Sun GlassFish Enterprise Server v3 管理ガイド

第 10 章 Enterprise Server の拡張

この章では、配備された Sun GlassFishTM Enterprise Server v3 の拡張および更新に関するタスクを、更新ツールを使用して実行する手順を説明します。pkg コマンドを使用する手順もこの章で説明します。Enterprise Server には、pkg コマンドの使用方法を説明するリファレンスページが用意されています。

ここでは、次のテーマを取り上げます。

この章のタスクを管理コンソールを使用して実行する場合の手順は、管理コンソールオンラインヘルプの更新ツールの項目で説明します。スタンドアロンの更新ツールにも、オンラインヘルプが用意されています。更新ツールの詳細は、http://wikis.sun.com/display/IpsBestPractices/Screenshots を参照してください。

アドオンコンポーネントについて

Enterprise Server は、機能をモジュール形式で提供するように設計されています。したがって、必要な機能だけをインストールして、必要がない機能のインストールは省略することができます。「OSGi モジュール」は、バンドルとも呼ばれ、配備した Enterprise Server にアドオン機能を提供します。サーバーの再起動を必要とせず、実行時にアドオンコンポーネントを追加または削除することができます。

時間の経過とともに、新しいアドオンコンポーネントが開発され、既存のコンポーネントは変更されていきます。Enterprise Server では、配備したサーバー上のソフトウェアを更新できるように、一連の Image Packaging System (IPS) ツールが提供されています。更新ツールを次の方法で使用して、新しいアドオンコンポーネンや更新されたアドオンコンポーネントをインストールできます。

グラフィカルなバージョンの更新ツールには、どちらにも詳細なオンラインヘルプが用意されています。

コンポーネントの追加

この節では、pkg コマンドを使用して、配備済みの Enterprise Server に Enterprise Server アドオンコンポーネントをインストールする手順について説明します。

Procedureアドオンコンポーネントをインストールする

pkg コマンドを使用して、アドオンコンポーネントをシステムにインストールできます。複数のバージョンのパッケージを使用できる場合は、指定しないかぎり最新のバージョンが適用されます。pkg コマンドは、as-install-parent/bin ディレクトリに格納されています。


注 –

pkg コンポーネント、updatetool コンポーネント、またはコマンド行から呼び出すその他の有効なコンポーネントが、配備済みの Enterprise Server にまだインストールされていない場合は、コンポーネントをインストールするかどうかを確認するメッセージが表示されます。「Y」を入力すると、コンポーネントがインストールされます。


始める前に

追加コンポーネントをインストールする前に、Enterprise Server v3 が完全に配備されている必要があります。インストールの手順については、『Sun GlassFish Enterprise Server v3 Installation Guide 』を参照してください。

  1. インストール済みのコンポーネントを一覧表示します。


    pkg list
    

    次のような情報が表示されます。

    NAME (AUTHORITY)                              VERSION         STATE      UFIX
    glassfishv3-common                            0-1             installed  ----
    glassfishv3-ejb                               0-1             installed  u---
    glassfishv3-nucleus                           0-1             installed  ----
    glassfishv3-web                               0-1             installed  ----
    grails                                        1.0-1.0         installed  ----
    jersey                                        0.7-0.1         installed  u---
    jmaki                                         1.8.0-1.0       installed  ----
    jruby                                         1.1.1-1.0       installed  ----
    metro                                         1.2-1           installed  u---
    pkg                                           0.1.4-6.564     installed  u---
    python2.4-minimal                             2.4.4-6.564     installed  u---
    updatetool (glassfish.org)                    2.0-6.564       installed  u---
    wxpython2.8-minimal                           2.8.7.1-6.564   installed  u---
  2. 使用可能なパッケージをすべて表示します。


