この章では、SPARC ベースのクライアントに対して WAN ブートインストールを実行する方法について説明します。WAN ブートインストールの準備方法については、第 13 章「WAN ブートによるインストールの準備 (作業)」を参照してください。
この章の内容は次のとおりです。
次の表では、クライアントのインストールを WAN 経由で実行するために必要な作業の一覧を示しています。
表 14–1 作業マップ: WAN ブートインストールの実行
作業 |
説明 |
参照先 |
---|---|---|
WAN ブートインストールを行うためにネットワークを準備します。 |
WAN ブートインストールの実行に必要なサーバーとファイルを設定します。 | |
クライアントの OBP に net デバイス別名が正しく設定されていることを確認します。 |
devalias コマンドを使って、net デバイス別名に 1 次ネットワークインタフェースが設定されていることを確認します。 | |
クライアントにキーを提供します。 |
OBP の変数を設定するか、インストール時にキーの値を入力することで、クライアントにキーを提供します。 この作業は、セキュリティー保護されたインストール構成に必要です。セキュリティー保護されていないインストールで、データの完全性をチェックする場合は、この作業を実行して HMAC SHA1 ハッシュキーをクライアントに提供します。 | |
クライアントに対して広域ネットワーク経由でインストールを実行します。 |
適切な方法を選択してクライアントのインストールを実行します。 |
クライアントシステムのインストールを行う前に、次の作業を実行してクライアントを準備してください。
boot net コマンドを使って WAN からクライアントをブートするには、net デバイス別名にクライアントの主ネットワークデバイスが設定されている必要があります。ほとんどのシステムで、この別名はすでに正しく設定されています。ただし、使用するネットワークデバイスがデバイス別名に設定されていない場合は、別名を変更する必要があります。
デバイス別名の設定方法の詳細は、『OpenBoot 3.x コマンド・リファレンスマニュアル』の「デバイスツリー」を参照してください。
クライアント上で net デバイス別名を確認するには、次の手順に従ってください。
クライアント上でスーパーユーザーになります。
システムを実行レベル 0 にします。
# init 0 |
ok プロンプトが表示されます。
ok プロンプトで、OBP に設定されているデバイス別名を調べます。
ok devalias |
devalias コマンドは、次の例のような情報を出力します。
screen /pci@1f,0/pci@1,1/SUNW,m64B@2 net /pci@1f,0/pci@1,1/network@c,1 net2 /pci@1f,0/pci@1,1/network@5,1 disk /pci@1f,0/pci@1/scsi@8/disk@0,0 cdrom /pci@1f,0/pci@1,1/ide@d/cdrom@0,0:f keyboard /pci@1f,0/pci@1,1/ebus@1/su@14,3083f8 mouse /pci@1f,0/pci@1,1/ebus@1/su@14,3062f8 |
インストール時に使用するネットワークデバイスが net 別名に設定されている場合は、別名を設定し直す必要はありません。「クライアントに対するキーのインストール」に進み、インストールを続行します。
使用するネットワークデバイスが net 別名に設定されていない場合は、別名を設定し直す必要があります。次の手順へ進みます。
net デバイス別名を設定します。
次のどちらかのコマンドを使って、net デバイス別名を設定します。
次のコマンドは、net デバイス別名を確認して設定し直す方法を示しています。
デバイス別名を調べます。
ok devalias screen /pci@1f,0/pci@1,1/SUNW,m64B@2 net /pci@1f,0/pci@1,1/network@c,1 net2 /pci@1f,0/pci@1,1/network@5,1 disk /pci@1f,0/pci@1/scsi@8/disk@0,0 cdrom /pci@1f,0/pci@1,1/ide@d/cdrom@0,0:f keyboard /pci@1f,0/pci@1,1/ebus@1/su@14,3083f8 mouse /pci@1f,0/pci@1,1/ebus@1/su@14,3062f8 |
/pci@1f,0/pci@1,1/network@5,1 というネットワークデバイスを使用する場合は、次のコマンドを入力します。
ok devalias net /pci@1f,0/pci@1,1/network@5,1 |
net デバイス別名を確認したあと、適切な節を参照してインストールを続行します。
インストールでハッシュキーと暗号化鍵を使用する場合は、「クライアントに対するキーのインストール」を参照してください。
キーを使用せずに、セキュリティー保護されていないインストールを実行する場合は、「クライアントのインストール」を参照してください。
より高いセキュリティーで保護された WAN ブートインストールを行う場合や、セキュリティー保護されていないインストールでデータの完全性をチェックする場合は、クライアントにキーをインストールする必要があります。ハッシュキーや暗号化鍵を使用すると、クライアントに転送されるデータを保護できます。これらのキーは、次の方法でインストールできます。
