Sun ONE Messaging Server 6.0 管理者ガイド |
第 5 章
マルチプレクササービスを設定および管理するこの章では、Messaging Server に含まれる、標準メールプロトコル (POP、IMAP および SMTP) 対応の Messaging Multiplexor (MMP) および Messenger Express Web インタフェース用の Messenger Express Multiplexor の 2 つのマルチプレクサについて説明します。
この章には、以下の項目があります。
マルチプレクササービスマルチプレクサは、複数のメールストアに間接的に接続する場合に使用する単一ドメイン名を提供します。このため、複数のマシンを追加することにより多くのユーザーをサポートできる水平スケーラビリティ機能の実現には欠かすことができません。また、マルチプレクサにはセキュリティ上の利点もあります。
MMP は Messaging Server で別途管理され、Messenger Express Multiplexor は Message Store and Message Access のインストールに含まれる HTTP サービス (mshttpd) に組み込まれます。
マルチプレクサの利点
負荷の大きいメッセージングサーバーでは、メッセージストアの容量が非常に大きくなることがあります。このような場合は、ユーザーメールボックスとユーザー接続を複数のサーバーに振り分けると、容量を拡張し、パフォーマンスを向上させることができます。また、大容量の大型マルチプロセッサマシンを 1 台使用するよりも、小さなサーバーマシンを数台使う方が費用効率が高い場合があります。
メールサーバーのインストールで複数のメッセージストアを使用する必要がある場合は、マルチプレクサを使用すると便利です。ユーザーからメッセージストアへの接続が間接的であること、および複数のメッセージングサーバー間でのユーザーアカウントの再設定が簡単であることから、以下のような利点が生まれます。
- ユーザー管理の簡易化
すべてのユーザーが 1 台 のサーバー (POP、IMAP、SMTP、Web アクセス用に別のマルチプレクサマシンがある場合は複数台) に接続するので、電子メールクライアントをあらかじめ設定しておき、すべてのユーザーに同一のログイン情報を配布することができます。これにより管理タスクが簡易化され、間違ったログイン情報を配布する可能性が減ります。
特に負荷が大きい状況では、同じ設定を使用して複数のマルチプレクササーバーを実行し、DNS ラウンドロビンや負荷分散システムによってこれらのマルチプレクササーバーへの接続を管理することができます。
マルチプレクサは LDAP ディレクトリに格納されている情報を使って各ユーザーの Messaging Server を検出します。このため、システム管理者は、ユーザーに意識させることなく、ユーザーを簡単に新しいサーバーに移動することができます。管理者はユーザーのメールボックスをある Messaging Server から別の Messaging Server に移動し、その後 LDAP ディレクトリでユーザーのエントリを更新することができます。ユーザーのメールアドレス、メールボックスアクセス、およびその他のクライアント設定は変更する必要がありません。
- パフォーマンスの向上
メッセージストアの処理量が 1 台のマシンで可能な範囲を超えた場合は、メッセージストアの一部をほかのマシンに移動して負荷を均等にすることができます。
異なるクラスのユーザーを異なるマシンに割り当てることができます。たとえば、重要なユーザーを大型の強力なマシンに割り当てることもできます。
マルチプレクサでは一定のバッファリングが行われるので、ユーザーが低速で接続 (モデム経由など) しても Messaging Server の速度が下がることはありません。
- コストの削減
マルチプレクサを使うと複数の Messaging Server を効率的に管理できるので、小型のサーバーマシンを数台購入しても超大型マシンを 1 台購入するほどにはコストがかからず、全体のコストを抑えることができます。
- スケーラビリティの向上
- 最小限のユーザーダウンタイム
マルチプレクサを使用すると、大規模なユーザーベースを多数の小さなストアマシンに振り分けることで、ユーザーダウンタイムを抑えることができます。あるサーバーが故障しても、影響を受けるのはそのサーバーのユーザーだけです。
- セキュリティの強化
マルチプレクサがインストールされているサーバーマシンをファイアウォールマシンとして使用することができます。クライアント接続をすべてこのマシンにルーティングすることで、外部のコンピュータから内部のメッセージストアマシンへのアクセスを制限することができます。マルチプレクサは、クライアントとの非暗号化通信および暗号化通信をサポートしています。
Messaging Multiplexor についてSun ONE Messaging Multiplexor (MMP) は、複数のバックエンドメッセージングサーバーの単一接続ポイントとして機能する特別なメッセージングサーバーです。Messaging Multiplexor を利用すると、大規模なメッセージングサービスプロバイダは、POP および IMAP のユーザーメールボックスを多数のマシン間に分散してメッセージストア容量を増やすことができます。すべてのユーザーは、単一の Multiplexor サーバーに接続します。Multiplexor サーバーは、各接続を適切な Messaging Server にリダイレクトします。
多数のユーザーに電子メールサービスを提供する場合は、ユーザーには複数の Messaging Server が単一のホストであるかのように表示されるよう、Messaging Multiplexor をインストールして設定することができます。
Messaging Multiplexor は Messaging Server の一部として提供されます。MMP は Messaging Server やほかの Sun ONE サーバーと同時にインストールすることも、あとで別途インストールすることもできます。
MMP は以下の機能をサポートします。
- メールクライアントとの非暗号化通信および暗号化 (SSL) 通信
- 証明書に基づくクライアント認証 (「証明書に基づくクライアント認証」を参照)
- ユーザーの事前認証 (「ユーザーの事前認証」を参照)
- さまざまな IP アドレスを待機し、ユーザー ID にドメイン名を自動的に付与する仮想ドメイン (「MMP 仮想ドメイン」を参照)
- MMP の複数インストール。同一サーバーの場合 (「複数の Messaging Multiplexor のインストール」を参照) と別のサーバーの場合 (『Messaging Server インストールガイド』を参照) がある。同一サーバー上に別々にインストールすることによって、仮想ドメインでは処理できない SSL やリッスンポートの別個の設定が可能
