この章では、RAID-0 ボリュームに関連する作業について説明します。関連する概念については、第 8 章「RAID-0 (ストライプ方式および連結方式) ボリューム (概要)」を参照してください。
次の表に、Solaris ボリュームマネージャの RAID-0 ボリュームを管理するために必要な作業を示します。
作業 |
説明 |
参照先 |
---|---|---|
RAIDー0 (ストライプ方式) ボリュームの作成 |
Solaris ボリュームマネージャの GUI か metainit コマンドを使って新しいボリュームを作成します。 | |
RAIDー0 (連結方式) ボリュームの作成 |
Solaris ボリュームマネージャの GUI か metainit コマンドを使って新しいボリュームを作成します。 | |
記憶領域の拡張 |
Solaris ボリュームマネージャの GUI か metainit コマンドを使って既存のファイルシステムを拡張します。 | |
既存の RAID-0 ボリュームの拡張 |
Solaris ボリュームマネージャの GUI か metattach コマンドを使って既存のボリュームを拡張します。 | |
RAIDー0 ボリュームの削除 |
Solaris ボリュームマネージャの GUI か metainit コマンドを使ってボリュームを削除します。 |
既存のファイルシステムまたはデータからストライプを作成しないでください。作成するとデータが破壊されます。既存のデータからストライプを作成する場合は、データのバックアップを作成し、ストライプ方式ボリュームを作成して、そのボリュームにデータを復元する必要があります。
32 ビットカーネルの Solaris ソフトウェアを使用する予定がある場合は、1T バイトを超えるボリュームを作成しないでください。また、Solaris 9 4/03 リリース以前の Solaris OS を使用する場合も、1T バイトを超えるボリュームを作成しないでください。Solaris ボリュームマネージャでサポートされる大容量ボリュームの詳細については、「Solaris ボリュームマネージャにおけるマルチテラバイトサポートの概要」を参照してください。
「Solaris ボリュームマネージャコンポーネントを作成するための前提条件」と 「RAID-0 ボリュームを作成するための背景情報」を確認します。
次のどちらかの方法で ストライプ方式ボリュームを作成します。
Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開きます。「アクション (Action)」、「ボリュームを作成 (Create Volume)」の順に選択し、ウィザードの指示に従います。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。
次の形式の metainit コマンドを使用します。
# metainit volume-name number-of-stripes components-per-stripe component-names [ -i interlace] |
作成するボリュームの名前を指定します。ボリュームの命名方式については、「ボリューム名」を参照してください。
作成するストライプの数を指定します。
各ストライプに与えるコンポーネントの数を指定します。
使用するコンポーネントの名前を指定します。複数のコンポーネントを使用する場合は、スペースで各コンポーネントを区切ります。
ストライプに使用する飛び越し幅を指定します。飛び越し幅は、値の後ろに「k」(キロバイト)、「m」(メガバイト)、または「b」(ブロック) を加えて指定します。16 ブロック以上 100M バイト以下の飛び越し幅を指定する必要があります。デフォルトの飛び越し幅は 16K バイトです。
詳細は、次の例と metainit(1M) のマニュアルページを参照してください。
# metainit d20 1 3 c0t1d0s2 c0t2d0s2 c0t3d0s2 d20: Concat/Stripe is setup |
1 つのストライプ (数字の 1) からなるストライプ d20 の例を示します。このストライプは 3 つのスライス (数字の 3) からなります。このストライプには飛び越し値が指定されていないため、デフォルト値の 16K バイトが使用されます。最後に、ボリュームが設定されたことを示すメッセージが出力されます。
# metainit d10 1 2 c0t1d0s2 c0t2d0s2 -i 32k d10: Concat/Stripe is setup |
1 つのストライプ (数字の 1) からなるストライプ d10 の例を示します。このストライプは 2 つのスライス (数字の 2) からなります。-i オプションでは、飛び越し値として 32K バイトを設定します。飛び越し値は 8K バイト以上、100M バイト以下である必要があります。最後に、ボリュームが設定されたことを示すメッセージが出力されます。
新たに作成したストライプにファイルシステムを作成する方法については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 18 章「UFS、TMPFS、LOFS ファイルシステムの作成 (手順)」を参照してください。データベースなど、アプリケーションによってはファイルシステムを使用しません。これらのアプリケーションでは、代わりに raw デバイスを使用します。アプリケーションは独自の方法で raw デバイスにアクセスできなければなりません。
32 ビットカーネルの Solaris ソフトウェアを使用する予定がある場合は、1T バイトを超えるボリュームを作成しないでください。また、Solaris 9 4/03 リリース以前の Solaris OS を使用する場合も、1T バイトを超えるボリュームを作成しないでください。Solaris ボリュームマネージャのマルチテラバイトボリュームの詳細については、「Solaris ボリュームマネージャにおけるマルチテラバイトサポートの概要」を参照してください。