OBP 変数を設定する – クライアントをブートする前に、OBP のネットワークブート引数にキーの値を設定します。これらのキーは、クライアントに対する以降の WAN ブートインストールで使用されます。
ブート処理中にキーの値を入力する – wanboot プログラムの boot> プロンプトで、キーの値を設定します。この方法でインストールしたキーは、現在の WAN ブートインストールだけに使用されます。
動作中のクライアントの OBP にキーをインストールすることもできます。動作中のクライアントにキーをインストールするには、そのシステムが Solaris 9 12/03 OS またはその互換バージョンで稼働していることが必要です。
クライアントにキーをインストールするときには、必ずセキュリティー保護された接続を使用して、キーの値を転送してください。キーの値の機密性を確保するために、サイトのセキュリティーポリシーに従ってください。
OBP のネットワークブート引数にキーの値を割り当てる方法については、「クライアントの OBP にキーをインストールする方法」を参照してください。
ブート処理中にキーをインストールする方法については、「対話式 WAN ブートインストールを実行する方法」を参照してください。
動作中のクライアントの OBP にキーをインストールする方法については、「動作中のクライアントにハッシュキーと暗号化鍵をインストールする方法」を参照してください。
クライアントをブートする前に、OBP のネットワークブート引数にキーの値を設定できます。これらのキーは、クライアントに対する以降の WAN ブートインストールで使用されます。
クライアントの OBP にキーをインストールするには、次の手順に従ってください。
OBP のネットワークブート引数にキーの値を割り当てるには、次の手順に従ってください。
WAN ブートサーバーで、Web サーバーユーザーと同じ役割になります。
クライアントの各キーの値を表示します。
# wanbootutil keygen -d -c -o net=net-ip,cid=client-ID,type=key-type |
クライアントのサブネットの IP アドレスを指定します。
インストール対象であるクライアントの ID を指定します。クライアント ID は、ユーザーが定義した ID か、DHCP クライアント ID です。
クライアントにインストールするキーのタイプを指定します。指定できるキータイプは、3des、aes、または sha1 です。
キーの値が 16 進数で表示されます。
クライアントにインストールする各キータイプについて、上記の手順を繰り返します。
クライアントシステムの実行レベルを 0 にします。
# init 0 |
ok プロンプトが表示されます。
クライアントの ok プロンプトで、ハッシュキーの値を設定します。
ok set-security-key wanboot-hmac-sha1 key-value |
クライアントにキーをインストールします。
HMAC SHA1 ハッシュキーをインストールするよう OBP に指示します。
手順 2 で表示された 16 進数の文字列を指定します。
HMAC SHA1 ハッシュキーがクライアントの OBP にインストールされます。
クライアントの ok プロンプトで、暗号化鍵をインストールします。
ok set-security-key wanboot-3des key-value |
クライアントにキーをインストールします。
3DES 暗号化鍵をインストールするよう OBP に指示します。AES 暗号化鍵を使用する場合は、この値を wanboot-aes にしてください。
暗号化鍵を表す 16 進数の文字列を指定します。
3DES 暗号化鍵がクライアントの OBP にインストールされます。
キーをインストールしたら、クライアントに対するインストールの準備は完了です。クライアントシステムのインストール方法については、「クライアントのインストール」を参照してください。
(省略可能) クライアントの OBP にキーが設定されていることを確認します。
ok list-security-keys Security Keys: wanboot-hmac-sha1 wanboot-3des |
(省略可能) キーを削除するには、次のコマンドを入力します。
ok set-security-key key-type |
次の例は、クライアントの OBP にハッシュキーと暗号化鍵をインストールする方法を示しています。
WAN ブートサーバー上でキーの値を表示します。
# wanbootutil keygen -d -c -o net=192.168.198.0,cid=010003BA152A42,type=sha1 b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 # wanbootutil keygen -d -c -o net=192.168.198.0,cid=010003BA152A42,type=3des 9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 |
上記の例では、次の情報が使用されています。
クライアントのサブネットの IP アドレスを指定します。
クライアント ID を指定します。
クライアントの HMAC SHA1 ハッシュキーの値です。
