デスクトップは、アプリケーションとそれに関連付けられたデスクトップ・ファイルを検出するために検索パスを使用します。
この章では、次の内容について説明します。
デスクトップは、表 9–1 にある 4 つの検索パスを提供します。
表 9–1 デスクトップ検索パス
検索パス |
説明 |
---|---|
アプリケーション |
アプリケーションを検出するのに使用します。アプリケーション・マネージャは、アプリケーション検索パスを使用して、ユーザのログイン時に動的にトップレベルを生成します。 |
データベース |
アクションおよびデータ型の定義ファイル (*.dt ファイル) とフロントパネル・ファイル (*.fp ファイル) の追加位置を指定するのに使用します。 |
アイコン |
アイコンの追加位置を指定するのに使用します。 |
ヘルプ・データ |
デスクトップ・ヘルプ・データの追加位置を指定するのに使用します。 |
検索パスには、ローカル・ディレクトリとリモート・ディレクトリの両方を指定できます。したがって、デスクトップのネットワーク・アーキテクチャにおいて、検索パスは重要な役割を果たします。たとえば、アプリケーション・サーバ上でシステムがアプリケーションを見つけられるのは、そのアプリケーション・サーバがアプリケーション検索パスにリストされているからです。
検索パスにリモート位置を指定する場合は、その位置へのリモート・ファイル・アクセスを構成しなければなりません。詳細は、分散ファイル・システム・アクセスの構成を参照してください。
デスクトップ検索パスは、デスクトップ・ユーティリティ dtsearchpath によってログイン時に作成されます。dtsearchpath ユーティリティは、環境変数と組み込みの位置の組み合わせを使って検索パスを作成します。
dtsearchpath が読み取る環境変数を「入力変数」といいます。このような変数は、システム管理者またはエンド・ユーザによって設定されます。入力変数は命名規則 DTSP* を使用します。
ログイン時に dtsearchpath が実行されている場合、dtsearchpath は入力変数に割り当てられた値を組み込んで、組み込み位置を追加し、「出力変数」の値を作成します。検索パス 1 つにつき 1 つの出力変数があります。
表 9–2 デスクトップ検索パス環境変数
検索パスの種類 |
出力環境変数 |
システム共通の入力変数 |
個人用入力変数 |
---|---|---|---|
アプリケーション | |||
アイコン | |||
ヘルプ・データ |
コンポーネントは、出力変数の値を使用します。たとえば、アプリケーション・マネージャは、アプリケーション・グループを検出するために、アプリケーション検索パスの値
(DTAPPSEARCHPATH
) を使用します。
システム共通または個人単位で検索パスを変更できます。変更は、システム共通または個人用入力変数に値を設定して実行します。変更は、すべて組み込み検索パス位置に追加されます。
検索パスの現在の値を表示するには、dtsearchpath コマンドを使用します。
現在の (ログイン) ユーザの値を取得するには、次のコマンドを入力します。
dtsearchpath -v
別のユーザの値を取得するには、次のコマンドを入力します。
dtsearchpath -u user
検索パスの値には、次の変数が含まれます。
%H — DTHELPSEARCHPATH
で使用します。ヘルプ・ボリューム名です。
%B — XMICONSEARCHPATH
で使用します。アイコン・ファイルのベース名です。
%M — XMICONSEARCHPATH
で使用します。アイコン・ファイル (.l、.m、.s、.t) のサイズです。
HomeDirectory/.dtprofile を編集するために開きます。
個人用の入力変数を定義する行を追加または編集します。
たとえば、次の行はユーザの個人用アプリケーション検索パスに位置を追加します。
export DTSPUSERAPPHOSTS=/projects1/editors
変更を有効にするために、ログアウトしてからログインし直します。
root としてログインします。
/etc/dt/config/Xsession.d/0010.dtpaths ファイルが存在しない場合は、/usr/dt/config/Xsession.d/0010.dtpaths をコピーして作成します。
/etc/dt/config/Xsession.d/0010.paths を編集するために開きます。システム共通の入力変数を定義する行を追加または編集します。
たとえば、次の行はシステム共通のヘルプ検索パスに位置を追加します。
export DTSPSYSHELP=/applications/helpdata
システム上のすべてのユーザに、変更を有効にするためにログアウトしてからログインし直すよう通知します。
アプリケーション検索パスは、デスクトップがローカル・システムとネットワーク上のアプリケーション・サーバのアプリケーションを検出するのに使用する一次検索パスです。
アプリケーション検索パスに位置が追加されると、別の検索パス (データベース、アイコン、ヘルプ) は、該当するデータの位置を反映させるために自動的に更新されます。したがって、アプリケーション検索パスによって、アプリケーションとデスクトップ構成ファイルの管理が比較的簡単になります。詳細は、アプリケーション検索パスがデータベース、アイコン、およびヘルプの検索パスに与える影響を参照してください。
デフォルトのアプリケーション検索パスの位置には、個人用、システム共通、および組み込みがあります。デフォルトの language は C です。
個人用の位置 — HomeDirectory/.dt/appmanager
システム共通の位置 — /etc/dt/appconfig/appmanager/language
組み込みの位置 — /usr/dt/appconfig/appmanager/language
アプリケーション検索パスは、組み込み位置と次の入力変数で構成されます。
DTSPSYSAPPHOSTS
—
システム共通のアプリケーション検索パス入力変数
DTSPUSERAPPHOSTS
—
個人用のアプリケーション検索パス入力変数
構成された検索パスは、DTAPPSEARCHPATH
出力変数によって指定されます。
DTSPSYSAPPHOSTS
変数と DTSPUSERAPPHOSTS
変数の構文は次のとおりです。
VARIABLE=location [,location...]
