この章では、Solaris ボリュームマネージャのソフトパーティションについて説明します。関連する作業については、第 13 章「ソフトパーティション (作業)」を参照してください。
この章では、次の内容について説明します。
ディスクの記憶容量が増えるにしたがって、ディスクアレイが Solaris システムに提供する論理デバイスも大きくなります。ファイルシステムやパーティションサイズを管理しやすくするために、ディスクや論理ボリュームを 8 より多くのパーティションに分割しなければならない場合があります。Solaris ボリュームマネージャのソフトパーティションは、この要求に応えるための機能です。
Solaris ボリュームマネージャは、ディスクセットあたり 8192 の論理ボリュームをサポートできます。この数にはローカルまたは無指定のディスクセットが含まれます。Solaris ボリュームマネージャは、必要に応じて動的にボリュームを構成します。
ソフトパーティションでは、ディスクスライスや論理ボリュームを任意の数のパーティションに分割できます。区画 (ソフトパーティション) には、名前を付ける必要があります。これは、ストライプやミラーなど、ほかの記憶ボリュームの場合と同じです。名前の付いているソフトパーティションには、このソフトパーティションがすでに別のボリュームに含まれていない限り、ファイルシステムなどのアプリケーションからアクセスできます。ボリュームにすでに含まれているソフトパーティションには、直接アクセスしないでください。
ソフトパーティションは、ディスクスライス上に直接置くことも、ミラー、ストライプ、または RAID-5 ボリューム上に置くこともできます。ただし、ソフトパーティションは他のボリュームの上下両方に置くことはできません。たとえば、ソフトパーティション上にミラー化したストライプを構築し、さらにこの上にソフトパーティションを構築することはできません。
ファイルシステムなどのアプリケーションからは、ソフトパーティションは連続した 1 つの論理ボリュームに見えます。しかし、実際には、ソフトパーティションを構成するメディアの任意の場所にある、一連のエクステントから構成されています。システムに重大な障害が発生した場合でも、その障害から回復できるように、ソフトパーティションに加えディスク上のエクステントヘッダー (システム回復データ域ともいう) にも、ソフトパーティションの情報が記録されます。
ソフトパーティションとして使用されているスライスを他の目的で使用することはできません。
ディスクをパーティション分割し、それらのスライスにファイルシステムをすでに構築している場合は、ディスクフォーマットを変更または破棄しなければ、スライスを拡張することはできません。ソフトパーティションの動作はさまざまです。ソフトパーティションを構成するデバイスの容量が許す限り、ソフトパーティションを拡張できます。他のソフトパーティションにあるデータを移動させたり、破棄したりする必要はありません。
ソフトパーティションのエクステントをディスク上の任意の場所に手動で配置することは、技術的には可能ですが、システムで自動的に配置するようにしてください。手動で配置されたエクステントの例については、「Solaris ボリュームマネージャ構成の表示」 にある metastat コマンドの出力を参照してください。
ソフトパーティションは任意のスライス上に構築できます。ただし、ディスクレベルでソフトパーティションを使用するときは、ディスク全体を占有するスライスを作成し、そのスライスにソフトパーティションを作成するのが、もっとも効率的です。
ソフトパーティションの最大サイズは、ソフトパーティションを構築するスライスまたはボリュームのサイズによって制限されます。この制限があるので、ディスクスライス上にボリュームを作成してから、そのボリューム上でソフトパーティションを作成してください。この方法では、ボリュームにコンポーネントを追加してから、必要に応じてソフトパーティションを拡張することができます。
柔軟性と可用性を最大限に高めるためには、ディスクスライスに RAID-1 (ミラー) か RAID-5 ボリュームを作成してから、そのミラーまたは RAID-5 ボリューム上にソフトパーティションを作成するようにします。
ソフトパーティション用のツールを使えば、大きな記憶領域をそれより小さい管理しやすい領域に分割できます。たとえば、ほかのシナリオ (「シナリオ—RAID-1 ボリューム (ミラー)」 または 「シナリオ—RAID-5 ボリューム」) では、多数の記憶領域を 1 つにまとめることによって、G バイトクラスの冗長記憶領域を確保できます。しかし、考えられるシナリオの多くでは、最初からそれほど多くの記憶領域が必要になることはありません。ソフトウェアパーティションでは、この記憶領域を管理しやすいパーティションに分割できます。そして、パーティションのそれぞれに完全なファイルシステムを与えることができます。たとえば、RAID-1 または RAID-5 ボリュームに 1000 のソフトパーティションを作成すれば、ユーザーは個別のファイルシステムにホームディレクトリを持つことができます。ユーザーがより多くの領域を必要とする場合は、単にそのソフトパーティションを拡張するだけですみます。