クライアントの 3DES 暗号化鍵の値です。
インストールで AES 暗号化鍵を使用する場合、この暗号化鍵の値を表示するには、wanboot-3des を wanboot-aes に変更します。
クライアントシステムにキーをインストールします。
ok set-security-key wanboot-hmac-sha1 b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 ok set-security-key wanboot-3des 9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 |
上記のコマンドは、次の処理を実行します。
b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 という値を持つ HMAC SHA1 ハッシュキーをクライアントにインストールします。
9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 という値を持つ 3DES 暗号化鍵をクライアントにインストールします。
インストールで AES 暗号化鍵を使用する場合は、wanboot-3des を wanboot-aes に変更します。
クライアントにキーをインストールしたら、クライアントに対する WAN インストールの準備は完了です。手順については、「クライアントのインストール」を参照してください。
キーの値を表示する方法については、wanbootutil(1M) のマニュアルページを参照してください。
wanboot プログラムの boot> プロンプトで、動作中のシステムにキーの値を設定できます。この方法でインストールしたキーは、現在の WAN ブートインストールだけに使用されます。
動作中のクライアントの OBP にハッシュキーと暗号化鍵をインストールするには、次の手順に従ってください。
この手順では、次のように仮定します。
クライアントシステムの電源は入っている。
Secure Shell (ssh) などのセキュリティー保護された接続を介してクライアントにアクセスできる。
WAN ブートサーバーで、Web サーバーユーザーと同じ役割になります。
クライアントの各キーの値を表示します。
# wanbootutil keygen -d -c -o net=net-ip,cid=client-ID,type=key-type |
クライアントのサブネットの IP アドレスを指定します。
インストール対象であるクライアントの ID を指定します。クライアント ID は、ユーザーが定義した ID か、DHCP クライアント ID です。
クライアントにインストールするキーのタイプを指定します。指定できるキータイプは、3des、aes、または sha1 です。
キーの値が 16 進数で表示されます。
クライアントにインストールする各キータイプについて、上記の手順を繰り返します。
クライアントマシン上でスーパーユーザーになります。
動作中のクライアントマシンに、必要なキーをインストールします。
# /usr/lib/inet/wanboot/ickey -o type=key-type > key-value |
クライアントにインストールするキーのタイプを指定します。指定できるキータイプは、3des、aes、または sha1 です。
手順 2 で表示された 16 進数の文字列を指定します。
クライアントにインストールする各キータイプについて、上記の手順を繰り返します。
キーをインストールしたら、クライアントに対するインストールの準備は完了です。クライアントシステムのインストール方法については、「クライアントのインストール」を参照してください。
次の例は、動作中のクライアントの OBP にキーをインストールする方法を示しています。
WAN ブートサーバー上でキーの値を表示します。
# wanbootutil keygen -d -c -o net=192.168.198.0,cid=010003BA152A42,type=sha1 b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 # wanbootutil keygen -d -c -o net=192.168.198.0,cid=010003BA152A42,type=3des 9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 |
上記の例では、次の情報が使用されています。
クライアントのサブネットの IP アドレスを指定します。
クライアント ID を指定します。
クライアントの HMAC SHA1 ハッシュキーの値です。
クライアントの 3DES 暗号化鍵の値です。
インストールで AES 暗号化鍵を使用する場合、この暗号化鍵の値を表示するには、type=3des を type=aes に変更してください。
動作中のクライアントの OBP にキーをインストールします。
# /usr/lib/inet/wanboot/ickey -o type=sha1 b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 # /usr/lib/inet/wanboot/ickey -o type=3des 9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 |
上記のコマンドは、次の処理を実行します。