- 高度な LDAP 検索
- 古いバージョンの POP クライアント用の POP before SMTP サービス。詳細は、「POP before SMTP を有効にする」を参照
Messaging Multiplexor のしくみ
MMP は、メールユーザーを複数のサーバーマシンに分散させるマルチスレッドサーバーです。MMP は、ユーザーメールボックスがあるサーバーマシン宛の受信クライアント接続を処理します。クライアントは MMP に接続します。MMP はユーザーの正しいサーバーを判断し、そのサーバーに接続し、クライアントとサーバーとの間でデータの受け渡しを行います。この機能を使用すると、インターネットサービスプロバイダやその他の大規模なインストール環境では、処理能力を上げるためにメッセージストアを複数のマシンに分散しても、ユーザーおよび外部クライアントに対しては単一のメールホストであるかのように機能するので、ユーザーの効率を向上させ、外部クライアントに対するセキュリティを強化することができます。
図 5-1 に、MMP をインストールした場合のサーバーとクライアントの関係を示します。
図 5-1 MMP をインストールした場合のクライアントとサーバー
POP、IMAP、および SMTP クライアントはすべて、Messaging Multiplexor に接続して動作します。MMP は接続を許可し、LDAP ディレクトリ検索を行い、正しい接続先にルーティングします。ほかのメールサーバーをインストールした場合と同様、各ユーザーは特定の Messaging Server 上の特定のアドレスとメールボックスに割り当てられます。ただし、接続はすべて MMP を経由します。
詳しく説明すると、ユーザー接続は次の手順で確立されます。
暗号化 (SSL) オプション
Messaging Multiplexor は、Messaging Server とメールクライアント間の暗号化 (SSL) 通信および非暗号化通信をサポートしています。
SSL を有効にすると、MMP は STARTTLS をサポートします。また、SSL の IMAP、POP、および SMTP 接続で追加ポートを待機するように MMP を設定することもできます。
IMAP、POP、または SMTP サービスで SSL を有効にするには、ImapProxyAService.cfg、PopProxyAService.cfg、および SmtpProxyAService.cfg の各ファイルを編集します。また、IMAP、POP、または SMTP サーバーがセキュアサーバーであるかどうかにかかわらず、AService.cfg ファイルの default:ServiceList オプションを編集し、ファイル内ですべての IMAP、POP および SMTP サーバーポートを指定する必要があります。詳細は、「SSL を使用する MMP を設定する」を参照してください。
SSL 設定パラメータはコメントアウトされているため、デフォルト設定では SSL が無効になっています。SSL を有効にするには、SSL サーバー証明書をインストールする必要があります。次にコメントを解除し、SSL パラメータを設定します。SSL パラメータのリストは、『Messaging Server リファレンスマニュアル』に記載されています。
証明書に基づくクライアント認証
MMP では証明書マッピングファイル (certmap) を使ってクライアントの証明書と Users and Groups Directory Server の正しいユーザーを一致させることができます。
証明書に基づくクライアント認証を使用するには、SSL 暗号化も有効にする必要があります。「暗号化 (SSL) オプション」を参照してください。
また、ストア管理者も設定する必要があります。メール管理者を使用することもできますが、必要に応じてアクセス権を設定できるように、一意のユーザー ID (mmpstore など) を作成することをお勧めします。
MMP は certmap プラグインをサポートしていないことに注意してください。代わりに、certmap.conf ファイルの拡張された DNComps および FilterComps の各プロパティ値エントリを使用できます。これらの拡張されたフォーマットエントリの形式は以下のとおりです。
mapname:DNComps FROMATTR=TOATTR
mapname:FilterComps FROMATTR=TOATTRこれにより、証明書の subjectDN の FROMATTR 値を使って、TOATTR=value という要素を含む LDAP クエリーを形成することができます。たとえば、証明書の subjectDN が「cn=Pilar Lorca, ou=pilar, o=siroe.com」の場合、この証明書を「(uid=pilar)」という LDAP クエリーにマップするには、以下の行を使用します。
mapname:FilterComps ou=uid
IMAP または POP サービスに対して証明書に基づく認証を有効にするには、以下の手順に従います。
- ストア管理者のユーザー ID を決定します。
メール管理者を使用することもできますが、ストア管理者用に一意のユーザー ID (mmpstore など) を作成することをお勧めします。
- SSL が有効になっていることを確認します。詳細は、「暗号化 (SSL) オプション」を参照してください。
- 設定ファイルで certmap.conf ファイルの場所を指定し、MMP が証明書に基づくクライアント認証を使用するように設定します。
- 信頼できる認証局の証明書を少なくとも 1 つインストールします。詳細は、「信頼できる CA の証明書をインストールするには」を参照してください。
ユーザーの事前認証
MMP には、受信ユーザーとしてディレクトリにバインドし、その結果をログに記録することによってユーザーを事前認証するオプションがあります。
ログエントリの形式は、以下のとおりです。
date time (sid 0xhex) ユーザー name 事前認証 - クライアント IP address、サーバー IP address
date は yyyymmdd 形式、time はサーバーで設定された hhmmss 形式の時刻であり、hex は 16 進数のセッション ID (sid) を表します。仮想ドメインがあれば user name に含まれており、IP アドレスはドットで 4 つに区切られた形式です。
MMP 仮想ドメイン
MMP 仮想ドメインはサーバーの IP アドレスに関連付けられている一連の構成設定です。この機能の主な用途は、サーバー IP アドレスごとに個別のデフォルトドメインを提供することです。