location が取り得る構文は次のとおりです。
/path — ローカル (セッション・サーバ) システムのディレクトリを指定します。ローカル・ディレクトリを追加するにはこの構文を使用します。
hostname: — システム共通の /etc/dt/appconfig/appmanager/language ディレクトリをシステム hostname に指定します。アプリケーション・サーバを追加するにはこの構文を使用します。
hostname:/path — リモート・システム hostname にディレクトリを指定します。
localhost: — ローカル・システム共通の位置です。このキーワードは、ローカル・システム共通の位置の優先度を変えるのに使用されます。詳細は、システム共通のローカル位置の優先度の変更を参照してください。
アプリケーション検索パスの値 (DTAPPSEARCHPATH
)
は、次の位置を組み合わせて作成されます。位置は、上から優先度の高い順に並んでいます。
DTSPUSERAPPHOSTS
変数を使用して指定した位置
デフォルトの個人用の位置: HomeDirectory/.dt/appmanager
デフォルト位置: /etc/dt/appconfig/appmanager/language
DTSPSYSAPPHOSTS
変数を使用して指定した位置
/usr/dt/appconfig/appmanager/language
構文 hostname: は、ディレクトリ /etc/dt/appconfig/appmanager をシステム hostname に指定するために展開されます。
デフォルトでは、ローカル・システム共通の位置 (/etc/dt/appconfig/appmanager/language) はリモート位置に優先します。したがって、ローカル・アプリケーション・グループは、同名のリモート・グループに優先します。たとえば、ローカル・システムとリモート・システムの両方に Printer アプリケーション・グループ (/etc/dt/appconfig/appmanager/language/Printers) がある場合は、ローカル・グループを使用します。
アプリケーション検索パス入力変数に、ローカル・システム共通のアプリケーション・グループの優先度を指定するには、次の構文を使用します。
localhost:
たとえば、システムがアプリケーション・サーバ SysA、SysB、SysC にアクセスしなければならず、SysB のシステム共通のアプリケーション・グループを同名の他のローカル・グループよりも優先したいとします。
そのような動作は、DTSPSYSAPPHOSTS
の次の値で作成されます。
DTSPSYSAPPHOSTS=SysB:,localhost:,SysA:,SysC:
アプリケーション検索パスに追加されると、対応する位置が、データベース検索パス、アイコン検索パス、およびヘルプ検索パスに自動的に追加されます。この機能により、アプリケーション検索パス入力変数を設定するだけで、アプリケーション・サーバを検索パスに追加できます。
たとえば、DTSPSYSAPPHOSTS
を次のように設定した場合は、表 9–3 の検索パスが影響を受けます。
export DTSPSYSAPPHOSTS=servera:表 9–3 影響を受ける検索パス
検索パス |
検索パスに追加されるディレクトリ |
---|---|
アプリケーション |
servera:/etc/dt/appconfig/appmanager/language |
データベース |
servera:/etc/dt/appconfig/types/language |
アイコン |
servera:/etc/dt/appconfig/icons/language |
ヘルプ |
servera:/etc/dt/appconfig/help/language |
同様に、DTSPSYSAPPHOSTS
を次のように設定した場合は、表 9–4 の検索パスが影響を受けます。
export DTSPSYSAPPHOSTS=/projects1/apps表 9–4 影響を受ける検索パス
検索パス |
検索パスに追加されるディレクトリ |
---|---|
アプリケーション |
/projects1/apps/appmanager/language |
データベース |
/projects1/apps/types/language |
アイコン |
/projects1/apps/icons/language |
ヘルプ |
/projects1/apps/help/language |
データベース検索パスは、次の定義を格納しているファイルを、指定された位置で検索するようデスクトップに指示します。
アクションとデータ型定義 (*.dt ファイル)
フロント・パネル定義 (*.fp ファイル)
データベース・サーバを作成した場合や、データベース・ファイルのローカル位置を追加した場合は、データベース検索パスを変更しなければならないことがあります。