b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 という値を持つ HMAC SHA1 ハッシュキーをクライアントにインストールします。
9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 という値を持つ 3DES 暗号化鍵をクライアントにインストールします。
クライアントにキーをインストールしたら、クライアントに対する WAN インストールの準備は完了です。手順については、「クライアントのインストール」を参照してください。
キーの値を表示する方法については、wanbootutil(1M) のマニュアルページを参照してください。
動作中のクライアントにキーをインストールする方法については、ickey(1M) のマニュアルページを参照してください。
WAN ブートインストールを行うためのネットワークの準備が完了したら、システムのインストール方法を次の中から選択できます。
表 14–2 クライアントのインストール方法
方法 |
説明 |
参照先 |
---|---|---|
自動インストール |
クライアントにキーをインストールしたりクライアント構成情報を設定したりしてからクライアントをブートする場合は、このインストール方法を使用します。 |
|
対話式インストール |
ブート処理中にクライアント構成情報を設定する場合は、このインストール方法を使用します。 | |
DHCP サーバーを使ったインストール |
インストール時にクライアント構成情報を提供するようにネットワークの DHCP サーバーを構成した場合は、このインストール方法を使用します。 |
|
ローカルの CD メディアを使ったインストール |
クライアントの OBP が WAN ブートに対応していない場合は、Solaris 10 SOFTWARE CD のローカルコピーからクライアントをブートします。 |
|
インストールを実行する前にクライアントにキーをインストールしたりクライアント構成情報を設定したりする場合は、このインストール方法を使用します。この場合、WAN からクライアントをブートし、自動的にインストールを実行できます。
この手順では、すでにクライアントの OBP にキーをインストールしてあるか、またはセキュリティー保護されないインストールを実行していると仮定します。インストール前にクライアントにキーをインストールする方法については、「クライアントに対するキーのインストール」を参照してください。
クライアントシステムが動作中の場合は、システムの実行レベルを 0 にします。
# init 0 |
ok プロンプトが表示されます。
クライアントシステムの ok プロンプトで、OBP のネットワークブート引数を設定します。
ok setenv network-boot-arguments host-ip=client-IP, router-ip=router-ip,subnet-mask=mask-value, hostname=client-name,http-proxy=proxy-ip:port, file=wanbootCGI-URL |
このコマンド例には、読みやすいように改行が挿入されています。実際には、改行を挿入せずにコマンド全体を入力してください。
Web サーバー上の wanboot-cgi プログラムの URL を指定します。
クライアントをブートします。
ok boot net - install |
ネットワークブート引数を使って WAN からブートするよう、クライアントに指示します。
クライアントのインストールが WAN 経由で実行されます。WAN ブートプログラムに必要なインストール情報が見つからない場合、不足している情報の入力を求めるプロンプトが wanboot プログラムから表示されます。プロンプトに追加情報を入力します。
次の例では、マシンのブート前に、クライアントシステム myclient のネットワークブート引数を設定します。この例では、クライアントにハッシュキーと暗号化鍵がすでにインストールされていると仮定します。WAN からブートする前にキーをインストールする方法については、「クライアントに対するキーのインストール」を参照してください。
ok setenv network-boot-arguments host-ip=192.168.198.136, router-ip=192.168.198.129,subnet-mask=255.255.255.192 hostname=myclient,file=http://192.168.198.135/cgi-bin/wanboot-cgi ok boot net - install Resetting ... Sun Blade 100 (UltraSPARC-IIe), No Keyboard Copyright 1998-2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. OpenBoot 4.x.build_28, 512 MB memory installed, Serial #50335475. Ethernet address 0:3:ba:e:f3:75, Host ID: 83000ef3. Rebooting with command: boot net - install Boot device: /pci@1f,0/network@c,1 File and args: - install |
次の変数が設定されます。
