SAC は、起動するポートモニターごとに次の 2 つの環境変数を作成します。
SAC は、この変数を一意的に識別できるポートモニタータグに設定します。ポートモニターは sac メッセージに応答するときに、このタグを使用して自分自身を示します。ISTATE は、ポートモニターの起動時の内部状態を指定するのに使用します。 ISTATE
は、ポートモニターが使用可能状態で起動するときに enabled に、使用不可状態で起動するときに disabled に設定されます。sac はポートモニターの正常なポーリングを定期的に実行します。
SAC は FIFO 経由でポートモニターと通信します。 ポートモニターはカレントディレクトリ内で SAC からのメッセージを受け取るための _pmpipe と、応答メッセージを SAC に送るための ../_sacpipe をオープンします。
この節では、SAC からポートモニターに送るメッセージ (SAC メッセージ) と、ポートモニターから SAC に送るメッセージ (ポートモニターメッセージ) について説明します。メッセージは、FIFO を通して C の構造体形式で送信されます。例 F–2 を参照してください。
SAC から送られるメッセージの形式は、構造体 sacmsg で定義されています。
struct sacmsg { int sc_size; /* オプションデータ部分のサイズ */ char sc_type; /* メッセージのタイプ */ };
SAC からポートモニターに送られるメッセージには 4 つのタイプがあります。メッセージがどのタイプなのかは、sacmsg 構造体の sc_type フィールドに次のどれかの値を設定して示します。
SC_STATUS ステータス要求
SC_ENABLE 使用可能メッセージ
SC_DISABLE 使用不可メッセージ
ポートモニターの _pmtab ファイルを読む必要があることを示す SC_READDB メッセージ
sc_size はメッセージのオプションデータ部分のサイズを示します。メッセージクラス を参照してください。Solaris 環境では常に sc_size を 0 に設定する必要があります。
ポートモニターは、sac からのメッセージには必ず応答しなければなりません。
ポートモニターから sac に送られるメッセージの形式は、次の構造体 pmmsg で定義されています。
struct pmmsg { char pm_type; /* メッセージのタイプ */ unchar pm_state; /* ポートモニターの現在の状態 */ char pm_maxclass; /* このポートモニターが解釈できる 最大メッセージクラス */ char pm_tag[PMTAGSIZE + 1]; /* ポートモニターのタグ */ int pm_size; /* オプションデータ部分のサイズ */ };
ポートモニターから SAC に送られるメッセージには 2 つのタイプがあります。 メッセージがどのタイプなのかは、pmmsg 構造体の pm_type フィールドに次のどちらかの値を設定して示します。
PM_STATUS 状態情報
PM_UNKNOWN 否定応答
どちらのタイプのメッセージの場合も、pm_tag フィールドにはポートモニターのタグが、pm_state フィールドにはポートモニターの現在の状態が設定されます。pm_state フィールドに設定できる状態は次の 4 つです。
PM_STARTING 起動中
PM_ENABLED 使用可能
PM_DISABLED 使用不可
PM_STOPPING 停止中
現在の状態は、sac からの最後のメッセージによる状態変更を反映しています。
通常の応答メッセージは状態メッセージです。否定応答メッセージを返すのは、sac から受信したメッセージが理解できなかったときだけです。
pm_size はメッセージのオプションデータ部分のサイズを示します。pm_maxclass はメッセージクラスを指定するのに使用します。この 2 つのフィールドについては、メッセージクラス の説明を参照してください。Solaris 環境では、常に pm_maxclass を 1 へ、sc_size を 0 へ設定してください。
ポートモニターから先にメッセージを送ることはありません。ポートモニターは、受信したメッセージに応答するだけです。
メッセージクラスの概念は、SAF の拡張性に含まれています。前述のメッセージはすべて class 1 メッセージです。 どのメッセージにも可変長データは含まれていません。必要な情報はすべてメッセージヘッダーに入っています。
新たなメッセージをプロトコルに加えると、それによって新たなメッセージクラス、たとえば、クラス 2 が定義されます。SAC からポートモニターに送られる最初のメッセージは常にクラス 1 のメッセージです。どのポートモニターもクラス 1 のメッセージは理解できますから、SAC が送る最初のメッセージは必ず理解されます。ポートモニターは、それに対する sac への応答の中で、ポートモニターが理解できる最大メッセージクラス番号を pm_maxclass フィールドに設定します。sac は、ポートモニターに対して、pm_maxclass の値より大きいクラスのメッセージは送りません。ポートモニターが理解できるクラスより上のクラスのメッセージを必要とする要求は、失敗に終わります。Solaris 環境では、常に pm_maxclass を 1 へ設定してください。
どのポートモニターも、pm_maxclass の値と等しいクラスかそれより小さいクラスのメッセージを受信できます。したがって、pm_maxclass フィールドが 3 の場合、このポートモニターはクラス 1、2、3 のメッセージを理解できます。ポートモニターはメッセージを生成することはありません。受信したメッセージに応答するだけです。ポートモニターからの応答は、元のメッセージと同じクラスでなければなりません。
sac の側からだけメッセージが生成されるので、sac が生成できるクラスより上のクラスのメッセージをポートモニターが処理できる場合も、このプロトコルは正しく機能します。
pm_size は pmmsg 構造体の要素です。sc_size は sacmsg 構造体の要素です。 これらの要素はメッセージのオプションデータ部分のサイズを示します。オプションデータ部分の形式は未定義です。オプションデータ部分の形式定義は、メッセージのタイプによって決まっています。Solaris 環境では、常に sc_size と pm_size を 0 へ設定してください。