ユーザーは、省略形のユーザー ID または完全指定のユーザー ID (user@domain という形式) を使用して、MMP に認証を求めることができます。省略形のユーザー ID が提示されると、MMP は指定があれば DefaultDomain 設定を行います。その結果、複数のホストしているドメインをサポートするサイトでは、サーバー IP アドレスと MMP 仮想ドメインにそれぞれのホストしているドメインを関連付けるだけで、省略形のユーザー ID を使用できるようになります。
特定のホストしているドメインのユーザーサブツリーを検索する場合は、そのドメインの LDAP ドメインツリーエントリで inetDomainBaseDN 属性を使用する方法をお勧めします。バックエンドメールストアサーバーでも LDAP のユーザーを検索する必要があり、さらに仮想ドメインがサポートされないため、MMP で LdapUrl を設定するのは適していません。
Sun ONE の LDAP スキーマ v.2 が有効になると (『Sun ONE Messaging Server インストールガイド』および『Sun ONE Messaging Server スキーマリファレンス』を参照)、特定のドメインのユーザーサブツリーは、そのドメインの組織ノードの下のサブツリーにあるすべてのユーザーになります。
仮想ドメインを有効にするには、インスタンスディレクトリで ImapProxyAService.cfg、PopProxyAService.cfg、または SmtpProxyAService.cfg の各ファイルを編集し、VirtualDomainFile 設定で仮想ドメインマッピングファイルへの絶対パスを指定します。
仮想ドメインファイルの各エントリには、以下の構文を使用します。
dmap name IPaddr
name:parameter valuename は IP アドレスと設定パラメータを関連付けるためだけに使用するので任意の名前を使用できます。IPaddr はドットで 4 つに区切られた形式で、parameter と value のペアによって仮想ドメインを構成します。仮想ドメインの設定パラメータ値を設定すると、その値はグローバルな設定パラメータ値よりも優先されます。
仮想ドメインに指定できる設定パラメータは以下のとおりです。
AuthCacheSize および AuthCacheSizeTTL
AuthService
BindDN および BindPass
CertMap
ClientLookup
CRAMs
DefaultDomain
DomainDelim
HostedDomains
LdapCacheSize および LdapCacheTTL
LdapURL
MailHostAttrs
PreAuth
ReplayFormat
RestrictPlainPasswords
StoreAdmin および StoreAdminPass
SearchFormat
TCPAccess
TCPAccessAttr
設定パラメータの詳細については、『Messaging Server リファレンスマニュアル』を参照してください。
複数の Messaging Multiplexor のインストール
1 台のサーバーに複数の MMP をインストールできます。それぞれのインストールは独立したプロセスとして実行され、異なる設定ファイルを持つことができます。複数のインストールは、サーバーの IP アドレスやポートに異なる設定が必要であり、しかも、それらの設定を仮想ドメインで変更できない場合に、必要となります。このような設定の例としては、SSL サーバー証明書があります。
図 5-1 に示すように、POP、IMAP、および SMTP の各プロトコルをすべてサポートする MMP インストールを 1 つ設定することも、図 5-2 に示すように、プロトコルごとに個別の MMP インストールを作成することもできます。メッセージングサービスを複数のマシンに振り分けることで、各コンピュータのリソースのパフォーマンスを最大限に高めることができます。
図 5-2 プロトコルごとに MMP インストールを分けた場合
SMTP プロキシについて
MMP には SMTP プロキシが含まれていますが、デフォルトでは無効になっています。大半のサイトでは SMTP プロキシは必要ありません。インターネットメール規格には、SMTP の水平スケーラビリティ機能が十分に備わっているからです。
SMTP プロキシには有用なセキュリティ機能があります。まず、古いバージョンの POP クライアントの一部で必要な POP before SMTP 認証機能を実装するために、SMTP プロキシは POP プロキシに統合されています。詳細は、「POP before SMTP を有効にする」を参照してください。さらに、SMTP プロキシを使用すると、SSL アクセラレータハードウェアを最大限に活用できます。「SMTP プロキシを使用した SSL パフォーマンスの最適化方法」を参照してください。
Messaging Multiplexor を設定するMessaging Server の初期のランタイム設定中に、MMP をマシンに設定するかどうかを選択できます。Messaging Server と同一のマシンに設定することも、別のマシンに設定することもできます。
以下の節では、MMP の設定方法について説明します。
MMP の詳細については、次のマニュアルで参照できます。
MMP を設定する前に
この節の手順の一部には、実行にSun ONE Messaging Server インストールガイドが必要なものがあります。MMP を設定する前に、次の操作を実行します。
- MMP を設定するマシンを選択します。MMP 専用のマシンを使用することをお勧めします。
- MMP を設定するマシンに、MMP で必要な UNIX システムユーザーを作成します。この新規ユーザーは、UNIX システムグループに属している必要があります。『Sun ONE Messaging Server インストールガイド』の「UNIX システムのユーザーとグループの作成」を参照してください。
- Messaging Server で使用する Directory Server とホストマシンの設定が完了していない場合は、それらを設定します。『Sun ONE Messaging Server インストールガイド』の「Java Enterprise System インストーラの実行」および「Messaging Server 設定のための Directory Server の準備」を参照してください。
- バックエンドサーバーより前に MMP がアップグレードされた場合、ユーザーはImapProxyAService.cfg の Capability オプションを、古いバックエンドから発行された capability コマンドへの応答と一致するように設定する必要があります。この設定は次のようになります。
