リーク検査を有効にすると、プログラムの終了時にリークレポートが自動的に生成されます。kill コマンドでプログラムを終了した場合を除き、リークの可能性がすべて報告されます。レポートの詳細レベルは、dbx 環境変数 rtc_mel_at_exit (「dbx 環境変数の設定」を参照) で制御します。デフォルトで、非冗長リークレポートが生成されます。
レポートは、リークのサイズによってソートされます。実際のメモリーリークが最初に報告され、次に可能性のあるリークが報告されます。詳細レポートには、スタックトレース情報の詳細が示されます。 行番号とソースファイルが使用可能であれば、これらも必ず含まれます。
次のメモリーリークエラー情報が、2 種類の報告のどちらにも含まれます。
情報 |
内容の説明 |
---|---|
サイズ |
リークしたブロックのサイズ |
場所 |
リークしたブロックが割り当てられた場所 |
アドレス |
リークしたブロックのアドレス |
スタック |
割り当て時の呼び出しスタック。 check -frames によって制約される |
次に、対応する簡易メモリーリークレポートを示します。
実際のリークの報告 (実際のリーク: 3 合計サイズ: 2427 バイト) 合計 ブロック リーク 割り当て呼び出しスタック サイズ 数 ブロック アドレス ========== ====== ========== ======================================= 1852 2 - true_leak < true_leak 575 1 0x22150 true_leak < main 起こり得るリークの報告 (起こり得るリーク: 1 合計サイズ: 8 バイト) 合計 ブロック リーク 割り当て呼び出しスタック サイズ 数 ブロック アドレス ========== ====== ========== ======================================= 8 1 0x219b0 in_block < main |
次に、典型的な詳細リークレポートを示します。
実際のリークの報告 (実際のリーク: 3 合計サイズ: 2427 バイト) メモリーリーク (mel): 大きさ 1 バイトのリークのあるブロックをアドレス 0x20f18 に発見 割り当て時のスタックの状態: [1] true_leak() 行番号 220 "leaks.c" [2] true_leak() 行番号 224 "leaks.c" メモリーリーク (mel): 大きさ 575 バイトのリークのあるブロックをアドレス 0x22150 に発見 割り当て時のスタックの状態: [1] true_leak() 行番号 220 "leaks.c" [2] main() 行番号 87 "leaks.c" 起こり得るリークの報告 (起こり得るリーク: 1 合計サイズ: 8 バイト) メモリーリークの可能性 -- ブロック中のアドレス (aib): 大きさ 4 バイトのリークのあるブロックをアドレス 0x219b0 に発見 割り当て時のスタックの状態: [1] in_block() 行番号 177 "leaks.c" [2] main() 行番号 100 "leaks.c" |
showleaks コマンドを使用すると、いつでもリークレポートを要求することができます。このコマンドは、前回の showleaks コマンド以降の新しいメモリーリークを報告するものです。詳細については、「showleaks コマンド」を参照してください。
リークレポートの数が多くなるのを避けるため、RTC は同じ場所で割り当てられたリークを自動的に 1 つにまとめて報告します。1 つにまとめるか、それぞれ各リークごとに報告するかは、一致フレーム数引数によって決まります。この引数は、check -leaks コマンドを実行する際は -match m オプション、showleaks コマンドを実行する際は -m オプションで指定します。呼び出しスタックが 2 つ以上のリークを割り当てる際に m 個のフレームと一致した場合は、リークは 1 つにまとめて報告されます。
次の 3 つの呼び出しシーケンスを考えてみます。
ブロック 1 |
ブロック 2 |
ブロック 3 |
---|---|---|
[1] malloc |
[1] malloc |
[1] malloc |
[2] d() at 0x20000 |
[2] d() at 0x20000 |
[2] d() at 0x20000 |
[3] c() at 0x30000 |
[3] c() at 0x30000 |
[3] c() at 0x31000 |
[4] b() at 0x40000 |
[4] b() at 0x41000 |
[4] b() at 0x40000 |
[5] a() at 0x50000 |
[5] a() at 0x50000 |
[5] a() at 0x50000 |
これらのブロックがすべてメモリーリークを起こす場合、m の値によって、これらのリークを別々に報告するか、1 つのリークが繰り返されたものとして報告するかが決まります。m が 2 のとき、ブロック 1 とブロック 2 のリークは 1 つのリークが繰り返されたものとして報告されます。 これは、malloc() の上にある 2 つのフレームが共通しているためです。ブロック 3 のリークは、c() のトレースがほかのブロックと一致しないので別々に報告されます。m が 2 よりも大きい場合、RTC はすべてのリークを別々に報告します (malloc はリークレポートでは表示されません)。
一般に、m の値が小さければリークのレポートもまとめられ、m の値が大きければまとめられたリークレポートが減り、別々のリークレポートが生成されます。