Solaris 10 ご使用にあたって

アップグレードに関する注意事項とバグ情報


注 –

Solaris 10 1/06 リリース以降のアップグレードに関する最新のサポート情報については、「Solaris リリースのアップグレードサポートの変更」を参照してください。


ここでは、アップグレードに関するバグ情報について説明します。これらのバグには、Solaris 10 OS へのアップグレード中に発生するものもあれば、アップグレードの完了後に発生するものもあります。

Solaris 9 9/04 OS からアップグレードしたあとのデバイス ID の不一致

この Solaris 10 リリースの Solaris ボリュームマネージャーでは、デバイス ID が新しい形式で表示されます。Solaris 9 9/04 OS では、ディスクセットでのデバイス ID サポートが導入されましたが、この新しい形式は認識されません。Solaris 9 9/04 リリースから Solaris 10 OS にアップグレードするとき、既存のディスクセットアップに関連付けられたデバイス ID は、Solaris ボリュームマネージャーの構成で更新されません。Solaris 9 9/04 OS に戻す必要がある場合、アップグレード後にディスクセットに加えた構成の変更は、Solaris 9 9/04 OS で使用できないことがあります。詳細は、『Solaris ボリュームマネージャの管理』の第 25 章「Solaris ボリュームマネージャの障害追跡 (作業)」を参照してください。

SPARC: 推奨パッチクラスタが適用された Solaris 9 リリースからのアップグレードは部分的にしか成功しない (6202868)

推奨パッチクラスタがインストールされた Solaris 9 リリースが稼働しているシステムでは、Solaris 10 OS へのアップグレードは部分的にしか成功しません。この問題は、Solaris 9 推奨パッチクラスタがインストールされた次のリリースが稼働しているシステムで発生します。

Solaris 10 リリースへのアップグレード時に、システムから SUNWcti2x パッケージが正常に削除されません。

回避方法: 次のいずれかを選択してください。

Solaris Live Upgrade を使用して以前の Solaris リリースからアップグレードするとき、古いアンインストーラが削除されない (6198380)

Solaris Live Upgrade を使用して Solaris 8 または Solaris 9 リリースから Solaris 10 OS にアップグレードするとき、古いアンインストールプログラムは削除されません。このような以前の OS のアンインストールプログラムは、システムの /var/sadm/prod ディレクトリに残ります。

次に示す古いアンインストーラは削除されません。


uninstall_Alternate_Pathing_2_3_1.class
uninstall_CDRW_1_1.class o uninstall_CDRW_1_0.class
uninstall_Bonus_Localization_-_Catalan_CDE_Desktop.class
uninstall_Bonus_Localization_-_Polish_CDE_Desktop.class
uninstall_Bonus_Localizations_-_Russian_CDE_Desktop.class
uninstall_Capacity_on_Demand_1_0.class
uninstall_Java3D_1_3_1.class
uninstall_Java3D_1_3.class
uninstall_Java3D_1_2_1_04.class
uninstall_Java3D_1_2_1_03.class
uninstall_Lights_Out_Management_2_0.class
uninstall_Man_Page_Supplement.class
uninstall_OpenGL_1_3.class
uninstall_OpenGL_1_2_3.class
uninstall_Netra_ct_Platform_1_0.class
uninstall_Netra_t11xx_Alarms_2_0.class
uninstall_Netscape_6_2_3.class
uninstall_Netscape_6_2_1_Beta.class
uninstall_PC_launcher_1_0_2.class
uninstall_PC_launcher_1_0_1_PCfileviewer_1_0_1.class
uninstall_RSC_2_2_2.class
uninstall_RSC_2_2_1.class
uninstall_RSC_2_2.class
uninstall_ShowMeTV_1_3.class
uninstall_Solaris_9_French_Localization.class
uninstall_Solaris_9_German_Localization.class
uninstall_Solaris_9_Hong_Kong_Traditional_Chinese_Localization.class
uninstall_Solaris_9_Italian_Localization.class
uninstall_Solaris_9_Japanese_Localization.class
uninstall_Solaris_9_Korean_Localization.class
uninstall_Solaris_9_Simplified_Chinese_Localization.class
uninstall_Solaris_9_Spanish_Localization.class
uninstall_Solaris_9_Swedish_Localization.class
uninstall_Solaris_9_Traditional_Chinese_Localization.class
uninstall_Solaris_On_Sun_Hardware_Documentation.class
uninstall_Sun_Hardware_AnswerBook.class
uninstall_SunATM_5_0.class
uninstall_SunATM_5_1.class
uninstall_SunFDDI_PCI_3_0.class
uninstall_SunFDDI_SBus_7_0.class
uninstall_Sun_Fire_880_FC-AL_Backplane_Firmware_1_0.class
uninstall_Sun_Fire_B10n_Load_Balancing_Blade_1_1.class
uninstall_SunForum_3_1.class
uninstall_SunForum_3_2.class
uninstall_SunHSI_PCI_3_0.class
uninstall_SunHSI_SBus_3_0.class
uninstall_SunScreen_3_2.class
uninstall_SunVTS_5_1_PS6.class
uninstall_SunVTS_5_1_PS5.class
uninstall_SunVTS_5_1_PS4.class
uninstall_SunVTS_5_1_PS3.class
uninstall_SunVTS_5_1_PS2.class
uninstall_SunVTS_5_1_PS1.class
uninstall_SunVTS_5_0.class
uninstall_System_Management_Services_1_4.class
uninstall_System_Management_Services_1_3.class
uninstall_System_Management_Services_1_2.class
uninstall_System_Service_Processor_3_5.class
uninstall_WBEM_DR_1_0.class
uninstall_Web_Start_Wizards_SDK_3_0_2.class
uninstall_Web_Start_Wizards_SDK_3_0_1.class
uninstall_Web_Start_Wizards_SDK.class
uninstall_XML_Libraries_2_4_12.class

