Logical Domains 1.2 管理ガイド

Logical Domains をすでに使用しているシステムのアップグレード

この節では、Logical Domains ソフトウェアをすでに使用しているシステムで Solaris OS、ファームウェア、および Logical Domains Manager コンポーネントをアップグレードするプロセスについて説明します。

Solaris OS のアップグレード

使用しているシステムですでに Logical Domain ソフトウェアが構成されている場合は、その制御ドメインをアップグレードする必要があります。Logical Domains 1.2 ソフトウェアのすべての機能を使用可能にする場合は、その他の既存のドメインもアップグレードする必要があります。

このバージョンの Logical Domains ソフトウェアで使用する必要のある Solaris 10 OS、および各種ドメインに必須および推奨されるパッチを調べるには、『Logical Domains 1.2 リリースノート』「必須のソフトウェアとパッチ」 を参照してください。Solaris OS をアップグレードする詳細な手順については、Solaris 10 のインストールマニュアルを参照してください。

制御ドメインで Solaris OS をアップグレードする場合、この節に示すとおり、Logical Domains の自動保存構成データおよび制約データベースファイルを保存および復元する必要があります。

自動保存構成ディレクトリの保存および復元

制御ドメインでオペレーティングシステムをアップグレードするたびに、Logical Domains の自動保存構成データを保存および復元する必要があります。このデータは、/var/opt/SUNWldm/autosave-autosave-name ディレクトリに格納されています。

tar または cpio コマンドを使用して、ディレクトリのすべての内容を保存および復元できます。


注 –

各自動保存ディレクトリには、関連する構成の前回の SP 構成更新のタイムスタンプが含まれています。自動保存ファイルを復元すると、タイムスタンプが同期しなくなることがあります。この場合、復元された自動保存構成は、以前の状態 ([newer] または最新) で表示されます。


自動保存構成の詳細は、「Logical Domains 構成の管理」 を参照してください。

Procedure自動保存ディレクトリを保存および復元する

この手順は、自動保存ディレクトリを保存および復元する方法を示します。

  1. 自動保存ディレクトリを保存します。


    # cd /
    # tar -cvf autosave.tar var/opt/SUNWldm/autosave-*
    
  2. (省略可能) クリーンな復元操作を行えるように、既存の自動保存ディレクトリを削除します。

    自動保存ディレクトリには、以前の構成によって残されたファイルなどの不要なファイルが含まれていることがあります。このようなファイルは、SP にダウンロードされた構成を破壊することがあります。このような場合、この例に示すとおり、復元操作の前に自動保存ディレクトリを削除します。


    # cd /
    # rm -rf var/opt/SUNWldm/autosave-*
    
  3. 自動保存ディレクトリを復元します。

    これらのコマンドは、/var/opt/SUNWldm ディレクトリ内のファイルおよびディレクトリを復元します。


    # cd /
    # tar -xvf autosave.tar
    

Logical Domains の制約データベースファイルの保存および復元

制御ドメインでオペレーティングシステムをアップグレードするたびに、/var/opt/SUNWldm/ldom-db.xml で参照できる Logical Domains の制約データベースファイルを保存および復元する必要があります。


注 –

また、ディスクスワップなど、制御ドメインのファイルデータを破損するその他の操作を行うときは、/var/opt/SUNWldm/ldom-db.xml ファイルも保存および復元します。


Live Upgrade を使用する場合の Logical Domains の制約データベースファイルの保持

制御ドメインで Live Upgrade を使用する場合は、/etc/lu/synclist ファイルに次の行を追加することを検討してください。


/var/opt/SUNWldm/ldom-db.xml     OVERWRITE

これによって、データベースがアクティブなブート環境から新しいブート環境に自動的にコピーされます。/etc/lu/synclist と、ブート環境間でのファイルの同期については、『Solaris 10 5/09 Installation Guide: Solaris Live Upgrade and Upgrade Planning』「Synchronizing Files Between Boot Environments」 を参照してください。

Solaris 10 5/08 OS より前の Solaris 10 OS からのアップグレード

制御ドメインで Solaris 10 5/08 OS より前のバージョンの Solaris 10 OS (またはパッチ 127127-11 が適用されていない Solaris 10 OS) からのアップグレードを行う場合、およびボリュームマネージャーのボリュームが仮想ディスクとしてエクスポートされている場合は、Logical Domain Manager をアップグレードしたあとに、options=slice を指定して仮想ディスクバックエンドを再エクスポートする必要があります。詳細は、「ボリュームのエクスポートおよび下位互換性」 を参照してください。

Logical Domains Manager およびシステムファームウェアのアップグレード

この節では、Logical Domains 1.2 ソフトウェアにアップグレードする方法について説明します。

まず、Logical Domains Manager および Solaris Security Toolkit を制御ドメインにダウンロードします。「Logical Domains Manager および Solaris Security Toolkit のダウンロード」 を参照してください。

