ここでは、Solaris 10 OS の地域化に関する注意事項について説明します。
ログイン画面の言語メニューでは、 UTF-8 ロケールに推奨オプションを表すラベルが付いています。たとえば、日本語ロケールの場合、画面は次のように表示されます。
ja_JP.eucJP -------------- Japanese EUC ja_JP.PCK --------------- Japanese PCK ja_JP.UTF-8 (Recommended) - Japanese UTF-8 |
Java Desktop System では UTF-8/Unicode を内部文字エンコーディングとして使用するため、JDS のユーザーには UTF-8 ロケールの使用が推奨されています。これは、将来 UTF-8 以外のロケールのソフトウェアサポートが中止されることも踏まえて推奨されます。詳細は、「UTF-8 でないレガシー (従来の) ロケール」を参照してください。
UTF-8 ロケールに移行すると、それらのファイルはデータをインポートまたはエクスポートするときに使用する方法に影響します。
Microsoft Office ファイルは、Unicode でエンコードされています。StarSuite アプリケーションでは、Unicode でエンコードされたファイルの読み取りと書き込みを行うことができます。
Mozilla Composer などの HTML エディタを使用して作成した HTML ファイルや、Web ブラウザで保存された HTML ファイルには通常、charset エンコーディングタグが含まれています。エクスポートまたはインポートしたあとの HTML ファイルは、HTML ファイル内のエンコーディングタグに基づいて、Mozilla Navigator Web ブラウザで表示したり、Mozilla Composer を使用して編集したりすることができます。
HTML ファイルが文字化けして表示されることがあります。この問題は通常、次の理由で発生します。
charset エンコーディングタグが正しくない。
charset エンコーディングタグがない。
HTML ファイルの charset エンコーディングタグを見つけるには、次の手順を実行します。
Mozilla を使用してファイルを開きます。
Ctrl + I キーを押すか、「表示」をクリックして「表示」メニューを開きます。
「ページ情報」をクリックします。
charset 情報は、「一般」タブの下に、次のように表示されます。
Content-Type text/html; charset=us-ascii |
文字列 charset=us-ascii がファイルの実際のエンコーディングと一致しない場合、そのファイルは壊れているように見えることがあります。HTML ファイルのエンコーディングを編集するには、次の手順を実行します。
Mozilla Composer でファイルを開きます。
「ファイル」メニューを開きます。
「文字エンコードの保存および変更」を選択します。
正しいエンコーディングを選択します。Mozilla Composer は、自動的にエンコーディングと charset タグを適切に変換します。
現在の電子メールには、MIME charset タグが指定されています。電子メールおよびカレンダアプリケーションは、MIME charset タグに対応しています。エンコーディング変換を実行する必要はありません。
プレーンテキストファイルには、charset タグがありません。ファイルが UTF-8 エンコーディング形式でない場合には、エンコーディング変換を行う必要があります。たとえば、繁体字中国語 (BIG5) でエンコードされているプレーンテキストファイルを UTF-8 に変換するには、次のコマンドを実行します。
iconv -f big5 -t UTF-8 inputfilename > outputfilename |
ファイルシステム検査器を使用して、エンコーディングを変換することもできます。
テキストエディタを使用して文字エンコーディングテキストの読み取りおよび書き込みを行うことができますが、自動的にエンコーディングが変換される場合と、ファイルを開くか保存するときに明示的にエンコーディングを指定する場合があります。
テキストエディタを起動するには、「起動」をクリックし、「アプリケーション」->「アクセサリ」->「テキストエディタ」の順に選択します。
複数バイト文字を使用するファイル名やディレクトリ名が UTF-8 エンコーディング形式でない場合は、エンコーディング変換を行う必要があります。ファイルシステム検査器を使用して、レガシー文字エンコーディングによるファイル名、ディレクトリ名、およびプレーンテキストファイルの内容を、UTF-8 エンコーディングに変換することができます。詳細は、ファイルシステム検査器のオンラインヘルプを参照してください。
ファイルシステム検査器を起動するには、「起動」をクリックし、「アプリケーション」->「ユーティリティ」->「ファイルシステム検査器」の順に選択します。
