Solaris ボリュームマネージャの管理

シナリオ—RAID-5 ボリューム

RAID-5 ボリュームでは、RAID-1 ボリュームよりも少ないオーバーヘッドで記憶領域の冗長性を達成できます (RAID-1 ボリュームでデータの冗長性を得るには、合計記憶領域の 2 倍の領域が必要)。RAID-5 ボリュームを設定すると、同じ数のディスクコンポーネントでも、RAID-1 ボリュームで得られるより大容量の冗長記憶領域を確保できます。さらに、ホットスペア (第 16 章「ホットスペア集合 (概要)」と特に「ホットスペアの仕組み」を参照) を利用することによって、ほぼ同程度の安全性を確保できます。問題点は、コンポーネント障害が発生した場合に、書き込み時間が増大し、性能が相当低下することです。しかし、このような問題点が目立つような状況はあまりありません。次の例では、第 5 章「Solaris ボリュームマネージャの構成と使用」のサンプルシナリオを使用して、RAID-5 ボリュームで追加の記憶容量を提供する方法を示します。

RAID-0 と RAID-1 ボリュームに対応するシナリオでは、2 つのコントローラに分散された 6 つのディスク上の 6 つのスライス (c1t1d0c1t2d0c1t3d0c2t1d0c2t2d0c2t3d0) によって、27G バイトの冗長記憶領域が得られます。RAID-5 構成で同じスライスを使用すると、45G バイトの記憶領域が使用できます。この構成の場合は、1 つのコンポーネントで障害が発生しても、データが失われたりアクセスが停止されたりすることはありません。さらに、RAID-5 ボリュームにホットスペアを追加すれば、複数のコンポーネントに障害が発生しても対応できます。この方式で最大の問題点は、コントローラ障害が発生すると、この RAID-5 ボリュームのデータが失われることです。RAID-1 ボリュームではこの問題は起こりません。「シナリオ—RAID-1 ボリューム (ミラー)」を参照してください。