Sun Studio 12 インストールリファレンスガイド (英語、日本語、簡体字中国語)

第 3 章 トラブルシューティング

この章では、Sun Studio 12 ソフトウェアのインストール時やアンインストール時に発生する可能性がある問題に対処する方法について説明します。

シンボリックリンクを使ってアクセスされるディレクトリへのインストール

パスの一部がシンボリックリンクになっているディレクトリに、製品をインストールできます。シンボリックリンクによってアクセスされるパスへのインストールの例として、デフォルトディレクトリ /opt に十分なディスク容量がない場合が挙げられます。インストーラにこのシンボリックリンクを使用させ、実際のファイルシステムに製品がインストールされないようにするには、次の手順を実行してください。


注 –

たとえば、/opt へのインストールを選択した場合は、次の手順に示されている方法に従って、/export/opt_SUNWspro をポイントする /opt/SUNWspro のシンボリックリンクを作成できます。例に示した名前は使用するディレクトリ名で置き換えることができます。


Procedureインストーラにシンボリックリンクを使用させる

  1. 次のように入力し、スーパーユーザー (root) になります。


    su
    Password: root-password
    
  2. 次のように入力し、既存のシンボリックリンクを保存します。


    mv /opt/SUNWspro /mytemp
    
  3. 次のように入力し、マウントポイントとして使用する新しい /opt/SUNWspro ディレクトリを作成します。


    mkdir /opt/SUNWspro
    
  4. 次のように入力し、ターゲットディレクトリをマウントし、このディレクトリを /opt/SUNWspro として使用できるようにします。


    mount -F lofs localhost:/export/opt_SUNWspro /opt/SUNWspro
    
  5. 製品を /opt ディレクトリにインストールします。

  6. 次のように入力し、ターゲットディレクトリのマウントを解除します。


    umount /opt/SUNWspro
    
  7. 次のように入力し、空の /opt/SUNWspro マウントポイントを削除します。


    rmdir /opt/SUNWspro
    
  8. 次のように入力し、手順 2 で移動したシンボリックリンクを元の場所に戻します。


    mv /mytemp /opt/SUNWspro
    
  9. 次のように入力し、スーパーユーザーの権限を終了します。


    exit
    

製品レジストリの問題

壊れた productregistry ファイルに関連するインストールまたはアンインストール時の問題が発生した場合、SolarisTM Product Registry ツールを使用して、その問題を特定し、修正できる場合があります。

インストールの失敗の識別と修正

パッケージの一部が正しくインストールされていない場合、Sun Studio ソフトウェアの使用時に問題が発生します。たとえば、ソフトウェアのインストールに pkgadd コマンドを使用した場合、productregistry ファイルが破壊されます。パッケージがすべて正常にインストールされているかどうかを確認するには、次の手順に従います。

Procedureすべてのパッケージが正常にインストールされていることを確認する

  1. 次のように入力し、スーパーユーザー (root) になります。


    su
    Password: root-password
    
  2. 次のように入力し、Solaris Product Registry ツールを起動します。


    /usr/bin/prodreg &
  3. ツールの左側の区画で、「登録されているソフトウェア」という見出しの下にあるリストを参照します。

    製品名の横に黄色い三角形のマークが付いている場合、その製品は正しくインストールされていません。

  4. 正しくインストールされていない製品を選択し、「アンインストール」ボタンをクリックします。「アンインストール失敗」ダイアログが表示されます。

  5. ダイアログに表示されたメッセージに目を通し、製品をアンインストールしてもよい場合は、「了解」をクリックします。

    「対話式アンインストール」ダイアログが表示されます。

  6. 続けて表示されるダイアログの指示に従い、アンインストールを完了します。

    アンインストールが完了すると、製品インストーラを使って製品ソフトウェアを再インストールできます。製品のインストール手順については、『Sun Studio 12 クイックインストール (英語、日本語、簡体字中国語)』を参照してください。

  7. 次のように入力し、スーパーユーザーの権限を終了します。


    exit
    

アンインストールに失敗した場合の修正

製品ファイルがすべて削除される前にアンインストーラが終了した場合、アンインストーラを実行し直しても、残りの製品ファイルは削除されません。productregistryファイルでは、これらの製品ファイルが削除されたと記録されるため、アンインストーラでは残りのファイルを削除できません。製品ファイルを完全に削除するには、Solaris Product Registry ツールを次のように使用します。

ProcedureSolaris Product Registry Tool を使用して製品のファイルを削除する

  1. 次のように入力し、スーパーユーザー (root) になります。


    su
    Password: root-password
    
  2. 次のように入力し、Solaris Product Registry ツールを起動します。


    /usr/bin/prodreg &
  3. ツールの左の列で、SS12 または Sun Studio 12 を含む製品の名前をすべて選択して「アンインストール」ボタンをクリックします。