「Solaris ボリュームマネージャコンポーネントを作成するための前提条件」と 「RAID-0 ボリュームを作成するための背景情報」を確認します。
次のどちらかの方法で連結方式ボリュームを作成します。
Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開きます。「アクション (Action)」、「ボリュームを作成 (Create Volume)」の順に選択し、ウィザードの指示に従います。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。
次の形式の metainit コマンドを使用します。
# metainit volume-name number-of-stripes components-per-stripe component-names |
作成するボリュームの名前を指定します。
作成するストライプの数を指定します。
各連結に与えるコンポーネントの数を指定します。
使用するコンポーネントの名前を指定します。複数のコンポーネントを使用する場合は、スペースで各コンポーネントを区切ります。
詳細は、次の例と metainit(1M) のマニュアルページを参照してください。
# metainit d25 1 1 c0t1d0s2 d25: Concat/Stripe is setup |
連結 d25 を作成する例を示します。この連結は 1 つのストライプ (最初の数字 1) からなり、ストライプは 1 つのスライス (スライスの前の2 つめの数字 1) からなります。最後に、ボリュームが設定されたことを示すメッセージが出力されます。
既存のデータを安全にカプセル化できる連結の例を示します。
# metainit d40 4 1 c0t1d0s2 1 c0t2d0s2 1 c0t2d0s3 1 c0t2d1s3 d40: Concat/Stripe is setup |
連結 d40 を作成する例を示します。この連結は 4 つのストライプ (数字の 4) からなり、1 つのストライプは 1 つのスライス (各スライスの前の数字の 1) からなります。最後に、ボリュームが設定されたことを示すメッセージが出力されます。
新たに作成した連結にファイルシステムを作成する方法については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 18 章「UFS、TMPFS、LOFS ファイルシステムの作成 (手順)」を参照してください。
ファイルシステムに記憶容量を追加するには、連結方式ボリュームを作成します。既存のストライプに記憶容量を追加する場合は、連結ストライプ方式ボリュームを作成します。
32 ビットカーネルの Solaris ソフトウェアを使用する予定がある場合は、1T バイトを超えるボリュームを作成しないでください。また、Solaris 9 4/03 リリース以前の Solaris OS を使用する場合も、1T バイトを超えるボリュームを作成しないでください。Solaris ボリュームマネージャのマルチテラバイトボリュームサポートの詳細については、「Solaris ボリュームマネージャにおけるマルチテラバイトサポートの概要」を参照してください。
「Solaris ボリュームマネージャコンポーネントを作成するための前提条件」と 「RAID-0 ボリュームを作成するための背景情報」を確認します。
ファイルシステムをマウント解除します。
# umount /filesystem |
次のどちらかの方法で連結を作成します。
Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開きます。「アクション (Action)」、「ボリュームを作成 (Create Volume)」の順に選択し、ウィザードの指示に従います。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。
次の形式の metainit コマンドを使用します。
# metainit volume-name number-of-stripes components-per-stripe component-names |
作成するボリュームの名前を指定します。
作成するストライプの数を指定します。
各ストライプに与えるコンポーネントの数を指定します。
使用するコンポーネントの名前を指定します。複数のコンポーネントを使用する場合は、スペースで各コンポーネントを区切ります。
詳細は、metainit(1M) のマニュアルページを参照してください。
/etc/vfstab を編集して、このファイルシステムが連結の名前を参照するようにします。
ファイルシステムを再びマウントします。
# mount /filesystem |
# umount /docs # metainit d25 2 1 c0t1d0s2 1 c0t2d0s2 d25: Concat/Stripe is setup (/etc/vfstab ファイルを編集して、このファイルシステムがスライス c0t1d0s2 の代わりにボリューム d25 を参照するようにします。) # mount /docs |
2 つのスライス、/dev/dsk/c0t1d0s2 (/docs にマウントされたファイルシステムが格納されている) と /dev/dsk/c0t2d0s2 から連結 d25 を作成する例を示します。ファイルシステムは、最初にマウント解除する必要があります。metainit コマンドに指定する最初のスライスは、ファイルシステムが格納されているスライスでなければなりません。そうでないと、データが破壊されます。
次に、/etc/vfstab ファイルにあるファイルシステムのエントリを、この連結を参照するように変更します (初めての場合は、入力します)。たとえば、最初は次のような行が /etc/vfstab ファイルにあります。