回避方法: システムをアップグレードしたあと、/var/sadm/prod ディレクトリにある古いアンインストーラを手動で削除してください。

アップグレード後に、構成ファイル pam.conf が自動的に更新されない (5060721)

この Solaris 10 リリースでは、pam_ldap の機能に変更が加えられています。このリリースにアップグレードするとき、既存の pam.conf 構成ファイル内の pam_ldap 構成は更新されず、これらの変更は反映されません。pam_ldap 構成が検出された場合は、アップグレードの終了時に生成される CLEANUP ファイルに、次のような通知が追加されます。


/etc/pam.conf please examine/update the pam_ldap configuration 
because its functionality has changed, 
refer to pam_ldap(5) documentation for more information

回避方法: アップグレード後に /etc/pam.conf を調べます。必要に応じて、このファイルを手動で変更して、pam_ldap の新しい機能と互換性を持たせます。変更内容は、use_first_pass オプションや try_first_pass オプションなどのパスワードプロンプト機能、パスワード更新機能などです。pam.conf の更新方法の詳細については、pam_ldap(5) のマニュアルページを参照してください。

Solaris Live Upgrade を使用してアップグレードを行うと、Solstice DiskSuite の構成が Solaris ボリュームマネージャー形式に変換されない (4915974)

Solaris Live Upgrade を使用して Solaris 8 リリースから Solaris 10 リリースへのアップグレードを行うと、エラーが発生することがあります。Solstice DiskSuite TM 4.2.1 の構成が Solaris ボリュームマネージャーの構成に変換されない場合があります。RAID-0、RAID-1 のほか、ミラー、ストライプ、サブミラーなどのボリュームがすべて失われることがあります。

アップグレードを行う前に Solaris 8 システムに特定の順序でパッチを適用した場合に、この問題が発生します。システムでこの問題が発生するかどうかを調べるには、Solaris 8 システムの SUNWmdr パッケージのバージョン情報を確認します。次のコマンドを入力します。


# grep VERSION /var/sadm/pkg/SUNWmdr/pkginfo

このコマンドで次のような出力が生成される場合、システムはこの問題の影響を受ける可能性があります。


PKG_CLIENT_VERSION=8
VERSION=4.2.1,REV=1999.12.03.10.00

回避方法: 次の手順を実行します。

  1. Solaris Live Upgrade を使用して代替ブート環境をアップグレードします。

    詳細は、『Solaris 10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』を参照してください。

  2. アップグレードされたブート環境のディスクをマウントします。ただし、アップグレードされたブート環境をアクティブにしないでください。


    # mnt -F ufs /mnt/c0t0d0slice_number /mnt
    

    上記の例で、slice_number は、アップグレードされたブート環境が含まれているスライスを表します。

  3. /etc/system ファイルで MDD データベース情報のエントリを確認します。たとえば、次のようなテキストです。


    * Begin MDD database info (do not edit)
    set md:mddb_bootlist1="sd:7:16 sd:7:1050 sd:7:2084"
    * End MDD database info (do not edit)
  4. アップグレードされたブート環境の /kernel/drv/md.conf ファイルをテキストエディタで開きます。


    # cd /kernel/drv
    # vi md.conf
    
  5. md.conf を次のように変更します。

    1. 手順 3 で確認した /etc/system ファイルの mddb_bootlist 情報を追加します。この情報の前と後ろに置かれている「Begin」および「End」コメント行も必ず追加してください。