IMAP4 IMAP4rev1 ACL QUOTA LITERAL+ NAMESPACE UIDPLUS CHILDREN LANGUAGE XSENDER X-NETSCAPE XSERVERINFO
改行は編集上明確にする目的で使用されること、および設定値は 1 行に配置する必要があることに注意してください。
Multiplexor の設定
MMP を設定するには、Messaging Server の設定プログラムを使用する必要があります。このプログラムには、Messaging Multiplexor を有効にするかどうかを選択するオプションがあります。設定プログラムの詳細については、『Sun ONE Messaging Server インストールガイド』の「Messaging Server の初期実行時設定の作成」を参照してください。
MMP を設定するには、次の手順に従います。
- MMP をインストールおよび設定するマシンに Sun ONE Messaging Server をインストールします。
Administration Server、Java、および Messaging Server の各パッケージをインストールする必要があります。
- Messaging Server の初期のランタイム設定を作成して MMP を設定します。『Sun ONE Messaging Server インストールガイド』の「Messaging Server の初期実行時設定の作成」を参照してください。
例外として、 Messaging Server をインストールする場合は、Messaging Multiplexor オプションのみをチェックするようにしてください。
Multiplexor のファイル
Messaging Multiplexor のファイルは、msg_svr_base/config 設定ファイルディレクトリに格納されています。表 5-1 に示す Messaging Multiplexor 設定ファイルの設定パラメータを手動で編集する必要があります。
表 5-1 Messaging Multiplexor の設定ファイル
ファイル
説明
PopProxyAService.cfg
POP サービス用の設定変数を指定する設定ファイル
PopProxyAService-def.cfg
POP サービスの設定テンプレート。PopProxyAService.cfg ファイルが存在しない場合、PopProxyAService-def.cfg テンプレートがコピーされて新しい PopProxyAService.cfg ファイルが作成される
ImapProxyAService.cfg
IMAP サービス用の設定変数を指定する設定ファイル
ImapProxyAService-def.cfg
IMAP サービスの設定テンプレート。ImapProxyAService.cfg ファイルが存在しない場合、ImapProxyAService-def.cfg テンプレートがコピーされて新しい ImapProxyAService.cfg ファイルが作成される
AService.cfg
起動するサービス、および POP サービスと IMAP サービスが共有するオプションを指定する設定ファイル
AService-def.cfg
起動するサービス、および POP サービスと IMAP サービスが共有するオプションを指定する設定テンプレート。AService.cfg ファイルが存在しない場合、AService-def.cfg テンプレートがコピーされて新しい AService.cfg ファイルが作成される
SmtpProxyAService.cfg
SMTP プロキシサービス用の設定変数を指定するオプションの設定ファイル。POP before SMTP を有効にする場合は必須。POP before SMTP を有効にしない場合でも、SSL ハードウェアのサポートを最大にするのに役立つ。POP before SMTP の詳細については、「POP before SMTP を有効にする」を参照
SmtpProxyAService-def.cfg
SMTP プロキシサービス用の設定変数を指定する設定テンプレート。SmtpProxyAService.cfg ファイルが存在しない場合、SmtpProxyAService-def.cfg テンプレートがコピーされて新しい SmtpProxyAService.cfg ファイルが作成される
Messaging Multiplexor 設定ファイルは msg_svr_base/config ディレクトリに格納されています。msg_svr_base は Messaging Server をインストールしたディレクトリです。
例として、LogDir パラメータおよび LogLevel パラメータは、すべての設定ファイルで使用されています。これらのパラメータは、ImapProxyAService.cfg ファイルでは IMAP 関連イベントのロギングパラメータを設定する目的で使われており、PopProxyAService.cfg ファイルでは POP 関連イベントのロギングパラメータを設定するために使われています。SmtpProxyAService.cfg では、SMTP プロキシ関連イベントのロギングを指定するために使われています。
ただし、AService.cfg ファイルの LogDir パラメータと LogLevel パラメータは、POP、IMAP、または SMTP サービスの起動に失敗した場合など、MMP に関する全般的な問題を記録するために使用されています。
MMP 設定パラメータの詳細については、『Sun ONE Messaging Server リファレンスマニュアル』を参照してください。
Multiplexor の起動
Messaging Multiplexor のインスタンスを起動、停止、更新するには、表 5-2 に示すコマンドのいずれかを msg_svr_base/sbin ディレクトリで使用します。
表 5-2 MMP コマンド
オプション
説明
start-msg mmp
MMP を起動する (別のインスタンスが起動されている場合でも可能)
stop-msg mmp
最後に起動した MMP を停止する
refresh mmp
実行中の MMP が、アクティブな接続を中断せずに設定情報を更新するようにする
既存の MMP の変更
既存の MMP インスタンスを変更するには、必要に応じて、ImapProxyAService.cfg または PopProxyAService.cfg、あるいはその両方の設定ファイルを編集します。これらの設定ファイルは、msg_svr_base/config サブディレクトリにあります。
SSL を使用する MMP を設定するSSL を使用するように MMP を構成するには、次の手順に従います。
- 管理サーバーをインストールおよび設定する必要があります。
- 管理サーバーのインストールディレクトリに移動し、mpsadmserver startconsole を実行して Sun ONE Console にログインします。
