Oracle Solaris Studio 12.2: C ユーザーガイド

B.2.86 -xcode[= v]

(SPARC)コードアドレス空間を指定します。


注 –

-xcode=pic13 または -xcode=pic32 を指定して共有オブジェクトを構築することを推奨します。-xarch=v9 -xcode=abs64-xarch=v8 -xcode=abs32 を指定して有効な共有オブジェクトを構築することは可能ですが、効率は悪くなります。-xarch=v9-xcode=abs32 または -xarch=v9-xcode=abs44 を指定して構築した共有オブジェクトは機能しません。


v には次のいずれかを指定します。

表 B–23 -xcode のフラグ

意味

abs32

これは 32 ビットアーキテクチャーでのデフォルトです。32 ビットの絶対アドレスを生成します。コード、データ、および bss を合計したサイズは 2**32 バイトに制限されます。  

abs44

これは 64 ビットアーキテクチャーでのデフォルトです。44 ビットの絶対アドレスを生成します。コード、データ、および bss を合計したサイズは 2**44 バイトに制限されます。64 ビットアーキテクチャーだけで利用できます。 

abs64

64 ビットの絶対アドレスを生成します。64 ビットのアーキテクチャーでのみ利用できます。 

pic13

共有ライブラリで使用する位置独立コードを生成します。-Kpic と同義です。32 ビットアーキテクチャーでは最大 2**11 まで、64 ビットアーキテクチャーでは最大 2**10 までの固有の外部シンボルを参照できます。

pic32

共有ライブラリで使用する位置独立コード (大規模モデル) を生成します。-KPIC と同義です。32 ビットアーキテクチャーでは最大 2**30 まで、64 ビットアーキテクチャーでは最大 2**29 までの固有の外部シンボルを参照できます。

32 ビットアーキテクチャーの場合は -xcode=abs32 です。64 ビットアーキテクチャーの場合は -xcode=abs44 です。

共有動的ライブラリを作成する場合、64 ビットアーキテクチャーでは -xcode のデフォルト値である abs44abs32 を使用できません。-xcode=pic13 または -xcode=pic32 を指定してください。SPARC の場合、-xcode=pic13 および -xcode=pic32 では、わずかですが、次の 2 つのパフォーマンス上の負担がかかります。

こうした負担があるとしても、-xcode=pic13 あるいは -xcode=pic32 を使用すると、ライブラリコードを共有できるため、必要となるシステムメモリーを大幅に減らすことができます。-xcode=pic13 あるいは -xcode=pic32 でコンパイルした共有ライブラリを使用するすべてのプロセスは、そのライブラリのすべてのコードを共有できます。共有ライブラリ内のコードに非 pic (すなわち、絶対) メモリー参照が 1 つでも含まれている場合、そのコードは共有不可になるため、そのライブラリを使用するプログラムを実行する場合は、その都度、コードのコピーを作成する必要があります。

.o ファイルが -xcode=pic13 または -xcode=pic32 でコンパイルされたかどうかを調べるには、次のように nm コマンドを使用すると便利です。


% nm file.o | grep _GLOBAL_OFFSET_TABLE_ U _GLOBAL_OFFSET_TABLE_

位置独立コードを含む .o ファイルには、_GLOBAL_OFFSET_TABLE_ への未解決の外部参照が含まれます。このことは、英文字の U で示されます。

-xcode=pic13 または -xcode=pic32 のどちらを使用すべきか決定するときは、elfdump -c (詳細は elfdump(1) のマニュアルページを参照) を使用することによって、セクションヘッダー (sh_name: .got) を探して、大域オフセットテーブル (Global Offset Table、GOT) のサイズを調べてください。sh_size 値が GOT のサイズです。GOT のサイズが 8,192 バイトに満たない場合は -xcode=pic13、そうでない場合は -xcode=pic32 を指定します。

一般に、-xcode の使用方法の決定に際しては、次のガイドラインに従ってください。