Solaris DHCP サービス開発ガイド

dhcptab 関数

この節に記載される API 関数は、dhcptab コンテナとともに使用されます。

list_dt()

目的

dhcptab コンテナの名前をリストします。

形式

int list_dt(const char *location, char ***listppp, uint_t *count);

説明

location で見つかった dhcptab コンテナオブジェクトの動的に割り当てたリストを生成し (listppp) 、リストの項目数を count 内に格納します。dhcptab コンテナオブジェクトが全く存在しない場合は、DSVC_SUCCESS が返され、listpppNULL に設定され、count は 0 に設定されます。

戻り値

DSVC_SUCCESS, DSVC_ACCESS, DSVC_NO_LOCATION

open_dt()

目的

dhcptab コンテナをオープンするか、または新たに作成します。

形式

int open_dt(void **handpp, const char *location, uint_t flags);

説明

既存の dhcptab コンテナをオープンするか、または新しいコンテナを location に作成し、そのインスタンスハンドルを指すように handpp を初期設定します。データ格納にとって必要な初期設定があれば、それを行います。新しい dhcptab を作成する場合には、所有者/アクセス権に呼び出し元の ID が使用されます。有効なフラグには、DSVC_CREATEDSVC_READDSVC_WRITEDSVC_NONBLOCK があります。dhcptab コンテナの読み取り専用 (DSVC_CREATE | DSVC_READ) としての作成は無効であることに注意してください。

戻り値

DSVC_SUCCESS, DSVC_EXISTS, DSVC_ACCESS, DSVC_NOENT, DSVC_NO_LOCATION, DSVC_BUSY, DSVC_INTERNAL

lookup_dt()

目的

dhcptab コンテナ内のレコードに対するクエリー検索を行います。

形式

int lookup_dt(void *handp, boolean_t partial, uint_t query, int count, const dt_rec_t *targetp, dt_rec_list_t **resultp, uint_t *records);

説明

querytargetp の組み合わせで指定されたクエリーにマッチするインスタンスを dhcptab コンテナから検索します。partial 引数が B_TRUE の場合は、呼び出し元にとって部分的なクエリー結果も適用可能であることを意味します。したがって、partialB_TRUE の場合は、マッチするレコードが 1 つでもあれば、クエリーは有効と見なされます。partialB_FALSE の場合は、クエリーがコンテナ全体に適用された場合だけ DSVC_SUCCESS が返されます。

クエリー引数は、長さがそれぞれ 16 ビットの 2 つのフィールドからなります。下位 16 ビットでは、targetp のどのフィールド {key, type} をクエリーの対象とするかを選択します。上位 16 ビットでは、下位 16 ビットで選択された特定のフィールド値がマッチするものを検索するのか (ビットセット)、マッチしないものを検索するのか (ビットクリア) を指定します。両方の 16 ビットフィールドとも、ビット 2 から 15 は現在のところ使用されておらず、0 に設定されていなければなりません。クエリーを構築するために有用なマクロを例 3–1 に示します。

count フィールドは、マッチするレコードを最大でいくつ返すかを指定します。count 値に -1 を指定すると、マッチするレコードがいくつあっても、すべて返すことを要求します。count 値に 0 を指定すると、lookup_dt はデータ無しでただちに返されます。

resultp は、返されるレコードのリストを指すよう設定されます。resultp に NULL が指定される場合、呼び出し元は単にクエリーにマッチするレコードがいくつあるかに関心があるということになります。これらのレコードは動的に割り当てられるため、呼び出し元でこれを解放する必要があることに注意してください。lookup_dt() は、records 引数内にマッチするレコードの数を返します。records の値 0 は、クエリーにマッチするレコードは全く無いことを示します。

次の例には、DHCP ネットワークおよび dhcptab のコンテナに対するクエリー検索の構築や操作に有用なマクロが含まれています。


例 3–1 クエリー検索に有用なマクロ

/*
* Query macros - used for initializing query fields (lookup_d?)
*/
/* dhcp network container */
#define DN_QCID 0x0001
#define DN_QCIP 0x0002
#define DN_QSIP 0x0004
#define DN_QLEASE 0x0008
#define DN_QMACRO 0x0010
#define DN_QFDYNAMIC 0x0020
#define DN_QFAUTOMATIC 0x0040
#define DN_QFMANUAL 0x0080
#define DN_QFUNUSABLE 0x0100
#define DN_QFBOOTP_ONLY 0x0200
#define DN_QALL (DN_QCID | DN_QCIP | DN_QSIP | DN_QLEASE | \
DN_QMACRO | DN_QFDYNAMIC DN_QFAUTOMATIC |\
DN_QFMANUAL | DN_QFUNUSABLE | \
DN_QFBOOTP_ONLY)