ファイルマネージャーを使用して SMB 経由で Microsoft Windows 上の UTF-8 以外のファイル名やディレクトリ名にアクセスする場合は、エンコーディングを変換しなくても UTF-8 以外のファイル名やディレクトリ名にアクセスできます。
Unicode UTF-8 への移行準備が整っていないアプリケーションの場合、フロントパネルに起動ツールを作成すると、従来のロケールでアプリケーションを開始できます。コマンド行からそれらのアプリケーションを直接起動することもできます。アプリケーションの起動ツールを作成するには、次の手順を実行します。
パネル上で起動ツールを配置する場所を右クリックします。
「パネルに追加」->「ランチャー」と選択します。
「ランチャーの作成」ダイアログの「コマンド」フィールドに、次の書式で必要な項目を入力します。
env LANG=locale LC_ALL= locale application name |
たとえば、/usr/dt/bin から motif-app という名前のアプリケーションを中国語 (BIG5) ロケールで起動する場合は、「ランチャーの作成」の「コマンド」フィールドに、次のテキストを入力します。
env LANG=zh_TW.BIG5 LC_ALL=zh_TW.BIG5 /usr/dt/bin/motif-app |
「了解」をクリックすると、パネルに起動ツールが作成されます。
従来のロケール固有の CLI (コマンド行インタフェース) アプリケーションを実行する必要があるときは、まず従来のロケールで端末ウィンドウを開いてから、その端末ウィンドウで CLI アプリケーションを実行します。端末ウィンドウを従来のロケールで開くには、次のコマンドを入力します。
eng LANG=locale LC_ALL=locale GNOME-TERMINAL –disbable-factory. |
従来のロケールで新規の端末ウィンドウを開く代わりに、現在の端末ウィンドウの「文字エンコーディングの設定」メニューでエンコーディングを変更することで、ロケール設定を UTF-8 から従来のロケールに切り替えることもできます。この場合、現在のシェルに対して LANG および LC_ALL 環境変数を設定し直す必要があります。
Solaris OS 用に、新しく 3 つのキー配列のソフトウェアサポートが追加されました。エストニア語タイプ 6 キーボード、フランス語 (カナダ) タイプ 6 キーボード、プログラマ向けポーランド語タイプ 5 キーボードです。
エストニア、カナダ、およびポーランドのユーザーは、必要に応じて標準 U.S. キーボード配列を変更できます。このため、柔軟性の高いキーボード入力が可能になります。
現時点では、この 3 つのキーボードタイプに適合するハードウェアは入手できません。
回避方法: この新しいキーボードソフトウェアを有効利用するには、次のいずれかの方法で /usr/openwin/share/etc/keytables/keytable.map ファイルを編集します。
エストニア語タイプ 6 キーボードの場合、次の変更を行います。
/usr/openwin/share/etc/keytables/keytable.map ファイル内の US6.kt エントリを Estonia6.kt に変更します。たとえば、次のように変更します。
6 0 Estonia6.kt |
/usr/openwin/lib/locale/iso8859-15/Compose ファイルに次のエントリを追加します。
<scaron> |
: "/xa8" |
scaron |
<scaron> |
: "/xa6" |
scaron |
<scaron> |
: "/270" |
scaron |
<scaron> |
: "/264" |
scaron |
システムをリブートすると、変更内容が有効になります。
フランス語 (カナダ) タイプ 6 キーボードの場合、次の変更を行います。
/usr/openwin/share/etc/keytables/keytable.map ファイル内の US6.kt エントリを Canada6.kt に変更します。たとえば、次のように変更します。
6 0 Canada6.kt |
システムをリブートすると、変更内容が有効になります。
通常のポーランド語タイプ 5 キーボードを使用している場合、次の変更を行います。
Poland5.kt エントリを Poland5_pr.kt に変更します (/usr/openwin/share/etc/keytables/keytable.map ファイル内)。たとえば、次のように変更します。
4 52 Poland5_pr.kt |
ディップスイッチの付いたキーボードを使用している場合は、システムをリブートする前に、スイッチがポーランド語のキーテーブルエントリとして正しいバイナリ値 (バイナリ 52) に設定されていることを確認してください。