クライアントの IP アドレスは 192.168.198.136 に設定されます。
クライアントのルーター IP アドレスは 192.168.198.129 に設定されます。
クライアントのサブネットマスクは 255.255.255.192 に設定されます。
クライアントのホスト名は seahag に設定されます。
wanboot-cgi プログラムは http://192.168.198.135/cgi-bin/wanboot-cgi に置かれています。
ネットワークブート引数を設定する方法については、set(1) のマニュアルページを参照してください。
システムをブートする方法については、boot(1M) のマニュアルページを参照してください。
インストール時にコマンド行からクライアントにキーをインストールしたりクライアント構成情報を設定したりする場合は、このインストール方法を使用します。
この手順では、WAN インストールで HTTPS を使用していると仮定します。セキュリティー保護されないインストールを実行する場合で、キーを使用しないときは、クライアントのキーの表示やインストールを行わないでください。
WAN ブートサーバーで、Web サーバーユーザーと同じ役割になります。
クライアントの各キーの値を表示します。
# wanbootutil keygen -d -c -o net=net-ip,cid=client-ID,type=key-type |
インストール対象であるクライアントのサブネットの IP アドレスを指定します。
インストール対象であるクライアントの ID を指定します。クライアント ID は、ユーザーが定義した ID か、DHCP クライアント ID です。
クライアントにインストールするキーのタイプを指定します。指定できるキータイプは、3des、aes、または sha1 です。
キーの値が 16 進数で表示されます。
クライアントにインストールする各キータイプについて、上記の手順を繰り返します。
クライアントシステムが動作中の場合は、システムの実行レベルを 0 にします。
クライアントシステムの ok プロンプトで、OBP のネットワークブート引数を設定します。
ok setenv network-boot-arguments host-ip=client-IP,router-ip=router-ip, subnet-mask=mask-value,hostname=client-name, http-proxy=proxy-ip:port,bootserver=wanbootCGI-URL |
このコマンド例には、読みやすいように改行が挿入されています。実際には、改行を挿入せずにコマンド全体を入力してください。
次のブート引数を設定するよう OBP に指示します。
クライアントの IP アドレスを指定します。
ネットワークルーターの IP アドレスを指定します。
サブネットマスクの値を指定します。
クライアントのホスト名を指定します。
Web サーバー上の wanboot-cgi プログラムの URL を指定します。
bootserver 変数の URL 値に HTTPS URL を指定することはできません。URL は http:// で開始する必要があります。
クライアントの ok プロンプトで、システムをブートします。
ok boot net -o prompt - install |
ネットワークからブートとインストールを行うよう、クライアントに指示します。wanboot プログラムは、クライアント構成情報の入力を求める boot> プロンプトを表示します。
boot> プロンプトが表示されます。
boot> 3des=key-value |
手順 2 で表示された 3DES 暗号化鍵の 16 進数の文字列を指定します。
AES 暗号化鍵を使用する場合は、次のコマンドを使用してください。
boot> aes=key-value |
ハッシュキーをインストールします。
boot> sha1=key-value |
手順 2 で表示されたハッシュキーの値を指定します。
次のコマンドを入力して、ブート処理を続行します。
boot> go |
クライアントのインストールが WAN 経由で実行されます。
プロンプトが表示されたら、クライアント構成情報をコマンド行に入力します。
WAN ブートプログラムに必要なインストール情報が見つからない場合、不足している情報の入力を求めるプロンプトが wanboot プログラムから表示されます。プロンプトに追加情報を入力します。
次の例では、インストール時に wanboot プログラムから、クライアントシステムのキーの値を入力するようプロンプトが表示されます。
WAN ブートサーバー上でキーの値を表示します。
# wanbootutil keygen -d -c -o net=192.168.198.0,cid=010003BA152A42,type=sha1 b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 # wanbootutil keygen -d -c -o net=192.168.198.0,cid=010003BA152A42,type=3des 9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 |
上記の例では、次の情報が使用されています。
クライアントのサブネットの IP アドレスを指定します。
クライアント ID を指定します。