/dev/dsk/c0t1d0s2 /dev/rdsk/c0t1d0s2 /docs ufs 2 yes - |
この行を次のように変更します。
/dev/md/dsk/d25 /dev/md/rdsk/d25 /docs ufs 2 yes - |
UFS ファイルシステムの場合は、連結に対して growfs コマンドを実行します。「ファイルシステムを拡張するには」を参照してください。
データベースなど、アプリケーションによってはファイルシステムを使用しません。データベースなどのアプリケーションは、raw 連結を使用し、独自の方法でこの連結を認識するか、または領域を拡張できなければなりません。
ストライプを連結することによって、既存のストライプを拡張できます。たとえば、ストライプの記憶容量が不足した場合は、連結ストライプ方式に変換します。これにより、データのバックアップや復元にわずらわされることなく、記憶容量を拡張できます。
この手順では、既存のストライプに別のストライプを追加するものとします。
32 ビットカーネルの Solaris ソフトウェアを使用する予定がある場合は、1T バイトを超えるボリュームを作成しないでください。また、Solaris 9 4/03 リリース以前の Solaris OS を使用する場合も、1T バイトを超えるボリュームを作成しないでください。Solaris ボリュームマネージャのマルチテラバイトボリュームサポートの詳細については、「Solaris ボリュームマネージャにおけるマルチテラバイトサポートの概要」を参照してください。
「Solaris ボリュームマネージャコンポーネントを作成するための前提条件」と 「RAID-0 ボリュームを作成するための背景情報」を確認します。
次のどちらかの方法でストライプ連結を作成します。
Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開きます。「アクション (Action)」、「ボリュームを作成 (Create Volume)」の順に選択し、ウィザードの指示に従います。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。
コマンド行から既存のストライプを連結する場合は、次の形式の metattach コマンドを使用します。
# metattach volume-name component-names |
作成するボリュームの名前を指定します。
使用するコンポーネントの名前を指定します。複数のコンポーネントを使用する場合は、スペースで各コンポーネントを区切ります。
詳細は、metattach(1M) のマニュアルページを参照してください。
# metattach d2 c1t2d0s2 d2: components are attached |
この例では、既存のストライプ d2 にスライスを追加します。スライスが追加されたことを示すメッセージが表示されます。
# metattach d25 c1t2d0s2 c1t2d1s2 c1t2d3s2 d25: components are attached |
既存の 3 面ストライプ d25 を使用し、それに別の 3 面ストライプを連結する例を示します。これら 3 つのスライスには飛び越し値が指定されていないので、ストライプは d25 に設定された飛び越し値を引き継ぎます。最後に、ボリュームが設定されたことを示すメッセージが出力されます。
UFS ファイルシステムの場合は、ボリュームに対して growfs コマンドを実行します。「ファイルシステムを拡張するには」を参照してください。
データベースなど、アプリケーションによってはファイルシステムを使用しません。データベースなどのアプリケーションでは raw ボリュームを使用し、独自の方法でこのボリュームを認識したり、追加領域を拡張したりできなければなりません。
新たに作成したストライプ連結にファイルシステムを作成する方法については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 18 章「UFS、TMPFS、LOFS ファイルシステムの作成 (手順)」を参照してください。
すべてのデータの最新のバックアップを取っているか確認します。また、この操作には root 権限が必要です。
このボリュームを本当に削除しても問題がないか確認します。
ストライプまたは連結を削除し、そのボリュームの一部として使用されているスライスを再使用すると、ボリュームのすべてのデータがシステムから削除されます。
必要であれば、ファイルシステムをマウント解除します。
# umount /filesystem |
次のどちらかの方法でボリュームを削除します。
Solaris 管理コンソール内の「拡張ストレージ」から「ボリューム (Volumes)」ノードを開きます。「編集」、「削除」の順に選択してから、画面上の指示に従います。詳細は、オンラインヘルプを参照してください。
次の形式の metaclear コマンドを使ってボリュームを削除します。
metaclear volume-name |
詳細は、次の例と metaclear(1M) のマニュアルページを参照してください。
# umount d8 # metaclear d8 d8: Concat/Stripe is cleared (/etc/vfstab ファイルを編集します) |
この例では、マウントされたファイルシステムが格納されている連結 d8 を削除する方法を示します。ボリュームを削除する場合は、あらかじめファイルシステムをマウント解除する必要があります。連結の削除が完了すると、そのことを示すメッセージが表示されます。 /etc/vfstab ファイルにこのボリュームのエントリがある場合は、このエントリを削除する必要があります。これによって、存在しないボリュームにファイルシステムをマウントするのを回避できます。