    pkg list -a
    

    リポジトリから次のような情報が表示されます。

    NAME (AUTHORITY)                              VERSION         STATE      UFIX
    glassfishv3-common                            0-1             known      u---
    glassfishv3-common                            0-1             known      u---
    glassfishv3-common                            0-1             installed  ----
    glassfishv3-ejb                               0-1             known      u---
    glassfishv3-ejb                               0-1             known      u---
    glassfishv3-ejb                               0-1             known      u---
    glassfishv3-ejb                               0-1             installed  u---
    glassfishv3-ejb                               0-1             known      ----
    glassfishv3-nucleus                           0-1             known      u---
    glassfishv3-nucleus                           0-1             known      u---
    glassfishv3-nucleus                           0-1             installed  ----
    glassfishv3-web                               0-1             known      u---
    glassfishv3-web                               0-1             known      u---
    glassfishv3-web                               0-1             installed  ----
    grails                                        1.0-1.0         installed  ----
    javadb                                        0-1             known      u---
    javadb                                        0-1             known      u---
    javadb                                        0-1             known      ----
    jersey                                        0.7-0.1         installed  u---
    jersey                                        0.7-0.2         known      u---
    jersey                                        0.7-0.3         known      u---
    jersey                                        0.8-0.1         known      ----
    jmaki                                         1.8.0-1.0       installed  ----
    jruby                                         1.1.1-1.0       installed  ----
    metro                                         1.2-1           installed  u---
    metro                                         1.2-2           known      u---
    metro                                         1.2-3           known      ----
    pkg                                           0.1.4-6.564     installed  u---
    pkg                                           0.1.5-8.724     known      ----
    python2.4-minimal                             2.4.4-6.564     installed  u---
    python2.4-minimal                             2.4.4-8.724     known      ----
    updatetool                                    2.0-6.564       installed  u---
    updatetool                                    2.0-8.724       known      ----
    wxpython2.8-minimal                           2.8.7.1-6.564   installed  u---
    wxpython2.8-minimal                           2.8.7.1-8.724   known      ----
  3. as-install ディレクトリに移動します。

  4. 使用可能なパッケージのリストから、パッケージをインストールします。

    pkg install package-name という構文を使用します。次に例を示します。


    pkg install javadb
    

    コンポーネントの最新のバージョンがインストールされ、次のような情報が表示されます。

    DOWNLOAD                                     PKGS       FILES     XFER (MB)
    javadb                                       0/1      61/200     2.10/7.26 
    
    PHASE                                        ACTIONS
    Install Phase                                222/222 
  5. 変更内容を適用するために、Enterprise Server を再起動します。

    「ドメインの再起動」を参照してください。

参照

pkg コマンドを使用する際の完全な構文とオプションは、as-install/pkg/man/ ディレクトリにあるリファレンスページで説明されています。これらのリファレンスページは、man コマンドでは表示されません。代わりに、more または cat などのコマンドを使用してください。

インストール済みのコンポーネントの更新

この節では、Enterprise Server のコンポーネントをインストールしたあとに、これらのコンポーネントを更新する次の手順について説明します。

Procedureインストール済みのコンポーネントを更新する

更新されたバージョンのコンポーネントをインストールする場合は、変更されたファイルだけがダウンロードおよびインストールされます。更新されたパッケージで削除されているファイルは、更新プロセス中に削除されます。

  1. 使用可能な更新があるインストール済みのパッケージだけを一覧表示します。


    pkg list -u
    

    次のような情報が表示されます。

    NAME (AUTHORITY)                              VERSION         STATE      UFIX
    glassfishv3-ejb                               0-1             installed  u---
    jersey                                        0.7-0.1         installed  u---
    metro                                         1.2-1           installed  u---
    pkg                                           0.1.4-6.564     installed  u---
    python2.4-minimal                             2.4.4-6.564     installed  u---
    updatetool (glassfish.org)                    2.0-6.564       installed  u---
    wxpython2.8-minimal                           2.8.7.1-6.564   installed  u---
  2. 新しいバージョンのパッケージをインストールします。

    pkg install package-name という構文を使用します。次に例を示します。


    pkg install metro
    

    次のような情報が表示されます。

    DOWNLOAD                                     PKGS       FILES     XFER (MB)
    Completed                                    1/1         5/5     0.49/0.49 
    
    PHASE                                        ACTIONS
    Removal Phase                                    2/2 
    Update Phase                                     7/7 
    Install Phase                                    2/2
  3. 変更内容を適用するために、Enterprise Server を再起動します。

    「ドメインの再起動」を参照してください。

参照

pkg コマンドを使用する際の完全な構文とオプションは、as-install /pkg/man/ ディレクトリにあるリファレンスページで説明されています。これらのリファレンスページは、man コマンドでは表示されません。代わりに、more または cat などのコマンドを使用してください。

Procedureイメージ内のすべてのインストール済みコンポーネントを更新する

Enterprise Server では、単一のシステムで複数のインストールイメージを保守できます。インストールイメージを更新するときに、イメージ内にあるすべてのコンポーネントは、新しいバージョンを利用できる場合、そのバージョンに更新されます。更新されたバージョンのコンポーネントをインストールするときに、変更されたファイルだけがダウンロードおよびインストールされます。更新されたパッケージで削除されているファイルは、更新プロセス中に削除されます。

