Solaris 10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)

アップグレード

システムをアップグレードするには、3 つの方法があります。Solaris Live Upgrade、Solaris インストールプログラム、およびカスタム JumpStart です。

表 3–7 Solaris のアップグレード方法

現在の Solaris OS 

Solaris のアップグレード方法 

Solaris 8、Solaris 9、および Solaris 10 

  • Solaris Live Upgrade – 稼働中のシステムのコピーを作成し、それをアップグレードすることでシステムをアップグレードします

  • Solaris インストール - グラフィカルユーザーインタフェースまたはコマンド行インタフェースを使用して対話形式でアップグレードを行うことができます

  • カスタム JumpStart – 自動アップグレードを行うことができます

アップグレードに関する制限事項

問題 

説明 

別のソフトウェアグループへのアップグレード 

システムのソフトウェアグループを、アップグレード時に別のソフトウェアグループに変更することはできません。たとえば、システムにエンドユーザーシステムサポートソフトウェアグループがインストールされている場合には、開発者システムサポートソフトウェアグループにアップグレードするオプションはありません。ただし、アップグレード中に、インストール済みのソフトウェアグループに属していないソフトウェアをシステムに追加することはできます。 

Solaris 10 1/06 以降のリリース: 非大域ゾーンがインストールされている場合のアップグレード

Solaris OS をアップグレードするときに、非大域ゾーンがインストールされているシステムをアップグレードできます。Solaris 対話式インストールプログラムとカスタム JumpStart プログラムにより、アップグレードが可能です。アップグレードする場合の制限については、「非大域ゾーンがインストールされている場合のアップグレード」を参照してください。

アップグレードプログラム

Solaris インストールプログラムによる標準の対話式アップグレードか、カスタム JumpStart インストールによる無人アップグレードを実行できます。Solaris Live Upgrade を使用すると、稼働中のシステムをアップグレードできます。

アップグレードプログラム 

説明 

参照先 

Solaris Live Upgrade 

現在稼働中のシステムのコピーを作成することができます。このコピーはアップグレード可能で、リブートすると、アップグレードしたコピーが稼動システムになります。Solaris Live Upgrade を使用すると、Solaris OS のアップグレードに必要なシステム停止時間を短縮できます。また、Solaris Live Upgrade では、アップグレードに関連する問題も回避できます。たとえば、アップグレード中に電源障害が発生すると、アップグレードを回復することができなくなります。しかし、Solaris Live Upgrade では、現在実行中のシステムではなく、コピーをアップグレードするので、この問題は起こりません。 

Solaris Live Upgrade を使用する場合、ディスク容量割り当ての計画については、「Solaris Live Upgrade の要件」を参照してください。

Solaris インストールプログラム 

対話式 GUI のガイドに従ってアップグレードを実行できます。 

『Solaris 10 インストールガイド (基本編)』の第 2 章「Solaris インストールプログラムによるインストール (作業)」

カスタム JumpStart プログラム 

自動アップグレードを行うことができます。プロファイルファイルを使用し、必要に応じてプリインストールスクリプトやポストインストールスクリプトも使用して、必要な情報を指定します。アップグレード用にカスタム JumpStart プロファイルを作成するときは、install_type upgrade を指定します。さらに、実際にアップグレードを行う前に、システムの現在のディスク構成およびシステムに現在インストールされているソフトウェアに対して、カスタム JumpStart プロファイルが目的どおりのことを実行しようとしているかを確認する必要があります。アップグレードしようとしているシステム上で、pfinstall - D コマンドを実行して、プロファイルをテストします。ディスク構成ファイルを使用してアップグレード用プロファイルをテストすることはできません。

アップグレードの代わりに Solaris フラッシュアーカイブをインストールする

Solaris フラッシュのインストール機能では、マスターシステムからインストール全体のコピーを作成し、これを多数のクローンシステムに複製できます。このコピーは Solaris フラッシュアーカイブと呼ばれます。アーカイブは、どのインストールプログラムを使用してもインストールできます。


注意 – 注意 –

非大域ゾーンがインストールされていると、Solaris フラッシュアーカイブは正常に作成されません。Solaris フラッシュ機能には Solaris ゾーン区分技術との互換性はありません。Solaris フラッシュアーカイブを作成する場合、そのアーカイブの配備条件が次のいずれかの場合は、作成されたアーカイブは正しくインストールされません。


アーカイブのインストールについては、次の表を参照してください。

Solaris Live Upgrade 

「ブート環境への Solaris フラッシュアーカイブのインストール」

カスタム JumpStart 

『Solaris 10 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』「カスタム JumpStart インストールを使用して Solaris フラッシュアーカイブをインストールする方法」

Solaris 対話式インストール 

『Solaris 10 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)』の第 4 章「Solaris フラッシュアーカイブのインストールと管理 (作業)」

WAN ブートインストール 

『Solaris 10 インストールガイド (ネットワークインストール)』の第 14 章「WAN ブートによるインストール (作業)」

ディスク容量の再配置を使用するアップグレード

Solaris インストールプログラムのアップグレードオプションとカスタム JumpStart プログラムの upgrade キーワードはどちらも、ディスク容量の再配置機能を提供します。この再配置により、ディスクスライスのサイズが自動的に変更されます。アップグレードするのに十分な容量が現在のファイルシステムにない場合、ディスク容量を割り当て直すことができます。たとえば、アップグレードに伴ってファイルシステムの容量を増やす必要があるのは、次のような場合です。

自動配置機能を使用すると、ファイルシステムに必要な容量を確保するようにディスク容量の再配置が行われます。自動配置機能では、デフォルトの制約にもとづいて容量の再配置が試みられます。このため、この機能によって容量の再配置が行われない場合は、ファイルシステムの制約を変更する必要があります。


注 –

自動配置機能には、ファイルシステムの容量を増やす能力はありません。自動配置機能では、次の処理によって容量の再配置が行われます。

  1. 変更の必要なファイルシステム上の必須ファイルをバックアップする。

  2. ファイルシステムの変更にもとづいてディスクパーティションを再分割する。

  3. アップグレードの前にバックアップファイルを復元する。


アップグレード前のシステムのバックアップ

Solaris OS のアップグレードを行う前に、既存のファイルシステムのバックアップを行うことを強くお勧めします。ファイルシステムをテープなどのリムーバブルメディアにコピーすれば、データの損失や損傷、破壊などを防止できます。システムのバックアップ手順についての詳細は、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 24 章「ファイルシステムのバックアップと復元 (概要)」を参照してください。