この章では、DVD または CD メディアからではなくローカルエリアネットワークから Solaris ソフトウェアをインストールする場合にネットワークとシステムをどのように設定する必要があるかを説明します。この章では、次のトピックの概要を示します。
広域ネットワーク経由でクライアントをインストールする方法については、第 11 章「WAN ブート (概要)」を参照してください。
この節では、ネットワークからインストールを行う前に認識しておくべき事柄を説明します。ネットワークインストールでは、Solaris 10 ディスクイメージにアクセスできる「インストールサーバー」と呼ばれるシステムから Solaris ソフトウェアをインストールできます。その場合には、まず Solaris 10 DVD または CD メディアの内容をインストールサーバーのハードディスクにコピーする必要があります。これで、任意の Solaris インストール方法を使用して Solaris ソフトウェアをネットワーク上でインストールできます。
ネットワーク上で Solaris OS をインストールするには、次のサーバーがネットワーク上に存在する必要があります。
インストールサーバー – Solaris 10 ディスクイメージ (CD イメージまたは DVD イメージ) が格納された、ネットワークに接続されたシステム。このシステムからネットワーク上の別のシステムに Solaris 10 をインストールできます。インストールサーバーを作成するには、次のメディアの 1 つからイメージをコピーします。
Solaris 10 DVD
Solaris 10 SOFTWARE CD
Solaris 10 SOFTWARE CD からイメージをコピーしたあと、インストール要件に応じて、Solaris 10 LANGUAGES CD のイメージもコピーできます。
単一のインストールサーバーのハードディスクに複数のディスクイメージをコピーすれば、このサーバーから複数の Solaris リリース用および複数のプラットフォーム用のイメージを提供することができます。たとえば、1 台のインストールサーバーに SPARC プラットフォームと x86 プラットフォームのディスクイメージを格納できます。
インストールサーバーの作成についての詳細は、次に示す節のいずれかを参照してください。
ブートサーバー - OS をインストールするため、同一ネットワークサブネット上の複数のクライアントシステムに対して、ブートに必要な情報を提供するサーバーシステム。ブートサーバーとインストールサーバーは、通常は同じシステムです。ただし、Solaris 10 ソフトウェアをインストールするシステムがインストールサーバーとは異なるサブネット上に存在する場合で、DHCP を使用していないときは、そのサブネットにブートサーバーが必要です。
1 台のブートサーバーで、複数のリリースの Solaris 10 ブートソフトウェア (異なるプラットフォームの Solaris 10 ブートソフトウェアも含む) を提供できます。たとえば、SPARC ブートサーバーは、SPARC システムに Solaris 9 と Solaris 10 のブートソフトウェアを提供できます。この SPARC ブートサーバーは、x86 システムに Solaris 10 のブートソフトウェアを提供することもできます。
DHCP を使用する場合は、ブートサーバーを個別に作成する必要はありません。詳細は、「DHCP サービスによるシステム構成情報の事前設定 (作業)」を参照してください。
ブートサーバーの作成についての詳細は、次に示す節のいずれかを参照してください。
(省略可能) DHCP サーバー – DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) を使用するサーバー。DHCP は、インストールに必要なネットワークパラメータを提供します。DHCP サーバーを構成すると、特定のクライアント、特定のネットワークのすべてのクライアント、またはクライアントのクラス全体を構成してインストールできます。DHCP を使用する場合は、ブートサーバーを個別に作成する必要はありません。
インストールサーバーの作成後、add_install_client -d コマンドを使用してネットワークにクライアントを追加します。-d オプションを指定すると、DHCP を使用してネットワーク経由で Solaris インストールできるようにクライアントシステムを設定できます。
インストールパラメータ用の DHCP オプションについては、「DHCP サービスによるシステム構成情報の事前設定 (作業)」を参照してください。
(省略可能) ネームサーバー – 分散ネットワークデータベース (DNS、NIS、NIS+ 、LDAP など) を管理するシステム。これには、同じネットワーク上のユーザーやほかのシステムの情報が含まれています。
ネームサーバーの作成方法については、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。
インストールサーバーとネームサーバーは、同じシステムであっても別のシステムであってもかまいません。
図 7–1 は、ネットワークインストールに使用される一般的なサーバー構成を示したものです。このネットワーク例には DHCP サーバーは含まれていません。
この節では、Preboot Execution Environment (PXE) の概要を示します。
PXE ネットワークブートは、「ダイレクト」なネットワークブートです。クライアントシステム上に、ブートメディアがなくても構いません。PXE では、DHCP を使用してネットワーク経由で x86 クライアントをインストールできます。
PXE ネットワークブートは、Intel の Preboot Execution Environment (PXE) 仕様を実装しているデバイスでのみ動作します。システムが PXE ネットワークブートをサポートしているかどうかを判別するには、ハードウェアのマニュアルを参照してください。
Solaris 10 3/05 以前のリリースでは、システムが PXE をサポートしていない場合は Solaris ブート用フロッピーディスクが使用できます。ブート用フロッピーディスクイメージは Solaris 10 SOFTWARE - 2 CD (x86 版) に格納されています。Solaris ブート用フロッピーディスクは Solaris 10 2/06 リリースでは使用できません。
PXE を使用してネットワーク経由でブートするには、次のシステムが必要です。
インストールサーバー
DHCP サーバー
PXE をサポートする x86 クライアント
PXE を使用してネットワーク経由でクライアントをインストールする準備を行う際、次の点に注意してください。
インストールするクライアントシステムがあるサブネット上には、DHCP サーバーを 1 台だけ設定します。PXE ネットワークブートは、複数の DHCP サーバーがあるサブネット上では、正常に実行できません。
初期バージョンの PXE ファームウェアには、さまざまな欠陥のあるものがあります。特定の PXE アダプタで問題が発生した場合は、アダプタ製造元の Web サイトでファームウェアのアップグレード情報を取得してください。詳細については、elxl(7D) および iprb(7D) のマニュアルページを参照してください。