    2. mddb_bootlist 行にある各 sd ディスクエントリの末尾に、テキスト文字列 :id0 を追加します。

    3. mddb_bootlist エントリの下に、次の新しい行を挿入します。


      md_devid_destroy=1;

    md.conf ファイルの変更例を次に示します。


    # Begin MDD database info (do not edit)
    mddb_bootlist1="sd:7:16:id0 sd:7:1050:id0 sd:7:2084:id0";
    md_devid_destroy=1;
    # End MDD database info (do not edit)
    
  6. md.conf ファイルを保存します。

  7. /etc/system ファイルから mddb_bootlist エントリを削除します。

  8. アップグレードされたブート環境のディスクのマウントを解除します。

  9. アップグレードされたブート環境をアクティブにします。

Solaris Live Upgrade を使用して Solaris 7 リリースからアップグレードするとき、無効なエラーメッセージが表示される (4872151)

Solaris Live Upgrade を使用して Solaris 7 リリースから Solaris 10 OS にアップグレードする場合、次のようなエラーメッセージが表示されます。


Removal of package was successful.
/a//var/sadm/system/admin/upgrade_script: /bin/prodreg: not found
/a//var/sadm/system/admin/upgrade_script: /bin/prodreg: not found
/a//var/sadm/system/admin/upgrade_script: /bin/prodreg: not found

このエラーが発生するのは、Solaris 7 リリースに Solaris Product Registry (prodreg) ソフトウェアが含まれていないためです。

回避方法: このエラーメッセージは無視してください。これらのエラーはインストールに影響を与えません。

Solaris Live Upgrade の使用時にインストールプログラムが表示するテキストに関する問題 (4736488)

Solaris Live Upgrade で luupgrade(1M) コマンドに -i オプションを指定して、アクティブでないブート環境をアップグレードした場合、言語によってはインストールプログラムが表示するテキストが判読不能になります。これは、現在のブート環境にある古いリリースに存在していないフォントを、インストールプログラムが要求した場合に発生します。

回避方法: 次のいずれかを選択してください。

SPARC: アップグレードの際に、SUNWjxcft パッケージの削除でエラーが記録される (4525236)

Solaris 8 ソフトウェアから Solaris 10 リリースへのアップグレードの際、SUNWjxcft パッケージが削除されるときに、次のようなエラーメッセージが upgrade_log ファイルに記録されます。


Removing package SUNWjxcft: 
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.upr 
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.scale 
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TTbitmaps/fonts.alias 
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.upr 
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.scale 
Can't open /a/usr/openwin/lib/locale/ja/X11/fonts/TT/fonts.alias 
Removal of <SUNWjxcft> was successful

回避方法: このエラーメッセージは無視してください。

Solaris 10 リリースにアップグレードすると既存の Secure Shell デーモン (sshd) が使用できなくなることがある (4626093)

/etc/init.d/sshd デーモンから第三者の Secure Shell (OpenSSH など) を実行しているシステムの場合、Solaris 10 リリースにアップグレードすると、既存の Secure Shell デーモンが使用できなくなります。アップグレード時に、Solaris 10 ソフトウェアが自身の sshd で /etc/init.d/sshd の内容を上書きし、既存の sshd が失われます。

回避方法: 次のいずれかを選択してください。

/export ディレクトリが満杯に近いシステムのアップグレードが失敗する (4409601)

/export ディレクトリの空き容量がゼロに近い状態で、システムを Solaris 10 リリースにアップグレードしようとすると、/export ディレクトリ容量の必要条件の計算に誤りが発生し、アップグレードに失敗します。この問題は、ディスクレスクライアントがインストールされている場合によく発生します。または、/export ディレクトリに他社製のソフトウェアがインストールされている場合にも発生します。次のメッセージが表示されます。


WARNING: Insufficient space for the upgrade.

回避方法: アップグレードの前に、次のいずれかを実行してください。

ディスクレスクライアントサーバーおよびディスクレスクライアントのアップグレード (4363078)

現在のシステムが、Solstice AdminSuiteTM 2.3 Diskless Client ツールによってインストールされたディスクレスクライアントをサポートしている場合、2 つの手順を実行する必要があります。

  1. 既存のディスクレスクライアントのうち、サーバーと同じ Solaris バージョンで同じアーキテクチャーのものをすべて削除します。

  2. Solaris 10 リリースをインストールするか、または Solaris 10 リリースにアップグレードします。

具体的な手順については、『Solaris のシステム管理 (基本編)』を参照してください。

ディスクレスクライアントを削除せずに Solaris 10 ソフトウェアをインストールしようとすると、次のようなエラーメッセージが表示されます。


The Solaris Version (Solaris version-number) on slice 
<xxxxxxxx> cannot 
be upgraded. 
There is an unknown problem with the software configuration installed 
on this disk.

このエラーメッセージの version-number は、現在、システムで稼働している Solaris のバージョンを表します。<xxxxxxxx> は、このバージョンの Solaris ソフトウェアを実行しているスライスです。