クライアントの HMAC SHA1 ハッシュキーの値です。
クライアントの 3DES 暗号化鍵の値です。
インストールで AES 暗号化鍵を使用する場合、この暗号化鍵の値を表示するには、type=3des を type=aes に変更してください。
クライアントの OBP のネットワークブート引数を設定します。
ok setenv network-boot-arguments host-ip=192.168.198.136, router-ip=192.168.198.129,subnet-mask=255.255.255.192,hostname=myclient, bootserver=http://192.168.198.135/cgi-bin/wanboot-cgi |
次の変数が設定されます。
クライアントの IP アドレスは 192.168.198.136 に設定されます。
クライアントのルーター IP アドレスは 192.168.198.129 に設定されます。
クライアントのサブネットマスクは 255.255.255.192 に設定されます。
クライアントのホスト名は myclient に設定されます。
wanboot-cgi プログラムは http://192.168.198.135/cgi-bin/wanboot-cgi に置かれています。
クライアントのブートとインストールを実行します。
ok boot net -o prompt - install Resetting ... Sun Blade 100 (UltraSPARC-IIe), No Keyboard Copyright 1998-2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. OpenBoot 4.x.build_28, 512 MB memory installed, Serial #50335475. Ethernet address 0:3:ba:e:f3:75, Host ID: 83000ef3. Rebooting with command: boot net -o prompt Boot device: /pci@1f,0/network@c,1 File and args: -o prompt boot> 3des=9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 boot> sha1=b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 boot> go |
上記のコマンドは、次の処理を実行します。
9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 という値を持つ 3DES 暗号化鍵をクライアントにインストールします。
b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 という値を持つ HMAC SHA1 ハッシュキーをクライアントにインストールします。
インストールを開始します。
キーの値を表示する方法については、wanbootutil(1M) のマニュアルページを参照してください。
ネットワークブート引数を設定する方法については、set(1) のマニュアルページを参照してください。
システムをブートする方法については、boot(1M) のマニュアルページを参照してください。
WAN ブートオプションをサポートするように DHCP サーバーを構成した場合、DHCP サーバーを使ってインストール時にクライアント構成情報を提供できます。WAN ブートインストールをサポートするように DHCP サーバーを構成する方法については、「(省略可能) DHCP による構成情報の提供」を参照してください。
この手順では、次のように仮定します。
クライアントシステムが動作中である。
すでにクライアントにキーをインストールしてあるか、またはセキュリティー保護されないインストールを実行している。
インストール前にクライアントにキーをインストールする方法については、「クライアントに対するキーのインストール」を参照してください。
SbootURI および SHTTPproxy WAN ブートオプションをサポートするように DHCP サーバーを構成してある。
これらのオプションは、WAN ブートに必要な構成情報を DHCP サーバーで提供できるようにします。
DHCP サーバーにインストールオプションを設定する方法については、「DHCP サービスによるシステム構成情報の事前設定 (作業)」を参照してください。
クライアントシステムが動作中の場合は、システムの実行レベルを 0 にします。
# init 0 |
ok プロンプトが表示されます。
クライアントシステムの ok プロンプトで、OBP のネットワークブート引数を設定します。
ok setenv network-boot-arguments dhcp,hostname=client-name |
次のブート引数を設定するよう OBP に指示します。
DHCP サーバーを使ってクライアントを構成するよう、OBP に指示します。
クライアントに割り当てるホスト名を指定します。
ネットワークからクライアントをブートします。
ok boot net - install |
ネットワークブート引数を使って WAN からブートするよう、クライアントに指示します。
