Logical Domains 1.2 管理ガイド

付録 C Logical Domains Physical-to-Virtual 移行ツール

この付録の内容は次のとおりです。

Logical Domains P2V 移行ツールの概要

Logical Domains Physical-to-Virtual (P2V) 移行ツールは、既存の物理システムを、チップマルチスレッディング (CMT) システム上の論理ドメインで動作する仮想システムに自動的に変換します。ソースシステムとして、次のいずれかを使用できます。

物理システムから仮想システムへの変換は、次のフェーズで実行されます。

P2V 移行ツールの詳細は、ldmp2v(1M) マニュアルページを参照してください。

次の節からは、物理システムから仮想システムへの変換が各フェーズで実行される方法について説明します。

収集フェーズ

このフェーズは、変換するシステムで実行されます。一貫性のあるファイルシステムイメージを作成するには、システムの動作を最小限に抑えて、すべてのアプリケーションを停止する必要があります。ldmp2v は、マウント済みのすべての UFS ファイルシステムのバックアップを作成します。したがって、論理ドメインに移行するすべてのファイルシステムがマウントされていることを確認してください。-x を使用すると、マウント済みのファイルシステムを除外できます。

ソースシステムでの変更は不要です。唯一必要なのは、制御ドメインにインストールされた ldmp2v スクリプトです。使用するように選択したアーカイブ方式に応じて、ufsdump または flarcreate ユーティリティーがソースシステムに存在していることを確認してください。

準備フェーズ

準備フェーズでは、収集フェーズで収集されたデータを使用して、ソースシステムに相当する論理ドメインを作成します。

次のいずれかの方法で ldmp2v prepare コマンドを使用できます。

変換フェーズ

変換フェーズでは、Solaris のアップグレード処理を使用して論理ドメインが Solaris 10 OS にアップグレードされます。アップグレード処理は、既存のすべてのパッケージを削除し、Solaris 10 sun4v パッケージをインストールします。これにより、sun4u から sun4v への変換は自動的に実行されます。convert フェーズでは、Solaris DVD ISO イメージまたはネットワークインストールイメージを使用できます。Custom JumpStart を使用して、完全に自動化された、操作不要のアップグレード処理を実行することもできます。

Logical Domains P2V 移行ツールのインストール

Logical Domains P2V 移行ツールは、制御ドメインのみでインストールおよび構成されている必要があります。ソースシステムとターゲットシステムで共有されているディレクトリに P2V ツールがインストールされていない場合、bin/ldmp2v スクリプトをソースシステムにコピーする必要があります。

必要条件

Logical Domains P2V 移行ツールを実行する前に、次の条件を満たしていることを確認してください。

これらの必要条件のほかに、NFS ファイルシステムがソースシステムとターゲットシステムの両方で共有されるように構成する必要があります。このファイルシステムは、root が書き込みできるようにしてください。ただし、共有ファイルシステムを使用できない場合は、ソースシステムとターゲットシステムの両方でソースシステムのファイルシステムダンプ出力を格納できる大きさのローカルファイルシステムを使用します。

制限事項

Logical Domains P2V 移行ツール Version 1.0 には、次の制限事項があります。

ProcedureLogical Domains P2V 移行ツールをインストールする

  1. Logical Domains のダウンロードページ (http://www.sun.com/servers/coolthreads/ldoms/get.jsp) に移動します。

  2. P2V ソフトウェアパッケージ SUNWldmp2v をダウンロードします。

  3. スーパーユーザーになります。

  4. pkgadd コマンドを使用して、SUNWldmp2v パッケージをインストールします。


    # pkgadd -d . SUNWldmp2v
    
  5. /etc/ldmp2v.conf ファイルを作成して、次のプロパティーを構成します。

    • VDS 仮想ディスクサービスの名前。VDS="primary-vds0" など

    • VSW 仮想スイッチの名前。VSW="primary-vsw0" など

    • VCC 仮想コンソール端末集配信装置の名前。VCC="primary-vcc0" など

    • BACKEND_TYPE バックエンドのタイプ。zvol または file

    • BACKEND_SPARSE バックエンドデバイスをスパースボリュームまたはスパースファイルとして作成する場合は BACKEND_SPARSE="yes"、スパースでないボリュームまたはファイルとして作成する場合は BACKEND_SPARSE="no"

    • BACKEND_PREFIX 仮想ディスクバックエンドデバイスを作成する場所

      BACKEND_TYPE="zvol" の場合、BACKEND_PREFIX 値を ZFS データセット名として指定します。BACKEND_TYPE="files" の場合、BACKEND_PREFIX 値は、/ からの相対的なディレクトリのパス名として解釈されます。

      たとえば、BACKEND_PREFIX="tank/ldoms" の場合、ZVOL は tank/ldoms/domain-name データセット、ファイルは /tank/ldoms/domain-name サブディレクトリに作成されます。

    • BOOT_TIMEOUT Solaris OS の起動のタイムアウト時間 (秒)

    詳細は、ダウンロード可能なバンドルに含まれている ldmp2v.conf.sample 構成ファイルを参照してください。

ldmp2v コマンドの使用

この節では、3 つのフェーズの例を示します。


例 C–1 収集フェーズの例

ldmp2v collect コマンドの使用方法の例を次に示します。



例 C–2 準備フェーズの例

ldmp2v prepare コマンドの使用方法の例を次に示します。



例 C–3 変換フェーズの例

ldmp2v convert コマンドの使用方法の例を次に示します。