デフォルトのデータベース検索パスの位置には、個人用、システム共通、および組み込みがあります。デフォルトの language は C です。
個人用の位置 — HomeDirectory/.dt/types
システム共通の位置 — /etc/dt/appconfig/types/language
組み込みの位置 — /usr/dt/appconfig/types/language
アプリケーション検索パスに位置が追加されると、適切なデータベースのサブディレクトリが、データベース検索パスに自動的に追加されます (詳細は、アプリケーション検索パスがデータベース、アイコン、およびヘルプの検索パスに与える影響を参照してください) 。
たとえば、アプリケーション・サーバ hosta: がアプリケーション検索パスに追加されると、ディレクトリ hosta:/etc/dt/appconfig/types/language がデータベース検索パスに自動的に追加されます。
データベース検索パスは、組み込み位置と次の入力変数で構成されます。
DTSPSYSDATABASEHOSTS
—
システム共通のデータベース検索パス入力変数
DTSPUSERDATABASEHOSTS
—
個人用のデータベース検索パス入力変数
アプリケーション検索パス以外の位置を指定するには、これらの入力変数を使用します。
構成されたデータベース検索パスは、出力変数 DTDATABASESEARCHPATH
によって指定されます。
DTSPSYSDATABASEHOSTS
変数と DTSPUSERDATABASEHOSTS
変数の構文は次のとおりです。
VARIABLE=location [,location...]
location が取り得る構文は次のとおりです。
/path — ローカル (セッション・サーバ) システムのディレクトリを指定します。ローカル・ディレクトリを追加するにはこの構文を使用します。
hostname: — システム共通のディレクトリ/etc/dt/appconfig/types/language をシステム hostname に指定します。
hostname:/path — リモート・システム hostname にディレクトリを指定します。
データベース検索パスの値 (DTDATABASESEARCHPATH
)
は、次の位置を組み合わせて作成されます。位置は、上から優先度の高い順に並んでいます。
DTSPUSERDATABASEHOSTS
変数を使用して指定した位置
DTSPUSERAPPHOSTS
変数から派生した位置
デフォルトの個人用の位置: HomeDirectory/.dt/types
デフォルト位置: /etc/dt/appconfig/types/language
DTSPSYSDATABASEHOSTS
変数を使用して指定した位置
DTSPSYSAPPHOSTS
変数から派生した位置
/usr/dt/appconfig/types/language
構文 hostname: は、ディレクトリ /etc/dt/appconfig/types をシステム hostname に指定するために展開されます。
アイコン検索パスは、デスクトップが使用するビットマップとピックスマップのイメージ・ファイルを格納しているファイルを、指定された位置で検索するようデスクトップに指示します。
デフォルトのアイコン検索パスの位置には、個人用、システム共通、および組み込みがあります。デフォルトの language は C です。
個人用の位置 — HomeDirectory/.dt/icons
システム共通の位置 — /etc/dt/appconfig/icons/language
組み込みの位置 — /usr/dt/appconfig/icons/language
アプリケーション検索パスに位置が追加されると、適切なアイコンのサブディレクトリが、アイコン検索パスに自動的に追加されます (詳細は、アプリケーション検索パスがデータベース、アイコン、およびヘルプの検索パスに与える影響を参照してください)。
たとえば、アプリケーション・サーバ hosta: がアプリケーション検索パスに追加されると、ディレクトリ hosta:/etc/dt/appconfig/icons/language がアイコン検索パスに自動的に追加されます。
アイコン検索パスは、組み込み位置と次の入力変数で構成されます。
DTSPSYSICON
— システム共通のアイコン検索パス入力変数
DTSPUSERICON
— 個人用のアイコン検索パス入力変数
アプリケーション検索パス以外の位置を指定するには、これらの入力変数を使用します。
構成されたアイコン検索パスは、次の 2 つの出力変数によって指定されます。
XMICONSEARCHPATH
—
カラー・ディスプレイに使用します。
XMICONBMSEARCHPATH
—
モノクロ・ディスプレイに使用します。
DTSPSYSICON
変数と DTSPUSERICON
変数の構文は次のとおりです。
VARIABLE=location [,location...]