標準の U.S. タイプ 5 キーボードを使用している場合は、US5.kt エントリを Poland5_pr.kt に変更します (/usr/openwin/share/etc/keytables/keytable.map ファイル内)。たとえば、次のように変更します。
4 33 Poland5_pr.kt |
システムをリブートすると、変更内容が有効になります。
すべてのロケールのドキュメントビューアで、地域対応された PDF (Portable Document Format) ファイルを印刷することはできません。
回避方法: 次のいずれかを選択してください。
SPARC ベースのシステムでは、Acrobat Reader を使用して地域対応された PDF ファイルを印刷してください。
x86 ベースのシステムでは、StarSuite を使用して PDF ファイルを作成してから印刷してください。
一部の x86 ベースのシステムで、特定のアジア言語の UTF-8 以外のロケールにログインすると、ログインプロセスがハングアップすることがあります。たとえば、次のようなロケールでエラーが検出されます。
zh_CN.EUC
zh_TW.BIG5
ko_KR.EUC
回避方法: ログインウィンドウの言語メニューで、UTF-8 ロケールを選択してください。
localeadm -l コマンドが /usr/sadm/lib/localeadm/locales.list ファイルを作り直す際に、韓国語ロケールは組み込まれません。このため、韓国語ロケールがシステムにインストールされていても、localeadm -l を実行したときに韓国語ロケールが表示されません。さらに、インストールされているロケールの表示後、localeadm -r ko で韓国語ロケールを削除しようとすると、次のエラーメッセージが表示されます。
地域 korean は、このマシン上にインストールされていません。終了します |
回避方法: /usr/sadm/lib/localeadm/locales.list ファイルを正しく更新するには、localeadm -a ko を実行します。これで、localeadm -r ko を使用して韓国語ロケールを正常に削除できます。
別の方法として、次の手順を実行することもできます。
スーパーユーザーになります。
次のエントリを追加して /usr/sadm/lib/localeadm/locales.list ファイルを編集します。
Korean (korean)
キーボードの左側にある特殊なキーは、ヨーロッパのキーボードマッピングでは機能しません。この問題は、すべてのヨーロッパロケールに適用されます。
回避方法: 特殊キーボードキーの代わりに、ショートカットキーを使用してください。次のリストは、ショートカットキーと対応する機能の例です。
Ctrl + Z - 元に戻す
Ctrl + C - コピー
Ctrl + V - ペースト
Alt + Tab - ウィンドウの切り替え
すべてのロケールで、インターネットまたはイントラネット入力方式を使用するときに、Alt キーと Shift キーが修飾キーとして機能しないことがあります。たとえば、Shift キー + 矢印キーの組み合わせを使用してテキストを選択できない場合があります。代わりに、ラテン文字が挿入されます。
回避方法: デフォルトの入力方式など、別の入力方式を使用してください。入力方式を切り替えるには、オブジェクトを右クリックして入力方式を選択します。
ポストスクリプトプリンタには、中国語または韓国語のフォントは含まれていません。このため、中国語または韓国語ロケールで Mozilla ブラウザから印刷しようとすると、それらの文字が四角形として印刷されます。ファイルを印刷する前に、Common UNIX Printer System (CUPS) による Mozilla ポストスクリプトフォントの変換が必要です。
回避方法: 次の手順を実行してください。
「起動」=>「設定」=>「プリンタ」の順に選択します。
PostScript プリンタアイコンを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
「詳細」タブをクリックします。
「Ghostscript pre-filtering」を「Convert to PS level 1」に設定します。
ヨーロッパ言語の UTF-8 ロケールでソート機能を実行すると、正しく動作しません。
回避方法: フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、スウェーデン語の UTF-8 ロケールでソートを行う前に、LC_COLLATE 変数をその言語の ISO8859-1 ロケールに設定してください。
# echo $LC_COLLATE > es_ES.UTF-8 # LC_COLLATE=es_ES.IS08859-1 # export LC_COLLATE |
上記のように LC_COLLATE 変数を設定後、ソートを行なってください。