クライアントのインストールが WAN 経由で実行されます。WAN ブートプログラムに必要なインストール情報が見つからない場合、不足している情報の入力を求めるプロンプトが wanboot プログラムから表示されます。プロンプトに追加情報を入力します。
次の例では、ネットワーク上の DHCP サーバーからクライアント構成情報が提供されます。この例では、クライアントのホスト名として myclient を要求しています。
ok setenv network-boot-arguments dhcp, hostname=myclient ok boot net - install Resetting ... Sun Blade 100 (UltraSPARC-IIe), No Keyboard Copyright 1998-2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. OpenBoot 4.x.build_28, 512 MB memory installed, Serial #50335475. Ethernet address 0:3:ba:e:f3:75, Host ID: 83000ef3. Rebooting with command: boot net - install Boot device: /pci@1f,0/network@c,1 File and args: - install |
ネットワークブート引数を設定する方法については、set(1) のマニュアルページを参照してください。
システムをブートする方法については、boot(1M) のマニュアルページを参照してください。
DHCP サーバーを構成する方法については、「(省略可能) DHCP による構成情報の提供」を参照してください。
クライアントの OBP が WAN ブートに対応していない場合は、Solaris 10 SOFTWARE - 1 CD をクライアントの CD-ROM ドライブに挿入して、インストールを実行できます。ローカル CD を使用する場合、クライアントは、WAN ブートサーバーからではなくローカルメディアから wanboot プログラムを取得します。
この手順では、WAN インストールで HTTPS を使用していると仮定します。セキュリティー保護されないインストールを実行する場合は、クライアントのキーの表示やインストールを行わないでください。
ローカル CD から WAN ブートインストールを実行するには、次の手順に従ってください。
WAN ブートサーバーで、Web サーバーユーザーと同じ役割になります。
クライアントの各キーの値を表示します。
# wanbootutil keygen -d -c -o net=net-ip,cid=client-ID,type=key-type |
インストール対象であるクライアントのネットワーク IP アドレスを指定します。
インストール対象であるクライアントの ID を指定します。クライアント ID は、ユーザーが定義した ID か、DHCP クライアント ID です。
クライアントにインストールするキーのタイプを指定します。指定できるキータイプは、3des、aes、または sha1 です。
キーの値が 16 進数で表示されます。
クライアントにインストールする各キータイプについて、上記の手順を繰り返します。
クライアントシステムの CD-ROM ドライブに Solaris 10 SOFTWARE - 1 CD を挿入します。
クライアントシステムの電源を入れます。
CD からクライアントをブートします。
ok boot cdrom -o prompt -F wanboot - install |
ローカル CD-ROM からブートするよう、OBP に指示します。
クライアント構成情報の入力をユーザーに求めるよう、wanboot プログラムに指示します。
CD-ROM から wanboot プログラムを読み込むよう、OBP に指示します。
WAN ブートインストールを実行するよう、クライアントに指示します。
クライアントの OBP は、Solaris 10 SOFTWARE - 1 CD から wanboot プログラムを読み込みます。wanboot プログラムによってシステムがブートされ、boot> プロンプトが表示されます。
暗号化鍵の値を入力します。
boot> 3des=key-value |
手順 2 で表示された 3DES 暗号化鍵の 16 進数の文字列を指定します。
AES 暗号化鍵を使用する場合は、次のコマンドを使用してください。
boot> aes=key-value |
ハッシュキーの値を入力します。
boot> sha1=key-value |
手順 2 で表示されたハッシュキーの 16 進数の文字列を指定します。
ネットワークインタフェース変数を設定します。
boot> variable=value[,variable=value*] |
boot> プロンプトで、次の変数と値のペアを入力します。
クライアントの IP アドレスを指定します。
ネットワークルーターの IP アドレスを指定します。
サブネットマスクの値を指定します。
クライアントのホスト名を指定します。
ネットワークのプロキシサーバーの IP アドレスとポート番号を指定します。
Web サーバー上の wanboot-cgi プログラムの URL を指定します。
bootserver 変数の URL 値に HTTPS URL を指定することはできません。URL は http:// で開始する必要があります。
これらの変数は、次の方法で入力できます。
