Solaris 共通デスクトップ環境 ユーザーズ・ガイド

保存停止・復元再開機能を使用する場合の注意事項

デスクトップシステムの電源を切ると、マシンに関連する一部の動作を妨害する場合もあります。ここでは、システムの電源管理機能をデスクトップマシンで使用する前に考慮すべきガイドラインについて説明します。

電子メールの問題

マシンが保存停止状態にあると、マシン上のメールスプールファイルにメールが送信されません。メールは通常、4 日以上配信できないと、配信不能として送信元に返送されます。

マシンにローカルなメールスプールが存在する場合に、システムを 3 日以上保存停止状態にしておくと、メールアプリケーションが送信元に返送したメッセージを受信できないことがあります。

メールエイリアスの問題

マシンが保存停止状態にあると、マシン上のメールエイリアスをほかのユーザが利用できません。マシンが長い間 (通常 3 日間以上) 保存停止状態にあると、そのマシン上のエイリアスに送信されたメッセージは送信元に返送されます。

リモートログインの問題

マシンが保存停止状態にあると、リモートダイヤルインを使用してそのマシンにアクセスすることができません。つまり、マシンが保存停止状態にあると、rlogin(1) を使用してそのマシンに接続することができません。

ネットワークソフトウェアの問題

保存停止・復元再開機能がネットワークアプリケーションに影響を与える場合があります。相手のシステムが保存停止状態にあってネットワークトラフィックに応答しない場合、ネットワークプログラムに柔軟性がないと、障害が発生することもあります。

たとえば、xhost を使用するアプリケーションをあるシステムから起動し、他方のシステムでそのアプリケーションの表示を実行する場合などがこれに当てはまります。後者のシステムが電源管理機能によって保存停止状態にあると、該当するアプリケーションソフトウェアで障害が発生する場合があります。

Solstice AutoClient の問題

Solstice™ AutoClient™ ソフトウェアを使用するマシン上で保存停止・復元再開機能を使用しないでください。

ATM の問題

Power Management ソフトウェアは、SunATM™ デバイスではサポートされていません。ATM プロトコルの場合は、2 つの終端 (ワークステーションなど) の間で呼び出しが確立されていなければ、データを転送することができません。呼び出しの各終端では、接続を能動的に維持しなければなりません。そのため、ATM 接続のどちらの終端でも、Power Management ソフトウェアを使用して接続を保存停止状態にした後で接続を復元再開することができません。

cron ジョブの問題

マシンが保存停止状態にある間、cron ファイルで指定されている処理は実行されません。

システムが復元再開されると、Power Management ソフトウェアによってシステムが保存停止されていた間に実行するようスケジューリングされていた cron ジョブは、次のように処理されます。

cron コマンドは通常、次に実行するジョブを識別し、そのジョブを実行するまでの待ち時間 (間隔) を計算します。システムが復元再開されると、cron コマンドは先頭のジョブが期限切れになるまでの間隔を計算するので、待ち行列にすでに入っている cron ジョブは実行されます。cron プロセスはその後、cron ジョブのキューを再チェックします。cron プロセスは、実行時間がまだ過ぎていないジョブだけを考慮します。そのため、システムが保存停止状態にあった期間に実行時間が過ぎたその他のジョブは、実行されません。

カレンダマネージャの問題

カレンダマネージャは、デスクトップマシンが保存停止状態にあった時期に発生するようにスケジューリングされていたイベントを、ポップアップウィンドウで表示しません。

熱応力の問題

Power Management ソフトウェアの目標は、電力を節約することです。そのため、電源のオン/オフの回数増加がハードウェアの信頼性全体にどのような影響を与えるのかも考慮する必要があります。

sun4u システム (Sun Ultra 1 など) ではデフォルト時、Power Management ソフトウェアがアクティブな状態になります。そのため、それらのマシンの Power Management システムでは、システムがアイドル状態になることで発生する電源の自動オン/オフの各要求を評価します。評価の結果、電源のオン/オフによる熱負荷によってハードウェアの信頼性が低下する判断された場合は、電源オン/オフの要求が保留されます。

ただし、このような機能があっても、sun4u システムの電源は手動でいつでも切ることができます。上記の評価機能は、ハードウェアに対する電源オン/オフの要求回数が過度に多くならないようにするための機能です。