/usr/sbin/mpsadmserver startconsole
- Sun ONE Server Console を使用して SSL サーバー証明書をインストールします。
http://docs.sun.com/db/doc/816-5572-10 を参照してください。
- 操作を簡略化するために、コマンドラインで次のシンボリックリンクを作成します (hostname はホスト名に置き換え)。
cd msg_svr_base/config
ln -s /var/mps/serverroot/alias/admin-serv-instance-cert7.db cert7.db
ln -s /var/mps/serverroot/alias/admin-serv-instance-key3.db key3.dbさらに、これらのファイルが、MMP を実行するシステム ID に属していることを確認します。
- sslpassword.conf ファイルは初期の Messaging Server のランタイム設定で設定されているので、新しく設定する必要はありません。『Sun ONE Messaging Server インストールガイド』の「Messaging Server の初期実行時設定の作成」を参照してください。
- ImapProxyAService.cfg ファイルを編集して、関連のある SSL 設定のコメント記号を削除します。
- SSL と POP を使用する場合は、PopProxyAService.cfg ファイルを編集して、関連のある SSL 設定のコメント記号を削除します。
さらに、AService.cfg ファイルを編集して、ServiceList 設定の「110」の後に「|995」を追加してください。
- ImapProxyAService.cfg ファイルと PopProxyAService.cfg ファイルに、BindDN オプションと BindPass オプションが設定されていることを確認します。
さらに、デフォルトドメイン (資格のないユーザー名で使用するドメイン) に、DefaultDomain オプションも設定する必要があります。
サーバー側のみで SSL を使用する場合は、これで作業は完了です。msg_svr_base/sbin ディレクトリで次のコマンドを使用して MMP を起動します。
start-msg mmp
クライアント証明書を使用したログインを行う場合は、次の手順に従います。
- クライアント証明書とそれに署名した CA 証明書のコピーを入手します。
- 以前と同じように、MMP をインストールしたマシン上で Sun ONE Console を起動します。ただし、この時に信頼できる認証局として CA 証明書をインポートします。
- Messaging Server のインストール時に作成したストア管理者 (Store Administrator) を使用します。
詳細は、「ストアへの管理者によるアクセスを指定する」を参照してください。
- MMP の certmap.conf ファイルを作成します。
例 :
certmap default default
default:DNComps
default:FilterComps e=mailこれは、LDAP サーバーの mail 属性を調べて、証明書 DN の e フィールドと一致するものを検索することを意味します。
- ImapProxyAService.cfg ファイルを編集し、以下の設定を行います。
- certmap.conf に CertMapFile を設定する
- 手順 3 の値に StoreAdmin と StorePass を設定する
- ユーザーおよびグループ用ツリーに Server の UserGroupDN を設定する
- POP3 によるクライアント証明書を必要とする場合は、PopProxyAService.cfg ファイルに対して、手順 5 の操作を繰り返します。
- MMP がまだ実行されていない場合は、msg_svr_base/sbin ディレクトリで次のコマンドを使用して MMP を起動します。
start-msg mmp
トポロジの例
Siroe Corporation という会社には Messaging Multiplexor をインストールしたマシンが 2 台あり、どちらのマシンも複数の Messaging Server をサポートしているという例を想定します。POP および IMAP のユーザーメールボックスは複数の Messaging Server マシンに振り分けられており、それぞれのサーバーは POP 専用または IMAP 専用となっています (クライアントアクセスを POP サービスだけに限定するには、ServiceList から ImapProxyAService エントリを削除。同様に IMAP サービスだけに限定するには、ServiceList から PopProxyAService エントリを削除)。どちらの Messaging Multiplexor も POP だけ、または IMAP だけしかサポートしません。LDAP ディレクトリサービスは、別の専用マシンに置かれています。
このトポロジを、図 5-3 に示します。
図 5-3 複数の MMP による複数の Messaging Server のサポート
IMAP の構成例
図 5-3 の IMAP Messaging Multiplexor は、2 個のプロセッサを持つ sandpit というマシンにインストールされています。この Messaging Multiplexor は、IMAP 接続の標準ポート (143) を待機しています。Messaging Multiplexor はユーザーメールボックスの情報を扱うホスト phonebook の LDAP サーバーと通信し、適切な IMAP サーバーに接続をルーティングします。この Multiplexor は、IMAP の capability 文字列を無効にし、仮想ドメインファイルを提供し、SSL 通信をサポートします。
この例の ImapProxyAService.cfg 設定ファイルの内容は、以下のとおりです。
POP の構成例
図 5-3 の POP Messaging Multiplexor は、4 個のプロセッサを持つ tarpit というマシンにインストールされています。この Messaging Multiplexor は POP 接続の標準ポート (110) を待機しています。Messaging Multiplexor はユーザーメールボックス情報を扱うホスト phonebook の LDAP サーバーと通信し、適切な POP サーバーに接続をルーティングします。さらに、この Multiplexor は、スプーフメッセージファイルも提供します。
この例の PopProxyAService.cfg 設定ファイルの内容は、以下のとおりです。
default:LdapUrl ldap://phonebook.siroe.com/o=internet
