Solaris OS をインストールしたあと、ゾーンをインストールして構成できます。大域ゾーンは稼働中のオペレーティングシステムの単一インスタンスであり、各 Solaris システムに 1 つ含まれています。大域ゾーンは、システムのデフォルトのゾーンであり、システム全体の管理に使用されるゾーンでもあります。非大域ゾーンは仮想化されたオペレーティングシステム環境です。
Solaris ゾーンはソフトウェア区分技術で、オペレーティングシステムサービスを仮想化し、安全で隔離されたアプリケーション実行環境を提供します。ゾーンを作成すると、そのアプリケーション実行環境で実行されるプロセスは、ほかのゾーンから隔離されます。このように隔離されているので、あるゾーンで実行中のプロセスが、ほかのゾーンで実行中のプロセスから監視または操作されることがありません。非大域ゾーンで実行中のプロセスは、スーパーユーザー資格で実行されていても、ほかのゾーン内の活動を監視したり操作したりすることはできません。大域ゾーンでスーパーユーザー資格で実行されるプロセスは、任意のゾーンの任意のプロセスを操作できます。
非大域ゾーンの構成、インストール、管理、およびアンインストールは、大域ゾーンからのみ行うことができます。システムハードウェアから起動できるのは、大域ゾーンだけです。物理デバイス、ルーティング、動的再構成 (DR) といったシステムインフラストラクチャーの管理は、大域ゾーンでのみ行うことができます。大域ゾーンで実行されるプロセスは、適切な権限が付与されていれば、ほかのどのゾーンに関連付けられているオブジェクトにもアクセスできます。次の表に、大域ゾーンと非大域ゾーンの特性をまとめます。
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 大域ゾーン  | 
 非大域ゾーン  | 
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 システムによって ID 0 が割り当てられます  | 
 ゾーンの起動時にシステムによってゾーン ID が割り当てられます  | 
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 システムで起動され実行される Solaris カーネルの単一のインスタンスを提供します  | 
 大域ゾーンから起動される Solaris カーネルの下で処理を共有します  | 
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 Solaris システムソフトウェアパッケージの完全なインストールが含まれています  | 
 Solaris オペレーティングシステムソフトウェアパッケージの完全なインストールの一部が含まれています  | 
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 追加のソフトウェアパッケージや、パッケージを通してインストールされない追加のソフトウェア、ディレクトリ、ファイル、その他のデータが含まれている場合もあります  | 
 大域ゾーンから共有された Solaris ソフトウェアパッケージが含まれています  | 
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 大域ゾーンにインストールされているすべてのソフトウェア構成要素に関する情報を格納した、一貫性のある完全な製品データベースを提供します  | 
 大域ゾーンから共有されたものではない、インストールされた追加のソフトウェアパッケージが含まれていることもあります 追加のソフトウェア、ディレクトリ、ファイル、非大域ゾーンで作成されたその他のデータなど、パッケージを通してインストールされないもの、あるいは、大域ゾーンからの共有でないものが含まれていることもあります  | 
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 大域ゾーンのホスト名やファイルシステムテーブルなど、大域ゾーンのみに固有の構成情報を保持します  | 
 非大域ゾーンのホスト名やファイルシステムテーブルなど、その非大域ゾーンのみに固有の構成情報を保持します  | 
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 すべてのデバイスとすべてのファイルシステムが認識される、唯一のゾーンです  | 
 ゾーンにインストールされているすべてのソフトウェア構成要素に関する情報を格納した、一貫性のある完全な製品データベースを持ちます。非大域ゾーンに置かれている構成要素と、読み取り専用モードで大域ゾーンから共有される構成要素があります  | 
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 非大域ゾーンの存在と構成が認識される、唯一のゾーンです  | 
 ほかのゾーンの存在を認識できません  | 
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 非大域ゾーンの構成、インストール、管理、またはアンインストールを行うことができる、唯一のゾーンです  | 
 自身を含め、ゾーンのインストール、管理、アンインストールを行うことはできません  | 
詳細については、以下を参照してください。