boot> プロンプトで、変数と値のペアを 1 組入力し、Return キーを押します。
boot> host-ip=client-IP boot> subnet-mask=mask-value |
boot> プロンプトで、変数と値のすべてのペアを 1 行に入力し、Return キーを押します。変数と値の各ペアを区切るには、コンマを使用します。
boot> host-ip=client-IP,subnet-mask=mask-value, router-ip=router-ip,hostname=client-name, http-proxy=proxy-ip:port,bootserver=wanbootCGI-URL |
次のコマンドを入力して、ブート処理を続行します。
boot> go |
クライアントのインストールが WAN 経由で実行されます。WAN ブートプログラムに必要なインストール情報が見つからない場合、不足している情報の入力を求めるプロンプトが wanboot プログラムから表示されます。プロンプトに追加情報を入力します。
次の例では、インストール時にローカル CD 上の wanboot プログラムから、クライアントのネットワークインタフェース変数を設定するようプロンプトが表示されます。
WAN ブートサーバー上でキーの値を表示します。
# wanbootutil keygen -d -c -o net=192.168.198.0,cid=010003BA152A42,type=sha1 b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 # wanbootutil keygen -d -c -o net=192.168.198.0,cid=010003BA152A42,type=3des 9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 |
上記の例では、次の情報が使用されています。
クライアントのサブネットの IP アドレスを指定します。
クライアント ID を指定します。
クライアントの HMAC SHA1 ハッシュキーの値です。
クライアントの 3DES 暗号化鍵の値です。
インストールで AES 暗号化鍵を使用する場合、この暗号化鍵の値を表示するには、type=3des を type=aes に変更してください。
クライアントのブートとインストールを実行します。
ok boot cdrom -o prompt -F wanboot - install Resetting ... Sun Blade 100 (UltraSPARC-IIe), No Keyboard Copyright 1998-2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. OpenBoot 4.x.build_28, 512 MB memory installed, Serial #50335475. Ethernet address 0:3:ba:e:f3:75, Host ID: 83000ef3. Rebooting with command: boot cdrom -F wanboot - install Boot device: /pci@1f,0/network@c,1 File and args: -o prompt boot> 3des=9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 boot> sha1=b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 boot> host-ip=192.168.198.124 boot> subnet-mask=255.255.255.128 boot> router-ip=192.168.198.1 boot> hostname=myclient boot> client-id=010003BA152A42 boot> bootserver=http://192.168.198.135/cgi-bin/wanboot-cgi boot> go |
上記のコマンドは、次の処理を実行します。
9ebc7a57f240e97c9b9401e9d3ae9b292943d3c143d07f04 という値を持つ 3DES 暗号化鍵をクライアントに入力します。
b482aaab82cb8d5631e16d51478c90079cc1d463 という値を持つ HMAC SHA1 ハッシュキーをクライアントに入力します。
クライアントの IP アドレスを 192.168.198.124 に設定します。
クライアントのサブネットマスクを 255.255.255.128 に設定します。
クライアントのルーターの IP アドレスを 192.168.198.1 に設定します。
クライアントのホスト名を myclient に設定します。
クライアント ID を 010003BA152A42 に設定します。
wanboot-cgi プログラムの場所を http://192.168.198.135/cgi-bin/wanboot-cgi/ に設定します。
キーの値を表示する方法については、wanbootutil(1M) のマニュアルページを参照してください。
ネットワークブート引数を設定する方法については、set(1) のマニュアルページを参照してください。
システムをブートする方法については、boot(1M) のマニュアルページを参照してください。