    「アンインストール失敗」ダイアログが表示されます。

  4. ダイアログに表示されたメッセージに目を通し、製品をアンインストールしてもよい場合は、「了解」をクリックします。

    「対話式アンインストール」ダイアログが表示されます。

  5. 続けて表示されるダイアログの指示に従い、アンインストールを完了します。

    アンインストールが完了すると、製品インストーラを使って製品ソフトウェアを再インストールできます。

  6. 次のように入力し、スーパーユーザーの権限を終了します。


    exit
    

productregistry ファイルが破壊された場合の対処法

失敗したインストールやアンインストールを、「インストールの失敗の識別と修正」や「アンインストールに失敗した場合の修正」で説明されている手順を使用して修正してもまだ問題がある場合は、システムから、破壊された productregistry ファイルを削除してください。一般に、productregistry ファイルは、pkgadd コマンドまたは pkgrm コマンドを使用してソフトウェアをインストールまたはアンインストールしようとした場合に破壊されます。


注 –

productregistry ファイルを削除すると、Sun Studio 12 ソフトウェアのエントリおよび Solaris オペレーティングシステム (OS) やその他の製品のレジストリエントリが削除されてしまいます。次の手順に進む前に、「インストールの失敗の識別と修正」や「アンインストールに失敗した場合の修正」で説明されている手順を確認してください。


Procedure破壊された製品レジストリファイルを削除する

  1. 次のように入力し、スーパーユーザー (root) になります。


    su
    Password: root-password
    
  2. 次のように入力し、productregistry ファイルがある場所に移動します。


    cd /var/sadm/install
    
  3. 次のように入力し、productregistry ファイルを削除します。


    rm productregistry
    
  4. 次のように入力し、スーパーユーザーの権限を終了します。


    exit
    

インストールログファイルの表示

Sun Studio ソフトウェアをインストールすると、インストールの記録を保存したログファイルが自動的に生成されます。

Procedureインストールの問題の追跡のためにログファイルを表示する

  1. 次のように入力し、logs ディレクトリに移動します。


    cd /var/sadm/install/logs
    
  2. 次のように入力し、ファイルを表示します。


    more Sun_Studio_Software_install.A03200125
    

    ファイル拡張子は、ログファイルごとに異なります。

リモート表示でのインストール

リモート表示でのインストール中に、次のような問題が発生する場合があります。

NFS マウントファイルシステムへのインストールの失敗

NFS マウントファイルシステムでインストールが失敗した場合は、そのファイルシステムに対する書き込み権があるかどうかを確認してください。書き込み権は、次の手順を実行すると確認できます。FNS マウントファイルシステムへのインストールの詳細については、『Sun Studio 12 クイックインストール』の「インストーラのローカル表示とリモート表示の選択」を参照してください。

Procedure書き込み権を確認する

  1. 次のように入力して、書き込み権があるかどうかを確認します。


    touch /net/remote-system/opt/testfile
    

    エラーメッセージが表示された場合、書き込み権はありません。次に例を示します。


    touch /net/harker/opt/testfile
    touch: /net/harker/opt/testfile cannot create
  2. 書き込み権を持つ別のインストールディレクトリを選択するか、またはファイルシステムのアクセス権を変更するようにシステム管理者に依頼してください。

リモート表示インストール中の ToolTalk ソフトウェアセッションの初期化

グラフィカルユーザーインタフェースのインストーラがインストール中に停止した場合は、次の手順で ToolTalkTM ソフトウェアのセッションを初期化できます。

ProcedureToolTalk セッションを初期化する

  1. インストーラを終了します。

  2. スーパーユーザー (root) になっていない場合は、次のように入力してスーパーユーザーになります。


    su
    Password: root-password
    
  3. 次のように入力し、セッションを開始します。


    /usr/dt/bin/ttsession -c
    
  4. DISPLAY 環境変数が設定されていることを確認してください。リモート表示の設定方法については、『Sun Studio 12 クイックインストール (英語、日本語、簡体字中国語)』「インストーラのローカル表示とリモート表示の選択」を参照してください。

  5. 次のように入力してインストーラを起動します。


    ./installer
    

バッチインストーラが停止した場合の対処法

バッチインストーラの起動時に無効なパラメータを入力すると、インストーラが停止してインストールは完了しません。一般的なエラーの原因としては、2 つの異なるディレクトリ名を指定した場合や、ディスク容量が不足しているときにインストーラを起動した場合などが挙げられます。

Procedureバッチインストーラを再起動する

  1. 次のように入力してログファイルを参照し、エラーメッセージがないかを確認します。


    cd /var/sadm/install/logs
    
  2. Ctrl+C を押して、インストーラを停止させます。

  3. 『Sun Studio 12 クイックインストール (英語、日本語、簡体字中国語)』を参照し、バッチインストーラを使用して製品をインストールします。