/* dhcptab */
#define DT_DHCPTAB "dhcptab"  /* default name of container */
#define DT_QKEY 0x01
#define DT_QTYPE 0x02
#define DT_QALL (DT_QKEY | DT_QTYPE)

/* general query macros */
#define DSVC_QINIT(q) ((q) = 0)
#define DSVC_QEQ(q, v) ((q) = ((q) | (v) | ((v) << 16)))
#define DSVC_QNEQ(q, v) ((q) = ((~(v << 16)) & (q)) | (v)))
#define DSVC_QISEQ(q, v) (((q) & (v)) && ((q) & ((v) << 16)))
#define DSVC_QISNEQ(q, v) (((q) & (v)) && (!((q) & ((v) << 16))))

/* Examples */
uint_t query;
/* search for dhcptab record with key value, but not flags value */
DSVC_QINIT(query);
DSVC_QEQ(query, DT_QKEY);
DSVC_QNEQ(query, DT_QTYPE);
/* search for dhcp network record that matches cid, client ip, server ip.
*/
DSVC_QINIT(query);
DSVC_QEQ(query, (DN_QCID | DN_QCIP | DN_QSIP));

戻り値

DSVC_SUCCESS, DSVC_ACCESS, DSVC_BUSY, DSVC_INTERNAL.

add_dt()

目的

dhcptab コンテナにレコードを追加します。

形式

int add_dt(void *handp, dt_rec_t *newp);

説明

handp で参照される dhcptab コンテナにレコード newp を追加します。newp に対応するシグニチャは、基盤となるパブリックモジュールによって更新されます。更新における衝突が発生する場合は、データ格納は更新されません。動的に割り当てられた引数は、呼び出し元で解放する必要があります。

戻り値

DSVC_SUCCESS, DSVC_ACCESS, DSVC_BUSY, DSVC_INTERNAL, DSVC_EXISTS .

modify_dt()

目的

dhcptab コンテナ内のレコードを変更します。

形式

int modify_dt(void *handp, const dt_rec_t *origp, dt_rec_t *newp);

説明

handp で参照される dhcptab コンテナ内のレコード origp をレコード newp に変更します。newp に対応するシグニチャは、基盤となるパブリックモジュールによって更新されます。更新における衝突が発生する場合は、データ格納は更新されません。動的に割り当てられた引数は、呼び出し元で解放する必要があります。

戻り値

DSVC_SUCCESS, DSVC_ACCESS, DSVC_BUSY, DSVC_COLLISION, DSVC_INTERNAL, DSVC_NOENT.

delete_dt()

目的

dhcptab コンテナからレコードを削除します。

形式

int delete_dt(void *handp, const dt_rec_t *dtp);

説明

ハンドル handp で参照される dhcptab コンテナから、dtpkeytypedt_sig フィールドで指定されるレコードを削除します。更新における衝突が発生する場合には、マッチするレコードはデータ格納から削除されず、DSVC_COLLISION が返されます。動的に割り当てられた引数は、呼び出し元で解放する必要があります。

dtp シグニチャ (dt_sig) に 0 を指定すると、更新における衝突があるかどうかの検知は行なわれず、マッチするレコードが単純に削除されます。

戻り値

DSVC_SUCCESS, DSVC_ACCESS, DSVC_NOENT, DSVC_BUSY, DSVC_INTERNAL, DSVC_COLLISION.

close_dt()

目的

dhcptab コンテナをクローズします。

形式

int close_dt(void **handpp);

説明

インスタンスハンドルを解放し、インスタンスごとの状態を消去します。

戻り値

DSVC_SUCCESS, DSVC_ACCESS, DSVC_INTERNAL.

remove_dt()

目的

データ格納のロケーションから dhcptab コンテナを削除します。

形式

int remove_dt(const char *location);

説明

データ格納から location 内の dhcptab コンテナを削除します。

戻り値

DSVC_SUCCESS, DSVC_ACCESS, DSVC_NOENT, DSVC_NO_LOCATION, DSVC_BUSY, DSVC_INTERNAL.