次に、プラットフォーム上で動作している制御ドメイン以外のすべてのドメインを停止します。

Procedureプラットフォーム上で動作している制御ドメイン以外のすべてのドメインを停止する

  1. 各ドメインで ok プロンプトに移行します。

  2. 制御ドメインから各ドメインに対して stop-domain サブコマンドを実行します。


    primary# ldm stop-domain ldom
    
  3. 制御ドメインから各ドメインに対して unbind-domain サブコマンドを実行します。


    primary# ldm unbind-domain ldom
    

Logical Domains 1.2 ソフトウェアへのアップグレード

この節では、Logical Domains 1.2 ソフトウェアにアップグレードする方法について説明します。

既存の LDoms 1.0 の設定を Logical Domains 1.2 ソフトウェアで使用する場合は、「LDoms 1.0 ソフトウェアからアップグレードする」 に示す手順を実行してください。既存の LDoms 1.0 の設定は、Logical Domains 1.2 ソフトウェアでは機能しません

LDoms 1.0.1、1.0.2、1.0.3、または 1.1 ソフトウェアからアップグレードする場合、「LDoms 1.0.x または 1.1 からアップグレードする」 に示す手順を実行してください。既存の LDoms 1.0.1、1.0.2、1.0.3、および 1.1 の設定は、Logical Domains 1.2 ソフトウェアでも機能します

ProcedureLDoms 1.0 ソフトウェアからアップグレードする

既存の Logical Domains 1.0 の設定は Logical Domains 1.2 ソフトウェアでは機能しません。そのため、Logical Domains 1.0 の設定を保存してから、Logical Domains 1.2 ソフトウェアで使用できるようにその設定をアップグレードする必要があります。次の手順では、ldm add-domain コマンドに XML 制約ファイルおよび -i オプションを使用して、構成を保存および再構築する方法について説明します。

基本的な処理は、各ドメインの制約情報を XML ファイルに保存することです。アップグレード後に、この XML ファイルを Logical Domains Manager に対して再実行して、必要な設定を再構築できます。

この節に示す手順は、制御ドメインではなく、ゲストドメインに対して有効です。制御 (primary) ドメインの制約を XML ファイルに保存することはできますが、それを ldm add-domain -i コマンドに指定することはできません。ただし、XML ファイルのリソース制約を使用して、primary ドメインを再構成する CLI コマンドを作成することはできます。ldm list-constraints -x primary コマンドの標準的な XML 出力を、primary ドメインの再構成に必要な CLI コマンドに変換する方法については、「制御ドメインの再構築」 を参照してください。

次に示す方法では、実際のバインドは保持されず、それらのバインドを作成するために使用した制約だけが保持されます。つまり、この手順を行うと、ドメインは同じ仮想リソースを持ちますが、同じ物理リソースにバインドされるとはかぎりません。

  1. 各ドメインで、ドメインの制約を含む XML ファイルを作成します。


    # ldm list-constraints -x ldom > ldom.xml
    
  2. サービスプロセッサに格納されている論理ドメイン構成をすべて一覧表示します。


    # ldm list-config
    
  3. サービスプロセッサに格納されているそれぞれの論理ドメイン構成を削除します。


    # ldm rm-config config-name
    
  4. Logical Domains Manager デーモン (ldmd) を無効にします。


    # svcadm disable ldmd
    
  5. Logical Domains Manager パッケージ (SUNWldm) を削除します。


    # pkgrm SUNWldm
    
  6. Solaris Security Toolkit パッケージ (SUNWjass) を削除します。


    # pkgrm SUNWjass
    
  7. システムのファームウェアをフラッシュ更新します。

    手順全体については、「システムファームウェアをアップグレードする」 または 「FTP サーバーを使用せずに、システムファームウェアをアップグレードする」 を参照してください。

  8. Solaris Security Toolkit および Logical Domains Manager を再インストールします。

    「Logical Domains Manager および Solaris Security Toolkit のインストール」 を参照してください。

  9. primary ドメインを手動で再構成します。

    手順については、「制御ドメインを設定する」 を参照してください。

  10. 手順 1 で作成した各ゲストドメインの XML ファイルに対して、次のコマンドを実行します。


    # ldm add-domain -i ldom.xml
    # ldm bind-domain ldom
    # ldm start-domain ldom
    

ProcedureLDoms 1.0.x または 1.1 からアップグレードする

  1. システムのファームウェアをフラッシュ更新します。

    手順全体については、「システムファームウェアをアップグレードする」 または 「FTP サーバーを使用せずに、システムファームウェアをアップグレードする」 を参照してください。

  2. Logical Domains Manager デーモン (ldmd) を無効にします。


    # svcadm disable ldmd
    
  3. 古い SUNWldm パッケージを削除します。


    # pkgrm SUNWldm
    
  4. 新しい SUNWldm パッケージを追加します。

    -d オプションの指定は、パッケージが現在のディレクトリに存在することを前提としています。


    # pkgadd -Gd . SUNWldm
    
  5. ldm list コマンドを使用して、Logical Domains Manager デーモンが実行中であることを確認します。

    ldm list コマンドを実行すると、システム上で現在定義されているすべてのドメインが一覧表示されます。特に、primary ドメインが表示され、状態が active になっているはずです。次のサンプル出力は、システム上に primary ドメインのみが定義されていることを示します。


    # ldm list
    NAME             STATE    FLAGS   CONS    VCPU  MEMORY   UTIL  UPTIME
    primary          active   ---c-   SP      32    3264M    0.3%  19d 9m