetings というカレンダー ID を持つカレンダーを削除するには、次のように実行します。

cscal delete JSmith:meetings

一次所有者が JSmith のすべてのカレンダーを削除するには、次のように実行します。

cscal -o JSmith delete

カレンダーの無効化と有効化

ユーザーがカレンダーにアクセスできないようにするには、cscal ユーティリティの disable コマンドを使用します。disable コマンドはユーザーによるカレンダーへのアクセスを禁止しますが、カレンダーデータベースから情報を削除するわけではありません。

たとえば、ユーザーが JSmith:meetings にアクセスできないようにするには、次のように実行します。

cscal disable JSmith:meetings

カレンダーを有効化してユーザーがカレンダーにアクセスできるようにするときは、cscal ユーティリティの enable コマンドを使用します。たとえば、デフォルト設定を適用した JSmith:meetings カレンダーを有効化するには、次のように実行します。

cscal enable JSmith:meetings

JSmith:meetings カレンダーを有効化し、複数のユーザーからの予約を禁止するには、次のように実行します。

cscal -k no enable JSmith:meetings

カレンダープロパティの変更

カレンダーのプロパティを変更するには、cscal ユーティリティの modify コマンドを使用します。

たとえば、AllAdmins のグループスケジュール設定のアクセス制御設定を変更し、もう一人の所有者として RJones を指定するには、次のように実行します。

cscal -a "@@o^c^wd^g" -y RJones AllAdmins

ここで、

カレンダーからのプロパティの消去

カレンダーからプロパティ値を消去するには、cscal ユーティリティの modify コマンドを使用し、オプションの値を 2 つの二重引用符 ("") で指定することで対象となるオプションを指定します。

たとえば、JSmith:meetings から説明を消去するには、次のように実行します。

cscal -d "" modify JSmith:meetings

JSmith:meetings からすべてのカテゴリを消去するには、次のように実行します。

cscal -g "" modify JSmith:meetings

JSmith:meetings からその他の所有者を消去するには、次のように実行します。

cscal -y "" modify JSmith:meetings

失われたカレンダーの復元

ユーザーのデフォルトカレンダーが Calendar Express の「表示」タブまたは「カレンダー」タブには表示されないが、データベースには存在する場合、LDAP エントリの次の属性を更新することで、カレンダーを復元できます。

ここで、default_calid はユーザーのデフォルトカレンダーの ID (calid) です。


リソースカレンダーの作成と管理

リソースカレンダーは、会議室などのリソースや、ノート型コンピュータ、OHP などの機器をはじめとする、各種のリソースに関連付けられたカレンダーです。

リソースカレンダーを作成、管理するときは、csresource ユーティリティを使用します。csresource を実行するには、Calendar Server が稼動しているシステムの管理者権限を持つユーザーとしてログインする必要があります。

ここでは、リソースカレンダーの作成と管理について次の情報を提供します。

リソースカレンダーの設定パラメータの指定

表 2-1 は、ics.conf ファイルで設定できるリソースカレンダーのパラメータを示しています。

表 2-1 ics.conf ファイルに指定できるリソースカレンダーの設定パラメータ 

パラメータ

説明

resource.default.acl

このパラメータは、リソースカレンダーの作成時にデフォルトで適用されるアクセス制御設定を特定する。デフォルトのアクセス許可は、次の ACL (アクセス制御リスト) によって指定される

"@@o^a^r^g;@@o^c^wdeic^g;@^a^rsf^g"

この ACL は、コンポーネントとプロパティの両方に対する読み取り、スケジュール、空き時間 / 予定ありの設定アクセス権をすべてのカレンダーユーザーに付与する。

リソースに対するアクセス権を変更するには、csresource ユーティリティの create コマンドを使用してカレンダーを作成するときに -a オプションを指定する

resource.allow.doublebook

このパラメータは、リソースカレンダーが複数のユーザーからの予約を許可するかどうかを指定する。複数のユーザーからの予約が許可される場合、リソースカレンダーでは同時に複数のイベントをスケジュールできる

デフォルトは「No」で、複数のユーザーからの予約は許可されない

リソースカレンダーの複数のユーザーからの予約を許可するには、csresource ユーティリティの create コマンドを使用してカレンダーを作成するときに -k オプションを指定する

表 2-1 に示されるデフォルト値は新しいリソースカレンダーに適用されますが、ics.conf ファイルを編集してこれらのデフォルト値を変更することができます。詳細については、「ics.conf 設定ファイルの編集」を参照してください。

