Logical Domains 1.2 管理ガイド

ジャンボフレームの構成

Logical Domains の仮想スイッチ (vsw) および仮想ネットワーク (vnet) デバイスで、1500 バイトを超えるペイロードサイズの Ethernet フレームをサポートできるようになりました。この変更によって、これらのドライバのネットワークスループットが向上します。

Procedureジャンボフレームを使用するように仮想ネットワークおよび仮想スイッチデバイスを構成する

ジャンボフレームを有効にするには、仮想スイッチデバイスの最大転送単位 (MTU) を指定します。このような場合、仮想スイッチデバイスとその仮想スイッチデバイスにバインドされているすべての仮想ネットワークデバイスで、指定した MTU 値が使用されます。

特定の状況では、仮想ネットワークデバイス上で MTU 値を直接指定できます。これは、仮想ネットワークデバイスで必要な MTU 値が仮想スイッチによってサポートされる MTU 値よりも小さい場合に行うことがあります。


注 –

Solaris 10 5/09 OS では、物理デバイスの MTU は仮想スイッチの MTU と一致するように構成する必要があります。特定のドライバの構成については、Solaris リファレンスマニュアルの 7D 節にある、そのドライバに対応するマニュアルページを参照してください。たとえば、e1000g ドライバの情報については、e1000g(7D) マニュアルページを参照してください。

OpenSolarisTM OS では、vsw ドライバは物理デバイスの MTU を自動的に構成します。したがって、追加構成は必要はありません。


  1. 制御ドメインでスーパーユーザーになります。

  2. 仮想ネットワークで使用する MTU の値を決定します。

    1500 ~ 16000 バイトの MTU 値を指定できます。指定する MTU は、仮想スイッチに割り当てられた物理ネットワークデバイスの MTU と一致する必要があります。

  3. 仮想スイッチデバイスまたは仮想ネットワークデバイスの MTU 値を指定します。

    次のいずれかを実行します。

    • MTU を mtu プロパティーの値として指定することで、サービスドメインの新しい仮想スイッチデバイスでジャンボフレームを有効にします。


      # ldm add-vsw mtu=value vswitch-name ldom
      

      このコマンドは、仮想スイッチの構成に加えて、この仮想スイッチにバインドされる各仮想ネットワークデバイスの MTU 値を更新します。

    • MTU を mtu プロパティーの値として指定することで、サービスドメインの既存の仮想スイッチデバイスでジャンボフレームを有効にします。


      # ldm set-vsw mtu=value vswitch-name
      

      このコマンドは、仮想スイッチの構成に加えて、この仮想スイッチにバインドされる各仮想ネットワークデバイスの MTU 値を更新します。

    まれに、ldm add-vnet または ldm set-vnet コマンドを使用して、仮想スイッチの MTU 値と異なる MTU 値を仮想ネットワークデバイスに指定する必要がある場合があります。たとえば、VLAN を仮想ネットワークデバイス上で構成し、VLAN の MTU の最大値が仮想スイッチの MTU 値よりも小さい場合、仮想ネットワークデバイスの MTU 値を変更する場合があります。デフォルトの MTU 値のみが使用されているドメインでは、ジャンボフレームをサポートしている vnet ドライバは必要ない場合があります。ただし、ジャンボフレームを使用する仮想スイッチにバインドされた仮想ネットワークデバイスがドメインに存在する場合、vnet ドライバがジャンボフレームをサポートしていることを確認してください。

    ldm set-vnet コマンドを使用して仮想ネットワークデバイスで mtu 値を指定する場合、あとで仮想スイッチデバイスの MTU 値が更新されても、仮想ネットワークデバイスには更新値は伝播されません。仮想ネットワークデバイスを再度有効にして仮想スイッチデバイスから MTU 値を取得するには、次のコマンドを実行します。


    # ldm set-vnet mtu= vnet-name ldom
    

    仮想ネットワークデバイスでジャンボフレームを有効にすると、その仮想ネットワークデバイスに割り当てられているハイブリッド I/O リソースでもジャンボフレームが自動的に有効になります。

    制御ドメインでは、Logical Domains Manager が、ldm set-vsw および ldm set-vnet コマンドによって設定された MTU 値を遅延再構成処理として更新します。制御ドメイン以外のドメインの MTU を更新するには、ドメインを停止してから ldm set-vsw または ldm set-vnet コマンドを実行して MTU 値を変更する必要があります。


    注 –

    OpenSolaris 2009.06 の dladm set-linkprop コマンドは、Logical Domains 仮想ネットワークデバイスの MTU 値の変更には使用できません。



例 7–1 仮想スイッチおよび仮想ネットワークデバイスでのジャンボフレームの構成


ジャンボフレームに対応していない旧バージョンの vnet および vsw ドライバとの互換性

ジャンボフレームをサポートしているドライバとジャンボフレームをサポートしていないドライバを、同じシステム上で相互運用できます。この相互運用は、仮想スイッチを作成するときにジャンボフレームのサポートが有効になっていない場合にかぎり可能です。


注 –

仮想スイッチに関連付けられたゲストドメインまたはサービスドメインがジャンボフレームをサポートしている Logical Domains ドライバを使用していない場合、mtu プロパティーを設定しないでください。


ジャンボフレームを有効にするには、仮想スイッチの mtu プロパティーをデフォルト値の 1500 から変更します。この場合、旧バージョンのドライバは mtu 設定を無視し、デフォルト値を引き続き使用します。ldm list の出力には、デフォルト値ではなく、指定した MTU 値が示されます。デフォルトの MTU よりも大きいフレームはそれらのデバイスには送られず、新しいドライバによって破棄されます。この場合、旧ドライバを使用し続けているゲストがあると、一貫性のないネットワーク動作につながる場合があります。これは、クライアントゲストドメインおよびサービスドメインの両方に当てはまります。

そのため、ジャンボフレームが有効な場合は、Logical Domains ネットワークのすべての仮想デバイスをアップグレードし、ジャンボフレームをサポートしている新しいドライバが使用されるようにしてください。また、ジャンボフレームを構成できるように、Logical Domains Manager 1.2 にアップグレードしてください。