Solaris OS をインストールしたあと、ゾーンをインストールして構成できます。大域ゾーンは稼働中のオペレーティングシステムの単一インスタンスであり、各 Solaris システムに 1 つ含まれています。大域ゾーンは、システムのデフォルトのゾーンであり、システム全体の管理に使用されるゾーンでもあります。非大域ゾーンは仮想化されたオペレーティングシステム環境です。
次の条件がいずれも成立する場合は、コマンドに -R オプションまたは同等のオプションを使用して代替ルート (/) ファイルシステムを指定してはいけません。
コマンドが大域ゾーン内で実行される。
代替ルート (/) ファイルシステムが非大域ゾーンにあるすべてのパスを参照する。
たとえば、pkgadd ユーティリティーに -R root_path オプションで非大域ゾーンのルート (/) ファイルシステムへのパスを指定して、大域ゾーンから実行する場合です。
代替ルート (/) ファイルシステムが指定可能なユーティリティーの一覧およびゾーンの詳細については、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の「大域ゾーンから非大域ゾーンにアクセスする際の制限」を参照してください。
Solaris OS がインストールされている場合、大域ゾーンにインストールされたソフトウェアグループのパッケージはすべての非大域ゾーンで共有されます。たとえば、全体ディストリビューションをインストールした場合、これらのパッケージはすべてのゾーンに含まれます。デフォルトでは、大域ゾーンに追加パッケージをインストールすると、これらも非大域ゾーンに追加されます。アプリケーション、ネームスペース、サーバー、NFS や DHCP などのネットワーク接続、その他のソフトウェアを、非大域ゾーンに隔離できます。それぞれの非大域ゾーンは、ほかの非大域ゾーンを認識せず、それぞれ独立して動作可能です。たとえば、大域ゾーンに全体ディストリビューションをインストールし、個々の非大域ゾーンでは Java Enterprise System Messaging Server、データベース、DHCP、および Web サーバーを実行することができます。非大域ゾーンをインストールするときは、各非大域ゾーンで実行されるアプリケーションのパフォーマンス要件に留意してください。
非大域ゾーンがインストールされていると、Solaris フラッシュアーカイブは正常に作成されません。Solaris フラッシュ機能には Solaris ゾーン区分技術との互換性はありません。Solaris フラッシュアーカイブを作成する場合、そのアーカイブの配備条件が次のいずれかの場合は、作成されたアーカイブは正しくインストールされません。
アーカイブが非大域ゾーンに作成された場合
アーカイブが、非大域ゾーンがインストールされている大域ゾーンに作成された場合
Solaris 10 1/06 以降のリリースでは、Solaris OS をアップグレードするときに、非大域ゾーンがインストールされているシステムをアップグレードできます。 Solaris 対話式インストールプログラムとカスタム JumpStart プログラムにより、アップグレードが可能です。
Solaris 対話式インストールプログラムで、「「アップグレード」または「初期」インストールの選択」パネルで、「アップグレードインストール」を選択して、非大域ゾーンにあるシステムをアップグレードできます。インストールプログラムがシステムを分析してアップグレード可能かどうかを判定し、分析の概要を表示します。その後インストールプログラムは、アップグレードの続行を求めるプロンプトを表示します。このプログラムを使用する場合には、次の制限事項があります。
アップグレードのカスタマイズはできません。たとえば、追加のソフトウェア製品のインストール、追加のロケールパッケージのインストール、またはディスクレイアウトの変更を行うことはできません。
Solaris 10 DVD または DVD に作成したネットワークインストールイメージを使用する必要があります。Solaris 10 SOFTWARE CD を使用してシステムをアップグレードすることはできません。このプログラムによるインストール方法については、『Solaris 10 インストールガイド (基本編)』の第 2 章「Solaris インストールプログラムによるインストール (作業)」を参照してください。
カスタム JumpStart インストールプログラムでは、アップグレードに使用できるキーワードは install_type および root_device のみです。
いくつかのキーワードは非大域ゾーンに影響を与えるため、これらのキーワードはプロファイルに含められません。たとえば、パッケージを追加するキーワード、ディスク容量を再配置するキーワード、またはロケールを追加するキーワードを使用すると非大域ゾーンに影響を与えます。これらのキーワードを使用すると、キーワードが無視されるか JumpStart アップグレードが失敗します。これらのキーワードの一覧については、『Solaris 10 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』の「非大域ゾーンでアップグレードする際のプロファイルキーワードの制限」を参照してください。
非大域ゾーンがインストールされている場合は、Solaris Live Upgrade を使用してシステムをアップグレードすることはできません。lucreate コマンドでブート環境を作成できますが、luupgrade コマンドを使用するとアップグレードに失敗します。エラーメッセージが表示されます。
大域ゾーンをインストールするときには、作成するすべてのゾーンに十分なディスク容量を必ず確保してください。非大域ゾーンごとに、ディスク容量要件は異なる場合があります。ここでは、計画情報の概略を示します。計画の要件と推奨事項の詳細は、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 18 章「非大域ゾーンの計画と構成 (手順)」を参照してください。
1 つのゾーンで消費できるディスク容量に制限はありません。容量制限は大域ゾーンの管理者が行います。単一プロセッサの小規模なシステムでも、多数のゾーンを同時に実行できます。
非大域ゾーンを作成するときの容量要件は、大域ゾーンにインストールされたパッケージの種類によって異なります。パッケージ数と容量要件がその要因になります。ディスク容量に関する一般的なガイドラインを次に示します。
大域ゾーンに Solaris の標準パッケージをすべてインストールした場合は、ディスクに約 100M バイトの空き容量を確保することをお勧めします。大域ゾーンに追加パッケージをインストールした場合は、この量を増やしてください。デフォルトでは、大域ゾーンに追加パッケージをインストールすると、これらも非大域ゾーンに追加されます。非大域ゾーンでこれらの追加パッケージが格納されるディレクトリは、inherit-pkg-dir 資源で指定されます。
システムに十分なスワップ領域がある場合は、ゾーン当たり 40M バイトの RAM を追加します。各ゾーンが正常に稼働できるように、この追加をお勧めします。システムサイズを計画するときは、この RAM の追加を考慮してください。