新しいリソースカレンダーの作成

Calendar Server はリソースカレンダーを自動的に作成しないため、サイトで必要なリソースカレンダーは、csresource ユーティリティの create コマンドを使用して手動で作成する必要があります。このコマンドは LDAP ディレクトリサーバーとカレンダーデータベース内に新しいカレンダーのエントリを作成します。カレンダーを作成するときは、次の点に注意してください。

たとえば、カレンダー ID が aud100、表示名が Auditorium (LDAP cn 属性)、および表 2-1 に示すデフォルトの設定を持つリソースカレンダーを作成するには、次のように実行します。

csresource -c aud100 create Auditorium

次のコマンドは、前の例と同じように機能しますが、-k オプションによってカレンダーでの複数のユーザーからの予約が許可され、-o オプションによってカレンダーの所有者が bkamdar に設定されます。また、-y オプションによってもう一人の所有者が jsmith に設定されます。

csresource -c aud100 -k yes -o bkamdar -y jsmith create Auditorium

リソースカレンダーの所有者を指定しない場合、ics.conf ファイルの service.admin.calmaster.userid パラメータの値が適用されます。

リソースカレンダーと属性の表示

リソースカレンダーを表示するには、csresource ユーティリティの list コマンドを使用します。

たとえば、Calendar Server のすべてのリソースカレンダーと、それに対応する LDAP 属性を表示するには、次のように実行します。

csresource list

Auditorium という特定のリソースカレンダーのすべての LDAP 属性を表示するには、次のように実行します。

csresource -v list Auditorium

リソースカレンダーの変更

リソースカレンダーを変更するには、cscal ユーティリティの modify コマンドを使用します (csresource には modify コマンドはありません)。

たとえば、Auditorium というリソースカレンダーに所有者として tchang を設定し、もう一人の所有者として mwong を設定するには、次のように実行します。

cscal -o tchang -y mwong modify aud100

この例では、cscal ユーティリティはカレンダー名 (Auditorium) ではなく、calid (aud100) を必要とします。

リソースカレンダーの無効化と有効化

ユーザーがイベントをスケジュール設定できないようにするには、リソースカレンダーを無効化する必要があります。たとえば、改修中で会議室を利用できない場合や、OHP が修理中の場合などがこれに該当します。

リソースカレンダーの無効化と有効化には、csresource ユーティリティの enable コマンドまたは disable コマンドを使用します。

たとえば、Auditorium というリソースカレンダーを無効化するには、次のように実行します。

csresource disable Auditorium

後からリソースカレンダーを有効な状態に戻すには、次のように実行します。

csresource enable Auditorium

リソースカレンダーの削除

リソースカレンダーを削除するには、csresource ユーティリティの delete コマンドを使用します。

たとえば、Auditorium というリソースカレンダーを削除するには、次のように実行します。

csresource delete Auditorium

Calendar Server は次のメッセージを表示します。

Do you really want to delete this resource (y/n)?

カレンダーを削除するときは「y」を入力し、処理をキャンセルするときは「n」を入力します。

「y」を入力すると、Calendar Server はカレンダーを削除し、削除が完了したことを示すメッセージを表示します。


カレンダーへのリンク設定

各カレンダーに対する読み取りアクセスが許可されている場合は、1 つまたは複数のユーザーカレンダーまたはリソースカレンダーへのリンクを作成することができます。たとえば、カレンダーへのリンクを Web ページや電子メールメッセージに埋め込むことができます。その他のユーザーは、Calendar Server にアクセスすることなく匿名でカレンダーを表示できます。

1 つまたは複数のユーザーカレンダーへのリンクを作成するには、次の構文を使用します。

http://hostname:port/[command.shtml]?calid=calid-1;calid-2; ... ;calid-n&view =viewname

複数のカレンダー ID (calid) を区切るときは、セミコロンを使用します。

viewname には、overviewdayviewweekview、または monthview を指定できます。(yearview を指定することもできますが、これは便利ではありません)

注 : ビュー (またはその他の) オプションを指定せずに 1 つのカレンダーだけに対するリンクを設定するときは、command.shtml を省略します。

たとえば、jsmith のデフォルトカレンダーへのリンクは、次のようになります。

http://calendar.sesta.com:8080/?calid=jsmith

calidoverhead_projector10 の OHP のリソースカレンダーへのリンクは、次のようになります。

http://calendar.sesta.com:8080/?calid=overhead_projector10

ただし、jsmithtchang のデフォルトカレンダーを日別ビューで表示するリンクは、次のようになります。

http://calendar.sesta.com:8080/command.shtml?calid=jsmith;tchang&vi ew=dayview



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