location が取り得る構文は次のとおりです。
/path — ローカル (セッション・サーバ) システムのディレクトリを指定します。ローカル・ディレクトリを追加するにはこの構文を使用します。
別のシステムの位置を指定するには、ネットワーク・ファイル名を使用します (例: /nfs/servera/projects/icons)。
アイコン検索パスの値 (XMICONSEARCHPATH
と XMICONBMSEARCHPATH
) は、次の位置を組み合わせて作成されます。位置は、上から優先度の高い順に並んでいます。
DTSPUSERICON
変数を使用して指定した位置
DTSPUSERAPPHOSTS
変数から派生した位置
デフォルトの個人用の位置: HomeDirectory/.dt/icons
デフォルト位置: /etc/dt/appconfig/icons/language
DTSPSYSICON
変数を使用して指定した位置
DTSPSYSAPPHOSTS
変数から派生した位置
/usr/dt/appconfig/icons/language
カラーの検索パスとモノクロの検索パスは、ピックスマップとビットマップの優先度だけが異なります。XMICONSEARCHPATH
変数はビットマップよりピックスマップを優先し、XMICONBMSEARCPATH
はピックスマップよりビットマップを優先します。
ヘルプ検索パスは、システムに登録されるヘルプ情報を格納しているファイルを、指定された位置で検索するようデスクトップに指示します。
デフォルトのヘルプ検索パスの位置には、個人用、システム共通、および組み込みがあります。デフォルトの language は C です。
個人用の位置 — HomeDirectory/.dt/help
システム共通の位置 — /etc/dt/appconfig/help/language
組み込みの位置 — /usr/dt/appconfig/help/language
アプリケーション検索パスに位置が追加されると、適切なヘルプのサブディレクトリが、ヘルプ検索パスに自動的に追加されます (詳細は、アプリケーション検索パスがデータベース、アイコン、およびヘルプの検索パスに与える影響を参照してください)。
たとえば、アプリケーション・サーバ hosta: がアプリケーション検索パスに追加されると、ディレクトリ hosta:/etc/dt/appconfig/help/language がヘルプ検索パスに自動的に追加されます。
ヘルプ検索パスは、組み込み位置と次の入力変数で構成されます。
DTSPSYSHELP
— システム共通のヘルプ検索パス入力変数
DTSPUSERHELP
— 個人用のヘルプ検索パス入力変数
アプリケーション検索パス以外の位置を指定するには、これらの入力変数を使用します。
構成されたヘルプ検索パスは、出力変数 DTHELPSEARCHPATH
によって指定されます。
DTSPSYSHELP
変数と DTSPUSERHELP
変数の構文は次のとおりです。
VARIABLE=location [,location...]
location が取り得る構文は次のとおりです。
/path — ローカル (セッション・サーバ) システムのディレクトリを指定します。ローカル・ディレクトリを追加するにはこの構文を使用します。
別のシステム上での位置を指定するには、ネットワーク・ファイル名を使用します (例: /nfs/servera/projects/help)。
ヘルプ検索パスの値 (DTHELPSEARCHPATH
)
は、次の位置を組み合わせて作成されます。位置は、上から優先度の高い順に並んでいます。
DTSPUSERHELP
変数を使用して指定した位置
DTSPUSERAPPHOSTS
変数から派生した位置
デフォルトの個人用の位置: HomeDirectory/.dt/help
デフォルト位置: /etc/dt/appconfig/help/language
DTSPSYSHELP
変数を使用して指定した位置
DTSPSYSAPPHOSTS
変数から派生した位置
/usr/dt/appconfig/help/language
出力変数には、ローカライズされた位置とデフォルト (C) 位置の両方のエントリがあります。
たとえば、デフォルトのアプリケーション検索パスは次のとおりです。
HomeDirectory/.dt/appmanager /etc/dt/appconfig/appmanager/language /etc/dt/appconfig/appmanager/C /usr/dt/appconfig/appmanager/language /usr/dt/appconfig/appmanager/C
language は LANG 環境変数の値です。
(システム共通と組み込みの) それぞれの範囲で、言語固有の位置はデフォルトの位置に優先します。