default:LogDir /opt/SUNWmsgsr/config/log
default:LogLevel 5
default:BindDN "cn=Directory Manager"
default:BindPass password
default:BacksidePort 110
default:Timeout 1800
default:SearchFormat (uid=%s)
default:SSLEnable no
default:VirtualDomainFile /opt/SUNWmsgsr/config/vdmap.cfg
default:VirtualDomainDelim @
default:MailHostAttrs mailHost
default:PreAuth no
default:CRAMs no
default:AuthCacheSize 10000
default:AuthCacheTTL 900
default:AuthService no
default:AuthServiceTTL 0
default:BGMax 10000
default:BGPenalty 2
default:BGMaxBadness 60
default:BGDecay 900
default:BGLinear no
default:BGExcluded /opt/SUNWmsgsr/config/bgexcl.cfg
default:ConnLimits 0.0.0.0|0.0.0.0:20
default:LdapCacheSize 10000
default:LdapCacheTTL 900
default:HostedDomains yes
default:DefaultDomain Siroe.com
MMP LDAP サーバーフェイルオーバーを設定する複数の LDAP サーバーを MMP として指定することができます。これによって、1 つのサーバーに障害が発生しても別のサーバーが処理を引き継げるようになります。PopProxyAservice.cfg または IMAPProxyAservice.cfg を次のように修正します。
default:LdapUrl "ldap://ldap01.yourdomain ldap02.yourdomain/o=INTERNET"
Messenger Express Multiplexor についてSun ONE Messenger Express Multiplexor は、HTTP アクセスサービスへの単一の接続ポイントとして機能する特別なサーバーです。Messenger Express は、Sun ONE Messaging Server HTTP サービスに対するクライアントインタフェースです。すべてのユーザーがこのメッセージングプロキシサーバーに接続し、ここで該当するメールボックスに転送されます。このため、メールユーザーには複数の Messaging Server が単一のホストであるかのように表示されます。
Messaging Multiplexor (MMP) は POP および IMAP サーバーに接続しますが、Messenger Express Multiplexor は HTTP サーバーに接続します。つまり、Messenger Express Multiplexor と Messenger Express との関係は、MMP と POP や IMAP との関係と同じです。
MMP と同様に、Messenger Express Multiplexor でも次の機能をサポートします。
- メールクライアントとの非暗号化通信および暗号化 (SSL) 通信
SSL の設定に関する詳細については、第 16 章「セキュリティとアクセス制御を設定する」の「セキュリティとアクセス制御」を参照してください。
- ホストしているドメイン
MMP とは異なり、Messenger Express Multiplexor は mshttpd サービスに組み込まれているため、ロギングと設定には同じ機能が使用されます。
Messenger Express Multiplexor のしくみ
Messenger Express Multiplexor はマルチプレクサとして機能するプロキシメッセージングサーバーで構成されており、ユーザーが Messaging Server (Messenger Express) の HTTP サービスに接続できるようにします。Messenger Express Multiplexor を使用すると、複数のサーバーマシンにメールボックスを分散できるようになります。クライアントは Messenger Express にログオンすると Multiplexor に接続します。Multiplexor はユーザーの正しいサーバーを判断し、そのサーバーに接続し、クライアントとサーバーとの間でデータの受け渡しを行います。この機能を使用すると、大規模なインストール環境では、処理能力を上げるためにメッセージストアを複数のマシンに分散しても、ユーザーおよび外部クライアントに対しては単一のメールホストであるかのように機能するので、ユーザーの効率を向上させ、外部クライアントに対するセキュリティを強化することができます。図 5-4 に、Messaging Server での Messenger Express Multiplexor の位置を示します。
図 5-4 iPlanet Messenger Express Multiplexor の概要
Messenger Express Multiplexor は、Messenger Express クライアントと Messaging Server の間に入り、両者の接続を許可して正しくルーティングします。ほかのメールサーバーをインストールした場合と同様、各ユーザーは特定の Messaging Server 上の特定のアドレスとメールボックスに割り当てられます。ただし、HTTP 接続はすべて Messenger Express Multiplexor を経由します。
詳しく説明すると、ユーザー接続は次の手順で確立されます。
Messaging Express Multiplexor を設定する
ここでは、Messenger Express Multiplexor の設定手順について説明します。以下の項目があります。
プロキシマシンに Messaging Server をインストールするには
まず、Messenger Express Multiplexor になるプロキシマシンに Messaging Server をインストールします。インストール手順については、Sun ONE Messaging Server インストールガイドを参照してください。
Messaging Server は、バックエンドメッセージングサーバーを指す Users and Groups Directory Server に構成してください。このディレクトリサーバーは、Messenger Express Multiplexor を介して、Messeging Server でユーザーを認証するために使用します。