  1. イメージのすべてのパッケージをインストールします。

    pkg install image-name の構文を使用します。次に例を示します。


    pkg image-update
    

    次のような情報が表示されます。

    DOWNLOAD                                     PKGS       FILES     XFER (MB)
    Completed                                    6/6     729/729   21.59/21.59 
    
    PHASE                                        ACTIONS
    
    Removal Phase                                887/887 
    Update Phase                                 253/253 
    Install Phase                                584/584 
  2. 変更内容を適用するために、Enterprise Server を再起動します。

    「ドメインの再起動」を参照してください。

参照

pkg コマンドを使用する際の完全な構文とオプションは、as-install /pkg/man/ ディレクトリにあるリファレンスページで説明されています。これらのリファレンスページは、man コマンドでは表示されません。代わりに、more または cat などのコマンドを使用してください。

インストール済みのコンポーネントの削除

使用していないコンポーネントをシステムから削除する場合は、uninstall コマンドを使用します。コンポーネントを以前のバージョンに戻す必要がある場合は、現在のバージョンをアンインストールしたあとに、バージョン番号を指定して以前のバージョンをインストールする必要があります。

Procedureインストール済みのコンポーネントをアンインストールする

始める前に

インストール済みのコンポーネントを削除する前に、削除するコンポーネントに依存関係がないことを確認します。

  1. インストール済みのコンポーネントをすべて表示します。


    pkg list
    
    NAME (AUTHORITY)                              VERSION         STATE      UFIX
    glassfishv3-common                            0-1             installed  ----
    glassfishv3-ejb                               0-1             installed  u---
    glassfishv3-nucleus                           0-1             installed  ----
    glassfishv3-web                               0-1             installed  ----
    grails                                        1.0-1.0         installed  ----
    jersey                                        0.7-0.1         installed  u---
    jmaki                                         1.8.0-1.0       installed  ----
    jruby                                         1.1.1-1.0       installed  ----
    metro                                         1.2-1           installed  u---
    pkg                                           0.1.4-6.564     installed  u---
    python2.4-minimal                             2.4.4-6.564     installed  u---
    updatetool (glassfish.org)                    2.0-6.564       installed  u---
    wxpython2.8-minimal                           2.8.7.1-6.564   installed  u---
  2. システムから削除するコンポーネントをアンインストールします。

    pkg uninstall package-name の構文を使用します。次に例を示します。


    pkg uninstall jruby
    
  3. 変更内容を適用するために、Enterprise Server を再起動します。

    「ドメインの再起動」を参照してください。

参照

pkg コマンドを使用する際の完全な構文とオプションは、as-install /pkg/man/ ディレクトリにあるリファレンスページで説明されています。これらのリファレンスページは、man コマンドでは表示されません。代わりに、more または cat などのコマンドを使用してください。

Procedureコンポーネントをアンインストールして古いバージョンに戻す

インストールしたコンポーネントが正しく動作しない場合は、コンポーネントを古いバージョンに戻すことができます。古いバージョンのコンポーネントを復元するには、現在のバージョンのコンポーネントをアンインストールしたあと、元に戻す古いバージョンをインストールします。

始める前に

現在のバージョンのコンポーネントをアンインストールする前に、古いバージョンのコンポーネントがリポジトリにあることを確認する必要があります。

  1. 古いバージョンのコンポーネントがまだ使用可能であることを確認します。


    pkg list -a
    
  2. インストール済みのコンポーネントを一覧表示します。


    pkg list
    
  3. 置換対象の現在インストールされているコンポーネントをアンインストールします。

    pkg uninstall package-name の構文を使用します。次に例を示します。


    pkg uninstall jersey
    
  4. 古いバージョンのコンポーネントをインストールします。

    pkg install package-name —version version-number の構文を使用します。次に例を示します。


    pkg install jersey -version 0.7-0.2
    
  5. 古いバージョンがインストールされたことを確認します。


    pkg list
    
参照

pkg コマンドを使用する際の完全な構文とオプションは、as-install /pkg/man/ ディレクトリにあるリファレンスページで説明されています。これらのリファレンスページは、man コマンドでは表示されません。代わりに、more または cat などのコマンドを使用してください。