Solaris ボリュームマネージャの管理

第 12 章 ソフトパーティション (概要)

この章では、Solaris ボリュームマネージャのソフトパーティションについて説明します。関連する作業については、第 13 章「ソフトパーティション (作業)」を参照してください。

この章では、次の内容について説明します。

ソフトパーティションの概要

ディスクの記憶容量が増えるにしたがって、ディスクアレイが Solaris システムに提供する論理デバイスも大きくなります。ファイルシステムやパーティションサイズを管理しやすくするために、ディスクや論理ボリュームを 8 より多くのパーティションに分割しなければならない場合があります。Solaris ボリュームマネージャのソフトパーティションは、この要求に応えるための機能です。

Solaris ボリュームマネージャは、ディスクセットあたり 8192 の論理ボリュームをサポートできます。この数にはローカルまたは無指定のディスクセットが含まれます。Solaris ボリュームマネージャは、必要に応じて動的にボリュームを構成します。

ソフトパーティションでは、ディスクスライスや論理ボリュームを任意の数のパーティションに分割できます。区画 (ソフトパーティション) には、名前を付ける必要があります。これは、ストライプやミラーなど、ほかの記憶ボリュームの場合と同じです。名前の付いているソフトパーティションには、このソフトパーティションがすでに別のボリュームに含まれていない限り、ファイルシステムなどのアプリケーションからアクセスできます。ボリュームにすでに含まれているソフトパーティションには、直接アクセスしないでください。

ソフトパーティションは、ディスクスライス上に直接置くことも、ミラー、ストライプ、または RAID-5 ボリューム上に置くこともできます。ただし、ソフトパーティションは他のボリュームの上下両方に置くことはできません。たとえば、ソフトパーティション上にミラー化したストライプを構築し、さらにこの上にソフトパーティションを構築することはできません。

ファイルシステムなどのアプリケーションからは、ソフトパーティションは連続した 1 つの論理ボリュームに見えます。しかし、実際には、ソフトパーティションを構成するメディアの任意の場所にある、一連のエクステントから構成されています。システムに重大な障害が発生した場合でも、その障害から回復できるように、ソフトパーティションに加えディスク上のエクステントヘッダー (システム回復データ域ともいう) にも、ソフトパーティションの情報が記録されます。

ソフトパーティション構成の指針

シナリオ — ソフトパーティション

ソフトパーティション用のツールを使えば、大きな記憶領域をそれより小さい管理しやすい領域に分割できます。たとえば、ほかのシナリオ (「シナリオ—RAID-1 ボリューム (ミラー)」 または 「シナリオ—RAID-5 ボリューム」) では、多数の記憶領域を 1 つにまとめることによって、G バイトクラスの冗長記憶領域を確保できます。しかし、考えられるシナリオの多くでは、最初からそれほど多くの記憶領域が必要になることはありません。ソフトウェアパーティションでは、この記憶領域を管理しやすいパーティションに分割できます。そして、パーティションのそれぞれに完全なファイルシステムを与えることができます。たとえば、RAID-1 または RAID-5 ボリュームに 1000 のソフトパーティションを作成すれば、ユーザーは個別のファイルシステムにホームディレクトリを持つことができます。ユーザーがより多くの領域を必要とする場合は、単にそのソフトパーティションを拡張するだけですみます。