Messenger Express Multiplexor パラメータを設定するには
プロキシマシンに Messaging Server をインストールしたら、Messenger Express Multiplexor パラメータを設定します。
- 必要なバックエンドメッセージングサーバーの情報を集めます。
バックエンドメッセージングサーバーで configutil コマンドを実行し、パラメータの値を設定します。パラメータの値については、この節の後半で説明します。設定を正常に行うには、プロキシマシンとバックエンドメッセージングサーバーの設定を同じにする必要があります。Multiplexor はプロキシマシンで有効にします。
- Messenger Express Multiplexor の設定パラメータを設定します。
設定値を指定するには、プロキシマシンの Messaging Server の msg_svr_base/sbin/configutil ディレクトリで configutil コマンドを実行します。設定値がバックエンドメッセージングサーバーの値と同じであることを確認します。
configutil コマンドの実行の詳細については、『Sun ONE Messaging Server リファレンスマニュアル』を参照してください。
以下の節では、Messenger Express Multiplexor の設定に必要な configutil パラメータについて説明します。
LDAP パラメータ
Messenger Express Multiplexor を有効にする前に、Directory Server パラメータを正しく指定する必要があります。LDAP パラメータを指定するには、適切なバックエンドメッセージングサーバーのインスタンスディレクトリで次のコマンドを実行します。
- configutil -o local.ugldaphost
バックエンドメッセージングサーバーが使用する、ユーザーおよびグループの LDAP Directory Server を表すパラメータです。ldaphost には、バックエンドメッセージングサーバーが使用するものと同じ値、または同じデータを含む複製された LDAP サーバーを指定します。
- configutil -o local.ugldapbinddn
configutil -o local.ugldapbindcredUsers and Groups Directory Server 管理者の DN とパスワードを表すパラメータです。ldapbinddn も ldapbindcred も、バックエンドメッセージングサーバーの指定と同じである必要があります。
dcroot
dcroot が正しく指定されていることを確認する必要があります。dcroot を指定するには、適切な Messaging Server インスタンスディレクトリで次のコマンドを実行します。
configutil -o service.dcroot
デフォルトドメイン
Messaging Server のデフォルトドメイン (defaultdomain) が正しく指定されていることを確認する必要があります。Messaging Server のデフォルトドメインを指定するには、適切な Messaging Server インスタンスディレクトリで次の configutil コマンドを実行します。
configutil -o service.defaultdomain
ログイン区切り
ログイン区切り (loginseparator) は、バックエンドメッセージングサーバーで使用するものと同じにします。Messaging Server のログイン区切りを指定するには、適切なバックエンドメッセージングサーバーのインスタンスディレクトリで次の configutil コマンドを実行します。
configutil -o service.loginseparator
Messenger Express Multiplexor を有効にするには
設定パラメータを指定したら、プロキシマシンの Messenger Express Multiplexor を有効にすることができます。プロキシマシンの Messaging Server インスタンスにある msg_svr_base/sbin/configutil ディレクトリで、次の configutil コマンドを実行します。
configutil -o local.service.http.proxy -v 1
1 を指定すると Messenger Express Multiplexor が有効になります。デフォルトは 0 です。
非ローカルユーザー (ログインしたサーバーにメールホストがないユーザー) がログインした場合、local.service.http.proxy の値が 0 であれば、このユーザーは自分のホストに転送されます。ユーザーは、ホスト名が変更されたことがわかります。したがって、Multiplexor は有効になっていません。
local.service.http.proxy の値が 1 の場合は、Multiplexor が有効になり、ホスト名は変更されず、非ローカルメールユーザーからは Messaging Server 全体が 1 台のホストであるかのように見えます。
ローカルユーザー (ログインしたサーバーがメールホストであるユーザー) の場合は、local.service.http.proxy のパラメータ値とは無関係にサーバーのローカルメッセージストアが使用されます。同じ Messaging Server 上でプロキシユーザーとローカルユーザーを共存させることもできます。
configutil コマンドの詳細については、『Sun ONE Messaging Server リファレンスマニュアル』を参照してください。
設定をテストする
ここでは、Messenger Express Multiplexor の設定をテストし、ログファイルのメッセージを検索する方法を説明します。Messenger Express Multiplexor が設定され、有効になっていることを前提にしています。
Messenger Express クライアントにアクセスするには
インストール状態をテストするには、Messenger Express 製品についての知識が必要です。また、テストアカウントを作成しておく必要があります。
Messenger Express Multiplexor プロキシをテストするには、次の手順に従います。
- ブラウザに次のように入力して、Messenger Express Multiplexor を介して Messenger Express に接続します。
http://msgserver_name in the browser location.
例 :
http://budgie.sesta.com
- 作成済みのテストアカウントを使用して、Messenger Express にログインします。
- 正しくログインし、バックエンドメッセージングサーバーのメッセージにアクセスできる必要があります。
- Messenger Express を介してログインすると Messaging Server 名が変更される場合は、local.service.http.proxy が 1 に設定されており、メッセージングプロキシサーバーが再起動されているかどうかを確認してください。Messenger Express Multiplexor が有効であれば、ユーザーからは 1 台のメールホストであるかのように見えます。
エラーメッセージ
ユーザー ID とパスワードを入力し「接続」をクリックするとエラーメッセージが表示される場合は、プロキシマシンの HTTP ログファイルを確認してください。エラーメッセージを表示するには、msg_svr_base/log ディレクトリに移動します。多くの場合、エラーメッセージには問題を解決するための情報が含まれています。問題を解決するための十分な情報が含まれていない場合は、カスタマサポートに連絡してください。
Messenger Express Multiplexor を管理する
ここでは、Messenger Express Multiplexor の基本的な管理機能を説明します。
SSL を設定および管理するには
Messenger Express Multiplexor の SSL (Secure Sockets Layer) の設定と管理については、「SSL を有効化し符号化方式を選択するには」を参照してください。
複数のプロキシサーバーを設定するには
単一の名前でアドレス指定される複数の Messenger Express Multiplexor を設定する場合は、セッション対応の負荷分散デバイスを使用できます。このデバイスにより、任意のクライアントからのすべての要求を特定のサーバーにルーティングできます。
バージョンの異なる Messaging Server と Messenger Express Multiplexor を管理するには
Messenger Express Multiplexor とバックエンドメールホストで異なるバージョンの Messaging Server を使う場合は、Messenger Express のスタティックファイルを更新してサーバーの互換性を確保する必要があります。
Messenger Express インタフェースを構成するスタティックファイルは、ユーザーのメールホストではなく Messenger Express Multiplexor から直接提供されます。Multiplexor が msg_svr_base/config/html ディレクトリにあるこれらの設定ファイルを見つけます。
サーバーの互換性を確保するためにファイルを更新するには、新しいバージョンの Messaging Server にある msg_svr_base/config/html ディレクトリの内容 (Messenger Express インタフェースを構成するスタティックファイルが含まれる) を、古いバージョンの Messaging Server にある同じディレクトリの内容にすべて置き換えます。
たとえば、バックエンドメッセージングサーバーで Messaging Server 5.1 を使用し、Messenger Express Multiplexor には Messaging Server 5.2 をインストールしている場合は、msg_svr_base/config/htmlディレクトリの内容を Messaging Server 5.1 を使用するバックエンドサーバーの同じディレクトリの内容にすべて置き換える必要があります。最終的に、Messaging Server 5.1 から Messaging Server 5.2 にアップグレードするときに、Messenger Express Multiplexor サーバーの msg_svr_base/config/html ディレクトリにあるスタティックファイルも更新することができます。
Messenger Express Multiplexor を使用するバックエンドメッセージングサーバーのポートを設定するには
Messenger Express Multiplexor を使用するバックエンド HTTP メッセージングサーバーのポートを設定する場合は、Multiplexor マシンで次の configutil コマンドを使用します。
local.service.http.proxy.port.hostname
hostname は、バックエンド HTTP メッセージングサーバーのホストです。
たとえば、バックエンドメッセージングサーバーのホスト名が sesta.com で、ポート番号が 8888 の場合、コマンドは次の形式になります。
configutil -o local.service.http.proxy.port.sesta.com -v 8888
シングルサインオンを設定するには
シングルサインオンは、Messenger Express Multiplexor マシンで設定します。Messaging (HTTP) Server と同様に、次の追加設定が必要です。
configutil -o local.service.http.proxy.admin -v store_administrator
store_administrator は、バックエンドメッセージングサーバーのインストール中に指定したバックエンドストアの管理者です。
configutil -o local.service.http.proxy.adminpass -v store_admin_password
store_admin_password は、バックエンドメッセージングサーバーのインストール中に指定したバックエンドストア管理者のパスワードです。
異なるストア管理者とパスワードを使用する複数のバックエンドメッセージングサーバーを使用している場合は、次のように Messenger Express Multiplexor の各設定変数に完全指定ホスト名を追加して、それらを個別に設定できます。
configutil -o local.service.http.proxy.admin.hostname -v store_administrator
configutil -o local.service.http.proxy.adminpass.hostname -v store_admin_password
hostname はバックエンド HTTP メッセージングサーバーのホスト、store_administrator および store_admin_password は、バックエンド HTTP メッセージングサーバーのインストール中に指定したバックエンドストア管理者およびパスワードです。
ユーザーをバックエンドサーバーにログインさせるために、Messenger Express Multiplexor で proxyauth ログインコマンドを使用します。proxyauth を有効にするには、次の configutil パラメータを使用します。
configutil -o service.http.allowadminproxy -v 1